ITスタートアップで世界を変える。起業家:池森裕毅に聞くビジネスの哲学

著者名山岡ソースケ・リホ
ITスタートアップで世界を変える。起業家:池森裕毅に聞くビジネスの哲学

ITスタートアップで起業したい。しかし、様々なサービスが溢れかえる現代、どのようにしてビジネスのアイディアを見つければいいか分からないという方は多いのではないでしょうか。

そのような悩みに答えてくれるのが、起業家の池森裕毅さんです。オンラインサロン「IT Startup community」では、起業に必要なノウハウやマインド、最新のITスタートアップに関する情報を発信。起業だけでなく、新規事業の立ち上げにも役立つノウハウが凝縮されています。

今回は池森さんに、起業家に必要なマインドやITスタートアップで狙うべきマーケットについて特別にお話を伺いました。

3つのITスタートアップ企業を立ち上げて

―池森さんのこれまでの経歴を教えてください。

高校卒業後に東京理科大学に進学したものの、デザインに興味があったので3年で中退。デザインの学校に入り直した後に、Webデザイナーとして就職しました。しかし、入社後9か月で起業のネタを思いついたのですぐに退職してしまいました。

その時の起業のアイディアを基にして2005年に立ち上げたのが、オークションRMT(※編集部注:リアルマネートレーディング。ゲーム内のコンテンツを現実世界の通貨で売買する行為)の株式会社ポケットです。私は2000年頃にアメリカで流行していたオンラインゲームにハマっていて、これを使ったビジネスができるはずと思ったことがきっかけでした。最初の2年程でシステムを作り上げ、その後は自走モデルで利益が出る仕組みにしました。

次に立ち上げたのが、ソーシャル婚活サイトを運営する株式会社フリッグ。前回は自分のやり方で起業したので、このままでは伸び悩むだろうと考え、この時は起業支援メンターの指導を受けたのですが、当時その方とは衝突ばかりでした。SNSや最新技術の使い方でそりが合わなかったのですが、今となっては「あの人が言っていたのはこういうことだったのか!」と日々気づかされています。ビジネスのコアというのは普遍的なもので、いつの時代も変わりません。メンターは、起業家にとって大切なことを教えてくれていたんですね。

そして2017年、株式会社Lanteを共同創業しました。後にLanteの代表になる方から、起業を考えているが、立ち上げまでの自信がないから手を貸してほしいと相談があったんです。社会的、精神的に苦しんでいる人と、特殊な経験をして苦労を乗り越えてきたメンターを結びつけるというビジョンに共感したので、一緒にサービスを形作っていきました。

 

―なぜ起業家になったのですか?

元々父が起業家だったことは大きいと思います。父は、70代の今でも現役で世界中を飛び回っていますよ。機械の貿易会社をやっており、ITとは異なる分野なのですが、「目の付け所や起業の考え方は一緒だね」とこの間も笑いながら話しました。

これからのITスタートアップが狙うべきマーケットとは

―ITスタートアップは今、飽和状態になっている気がしますが。

正直、CtoC向けのWebサービスは”ないものがない”状態です。ないサービスがあるとすれば、誰かが先に試してみたけどダメだったなど、ないだけの理由があるんですね。しかし、新しい概念やソリューションが生まれれば、付随して新しいサービスが生まれていくものです。

現在で言えば、ブロックチェーン技術。人類が生み出した最も素晴らしい概念の一つです。10年後には、「2018年は重要なターニングポイントだった」と語られるはずです。スマホの登場以上に大きなインパクトを与えるであろうブロックチェーンを活用したサービスは、これから狙い目だと思います。

 

―その他、ITスタートアップが狙うべきマーケットはありますか?

BtoB向けやコンサバな業界もおすすめですね。農業や酪農、漁業、鞄などです。2016年、IT業界で一番アツかったのは農業でした。アグリテックが流行したのです。

例えば、実際にお米を作った経験がある方は少ないと思うのですが、田んぼでは水門を開けるという業務が毎日あります。農家の方が、この作業に一日何分くらいかけているかご存知でしょうか。

実は、平均して毎日6時間もかけているんですよ。毎日天気を見て、作物の状態を見て、水温や水量、水質をチェックして、どれくらい水を入れるべきか感覚で調整する。そして、次の田んぼへトラクターで移動という作業を繰り返さなければなりません。

