「作文の上手な朗読方法」を抜け出そう。五戸美樹さんが伝えたい本当のトーク力

著者名サトートモロー
「作文の上手な朗読方法」を抜け出そう。五戸美樹さんが伝えたい本当のトーク力

対面での会話、ビジネスのプレゼン、イベントのMCやスピーチ…。あらゆるシーンで必要になる「トーク力」の磨き方を、皆さんは知っていますか?

アナウンサー時代から10年以上、声の出し方や話し方を探求し続けている五戸美樹さん。

この記事では、彼女が「五戸美樹のトークレッスン〜オンラインサロン編〜」で伝えている、本当のトーク力の奥深さに迫ります。さらに、DMMオンラインサロン 「落合陽一塾」の学生さんたちに参加してもらい、よりサロンの魅力が伝わりやすくなるトークレッスンも実際に行ってもらいました!そちらの様子も動画でまとめているので、ぜひ最後までご覧ください!


五戸美樹(ごのへ・みき)さん

フリーアナウンサー・トークレッスン講師。2009年に(株)ニッポン放送へアナウンサーとして入社。2015年12月以降はフリーアナウンサーとして活動し、文化放送『走れ!歌謡曲』、TOKYO MX『エクストリームBeauty』、AbemaRADIO『Aこえ』などを担当。


アナウンサー時代に気づいた「自分の本当の声」

ーーまず、五戸さんがトークレッスンを始めたきっかけを教えてください。

私がトークレッスンをはじめたのは、約5年前に行われたとあるアイドルオーディションがきっかけでした。当時私は司会を務めていたんですが、審査員のひとりから「しゃべりの上手な子がほしい」と相談があったんです。私はその審査員の方に「トークスキルはダンスや歌唱と同じで、レベルアップできます。今完成していなくても大丈夫ですよ」と伝えました。

そしたら、オーディションの後で「五戸さんが教えられるなら、ぜひレッスンしてほしい」とご依頼いただいて。それで、アイドルにトークスキルを教えるようになりました。

 

ーーしゃべり方の先生に抜擢されたんですね。

そうですね。自分自身、人前で話すことがとても苦手だったので、底上げはできるんじゃないかなと思っていました。私、ニッポン放送へ入社して最初の放送で、パニックになって泣き出してしまったくらい苦手だったんです。その後も退職するまで、合計10回は泣いたんじゃないでしょうか。

 

ーーそれは意外ですね。

周りから「向いていない」と言われることもありましたし、自分でもそう思うことがありました。心が折れそうになるときもありましたが、放送に出たい、ラジオが好きという気持ちがすごく強かったので、諦めたくなくて。研修や先輩に教えていただいたり、声優さんに声の出し方を習ったりしました。

 

ーーたくさんの努力を重ねられたんですね。実際に、その方たちからの指導で大きく変わったことは何かありましたか?

「思い込み」がなくなりました。当時の私は、もっと高音で声を作った感じが強かったんですね。明るい声=高い声と教わってきていたし、アナウンサー業界内でもこの勘違いは根強くあります。

器用な方は別として、声を作ると滑舌も悪くなるんですよ。特に私は地声が低めなので、声を作ることを意識しすぎて、滑舌でとても苦労しました。アナウンサーはクリアに話すことが大切なのに、「お知らせです」という、アナウンサーが何度も口にする言葉さえ噛んでしまうこともあって。

噛んだり、滑舌が悪いと、「練習が足りない」と指導を受けるんですが、その結果さらに力んで声を出していまい、滑舌がさらに悪くなる…。この負のスパイラルから抜け出して、声の力みを取るのはとても苦労しましたね。

 

ーー悪循環を抜け出すために、どんなことを工夫されたのでしょうか?

