多様な働き方のひとつとして、近年注目を集めている副業。「私も副業をしたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、副業を始める上では注意すべき点もあります。そこで今回は副業の注意点やメリット・デメリット、働き方別におすすめの副業などをご紹介します。副業に関する知識を得て、自分にあった仕事のスタイルを見つけてみましょう。
どうして副業を始めたのか?
副業を始めるうえでまず大切になるのが動機付け。何のために副業をしたいのか、という理由を考えることで、適切な副業の内容や働き方が見えてくるからです。
では、実際に副業をしている人は、どのような理由から副業を始めたのでしょうか。主な理由をいくつか見ていきましょう。
やりたいことを仕事にするため
自分の好きなことや、やりたいことを仕事にするために副業を始めた人も。本業で好きな仕事や、やりたい仕事ができるとは限りません。そこで、自分の特技や趣味を活かせる副業を始める人も多いようです。
独立前の試運転のため
将来的な独立を見据え、試運転として副業を始める人もいます。会社を辞める前に副業としてチャレンジし、副業で充分な収入を得られる見込みが立ってから独立するというケースも多いようです。
スキルアップのため
自分自身のスキルアップのために副業を始める人も。本業だけでは得ることのできない知識や経験を副業で積み重ねていくことで、自分磨きにつなげようとしているようです。
収入を補うため
本業だけでは満足のいく収入を得ることが難しくなっている近年。働き方改革などの一環で残業や就業時間が見直され、その結果収入が下がってしまった人も。そうした人たちが少しでも収入を増やすために副業を始めたというケースも見られます。
副業を始める前の注意点
とても魅力的に思える副業ですが、始める前にはいくつか注意しなければならないポイントがあります。
就業規則を確認する
近年では副業を認める会社も多くなってきましたが、未だに副業を禁止している会社も少なくはありません。そのため、副業を始める前に就業規則を確認しておく必要があります。そもそも労働基準法では会社員の副業を禁止していません。2018年には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を示し、副業を推奨する流れも見られます。
それでも会社が副業を禁止する理由としては、社員の労働時間の把握が難しくなるなど、さまざまなものが挙げられます。
もめごとを避けるためにも、副業が許可されているかどうか、就業規則を確認しておいた方がよいでしょう。
また、副業を認めている会社であっても、副業の定義を就業規則で定めている場合があります。自分が副業だと思っていても会社との認識が異なる場合もあるので、注意が必要です。
本業に影響が出ないようにする
副業が本業に大きな損害を与えてしまった場合、会社から懲戒処分を受ける可能性もあります。たとえば、以下の例が挙げられます。
・副業で長時間働きすぎて体調を崩し、本業がおろそかになる
・副業の内容が本業の内容と同じで、会社に不利益を与える
・競合他社に雇われる
・本業で得た情報を漏えいする
・会社の名前を勝手に使い、営業を行う
このような場合、たとえ副業を禁止していない会社でも社員を処分することは有り得ます。副業を始める前に、本業に支障がない内容か確認するようにしましょう。
副業のメリットとデメリット
副業にはメリットもあれば、デメリットもあります。どちらも知って、副業をすべきかを判断しましょう。
副業のメリット
・スキルアップにつながる
本業とは違う仕事を経験することで、自分の能力を高めることができます。会社の外で人脈が広がったり、本業とは違う視点や知識が身に着いたりすることも。
たとえば副業では自分で会計管理をしなければならないこともあります。本業では事務作業をしていない人も、副業で会計関連の経験を積むことで、本業とは違った知識を得ることができます。
・収入が増える
副業をすることで、本業とは別の収入を得ることができます。「少しでも収入を増やしたいけど会社で残業はしたくない」という人が副業を始め、収入を増やした事例もあるようです。