でも少し考えてみれば、これはITで解決できる問題なんです。そこに目を付け、AIで日照時間や天気を全て記録して、自動で水門を開閉するサービスを作り、大成功した起業家がいるんです。毎日6時間かけて水門を開ける必要がなくなったら、その時間を使って他のことができる。これはすごいイノベーションですよね。

言われてみると全然難しいことをしている訳ではないのですが、コンサバ業界の知識とIT業界の知識、どちらも知っている人は非常に少ない。だから、まだまだ改善の余地がある業界にいち早く飛び込んだ人が勝てるんです。

―確かに、目から鱗でした。起業家を目指す人は、どのようにビジネスのアイディアを見つけるべきなのでしょうか。

まず、課題を見つけることです。スタートアップは、プロダクトアウトよりもマーケットインの考え方が適しています。しかし、CtoC向けのサービスは課題が解消しつくされてきているので、中々この手法も通じにくくなっています。

そこで大切になるのが、自分の好きなことから始めること。コスプレやサーフィンなど、自分にアドバンテージがあって、ユーザーの気持ちが分かるものからアイディアを探すのがいいと思いますね。

 

―起業で持っておくべき観点はありますか?

ビジネスではスイッチングコストの概念が重要です。サービスを立ち上げたら、必ず競合が出現します。なので、強固なコミュニティを形成して別サービスに乗り換えたくなくなる状況をつくるなど、スイッチングコストは常に高めておくべきですね。

起業家に必要なマインドは、強い意志と人間らしさ

―起業家に必要なマインドを教えてください。

誰にも砕くことができない、光り輝くダイヤモンドのような意志があるか、ですね。起業は辛くて大変なことが大半です。心が折れそうになることが何度もあります。そんな時に、強い意志があるかどうかで乗り越えられるかが決まるのです。

そのサービスを何としてでもやりたいのか。何としてでも社会を変えたいのか。ダイヤモンドのような意志は、起業家にとってなくてはならないものです。

 

―そのようなマインドを持つために、やっておくべき経験はありますか?

月並みで恐縮ですが、苦労はした方がいいと思います。若い頃から苦労している人は、立派になっても驕り高ぶらないんですよ。でも、自分みたいに苦労していない人間は、成功して金を手に入れると金と女に溺れてしまうんです。

私は、25歳で使いきれない程のお金と時間を手に入れました。でも、孤独でした。周りには自分のようにお金と時間がある人がいないんですよ。そこで、孤独をまぎらわすために女の子とデートしたり、ブランド物を買いあさったり、毎日必死で何をして時間をつぶすか考えていました。毎日その繰り返しで、ある時、こんな生活ならもう死んだ方がマシだと思ったんです。そこでふと我に返り、何で死にたいなんて思ったんだろうと自分を見つめ直しました。このままではマズいと思いたった私は、すぐに家を売り払って海外に飛び立ちました。そこで、ようやくまともな人間らしさを取り戻したんです。

今は、生活費をどうしようか悩むくらいお金がないんですけど、人生で一番充実していますね。何が人間にとって幸せなのか、人間の本質が分かりました。

 

―哲学ですね。説得力が違います。

経験したら、きっと分かると思いますよ。

インプットとアウトプットの場になるオンラインサロン

―オンラインサロンではどのような活動をされていますか?

「IT Startup Community」では、起業のノウハウや基礎知識といった、起業家に必要な情報が一通り手に入る環境を整えています。インプットとアウトプットができる場所ですね。起業に関することを常にキュレーションしているので、他の人が運営しているサロンなら自分も入りたいくらいですよ。

オフラインでは、ブレストや交流会を開いています。この間は、サブスクリプションをテーマにしたブレストで白熱しましたね。あとは、普段1時間1万円で実施しているコンサルティングも無料で行っています。起業を目指す人とって、役立つ情報にあふれたサロンだと自信を持っています。

 

ビジネスの話となると、少年のように目を輝かせてイキイキと語る姿が印象的だった池森裕毅さん。起業のノウハウやマインドだけでなく、自身の経験から得た人生哲学まで伺うことができ、筆者も胸が熱くなりました。

オンラインサロン「IT Startup Community」では、ITスタートアップビジネスに関する質の高い情報をインプットできるだけでなく、オンライン・オフラインともにアウトプットの場が設けられています。起業や新規事業の立ち上げを目指している方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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池森裕毅 - IT Startup Community - DMM オンラインサロン起業家や起業を志す人、あるいは新規事業担当者やWEBトレンドを把握したい人向けのサロンです。 起業において必要な知識や新規事業アイデアの考え方、その他スタートアップ界隈の最新情報などを知ることができます。
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