ある声優の先生から、「あなたは、普段話している声の方がいい声だよ」と言っていただいたんです。そこで、私は話すときにグッと力んでしまうことが、よくないと考えるようになりました。その先生からは、ほかにもさまざまな点を指摘していただきました。

「普通に話しているところから、つなげて台本を読んでみる」、「口角を上げすぎない」、「口を大きく開けない」。こうした点に気をつけるようになって、次第に本来の自分の声=オーセンティックボイスが分かるようになったんです。

 

ーーなるほど。その時の経験が、現在のご自身の活動につながっているのですね。

日本語学・声研究・認知行動療法で話し方にアプローチ

ーー五戸さんのサロンのレッスンでは、日本語学・声研究・認知行動療法の3つを活用しているという説明を拝見しました。これらについて、ぜひ具体的に教えてください。

まず日本語学についてですが、私はもともとお茶の水女子大学文教育学部日本語日本文学コースを卒業していまして、卒業論文も国語調査委員会に関して執筆するという、言ってしまうと国語オタクですね(笑)。そこで学んだ日本語独特の歴史、音韻、語彙、文法の知識を、レッスンに活かしています。

声研究については、ニッポン放送を退職してフリーになった後、もともとファンだった山﨑広子さんに取材をするなどして、知識を深めていきました。今は一緒に一般社団法人 声•脳•教育研究所で研究と育成をしています。

 

ーー声研究をすることで、五戸さん自身にはどんな気づきがあったのですか?

山崎さんに出会ったときには、自分の声はある程度把握できていました。先生からも声をほめていただいたんですが、同時に「なぜ自分が苦しんだのか」を科学的に説明してくださったんです。

例えば、私たちは声を高くしようとするとき、舌骨と喉頭という部分に無意識で力を入れ、持ち上げます。そうすることで、周囲の筋肉が緊張して、動きが悪くなる=滑舌が悪くなるわけです。

ほかにも、口角を上げると口腔が狭くなるので、動かしづらくなります。

 

ーー話し方についてのインタビューで、解剖学的な話が出てきたことに驚きました。

そうですよね。日本でのこうした声の研究は、他の国より100年は遅れているなんて言われているんです。

山﨑さんの調査では、実に84%の人が「自分の声が嫌い」と回答しているんですが、ボイストレーニングで教わることは「口角を上げる」「声を高くする」など、私がアナウンサースクールで教わることとほぼ同じだったり、話し声をよくしたいのに歌のレッスンだったりするんです。これでは、余計に声の出し方がおかしくなってしまいますよね。

声に対する理解が進むにつれ、私だったら、声に悩んでいる方がオーセンティックボイスを見つける助けになるようなボイストレーニングができるのではないかと思うようになりました。

 

ーーなるほど。最後の認知行動療法ですが、話し方にどう関係するのでしょうか?

認知行動療法は、1980年代にアメリカで生まれた心理療法のモデルです。簡単に説明すると、心の「クセ」を認識して、それを修正することで苦しみを減らそうという治療法です。日本ではうつ病や統合失調症の患者さんに用いられていますが、健康な方にもすごく有用なんですよ。

トークは、日常の生活ほぼすべてに関係します。2018年頃から、私は「そもそも、トークレッスンでコミュニケーション自体を教えなければ意味がないのでは?」と考えるようになりました。その課題を埋めてくれたのが、認知行動療法だったんです。

例えば、大勢の前でスピーチをすることになったとします。しかし、スピーチは多くの人にとって経験が乏しいので、「自分にはできはずがない」「今回もうまくいかない」「自分の話なんて聞いてもらえるわけがない」と、多くの人が自動的に思い込んでしまうんです。

しかし、この思い込みは事実ではなくて、今回はうまくいく可能性だってありますよね。この思い込みによる苦しみを修正しようというのが、認知行動療法によるアプローチです。

 

ーー話すことそのものよりも、それ以前の心のあり方から見直していくんですね。

そうですね。トークというのは、その人の性格がすべて表に出てしまいます。楽観的な人の話はいい加減に聞こえるし、ナルシストの方は上から目線になりがちだし、ネガティブな人は否定的な話し方になる。

トークスキルをアップしたい、性格も変わったらいいな、そしたら人生変わるかも!という方が、私のサロンに参加されていますね。

【動画付き】落合陽一塾メンバーのレッスン体験!

 

ーー実は今日、普段五戸さんがサロン内で行っているトークレッスンを再現いただくことになっています。今回は落合陽一さんによるオンラインサロン、「落合陽一塾」メンバーの方たちに来ていただきました。

(画像右上) 大学院生 中田 樹さん、(画像左下) 中学生 リオさん、(画像右下) 大学生 竹森 健太さん

 

ーーまだ学生のお三方ですが、落合陽一塾内では学生主催のオンラインイベントを開催するなど、精力的に活動されているそうです!

