2018年8月に新しく誕生したオンラインサロン「JAPAN7」。こちらは、一流の美容師、そしてサロン経営者として長く活躍を続けるエザキヨシタカさん(grico)と高木裕介さん(U-REALM)のお二人が主宰しています。これまで、美容業界でのセミナー等では、”スタイリストとしての技術”を学ぶことが多かった中、こちらのオンラインサロンは”経営”に特化しているのだとか。今回は、「JAPAN7」設立の背景、お二人が考える経営改善のポイントについて紐解きます。
2009年原宿に「grico」をオープン。業界を代表する美容師として、業界誌・ファッション誌の巻頭・表紙、芸能人やモデル、コレクションのヘアメイク、国内外セミナー講師などで活躍。【書籍】『夢を叶えるエザキ流方程式』。2016年ミルボンジェルクリームTAC開発,2017年Maクリーム開発,2018年ナカノモデニカナチュラル開発
【書籍】『100万レイヤー+60万の仕組み』。U-REALM代表取締役,ユーレルム、LOG 11店舗,2002年~花王ケープ開発,2006年~SMAP専属ヘアメイク,ホーユーアプリエカラー開発,LOGシャンプー開発,西麻布BARカシェットオーナー
これからの美容業界を盛り上げるには、経営力が必要
─ずばり、JAPAN7に入るとどんなことができるようになりますか?
エザキ:経営がうまくなるのと、お店のスタッフ満足度が上がるのと、お金が増えるのと、美容業界からちょっと注目されるのと……あと、モテる。……モテるというのはちょっと違うかもしれませんが(笑)。僕と(高木)裕介さんという、すでに経営者としてうまくいっている2人が、サロンできちんと利益を出していくためのノウハウを提供します。
高木:きれいごと抜きで本当の意味での利益体質になれるように、コンサルに近い形でアドバイスをしていくイメージです。
エザキ:もともと裕介さんは「東京ブレンド」、僕は「マルチバース」という、美容師を盛り上げるための業界横断的な活動をしていたので、それぞれが全国の美容師さんと関わる機会が多くあります。そこでは美容師としてのいろいろな悩みなどを聞くことがあるのですが、技術的なノウハウに関する情報提供はだいぶ伝える機会を増やせたと実感していました。
でも、根本的な美容業界の問題が残っているというか。サロン経営の面では、もっと改善できるはずのことがそのままにされているケースがたくさんあるんです。その実情を変えていかなければ、美容師個人のレベルをどんなにアップさせることができても、業界全体を本当の意味で発展させていくことはできません。そこで、裕介さんと僕が、経営で困っている人たちの相談に乗りながら、仲間として業界を一緒に引っ張れるようなサロンを増やせたらと思っています。
高木:美容業界はだいたい2〜3年のスパンでどんどん変化していくんです。街も流行も移り変わるし、3年あれば高校生は大学生に、大学生は社会人に、社会人は結婚して……など、人間の環境もがらりと変化しますよね。美容師に置き換えてみても、アシスタントはスタイリストになるし、スタイリストは3年経てば独立するかもしれません。その繰り返しを、経営者としてある程度経験しないと見えてこないことが結構あります。
そういった意味では、エザキくんももう10年、僕も14年経営を続けてきているからこそ伝えられることがあるというのも、このオンラインサロンならではの点ですね。
「新しく何をするか」よりも、「今あるムダを潰す」ことが大事
─サロンの月額会費が5万円とDMMオンラインサロンのなかでも高価ですが、いったいどんな相談に乗ってもらえるのでしょう?
