10月10日は「アイメイト・デー」でした。「アイメイト」とは盲導犬を意味しています。目の不自由な方とその人たちをサポートする盲導犬への理解を深める日です。 そんな意味のある日にちなんで、先日家庭神奈川県動物愛護推進委員であり、100名以上のメンバーがいるオンラインサロン「チャーリーオンラインドッグスクール」を主宰しするチャーリーママこと夏目真利子さんに「犬のしつけ」について伺ってきました。
盲導犬と我が家でくつろぐ犬は同じ犬
数年前から、私の住んでいる地域でも盲導犬の姿がよく見られるようになりました。彼ら(盲導犬)がユーザーさん(人間)を献身的に先導する姿には一種の感動すら覚えることがあります。 しかし、盲導犬という優秀な犬が最初から存在するわけではありません。優秀な盲導犬と皆さんのお家でくつろぐ犬は同じ犬。 小さくても大きくても、仕事犬であろうと家庭犬であろうと、犬は犬なのです。つまり、犬としての本能的な行動や学ぶ能力は、どんな犬であろうと等しく持っていると考えてください。
そうはいっても、しつけが上手く行かず、飼い犬の問題行動に悩まされている方も多いかと思います。すべての犬が盲導犬のように利口で優秀に育ってくれるわけではありません。
人間と対等の存在として犬と接しよう
では、優秀な犬と問題を抱える犬とでは何が違うのでしょうか? 昔、「犬になめられたらいけない。今のうちにしめておかないと」という考えを持った飼い主さんに出会ってうろたえたことがあります。 その考え方の根拠となるのは、「オオカミの群れ理論(いわゆるパックリーダー論)」だと思います。
パックリーダー論とは、「オオカミの上位者は下位のオオカミに対して支配的に振る舞うことで、群れの安寧が保たれる」という理論のことをいいます。 この理論を引き合いに出す形で、「犬はオオカミの子孫なので、オオカミと同じように上下関係のもとで生きる動物である。したがって人は犬に対して常に上位者として振る舞わねばならない」という考え方が、一部の方々に浸透しています。 1970年頃は多くのドッグトレーナーがこの理論に基づいた指導をしていたように思います。しかし、最近は動物行動学が発展した結果、多くの科学的研究によってこの考え方は否定されつつあるのです。
James O’Heareという動物行動学者は、そもそも「犬は群れをなす動物(pack animal)ではない」と言います。確かに、オオカミは支配・服従関係の下に「群れ(pack)」の安寧を保ちます。しかし、犬には狼ほどの支配性はなく、彼らが形成するのは「集団(group)」であると表現され、現在ではその特性が区別されるようになってきました。 「群れ(pack)」には支配と服従、序列、ルールがありますが、「集団(group)」にあるのは帰属による安心感や互いの信頼関係です。
この観点から考えると、パックリーダー論で用いられる支配的なしつけ方法は、犬との信頼関係を壊し、安心感を奪う行為であると言うことができます。その結果、ナーバスになった犬が問題行動を加速させるというケースも見受けられます。 支配と服従の関係を印象づけようとして、逆に犬を攻撃的にしてしまっているという悲惨な結果です。 さて、ここで一つ考えてみたいことがあります。ユーザーのために働く盲導犬は服従しているから働くのでしょうか? 犬は服従しているから従順になるのでしょうか?
相棒として心から愛することが大切
盲導犬もその他家庭犬も、すべての犬は相棒である我々が心から愛し、私たちが彼らにとっての喜びを提供するから、心穏やかに使命を果たしたり、傍らでくつろぎ休むのではないかと思います。 理想論のようにも聞こえるかもしれませんが、「犬に恐怖や不安を与えるのではなく、ポジティブな感情を引き出すことで安心感や信頼関係を醸成していこう」という考え方は、最新の理論と照らし合わせてみても、理に適っています。 相棒である彼らとうまくやって行くために必要なことはずばり、自分がされたらいやだなと思うことをしないことです。 最初の土台となるところでがっちり彼らの信頼を得ることができれば大きな問題に発展することはありません。 信頼関係は服従では得られません。だから引っくり返してみたり痛みを与えたり大きな声で怒鳴ったり、そういった選択をしないようにしましょう。
また、それでもお悩みが絶えないという方は、是非「チャーリーオンラインドッグスクール」を覗いてみて下さい。こちらでは、個別の状況に応じた質疑応答コンテンツやおすすめ本の紹介などもしています。 それでは皆様。より楽しいドッグライフをお送りください!