今年2月に行われた「DMMオンラインサロンAWARD2017」で、オンラインサロン新人賞を受賞した『ケント白石の科学的写真術講座 – 世界に発信しよう』のオーナーであるケント白石さんは、その副賞としてDMM創業者の亀山会長と対談できる”亀トーク権”を獲得されました。
今回はサロンメンバーを集めて開催された、亀山会長との対談をご紹介します。
北海道札幌市出身。現在は北海道美瑛町に在住。2011年米国National Geographic社主催で実施されるWeb上の国際フォトコンテストに日本人として初めて入賞。また翌年同じく日本人として初めて米国アップル社の広告に大きく採用され5年間の独占契約を結ぶ。主力販売機種であるiPhone、MacBook Proはもちろん、iPadやiPodなどすべての機種の壁紙になる。さらに昨年、新たに3年間の延長契約を結び8年間と言う異例の長期契約となる。またその結果、美瑛町にある「青い池」は世界的に有名になり、町の観光客数の増加に大きく貢献。さらに冬に凍る「青い池」を2014年12月より冬期間ライトアップするプロデュースを手掛ける。
お酒を片手にアットホームな雰囲気の中、対談が始まりました。対談の後半ではサロンメンバーからの質問も受けるとのことで、皆さん熱心に耳を傾けていました。
本物のアーティストは稼げる人
ケント白石:亀トーク権でやっと亀山会長にお会いできました。早速ですが僕達同い年ということで、お酒を飲みつつお話できたらな…と。
亀山会長:俺のことを知らない人もいると思うので、まずは自己紹介から。DMM.com会長の亀山です。いろんな事業に手を出していることは皆さん知っているかと…(笑)。いろいろやっているけど、何かが特にうまいわけではなくて、強いて言うなら儲けることが好きです。そんな人間です。
ケント白石:写真の世界では、儲けようと思って写真をされている方は少ないかもしれません。また儲けようと思っていても稼ぐことが苦手な方が多い印象があります。写真で儲けるためには、若くて、色々なところに足を運んで撮影できる人じゃないと難しいんですよね。僕は50歳を過ぎてからプロになったので、体力がなく、あっちこっちと撮影のために周りたくなかったんですよね。そこで、どうすれば写真で食べていけるかを考えましたね。
亀山会長:日本は写真やコンテンツに予算がつきにくい印象があるね。でも、インターネットが出来てそれこそ海外にも売れるようになったのでは?
ケント白石:海外へ発信する足掛かりはできるようになりましたね。インターネットのおかげで、写真ビジネスのあり方は大きく変わったと思います。僕もインターネットやパソコンを触れなかったら、Apple社とも契約できなかったでしょうから。
亀山会長:若い頃からパソコンは触っていたの?
ケント白石:40歳を過ぎてからパソコンを使うようになりました。当初Macは高くて買えませんでしたが(笑)。
亀山会長:今年でDMM.comは20周年なんだけど、俺も最初はパソコンを使えなくて、40歳近くになってから触ったね。きっかけは”堀江貴文と仕事する”となった時に、「電話じゃなくてメールでやり取りしたい」って言われたから。それから北斗の拳のタイピングソフトを買って、ブラインドタッチを必死に覚えたよ(笑)。
ケント白石:僕、堀江さんの本が好きで結構読みますが、「遊びを仕事にしなきゃ」って言ってますよね。会長にとって遊びや好きなことって何ですか?
亀山会長:小さい頃からお金儲けが好きなんだよね。実家がお店をやっていたんだけど、俺が呼び込みをするとお客さんが来たんだよね。それが嬉しくて。他に趣味もやりたいこともないから、仕事でお金儲けしたいって感じかな。今日来ているみんなは写真は好き?儲からなくても写真を撮れればいい?
ケント白石:「アートは儲からなくても、好きでやっているからいい!」という人もいますが、本物を目指すのであれば話は別で、僕は”本物のアーティストは稼げる人”だと思っています。自分にとって最高だと思った写真も、買う人がいなければ意味がないんですよ。だからこそ、写真家には顧客が求めるものを考え、”稼ぐ”ということを常々意識してほしいです。
そのために僕は講座で、写真技術の伝授はもちろんですが、どうすれば売れるのかというビジネス論も教えていたりもします。
技術の進歩により写真・絵画・デザインの境界線が曖昧に
亀山会長:昔と今を比べると写真界で何か変わったことはある?
