複業(パラレルキャリア)は手段の1つ
会社から独立してフリーランスになることに、どんな印象をお持ちでしょうか?
自由な生活が得られるメリットもあれば、不安定な収入や新しい仕事を見つける苦労などのデメリットが気になる方もいると思います。
独立してから7年目の僕自身も、はじめは希望もあれば不安もあったし、やってみたらうまくいったことも失敗したこともあったのが正直なところ。
だからこそ、会社員やフリーランスというのは、良し悪しで語るものではなく、あくまで自分に向いている働き方かどうかを知ることが大事であり、幸せになる手段の1つとして考えれば、どちらでも正解にできると思います(他にも起業や専業主婦・主夫、ボランティアなど選択肢はいくらでもあり二者択一ではありません)。
そして、今回のメインテーマである、複業(パラレルキャリア)も、自分にあった働き方を知る最適な方法の1つです。日本全体で「働き方改革」に取り組んでいる今、とても注目されているキーワードですが、複業をすること自体を目的にするのではなく、働き方の可能性を広げる手段と捉えれば、取り組む意義はとても大きいのではないでしょうか。
僕自身、今までいろいろな働き方の実験をしながら幸せなフリーランス&起業家ライフを送っているので、今回は実際の事例とともに複業の可能性を探ってみました。
働き方の”実験”に失敗して得た気づき
僕が会社員を辞めて独立したのは2010年。まだFacebookやTwitterをやっている人が少ない時代で、スマホやタブレットなどのデバイスを持っている人も少数派。そのため、現在の働く環境と同じ土俵では語れませんが、その頃から複業に取り組んでいました。
いわゆるライスワークとライフワークに分けて活動し、前者は食べるため、後者は好きなこと、社会の役に立つことなどです。
僕の場合、文章を書くライターの経験があったので受託で仕事を請けながら、自ら企画したWebサービスを作り、一般企業にも籍を置き、NPOの活動にも参加していました。つまり4つの肩書き(名刺)を持って活動していたのです。
結論を言うと、この時の4つはバランスを取るのが難しく、スキル不足や時間不足で成果も伸び悩んでいました。その反面、自分の人生なんだから働き方の実験はいくらでもしていいという楽観的なところもあり、この時の実験は失敗のようで学びも多くありました。
例えば、1つの仕事や職場だけでは出会えなかった人と出会えたこと、自分の得意な仕事と苦手な仕事が明確になったこと、時間の使い方を工夫するようになったこと、働く場所への考え方に新しい知見を得たことなどです。
複業のメリットの1つは、このように本業だけでは得られない新たな体験をすることにもありますし、本業と他の仕事を掛け合わせて相乗効果を生み出すことも可能です。
単純に収入を上げることを目的にする方も多い(むしろ、それが大多数)かもしれませんが、それも間違いではありません。キャリアのリスクヘッジにもなりますし、収入に余裕ができれば新たな挑戦もしやすくなります。
ただ、お金だけなら本業だけに注力して成果を出すことも収入をあげる手段の1つになるので、それだけではない複業の価値を僕はその時に感じました。
そして現在は、ライターカンパニー「合同会社スゴモン」代表として、ライティング分野に注力したのち、また複業スタイルに戻り、フリーランスのライフスタイルを良くするメディア「SoloPro」編集長、、受託でライターやディレクター、カメラマンもしたり、フリーランス向けの「働き方デザインコーチング」、健康と仕事のDMMオンラインサロン「FreeRun`s」の主宰者などいろいろな顔を持っています。
また、補足すると、月の半分は旅をするように暮らし(自転車で47都道府県を走破したり、国内外を取材しながら回る)、年に何回かトライアスロンの大会に参加したり、結婚もして家庭生活も大切にしています。
なぜ、このような働き方・生き方ができるようになったかというと、体力があるからではありません(笑)。お金を得る手段としてだけではなく、働き方の工夫を取り入れながら、自分に向いていること=熱中できることに注力した結果、その掛け合わせが複業スタイルになったのです。
『多動力』に複業のヒントがある!?