・リスクを小さくして転職や独立の準備ができる
「やってみたい仕事があるけどいきなり会社を辞めるのはちょっと……」という人には副業がおすすめです。
本業を辞めなくても始めることができる副業は、次の仕事の準備にもなります。本業を辞める前にやってみたい仕事を副業で試すことで、本当に転職や独立をすべきかどうかを見極めることができます。
このようにリスクを小さくして別の仕事を試すことができるのも、副業のメリットといえるでしょう。
・会社にとっては人材流出の防止策になる
副業は会社にとってもメリットがあります。副業を許可することで、能力の高い人が会社から流出するのを防ぐことができるからです。
チャレンジしたいことがある社員がいたとして、会社が副業を禁止していたらどうなるでしょうか。社員は会社を辞めて、別の会社で新しい仕事を始めるかもしれません。
しかし、副業を許可している場合は、その社員は会社を辞めなくても新しいことにチャレンジすることができます。このように社員の可能性を尊重することで、優秀な人材を会社に引き留めることができるのです。
副業のデメリット
・就業時間が増える
副業は本業とは別に時間をとって従事する必要があります。そのため、週末休みや帰宅後の時間を利用して副業をする人がほとんど。その結果、全体的な就業時間が増えてしまいます。副業にのめりこみすぎて体調が悪化した、という事にならないように、時間や健康の管理には気を配りましょう。
・思い通りに稼げないことも
副業に費やした時間のわりに収入が見合わないこともあります。たとえばクラウドソーシングなどで仕事を得た場合、月に10万円以上稼いでいる人は3割程度、という調査結果もあります。副業は本業よりも効率よく稼げるとは限らないようです。(参考:Business Insider Japan)
フリーランスではなく、副業という選択
今と違う仕事をしたいと思ったとき、可能性のひとつとして思いつくのがフリーランスになること。職場の人間関係や満員の通勤電車からも解放されるフリーランスは、とても魅力的ですよね。しかし、よく考えてみてください。会社を辞めなくても、副業という選択肢だってあるのです。
本業があるからこそ気軽に副業ができる
副業の魅力は、なんといっても本業があること。たとえ副業の収入が変動的でも、本業で安定した収入が得られます。そのため、心に余裕をもって副業に従事することができます。
しかし、これがフリーランスとなると、そうはいきません。フリーランスの収入は変動的である事がほとんどで、毎月安定した収入を得られるとは限りません。そのため、常に心に余裕を持って仕事をしたい方には向きません。
社会的な保障や信頼が得られる
会社員の場合、厚生年金や医療保険などの社会保険料は、会社に一部負担してもらうことができます。有給休暇や住宅手当などもあり、生活を支援してもらえる場面も多いでしょう。また、「会社員」というのは社会的な信頼もあるため、クレジットカードなどの審査が通りやすいです。
しかし、フリーランスの場合、社会保険料はすべて自己負担。収入が変動的なので社会的に信頼を得ることも難しく、クレジットカードの作成はもちろん、住まいの賃貸契約にも苦労することがあります。
このように、会社員としてのメリットを捨ててフリーランスになることは、とてもリスクが高い事がわかります。しかし副業なら、会社員としてのメリットを残したまま、新しいことに挑戦することができるのです。やりたい仕事のためにフリーランスになるか、それとも副業として取り組むか。まずはじっくりと考えてみてください。
働き方別おすすめの副業
副業にはさまざまな内容の仕事があります。「どの副業をすればいいのかわからない」という方のために、おすすめの副業を働き方別にご紹介します。
【在宅でできる副業】データ入力
パソコンを使い、Excelなどにデータを入力する仕事です。タイピングができる人であれば、特別な知識やスキルは必要ありません。クラウドソーシングなどでの募集も多いため、スピードが上がれば一定の収入を得られる可能性があります。
【副業バイト】イベントスタッフ
ライブの会場整理や物販など、イベントにかかわることのできる副業バイトです。イベント開催は夜の時間や土日が多いため、本業のない時間に働くことができます。自分の都合のつく日にバイトを入れることができるので、スケジュール調整がしやすいです。
