
フルマラソン=42.195kmを超える距離を走る「ウルトラマラソン」。
舗装路(ロード)ではなく、林道や山道など未舗装路を走る「トレイルランニング」。
走るのが苦手という人にとっては、途方もない長距離を走るのが好きだと語るのが、YouTuberウルトラランナーのみゃこさんです。みゃこさんはオンラインサロン「みゃこん部 ランニングサロン」を通じて、長い距離を走る楽しさを多くの人に伝え続けています。
なぜみゃこさんは、ウルトラマラソンやトレイルランニングに魅入られたのでしょうか?
そしてDMMにも「ウルトラマラソン」経験者という稀な人物が!今回は長距離ランナーであるDMMスタッフ・澤道人さんと、経験者同士だからこそわかる、走る楽しさ・面白さを対談でたっぷりお聞きしました。
山道を70km走破!?想像を絶するウルトラマラソンの全容
ーー2人は普段、どのようなレースに参加しているのですか?
みゃこ
私はウルトラマラソンが好きで、特にメジャーな距離である「100km」を走るレースによく出場しています。もともと走ることが好きだったんですが、大学卒業の記念としてレースに参加したことがきっかけで、どんどんハマっていきました。
ウルトラマラソンって、若い世代の選手がすごく少ないんです。特に20代の場合、出場するだけで年代別の優勝・入賞が確実という場合もあります。
これだけ楽しいウルトラマラソンに、もっと多くの若い人たちが参加してくれたら嬉しいなと思って、YouTubeでの発信やオンラインサロンの運営を始めました。
ーーちなみに、過去に出場したレースで一番きつかったものは何ですか?
みゃこ
日本山岳耐久レース、通称「ハセツネ(長谷川恒男)カップ」というトレイルランニングのレースかな。東京の山岳地帯を約70km走るレースなんですが、途中にエイドステーション(休憩所)がひとつしかないんです。
そこでは、1.5リットルの水をもらえるだけ。あとの食料や水分はすべて自分で用意して、荷物を背負ったまま過酷なコースを走らなければいけません。
レースはお昼すぎにスタートします。早い選手でも8〜9時間はかかるので、深夜もずっと走り続けることになるんです。一応、「24時間以内にゴール」という時間制限が設けられているので、歩いてゴールすることもできますが。
ーー「歩けるなら参加してもいいかな」とはまったく思えないほど大変なレースだ⋯⋯。澤さんはいかがですか?
澤
僕はロードのウルトラマラソンによく出ていましたが、最近ではトレイルランニングのレースが中心です。いわゆる100km、100マイル(約160km)の距離を走る「ウルトラトレイル」にもよく出ていますね。
特に、有限会社パワースポーツが主催している「OSJトレイルランニングシリーズ」という、比較的ハードなコースを走るレースによく出場しています。去年・一昨年は一部のレースで優勝することもできました。
みゃこ
澤さん、実は界隈でもちょっとした有名人なんです。トレイルランニングの経験者が澤さんの戦績を見ると、「え、このレース走破しているの?しかも優勝しているの!?」となります。
限界を乗り越えた先に見えるもの。ウルトラマラソンの醍醐味
ーー私は走るのが得意ではないので、2人の語るレースの長さにずっと驚かされっぱなしです⋯⋯。そもそも、なぜみゃこさんと澤さんはウルトラマラソンにハマっていったんですか?