最近話題の書籍、ホリエモンの『多動力』では以下のような一文があります。
あらゆる産業のタテの壁が溶けていく、かつてない時代に求められるのは、各業界を軽やかに越えていく「越境者」だ。そして、「越境者」に最も必要な能力が、次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる「多動力」なのだ。
出典: 『多動力』堀江貴文(幻冬舎)
「多動力」の源泉は好奇心と集中力だ。この2つを身に付けるには「ハマって飽きる」をひたすら繰り返すことが重要だ。
出典: 『多動力』堀江貴文(幻冬舎)
まさに、この『多動力』に複業のヒントもたくさんあると思っていて、好きでもないことをたくさんやるのではなく、好きなことや得意なことを活力源として行動したことを掛け合わせることによって、自分のキャパをどんどん広げていける。それが、”あらゆる産業のタテの壁が溶けていく”と言われている今の時代に合った働き方の1つではないでしょうか。
今、「好きなこと」が見つかっていない人も多いと思いますが、複業は好きを見つける”実験”だと思えば、心理的なハードルを少し下げながらいろいろな挑戦ができるかもしれません。
最終的に、幸せを感じられる働き方ができるようになれば、そこに至る過程は全て良い実験になります。
誰もが、自分の人生のプロである
僕が編集長を務める「SoloPro」というメディアは、ソロ(個人)のプロフェッショナルを短くした造語です。
では、どういう人がプロフェッショナルなんでしょうか? 仕事ができるとか、わかりやすい成功を手に入れている人だけがプロではないと僕は思っていて、熱中できることに取り組んでいる人や、本当の自分でいられる時間や場所や家族を大切にしている人、究極的には「今」幸せを感じている人はみんな自分自身のプロなのかなとも思っています。
そういった人が、これからの時代を生きるヒントになると考えはじめたメディアなので、”複業(パラレルキャリア)”をしていた方や、今も複業に取り組んでいる方にたくさんお会いしてきました。
例えば、”走る”フリーライターとして活躍している三河さんは、自らも会社を運営し、中学陸上部コーチや3児のパパとしての顔もあり、SoloProでも記事を書いています。
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会社員を辞めたタイミングで沖縄に移住し会社を立ち上げた金城さんは、ブロガーでもあり、本も出版し、「チャットボット」というコミュニケーションを自動化するプログラムをエンジニアと一緒に開発したりと、住む場所にとらわれず挑戦の幅を広げています。
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ニュージランドの湖畔の森で自給自足ベースの森の生活を営む角大輔さんは、執筆家・アーティストインキュベーターという顔や、年の半分近くは世界中で移動生活を送りながら仕事もしている「モバイルボヘミアン」としても活動しています。
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誰がすごといか、成功したか、といった勝った負けたの世界ではなく、自然体に生きることで自ずと複業的なスタイルになった方が多いというのが、個人的な印象です。
冒頭で、複業をすることが目的ではなく手段と言ったのも、そのためです。
最後に……
今後、フリーランスという働き方や複業・副業がブームのように増えていくのではと思っています。同時に、競争が激化したり、自分には向いていないと諦める人も増えるはずです。
その際、僕らに必要なキーワードの1つに「コミュニティ」があると思います。ソーシャルメディアやLINEなど、インターネット上で簡単に繋がられる時代ですが、同時にリアルの場での関係が薄くなったり、ネット疲れなんて言葉も出てきている中で、自分にあった場をオンライン・オフライン問わず作り、そこで働き方や生き方のヒント、信頼できる仲間を見つけることで、自分らしさを取り戻せるのではないでしょうか。
僕も「フリーランス、働き方、健康(心と身体の健康は、何をするにも必要。複業するなら特に!)」をキーワードに「FreeRun`s」というサロンを立ち上げました。運動や栄養の情報を発信したり、働き方のヒントを共有したり、時にはリアルイベントを企画し走ったり泳いだり、今後は勉強会なども開催する予定です。
もし、興味があれば会社員やフリーランスは問わないので、いつもの仕事場とは別のコミュニティに関わり活動することも、複業と同じく、これからの時代を幸せに生きるヒントが見つかるかもしれませんよ。