お金や保険、営業に冠するコンテンツを発信するYouTubeチャンネル「宋世羅の羅針盤ちゃんねる」は、話のおもしろさや宋さんの独特なキャラクターが愛され、チャンネル登録者は15万人を突破しました。
そんな宋さんが、今年4月に立ち上げたオンラインサロン「宋世羅の羅針盤サロン~Compass~」。その名前からは、一体どんなコンテンツが発信されているのか見当もつきません。
現役の営業マン兼YouTuberとして活躍中の宋さんは、このサロンで何を伝えたいのか?直接お話を伺いました。
宋世羅(そん・せら)さん
野村證券で4年間営業を務め、多くの社内表彰を受ける。その後、保険代理店に所属し現在は生命保険の営業で全国を飛び回る。超富裕層から一般人まで資産形成、資産運用、保険相談1000件以上をこなす。
浅い正解ではなく、営業マンの「幅」が広がる発信を
ーー宋さんはご自身のYouTubeはもちろん、ここ最近でさまざまなメディアに取り上げられるようになりましたよね。
そうですねえ。YouTubeをはじめる前はまったくの無名で、SNSすらなにもやっていませんでした。もともと、圧倒的な実績を持っているわけでもないので、正直ここまでチャンネル登録者数が増えるとは思っていませんでしたね。
ありがたいことに、最近ではYouTubeで僕のことを知った方から保険の相談に乗ってほしいという話もいただくようになりましたし、中小企業さんの営業研修などを依頼していただくことも増えました。
ただ、僕と同じようにビジネス的な情報を発信をしている某有名YouTuberさんは、登録者数が90万以上なんですよ。僕はまだ、その1/6。すこしイキった発言ををさせてもらうと、まだまだいけるなと思っていますね。
ーー宋さんがオンラインサロンをはじめた経緯を教えてください。
僕がYouTuberデビューするきっかけになったYouTubeチャンネルがあるんですが、そこが運営しているオンラインサロンに入会していたこともあって、もともとオンラインサロンに興味はありました。
自分でオンラインサロンを開設しようと意識しはじめたのは今年の1月頃で、そこから約1ヶ月かけて、なにをするのかを決めて準備を進めていきましたね。
ーーサロンでは、おもに営業ノウハウや営業マインドを発信するということですが、「宋世羅の羅針盤サロン~Compass~」というサロン名は、一見何を発信しているか分かりにくいようにも思えます。こうした名前にしたことには、意図があるんですか?
ビジネス系のコミュニティでありがちな、「誰でも3ヶ月で営業成績150%!」みたいな名前には、絶対にしたくありませんでした。そういう、しょうもない「浅い正解」を伝えたくなかったんです。
YouTubeでも、「こうやれば契約できる」「これを続ければトップセールスになれる」みたいな、くっそしょうもない営業本みたいな発信はしないというスタンスをずっと貫いています。
営業には正解なんてないんですよ。確かに、正解を求める方が楽なのは分かりますし、僕にもそういう時期がありました。でも、僕はあくまで、自分の引き出しにある情報を伝えるだけで、あとは皆さん自身でその情報を取捨選択してもらいたい。
もちろん、ときにはノウハウっぽい話をすることもあるんですが、そこにフォーカスしているんじゃないということは、ちゃんと伝えたいですね。「僕をはじめとして、さまざまな人の引き出しを取り入れて、自分のやり方を作り上げていかないといけないですよ」と。
ーー宋さん自身は、どんなきっかけで、正解を求めにいく思考から脱却することができたのでしょうか。
上には上がいると気づいたのがきっかけですよね。自分なりに考えていい成果が出ても、ぱっと周りを見たら、もっとすごい成果を出している人がいる。会社外にまで目をやると、さらにとんでもない化け物が山程います。もはや一生負けているようなもんですよ(笑)。
だからこそ、僕みたいな人間は一生考えないとあかんなと。
オンラインサロンでも、短絡的な成果を求めた発信や、スキルに重点を置いた話はしたくない。それよりも、広い意味で営業マン、ビジネスマンとしての活躍の幅を広げることを目的にしたコンテンツを出していきたいですね。
宋世羅の営業人生を変えた社長の話
ーーオンラインサロンのコンテンツのなかでも、特に気になったのが「ロープレ(商談ロールプレイング)」と「対談」です。
ロープレというのは、提案の現場を実演する練習のことですよね。宋さんも野村證券時代、こうした練習をされていたのでしょうか。