みゃこ
私はマラソンをしていた父の影響で、小学生のころから走ることが好きでした。高校時代も陸上部だったんですが、中国の大学に進学したとき、現地の空気が悪くて外での運動が禁止されてしまったんです。
卒業して帰国するタイミングで面白いことをしたいなと思ったとき、地元の近くで100kmを走るレースがあることを知りました。走ることができなかった私は、「大学時代の辛さと比べればなんてことない!!」と、レースに申し込んじゃったんですよね(笑)。
ーーそんな1回目のウルトラマラソンで、その魅力にハマってしまったと。
みゃこ
はい。参加して一番驚いたことは、ウルトラマラソンの雰囲気のよさでした。これまでの陸上競技は、それこそ1分1秒を削るために全力を出していたんです。
でもウルトラマラソンって、スタートの合図が鳴っても「あ、鳴ったね!」ってすごくゆるくて(笑)。レース中も、足が痛くてさすっていると「こういうドリンクを飲んだらいいよ」「靴を脱いでいったんマッサージしたほうがいいよ」と皆さんアドバイスをくれるんです。
競い合うというよりも、みんなで一緒にゴールを目指す、旅を楽しむような感覚でした。その雰囲気がすごく好きで、すぐハマっちゃったんですよね。
澤
トップ争いをするような集団も、お互いの苦しみがわかるので「頑張ろう!」と声をかけ合うシーンが多いんです。
みゃこ:
そうそう。レースに出ているというだけで、周りの人と仲良くなれちゃうんですよね。
ーーこれから100kmを走るという「仲間」に近い意識なんですね。澤さんのきっかけも教えてください。
澤
僕は中高と陸上とは縁がなかったんですが、30代になって仲の良い友人がダイエットのために走り始めたのをきっかけに、一緒にランニングを始めたんです。そこからハーフマラソンに出たりするうち、気づいたらどんどんディープな世界に入り込んでいきました。
トレイルランニングを始めたのは、登山が好きなのとロードよりも格好がかっこいいと思ったからです(笑)。はじめてトレイルランニングのレースに出場したのは2014年頃だったかな。苦しかったけれど、すごく爽快で楽しかったのを覚えています。
ーーなるほどなあ。2人にとって、ウルトラマラソンの醍醐味はどこにあるんですか?
みゃこ
私はやっぱり、周りの人と話したり仲良くなれたりすることですかね。あとエイドステーションではおいしい手料理を振る舞ってくれるレースもあるので、それも楽しみのひとつだったりします。
澤
トレイルランニングは山からの景色も楽しいですよね。
みゃこ
それに、大変なレースを走ることで普段とは違う自分に出会えるのも面白いんですよね。
レース中はただ楽しいだけじゃなくて、「なんでレースに参加しちゃったんだろう」と後悔や怒りを覚えたりします。日常では味わえないそうした喜怒哀楽を経験できるんです。
澤
わかります。特にゴールした瞬間は、普段ローテンションな僕からは考えられないくらい気持ちが高ぶります。
みゃこ
あと、100マイルともなると30時間以上走ったりするので、レース中に幻覚が見えることがあります。
ーーえ、幻覚⋯⋯?
みゃこ
木の向こうからおばあちゃんが見えるとか、存在しないはずの自動販売機で水を買おうとするとか。
澤
石が人の顔に見えるとかもありますよね。
みゃこ
自分の限界を乗り越えたひとつの証拠みたいなものですよね。「今日は幻覚見られるかな」って思いながら走るのも楽しいんです。
ーー限界を超えた先にだけ見える世界か⋯⋯。味わいたい気持ちもありつつ、怖い気持ちもありますね(笑)。
たくさんの経験と仲間とのつながりを得られる場所
ーーみゃこさんはなぜ、オンラインサロンを立ち上げたんですか?
みゃこ
もともと「みゃこん部」というのは、私のYouTubeなどを見てくれていた人が、自発的に名乗っていたファンネームだったんです。全国にいるみゃこん部のみんなが、交流できる場所があればいいのになというのが最初のきっかけでした。
私とランニングという共通の話題で集まって、つながりが生まれていく。そうやって、走ることを楽しむ人々の輪を広げるために、オンラインサロンを始めることにしたんです。
ーー素敵なきっかけですね。サロン内ではどのような活動をしていますか?
みゃこ
いろいろありますが、特に人気なのはメンバーで何かにチャレンジするという企画です。
経験者と一緒に、ウルトラマラソンやトレイルランニングのレースに出場するとか、横浜で15kmくらいの距離を一緒に走ろうとか。特にトレイルランニングの場合、現地に一泊して出場する場合もあるので、最後は温泉にゆっくり浸かるといった楽しみもあります。
こういうイベントを不定期で開催してるんですが、結構参加率は高いです。皆さんも、サロンのメンバー同士ということですぐに仲良くなれちゃいます。
ーー初めてレースに出る人にとっても、みゃこさんや経験者の方々と一緒にレースに参加できるとなれば、ハードルがぐっと下がりますね。
みゃこ
それと、私はよくマラソン大会のゲストに呼んでいただくことがあるんですが、そこでサロンメンバーさん限定でペーサーをやってもらうことがあります。
ーーペーサー?