ケント白石:やはりパソコンのおかげで、昔はできなかったことが沢山できるようになりましたね。色味や光の入り方の調整を始めとした編集技術が進化しましたから、写真・絵画・デザインの境界線が曖昧になってきている感じがしますね。
亀山会長:いろんなソフトがあるもんね。
ケント白石:写真をいじることを良くないと思う人もいますけど、それだと見たままを写す”報道写真”になってしまいます。写真って、日本語で書くと”真実を写す”と書きますが、稼ぎたいと思っているなら、その稼ぎたいという真実さえも写真に投影して、加工したらいいんじゃないかなって。
亀山会長:なるほどね。今は昔と違って個人が発信できる時代だから、ただ真実を写すだけじゃなく、個人が持つ撮影と編集技術の向上も大切だね。企業のフィルターがかからなくなって、個人に目を向けられる時代になったから、企業としての作品を出すよりも、発信を続けていた個人がひょんなところからヒットする可能性も大いにあるからね。
ケント白石:発信の媒体も時代とともに変わりましたよね。
亀山会長:昔、メディアは新聞からラジオ、ラジオからテレビとコンテンツを移すことができたけど、テレビからインターネットとなるとコンテンツの乗り換えは難しかった。その理由として、新聞・ラジオ・テレビは一方的にコンテンツを伝えるだけだったけど、インターネットでは、個人がYouTubeやブログでコンテンツを自由に作れるようになって、双方向でやりとりができるようになったことが大きいよね。
ケント白石:なるほど!いろんなことに挑戦している会長は頭が柔らかいですよね。
亀山会長:最近はブロックチェーンにAIに…新しいことが多くて、ついていけないことが増えたよ(笑)。もう、57歳だしね。だから自分が考えるのではなく、会社のみんなに考えてもらってそこに予算を出せるか判断するようになったね。
サロンメンバーからの質問にお答え
亀山会長:これまでざっくばらんに話しちゃったけど、サロンメンバーさんから質問はありますか?
サロンメンバーA:もし会長が写真とビジネスを絡めるのであれば、どんなビジネスをしますか?
亀山会長:写真に関するプラットフォームを作るかな。やはりDMM.comはコンテンツ作りというよりも、流通や配信をやっている会社なので。
日本から世界に発信できるコンテンツ作りは難しいと思っているから、コンテンツで勝負するよりもInstagramのようなプラットフォームを作ったら、どの国でも売れるなと。
サロンメンバーB:技術の進歩によって、昔より写真や映像の画質がどんどんリアルに近づいてきましたが、これはポジティブに捉えてよいものなのでしょうか?危惧していることなど何か知見があれば教えてほしいです。
ケント白石:科学の進歩は止まらないから、よりリアルに近づいていくことは仕方のないことだと思います。レコードがCDへ変わったように。流れに逆らうのではなく、一緒に流れる必要がありますね。そういう意味では、今カメラの世界というのは大革命の時代なんですよ。世界のカメラの市場は日本製のカメラが強いですが、今はどんどん進化してるから歴史上で、最もすごい勝負をしてる真っ最中なんですよね。解像度が4Kから8Kへと変わっているのがまさにその象徴です。だからリアルに近づくことは避けることができないんですよね。亀山さんは8Kへ移り変わっていくことは、ビジネスにどんな変化をもたらすと思いますか?
亀山会長:例えば、今はVRで4Kを扱ってもリアルとは少し遠い…迫ってくる時に圧迫感があるというか。でもそれが8Kになると、よりリアリティが出るようになってくる。その結果、実際は映像なのに目の前に実物があるかのような演出ができて、リアルとバーチャルの境目がなくなる。そこに新しい価値が生まれる可能性はあるね。
ケント白石:僕は北海道にある美瑛町の青い池をコンテンツにしたくて、立ち枯れの木にライトを当てて、オブジェとして表現する『ライトアッププロジェクト』を始めました。国内だけでなく海外からも人気で、最終的に12万人をこの地に呼んだんですが、アンケートを取ってみると晴れた日より吹雪の日が圧倒的に人気なんですよね。雪が降らない国の人に特に人気でした。8Kの映像をモニターで流せば、母国では体験できない情景を、母国にいながらでも、よりリアルに感じることができるようになるかもしれませんね。
サロンメンバーC:ケントさんの講座で年に1度、受講生の作品を評価して、個展を開いていますが、海外でも日本人がギャラリーで個展を気軽に開けたらよいなと思っています。DMM.comで、そういったビジネスを展開してもらえませんか?
亀山会長:”インターネット上で写真素材を売る”ではダメなの?
ケント白石:もちろんネット上で売ることも1つの手段ですが、写真の販売経路は少し変わっていて、インターネット上で売られる素材よりも、写真を1枚だけ印刷して、ギャラリーに飾ってある方が、富裕層が価値を見出してくれるんです。
亀山会長:1点ものの絵画のようなイメージ?あえて時代に逆行しているように感じるけど…。
ケント白石:ハワイにあるギャラリーは、大きなデジタルモニターに作品を流して、印刷枚数も1枚というように販売数を決めて、購入者だけの写真として販売するんですよね。その方法で、風景写真の巨匠、ピーターリックさんの作品「Phantom」は約8億円の価値がついたんですよ。
亀山会長:それはすごいね。写真はコピーできるイメージだったけど、コピーをしない。できることをしない、というところに価値を見出しているんだね。俺にとって、アートは少し謎な世界だから勉強になる。ギャラリーに行く人達は富裕層が多いだろうから、そこでコミュニティを形成する目的もあるのかな?そういったところも含めて面白い世界だなと。先端に行きながら、少し前に戻ったところに価値を感じたりと。人間は不思議な生き物だね。
価値がないと思っていたものに評価がついたり、ビジネスになったりと可能性は様々だね。アートとビジネスの狭間をお互い、頑張りましょう!
サロンメンバーの皆さんもなかなか見ることができない対談ということもあり楽しかったー!嬉しかったー!と満足した様子でした。今回の対談のように、普段で中々味わうことができない、”特別な体験”ができることがオンラインサロンの魅力です。あなたもぜひ入会してみてはいかがでしょうか?