実は僕、ロープレってやったことないんですよ(笑)。
例えば、野村證券時代には、やり手営業マンの先輩に同行させてもらうことはあったんですが、ノウハウやスキルを学ぶ機会は全然ありませんでした。
トップ営業マンが、普段お客様とどんな雰囲気で接して、どんな話をしているのか。こんなの、お金を払っても知りたいと思うじゃないですか(笑)。
実際、僕はあらゆる商談のすべての行動に、なんらかの意図をもたせています。「なぜこれをするのか」ということを、8年間ずっと考え続けながら行動してきたので、新人時代と比較するとものすごく変化したんじゃないかな。
ロープレでは、それを直に見て、感じてもらえたらと思っています。
ーーなるほど。営業マンとして「なぜ」を追求してきたなかで、印象的なエピソードはありますか。
僕が野村證券を辞めるとき、僕が担当していた大手企業の社長さんから、「君の話が一番おもろかった」と言われたことがあって。
彼は非常に厳しい人だったし、資産運用でも損失を出させてしまったこともありました。一方で、「一介のサラリーマンにここまでしてくれるのか」と思うほど、いろいろと世話を焼いてもくれた、とても恩のある方なんですね。
そんな社長さんから、「君が一番おもろかった」と言ってもらえた。これはもう、長澤まさみから告白されるよりも、100億の契約を取るよりも嬉しい言葉でしたね。この経験が、僕のその後の営業人生における大きな自信につながりました。
ーーその時の経験が、今の宋さんを支えているんですね。もうひとつ、オンラインサロンのコンテンツとして「対談企画」もご用意されていますよね。宋さんが対談相手にどんな方を選ぶのか、とても気になります。
有名な方とかは、ぶっちゃけどうでもいいなと思っています。だから、有名じゃないけど考えが尖っている方、まったく違う業界のスーパー営業マン、一見普通だけれど、実はすごい成果を出している方たちと話したいなと。
極端な話、営業マンでなくてもいいです。トップランカーのキャバ嬢や、写真家さんとかもおもろそうやな。
一歩会社の外に出てみると、「あれ、俺の思い描くスーパーセールスと全然ちゃうぞ」というすごい人たちがたくさんいるんですよね。そういう方々と、どんどん話していきたいですし、その内容をメンバーさんにも見てもらいたいなと。
どこに行っても、営業マンとして成功する自信があります
ーーはじまったばかりのオンラインサロンですが、今後の目標があれば教えてください。
高い能力と気概を持ったメンバーさんを集めて、求人会社のようなことができたら面白いですよね。「フルコミットの証券会社で働きたい」というメンバーがいれば、そういった営業マンを探している企業とマッチングさせるような。
企業にとって、優れた営業マンはもっとも貴重で、かつコストのかかる存在です。だからこそ、僕のサロンがいい営業マンの集まるコミュニティになれば、最強だなと。
ーー多くの企業が「いい営業マン」を求めているんですね。
営業マンって幅を持っていればどこでも生き残れると思っていて。
今の僕は保険の営業マンですが、商材を車や広告にしても、売れる自信があります。だから、自分の将来にあまり不安を感じたことがないんですよ。
このご時世、ひとつの会社に65歳までいるほうが稀。じゃあ、いざ転職や独立するとなった時、僕みたいに「自分はどこに行っても、成功できる」と思えれば、心の大きな拠り所になるんじゃないかな。
ーー宋さんは、なぜそこまで営業マンとしての自分に自信があるのでしょうか。
例えば、僕よりも営業成績が優秀な人がいるとします。でも、おそらく僕のほうが、営業マンとして確固とした自信を持っていると思いますね。
なぜなら、僕は会社内の売上成績のよしあしよりも重要な、仕事をするうえでの引き出しを多く持っているからです。「このパターンは経験あるな、それならこう返そう」っていう試行錯誤を、誰よりもやってきましたから。
僕は考えるのが好きで、ダメな時に「なぜだめだったのか」を、一生ネチネチやってきました。それが今の自信につながったんだと思います。
ともすれば、分かりやすいテクニックに走りやすい営業ノウハウというテーマですが、宋さんは「営業力に正解はない」と、明確にその風潮を否定します。どんなビジネスだろうと、自信を持って生きられる営業マンとしての引き出しの作り方。クローズドな場所だからこそ語られる、宋さんの「営業力」を、いちど自分の目で確かめてみませんか。