みゃこ
レースが設定した目標タイムのペースで走って、参加者さんの完走や目標達成をサポートする人です。
市民ランナーの場合、ペーサーをする機会はなかなかありません。私がそうした場を提供することで、ランニングとの関わり方の幅を広げてほしいなと考えたんです。
澤
すごくいい活動ですね。僕もペーサーの経験はありません。実際にペーサーをすることで、新しい視点が得られると思います。
ーーさまざまな企画を通じて、走る楽しさを伝えているのですね。オンラインサロンにはどのような人が多いですか?
みゃこ
20代は女性、30代は男性が多い印象です。60歳以上のメンバーさんもいて、元気にウルトラマラソンを走っています。
優しい人ばかりで、サロン内の雰囲気はとても穏やかだと思います。私自身、記録を追い求めることをオンラインサロンではうたっていません。走るのを楽しみつつ、ついでに美味しいものを食べたり温泉に入ったりを堪能しよう。そういうメッセージに共感してくれる人が多いと思います。
まだまだ走り始めたばかりのメンバーさんも多いんですが、ゆるゆると楽しんでいるうちに、気づいたらウルトラマラソンを走っている人もいます。2年前、ようやく皇居2周(約10km)できました!と喜んでいた人も、今では100kmを走るようになっちゃいました(笑)。
ーー2年で10倍走れるようになったんですか。すごいな⋯⋯。
みゃこ
むしろ、のめり込みすぎてどんどん走ろうとする人もいるので、積極的にケアの方法や休むことの大切さを伝えるようにしています。
「走る+好きなこと」の組み合わせでランニングを楽しもう
ーーみゃこさんは、どんな人に「みゃこん部 ランニングサロン」に参加してほしいですか?
みゃこ
走ることが好きな人はもちろん、走る=きつい・楽しくないという人にも、ぜひ入ってほしいなと思っています。
走ることは大半の人ができる一方、新年の目標に「今年こそランニングを始めたい」と意気込みすぎて挫折してしまう人がたくさんいます。そんな人に、私は「走る+自分のすきなものを組み合わせましょう」と伝えているんです。
ーー自分のすきなものを組み合わせるとは?
みゃこ
例えば、私はパンがすごく好きで、ランニングとパン屋めぐりを組み合わせた「パンラン」をよくやっています。ちょっと遠いパン屋さんをゴールにして、パンを買って近くの公園で食べて、また次のパン屋さんへ行くみたいな。
銭湯やサウナ、ビールをゴールにしてもいいですよね。学生時代の持久走みたいに考えず、走ることに楽しみをプラスする。そんな楽しみ方を、オンラインサロンではぜひ伝えていきたいです。
ーーそうやって、カジュアルに走ることの楽しさに気づければ、ランニングをもっと楽しめるかも知れませんね。最後に、今後「みゃこん部 ランニング」サロンでやっていきたいことがあれば教えてください。
みゃこ
私はウルトラマラソンが一番好きなので、もっともっとウルトラマラソンを楽しんでくれる人を増やしていきたいです。オンラインサロンを続けるうちに、走る楽しさを周りに伝える人がどんどん増えていったら、すごく嬉しいです。
ーーこの場所から、ランニングの輪が広がっていくといいですね。
澤
オンラインサロンのオーナーとして、みゃこさんがたくさんのメンバーさんを集めて、これからどんな活動をしていくのかすごく楽しみです。同時に、選手としてのみゃこさんの活躍も楽しみにしています。これから頑張ってください。
みゃこ
ありがとうございます!
100km、100マイル、山道を走ると聞いても、未経験の人にとっては途方もない世界に感じられると思います。しかし、みゃこさんや澤さんの話を聞いて、「いつかはこの世界を味わってみたい」という気持ちにさせられてしまいました。
健康やダイエット、あるいは仲間づくりの一環として、今年こそマラソンを楽しめるようになりたい!そう思っている人は、素敵なメンバーが集まる「みゃこん部 ランニングサロン」でその目標を達成してみませんか?