 

【落合陽一塾とは】

落合陽一の日々見ている知識やニュースと気になったトピックについて議論したり、落合陽一に質問したり、生配信で対話したり、オフ会で課外活動を行ったりします。

落合陽一と共に学び、議論し、仲間を見つけるコミュニティです。

落合陽一塾 - DMM オンラインサロン
落合陽一塾 - DMM オンラインサロン落合陽一が生涯教育や幅広い交流を目的としたオンラインコミュニティ.時事ニュースや最新論文,エンタメやネットニュースなど皆で発見し,議論し,知的好奇心をくすぐります.新しい学びや普段出会わない世界観に触れたい方はぜひ.
lounge.dmm.com

ーー皆さんには、それぞれ落合陽一塾に入ってからの自分に関して、スピーチ形式で発表いただきます。その後、五戸さんから皆さんにアドバイスをしていただきます。それでは、よろしくお願いします!

分かりました!落合陽一塾のみなさん、よろしくお願いします!

 

 

ーー1回目の段階で、緊張した様子がありながらも、すでに完成度の高いスピーチを披露してくれた3人。ここから五戸さんによる15分ほどの講義へ。講義映像は非公開ですが、内容としては「誰か身近な一人を想像して、その人へ喋りかけるように」と、より「相手に伝わる話し方」を意識したアドバイスでした。

受けたアドバイスを意識して、3人は再びスピーチに挑戦!その様子がコチラです!

 

 

みなさん短時間でとても良くなりました!側で見ていかがでしたか?

 

ーーすごいですね。実はレッスンが始まる前まで、話し方ってそんなに変わるものなのかな?と疑問に感じていたのですが、テクニックの話もさることながら、「誰に話すか」という想定をした途端、伝える内容や皆さんの表情、声のトーンまで激変するなんて…。

そうですね。

一人で1分間ほどのスピーチをするのは、日常にはない“異常事態”です。だから、誰に話しているのか分からなくて、作文の朗読になってしまう。もちろん、しゃべりのプロであっても、この“対象者”の視点が抜けた途端に違和感のある話し方になります。

普段会話をしている声・様子を再現できるようにすることはとても重要で、私もラジオアナウンサー時代から、このスキルを磨き上げてきたんです。今日参加した皆さんはとても素直で、すぐにやってみようと思えるチャレンジ精神と誠実さが窺えました。

 

ーー皆さんの変化は、見ていてとてもワクワクしました。最後になりますが、五戸さんはどんな方に、このサロンへ来てほしいですか?

ちょっと欲張りな答えですが、どんな人でも入ってほしいです(笑)。

私も含め、日本人の99.9%が話し方について勉強したことがないと思うんです。元アナウンサーの方が開催している話し方教室も、「読み方」の練習になってしまって、作文の朗読から抜け出せない方も多くいらっしゃいます。

YouTubeでも、声の知識がないばかりに「声を2音上げましょう」や「表情筋を鍛えましょう」という、的外れなアドバイスを多く見かけます。これでは、話し方はうまくなりませんよね。それに、誰かと話していても、人が覚えている話の内容は3割程度。声や話し方の印象はその後も残りますが、それが作り声だったら、違和感や嫌悪感が残ってしまうんですね。

このサロンで一緒に勉強して、自分の一番いい声を見つけて、多角的で科学的にトークのスキルアップをしましょう♪

 

その人本来の声、オーセンティックボイスは千差万別。五戸さんはひとりひとりに合った方法や考え方・発声法を駆使して、オーセンティックボイスや自然に話せるトーク力を見つけるお手伝いをしています。

自分の声や話し方が、好きになれない。筆者もそんな、普段の会話に悩む人間のひとりです。五戸さんの話を聞くうちに、自分の本当のトーク力を探してみたくなりました。

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五戸美樹のトークレッスン〜オンラインサロン編〜 - DMM オンラインサロントークレッスンのサロン版! ビジネスパーソンにはプレゼンを、タレントにはMCを、学生には面接対策を伝授。トークの駆け込み寺としても、日本語学・ボイトレの生涯学習としてもご活用ください!
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