エザキ:たとえば、「いつ個人事業から切り替えるのか」「いつ株式会社にするのか」、「結構利益が出ているけど、このまま会社はひとつでいいのか」とか。そういうところをちょっと変えるだけで、何百万って得がでるんです。
あとは、店舗のデザインや内装工事なども工夫次第でかなりコストを抑えられるし、ホームページだって、今は特別な技術がなくても自分たちで作る方法がいくらでもあります。こういったことは、ほかの業界では当たり前のようにやっていることです。だけど、美容業界には昔からのルールを守り続ける体質のようなものがあるから、この“当たり前”をやっていくことが意外と難しいんですよね。
高木:たとえば給料の上げ方でも「何から手を付けていいのかわからない」となってしまうオーナーが結構います。給料が上がることは美容師にとってすごくうれしいことなので、スタッフが辞めない美容室を作り上げるためには給料を適切にアップしていくことはとても大切です。でも、スタッフ全員の給料を一気に上げれば財政を圧迫する可能性もあります。このあたりのバランスの取り方なども、本来はそれほど難しいことじゃないはずなのですが、できない場合が多い。
エザキ:そんなふうに根本的にずれているというか、「知らないからできない」ことを全部矯正して、しっかりと経営ができる状態まで持っていけるようにできたらいいですね。大きく捉えると、経営の骨組み自体がずれてしまっているのを、きちんと整えていこう、ということです。
高木:「もっと成功したい」と思ったとき、まっさきに「新しく何をやれば、今よりも良くなるんだろう」と考えがちなのですが、僕たちからすると着眼点がそもそも違う。まずは「今ある問題点をひとつずつ潰していく」ことが近道だと思っているんです。
エザキ:そうなんですよね。絶対にムダがあるんです。現状を見直してちょっと変えていけば、かなりのお金が動きます。でも、その「ちょっと変える」ことが意外と難しいと思うので、僕たちの視点で見出した改善点を一緒に解決したりするわけです。アドバイスひとつで一気にムダが解消されることを考えると、5万円ってすごく安いはずなんですよね。
高木:サロンの経費として考えると、決して高い金額ではないと思います。
一緒にチームを組むような関係性で
─では、オンラインサロンではどのような形でお二人からアドバイスをもらえるのでしょうか?
高木:基本的には、一方通行で伝えるだけになるような形にはならないようにしようと思っています。僕たちも、サロンのメンバーさんも含めた情報共有の場、という感じで行きたいですね。
エザキ:だから、セミナーのような形で人を集めて、僕たちが前に立ってしゃべって……というのはあまりイメージしていません。代わりにご飯会というか、メンバーの皆さんと”オーナーサミット”を定期的に開催できたらいいなと考えています。情報共有をしたり、みんなで経営の悩みについて話し合ったり。地方の人にも参加してもらえるように、テレビ電話などもつなげたらいいですね。経営の勉強のひとつとして、ゲームのような感覚で美容室を立ち上げるシミュレーションなんかもできたら面白そう。
高木:Facebook上でも悩みを募集して、オープンな形で僕たちがコメントでアドバイスをしたり。ほかの人に相談内容を知られたくない場合もあると思うので、そのときは何か匿名で相談してもらう仕組みを作る。、まずは僕たちに直接メッセージしてもらって、その後匿名で事例紹介として掲載できたらと思います。経営に悩んでいる人は、そもそもどこを改善したらいいのか気づいてないこともあるはずなので、いろいろな人の悩みを見て、聞くことで、「もしかしたら自分もそうかも」と気づける場にもなればと考えています。
エザキ:悩み解決を重ねながら、「これはムダ」「これはやっておいたほうがいい」とある程度ルール化できることは、Facebook上でコンテンツとして情報発信することもできますね。とにかく、これから美容室を運営していく方は入会して損はないです。極端な話、既に経営が崖っぷちの状況の人も、潰れる前に5万円出してみてほしい。一緒にチームを組む感覚で、今よりも経営を良くしていきましょう。そして、美容業界をみんなで盛り上げていければと思います。
エザキさんと高木さんが主宰するオンラインサロン「JAPAN7」は、美容業界での”経営力”に特化したサロンです。安定的な収益拡大やスタッフの満足度向上など、目指すべきところはなんとなくイメージできても、その道のりや具体的なノウハウに悩んでいる……というオーナーさんは少なくないはず。そんな方は、実際に美容業界で長く成功を続けるお二人から、アドバイスをもらってみてはいかがでしょうか。今あるムダをできる限りなくすための近道になるはずです。