珍生物ハンターと防衛のプロが、真剣にゾンビ対策について考えてみた結果

著者名CANARY 編集部
珍生物ハンターと防衛のプロが、真剣にゾンビ対策について考えてみた結果

開放的な気分になる夏だからこそ、危険対策が必要です。では、未知の脅威生物が実際に現れた場合どうすればいいか?今回CANARYでは、様々な生物を捕獲してきた珍生物ハンター・平坂寛さんと、防衛装備関連分野に明るい株式会社HORIZONディフェンスより、調査部・佐藤由里子さん、さらにアドバイザーとして元陸将補・飯島矢素夫さん、元海将補・中村徹さんというプロ4名に、その対策会議を行っていただきました。異色のサロン合同企画、お楽しみ下さい。

 


【株式会社HORIZONディフェンス】

2017年2月設立。防衛省向けに民間企業が持つ商品やサービスの中から、防衛省のニーズに合うものを探し出してつなげる「マッチングサービス」および「コンサルティング」をメイン事業とする企業。同社が運営するオンラインサロン「『防衛サロン』あなたの思いが防衛に届く』では、防衛に関する一般向けイベントの案内や、ニュース配信、専門家を迎えたオフ会の開催など。個人・法人問わず有益な情報を発信中。

【平坂寛】

1985年、長崎県生まれ。「五感を通じて生物を知る」をモットーに、国内外の生物を捕獲する珍生物ハンター/ライター。オンラインサロン『珍生物ハンター平坂寛、世界を喰う!!』では、よりディープな捕獲体験談や、生物を捕獲しに行く際の注意点&コツ&食べ方など幅広く紹介。最近食べて印象に残った生物はバナナナメクジ。


編集部

未知の脅威生物いうと、身近なところで昨年はヒアリが問題視されましたが、我々にとってはこれまで未知であった生物でした。平坂さんは実際にヒアリに刺され、体を張ってその危険性を伝えているわけですが…

平坂寛

危険な生物に触れる前には、ちゃんと準備をしています。セアカゴケグモにわざと刺される記事でも、入念に下調べを行いました。さらに自分の毒への耐性や体質を知った上でやっているので、絶対に真似はしないで欲しいですね(笑)。実は、最初にヒアリに噛まれたときは事故だったんです。アメリカで他の生物を捕獲してるとき、藪の中に巣があるのを気づかず踏み入れ、両足を百箇所以上刺されて…。その時は少しパニックになって、手で振り払っちゃったんですよ

中村徹

普通はそうしますよね

平坂寛

それが悪手で。払った程度では落ちないのと、今度は払ったアリが手に登ってくるんです。現地の人に「どうしたらいい?」と訊いたら、「慌てず木の枝を折って、それでこすぎ落とすように払うんだ」と教えてくれました。僕らにとっては馴染みのない外来生物ですが、現地では日常的なものだったんですね。

ですから、そこに暮らす人の意見を参考にするというのは、とても重要ですよね。日本のオオスズメバチが他国で人を襲った場合、相当なパニックになると思いますが、僕たちはオオスズメバチがどういう環境に生息しているだとか、対処方法をある程度把握しています。それと同じことなんです

飯島矢素夫

外来生物問題は検疫、植物防疫の分野になるわけですが、日本はしっかりしてますよ。現地で洗浄した上で、コンテナに荷物を詰め込む際は、殺虫剤も入れます。”くん蒸”という言葉を使うんですけど、その証明がないと入国できないと思います。

平坂寛

今回のヒアリは、くん蒸ではどうしても届かない部分に入り込んでしまった訳ですね

飯島矢素夫

2018年も環境省が水際対策をしていますが、どうしても完全な防御となると難しいんです

平坂寛

今回の件で一番懸念しているのが、怪しいアリが出たらご一報下さいという注意喚起ですね。エゾアカヤマアリという貴重な在来種とヒアリを誤認するケースもあったようです。対策の目的は僕らの健康被害を防ぐことなんですけど、同等に日本本来の生物や自然を守るという要素も強いわけですから。煽るように報道しすぎて、そういった誤認やパニックを招くのは、よろしくないなと思います。それは今回のテーマ「未知の脅威生物が現れたとき」も同じことが想定されるので、煽るような報道・発信はしないというのは、まず重要かと思います

専門家がまじめに考える!未知の脅威生物・ゾンビ対策

編集部

話題は少し飛躍して、映画やゲームでもよく描かれるゾンビの場合は、対処法はどう変わってくるでしょうか? お手元のゾンビに関する資料を参考にお話しいただけたらと

飯島矢素夫

(資料を見ながら)国防省がゾンビを真剣に考えるとは、アメリカは面白いですね。ところでゾンビさんは歳をとって死ぬんですかね?