【女性向けの副業】フリマアプリ
フリマアプリを利用して不要になったものを販売する副業です。あまり着ていないけど処分したい服やアクセサリーがある女性の方におすすめ。写真を撮って値段を設定するだけで販売できるサービスもあるので、手軽に始めることができます。
【スマホでできる副業】アンケートモニター
アンケートサイトやクラウドソーシングサイトに登録し、アンケートへの回答と引き換えに報酬を得る副業です。報酬はポイントの場合もあれば、お金の場合もあります。スマホでも簡単にできるため、移動中の隙間時間にもおすすめです。
ただし報酬はそれほど高くないため、本格的に稼ぐというよりはお小遣い稼ぎに向いています。
【投資を副業に】仮想通貨取引
取引所に登録し、仮想通貨取引で収入を得る副業です。仮想通貨や投資に関する知識が必要になりますが、やり方次第では高い収入を得られる可能性があります。しかし、他の副業とは違い、損をするリスクもあるので、十分注意が必要です。
日雇い副業の選び方
日雇いの副業もたくさんあります。ここでは日雇いの仕事を選ぶうえでのポイントをいくつか紹介します。
スケジュールは調整しやすいか
日雇いの場合、拘束時間が長くなる可能性があります。場合によっては、半日から1日かかってしまうことも。そのため、自分が1日オフのときに副業を入れることができる、登録制のバイトを選ぶと良いでしょう。
支払いはいつになるか
日雇いの場合、報酬の支払日に変動があることも。働いた都度支払われる場合もあれば、ひと月分がまとめて支払われる場合もあります。支払い日については事前に確認するようにしましょう。
「どうして副業を始めたのか?」で前述したように、副業を始める理由は人それぞれ。
自分が何のために副業をしたいのか、どれくらい稼ぎたいのか、という点を考えて副業を選ぶようにしましょう。
確定申告の必要性
副業で収入が増えてくると気になるのが税金。税金の金額決定のために欠かせない確定申告をどうすればいいのか、気になりますよね。ここでは副業における確定申告の必要性について説明します。
副業の所得が20万円を超えたら確定申告を!
所得とは、収入から経費を引いた額のことを指します。たとえば20万円の売上を出すために10万円の経費がかかった場合、所得は10万円になります。
副業で得た所得が20万円を超えた場合は、翌年度の税金に影響が出るため確定申告をしなければなりません。これは法律で定められており、申告をしない場合は脱税行為と見なされてしまいます。会社が行う年末調整とは別に、個人で申告する必要があるので注意しましょう。
雑所得として申告
雇用契約を結ばない形態の副業で得た所得は「雑所得」として申告します。雑所得が高くなった場合でも健康保険などの社会保険料に影響はありません。ただし、翌年度の住民税や所得税には影響が出るので、注意しましょう。
赤字は本収入と相殺できない
もし副業で赤字が出た場合、本業の収入を使って赤字を相殺することはできません。つまり、副業で10万円の赤字が出たとしても、本業の所得を10万円分下げることはできないのです。翌年の税金を安くしたいからといって、副業の赤字で本業の所得を偽らないようにしましょう。
副業がアルバイトやパートの場合は注意!
副業がアルバイトやパートなど、雇用契約を結ぶ形態である場合は注意が必要です。こうした雇用形態で得たお金は雑所得ではなく給与所得の扱いになります。こちらも、本業の給与所得と同様に、課税対象です。本業として仕事をしている会社の年末調整や、翌年の住民税にも影響するため、会社側にも副業で得た給与額を伝えるようにしましょう。
確定申告、と聞くと難しいイメージを持つかもしれませんが、インターネット上で簡単に申告できるサービスもあります。確定申告の方法も、副業で得られる知識のひとつ。自分磨きの一環と思って取り組んでみましょう。
ここまで副業について、注意点やメリット・デメリットなどを見てきました。自分がやりたい仕事を気軽に試すことができるのが副業の魅力。何のために副業をしたいのか、という点を考えて、自分に合った副業を探してみてはいかがでしょうか。