編集部が用意したゾンビに関する資料。インターネット上で収集したゾンビに関する情報がまとめられている。

平坂寛

寿命は考えたことは無かったです(笑)

中村徹

映画に出てくるゾンビは、感染しないと”面白くない”といったらおかしいですけど、何かしらで感染し、数を増やしますよね。この資料もそうですけど、その感染経緯を見破れば対策も考えられますが、それもある程度広がらないと認識さえされないと思うんです。わからないうちは拡大していくだけですよね

平坂寛

確かに。それでも例えば、この部屋に人類初のゾンビ発症者が入室してきたら、僕らはどうしたらいいでしょうか?

飯島矢素夫

ゾンビだという兆候があるかないか。我々は”兆候の把握”っていうんですがね。目つきがおかしいとか、言葉が辿々しいだとか。そういった兆候の把握が必要ですね

佐藤由里子

目に見えて怪しい場合もですか?

中村徹

怪しくないという人もいるかもしれませんよ? 近くでゾンビの仮装をしたパーティが開かれていた場合はどうでしょう

佐藤由里子

確かに。その日が偶然ハロウィーンだったら判断に困ります…

平坂寛

よく「何かの撮影でしょ?」みたいに近づいてやられるパターンも映画で見かけますもんね

中村徹

どこで判断する?という問題はありますよね。例えばリトマス試験紙のようなものがあって、反応したら感染がわかるとか。そういったものが開発されていれば、わかりやすいですがね。

だから、最初の対策はかなり難しいと思いますよ、こういう類のモノは。すごく

編集部

国から公式に情報が発表されるくらいに研究が進んだ上で、特性が把握可能となった場合はどうでしょう?

飯島矢素夫

資料を見ても弱点が全く見当たらないんですよ。スーパーマンみたいなゾンビで(笑)。この資料には”コンクリートの壁でも危険である”という記述があるんですが、これはつまり、ゾンビはコンクリートの壁を破れる能力がありますということを言っているんです。それ以上に強い壁ってなかなか考えづらいですよ

平坂寛

“ゾンビにはヘッドショットが有効である”と気軽に書いてくれてますけど(笑)

飯島矢素夫

射撃で頭を撃つというのは、すごく難しいんですよ。狙って撃つのは、相当な技量がないと当たらないと考えていただきたい。武器があっても素人の方には、まず無理でしょうね

映画『シン・ゴジラ』のように冷却は効果的か? 火には弱いか? あるいは空気を遮断すればよいのか? ゾンビの弱点や生態に関する考察はますます白熱し…

飯島矢素夫

うーん、難しい。結局、何に弱いんだろう。美男美女とか?

平坂寛

あははは(笑)。しかし弱点があったとして、その弱点は人間の弱点にもなりそうですね…

飯島矢素夫

そもそもゾンビは何を目的にしているんだろう?

編集部

それこそ死んでいるんだけれど、まだ生きようとしている?

飯島矢素夫

生きようとしているならば、生きる道を与えてあげればいい

平坂寛

あらゆる生物に共通する種の繁栄と維持。もしかしたら人間を滅ぼす!という意志があるとは限らないですよね?

中村徹

ただこの資料を読むに、ゾンビと共生する余地はない気がするんですよ。生存を求めるゾンビと、それに侵食される人間の戦いみたいな局面を想定してるのかなと思います

一度は共存の可能性も見えたが、中村氏の冷静な判断により却下。一般人が戦闘するのもあまりに危険とのこと…

平坂寛

我々は手を出さないほうがいいわけですよね。戦うのでなく、相手の欲を満たしてゾンビに一旦引いてもらう方法はどうでしょう?

飯島矢素夫

満足すれば攻撃してこないだろうという考えだね

平坂寛

生物として考えるときに、何に惹かれ、何を嫌うか。どのような習性・走性をもっているのかというのはとても重要です。ゾンビも基本的には食料、パートナー、あるいは居心地のよい空間を求めているはずで……なんとかして、それを利用できないかと。皆が食べられる大きなサイズの餌があればきっと集中しますよね?

飯島矢素夫

ゾンビホイホイですね

佐藤由里子

4歳児くらいの知能という記述もあるし、可能性はありますね…

避難場所の話題。先の新幹線での殺傷事件にみる、自分だったらどうしたか?という恐怖に立ち向かうための葛藤など。気がつけば会議は予定時間を1時間超

中村徹

しかし、日本中が同時感染するという可能性は低いと思うんです。ある地点から広がるようなイメージがあるから、拡散を止めるには農水省の感染症対策が近いと思う。範囲何メートルを指定するような

平坂寛

国がそういったラインを作り、我々はそこから遠くに避難するというのが現実的でしょうか?

中村徹

そうですね。行政でやっているこういった手法は色々な場面で使えそうな気はしますね。国民もわかりやすいですから、自分の命にかかわる、決断行動する際はなおさらです

平坂寛

大きな視点からの対策はみえてきましたが、個人レベルの話になるとやはり想定と対策が難しいですね

中村徹

でも日本人は危機対策に関する能力は高い気がするんですよ。東日本大震災の時も皆さん冷静で、ご飯を振る舞ったりしながら助け合っていて、かけつけた方が驚いていたくらいですから。モラルも非常に高いので、正しい情報と対処能力が身につけば、きっと大丈夫です

平坂寛

「正しい情報」、大事ですね。僕も個人で情報を発信する立場ですけど、改めて気をつけたいと思いました。うっかりすると外来生物や危険生物の情報って喜ばれてしまうんですよ。でもセンセーショナルな方でなく、より正確にということが大事だと、このゾンビ対策会議を経てより強く思いましたね

BIOHAZARD(R)で恐怖生物と対峙

白熱の対策会議を終えたご両氏。今一番リアルな恐怖生物体験であろうPlayStation 4(R)用ソフトウェア『BIOHAZARD 7 resident evil グロテスク Ver』(株式会社カプコン)をPlaystationVR(R)でプレイしていただきました。こちらのゲームに登場するのは、「何か」に感染し、知能を持ったままに凶暴化した存在…。今回議論されたゾンビよりも、はるかに脅威になりそうです。

果たして、今回の対策会議の成果は出せるのでしょうか…⁉︎


バイオハザード7 レジデント イービル ゴールド エディション グロテスクバージョン 【CEROレーティング「Z」】 - PS4

すべては”恐怖”のために。新生したバイオハザード。

サバイバルホラーに欠かせない4つの要素、「恐怖」、「戦闘」、「探索」、「アイテム管理」。この4つが絶妙に組み合わさることで「バイオハザード」ならではのプレイ体験が生まれる。

新たなエンジン”RE ENGINE”と、新たな視点”アイソレートビュー”により大きな変革を遂げた「7」でもその核に変わりはない。

【パッケージ版】PS4:4,990円+税

【ダウンロード版】PS4/STEAM:4,620円+税、Xbox One:4,680円+税、Windows store:4,630円+税

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平坂寛

このゲームの生物は普通にしゃべるし、道具も使うし。今日の想定とは全く別の存在でしたね(笑)。

編集部

異生物と対峙したときの恐怖感みたいのは体験できましたか?

平坂寛

そうですね。攻撃された時に防御しましたけど、リアル過ぎて実際、腕ボロボロになるだろうな…とか、そういうところまでイメージしちゃって。対策会議の通り、防御でなくまず逃げるに限りますね

中村徹

館の中のちょうど見えない暗さが恐怖感ありました。これまで航空機の操縦訓練や戦術訓練用のシミュレータは経験してきましたが、これは新しい体験ですね…

飯島矢素夫

これはすごい。でも、現実なら余程の必要性がない限り、最初からこういう危険な館には入らないよ(笑)

 

今回、「ゾンビ」という架空の脅威生物をテーマに、その対策会議の様子をお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか。ご協力いただいた4名は、それぞれが第一線で活躍されるプロフェッショナル。「ゾンビなんて」と、真面目に取り合っていただけないかと思いきや、これまでの経験で得た豊富な知識を武器に、とてもリアルで、白熱した議論を展開していただきました。

佐藤さん、中村さん、飯島さんの所属する、株式会社HORIZONディフェンスは、「防衛」をテーマにしたオンラインサロンを運営。一方、平坂さんは、「珍生物」をテーマにしたオンラインサロンを運営しています。どちらも、DMMオンラインサロンでは唯一無二の内容を扱っていますので、今回の記事を読んで、防衛や珍生物に少しでも興味を持っていただいた方、オンラインサロンの内容が気になった方は是非ご入会を!

平坂寛 - 地上最もヤバいサロンを目指せ! 珍生物ハンター平坂寛、世界を喰う!! - DMM オンラインサロン
平坂寛 - 地上最もヤバいサロンを目指せ! 珍生物ハンター平坂寛、世界を喰う!! - DMM オンラインサロン生物の面白さを伝え、環境問題等も深く学ぶきっかけとなることを目指すサロンです。テレビやウェブメディアでも公開できない刺激的な話も織りまぜていきます。おとなも子どもも、楽しみながら生き物の魅力について学んでいきましょう。
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