最近は、動画共有アプリやSNSなどでダンス動画が手軽に見られるようになり、誰にとってもダンスはずいぶんと身近なものになりました。好きな歌手のダンスを見て真似したい、あるいは運動やストレス発散のためにダンスを習いたいなど、ダンスに関心を持つ理由も人それぞれでしょう。
この記事では、主なダンス5種類を細かく分類し、それぞれの特徴を解説します。さらに、これからダンスを始めようと思っている皆さんのために、男性と女性にそれぞれおすすめのダンスや今流行のダンス、そして初心者向けのダンスをピックアップしてお伝えしていきますので、ぜひ自分に合ったダンスを見つけてください。
ダンスの種類一覧
主なダンスは、大きく次の5種類に分けられます。
・社交ダンス
・ストリートダンス
・バレエ
・K-POPダンス
・フィットネスダンス
このほかにも、世界には色々なダンスがありますが、この記事ではまずこの5種類のダンスをそれぞれ細かく分類して解説していきます。
社交ダンスの種類
最初に、競技人口も多い社交ダンスの種類を詳しく見ていきましょう。競技としての社交ダンスにはそれぞれ5種類のダンスを含む2つのカテゴリーがあり、あわせて10種類のダンスがあります。
社交ダンスとは
日本で「社交ダンス」、あるいは「ソシアルダンス」と呼ばれるダンスは、舞踏室で踊るものであることから、海外では「ボールルームダンス」と呼ばれ、紳士淑女のダンスとされています。男女ペアで踊るのが特徴で、大きく足を上げたり沿ったりする必要もないため、体が柔らかくなくても躍ることができ、何歳からでも始めることができます。
スタンダード
スタンダードは、男女が向かい合って一体となって踊るもので、すり足で踊るステップが特徴です。スタンダードには次の5つのダンスが含まれます。
ワルツ
ワルツは社交ダンスの代名詞とも言える有名な種目で、社交ダンスの中では最も人気があります。クルクルと回転する動きなどもあり、優雅なダンスと言えるでしょう。ゆったりとした3拍子の曲に合わせて踊るため、初心者でも始めやすいのも特徴です。
タンゴ
スタンダードの中で一番激しい種目がタンゴです。スピード感のある情熱的なダンスで、首を振る動きが多用されているといった特徴があります。その一方で、上下の動作が無く踊りやすいため、初心者でも楽しみやすいダンスです。
スローフォックストロット
「狐の小走り」を意味するスローフォックストロットは、ゆったりとした滑らかな動きを特徴とするダンスです。ワルツと似ていますが、回転する動きは少なく、両足を揃えずに踊ります。ゆっくりとした音楽に合わせることに難しさを感じる人もいるかもしれません。
クイックステップ
クイックステップは、アップテンポの曲に合わせてフロアを縦横無尽に駆け巡るダンスで、リズムに合わせて足で刻むようなステップを踏みます。踊り手も観客も盛り上がるダイナミックなダンスですが、緩急の変化が多いため、難易度は高めです。
ヴェニーズワルツ
「ウィンナーワルツ」とも呼ばれるヴェニーズワルツは、宮廷舞踏会でも踊られる優雅なダンスで、通常のワルツよりもテンポが速く、頭の高さを一定に保ちながら踊ります。ステップは5種類しかありませんが、回転が多く動きも早いため、難易度はかなり高めです。
ラテンアメリカ
ラテンは、アップテンポな曲に合わせて感情を表現しながら魅せるダンスです。男女が組んだり離れたりすることや、つま先から入るステップが特徴で、次の5つのダンスが含まれます。
ルンバ
ラテンの中ではゆったりとしているのがルンバ。ステップが簡単で初心者でも始めやすいため、人気のある種目です。4拍子のゆっくりとした曲に合わせて、男女の恋模様を連想させるような動きやアクロバティックな動きを見せます。
チャチャチャ
チャチャチャは、リズミカルなポップソングに合わせて踊るダンスです。上下運動はありませんが、平行移動の中に素早く切れのある動きを取り入れています。ルンバと並んで人気がある一方で、曲のテンポが早く、動く量も多いことから、少し難しく感じる人もいるかもしれません。
サンバ
打楽器を使った賑やかで陽気な曲に合わせて、フロア全体を巡りながら踊るのがサンバです。体全体を上下にバウンドさせるように動かすのが特徴ですが、ステップは初心者でも覚えやすいものが多くなっています。
パソドブレ
パソドブレは、スペインの闘牛をイメージしたダンスです。男性が闘牛士、そして女性が闘牛やケープを演じるように踊ります。曲のテンポが徐々に上がっていくため、盛り上がる箇所がわかりやすく、大きな力強い動きで緊張感があるのも特徴です。
ジャイブ
ジャイブは、速いリズムに合わせて足を蹴り上げたり跳ねたりする動作が特徴的なダンスです。回転やお尻を揺らす動きもあり、明るく陽気なダンスですが、ほとんどつま先だけで、小刻みにステップを踏み続ける必要があるため、かなり難易度が高いダンスと言えます。
(参考:YOSHIOKA DANCE CLUB│社交ダンスとは)
社交ダンスの衣装・服装
スタンダードでは女性は長めのドレス、男性は燕尾服が主流ですが、これは紳士淑女のイメージにぴったりの衣装と言えるでしょう。一方のラテンでは、女性は丈が短めで比較的露出度が高いドレスを着用し、男性はワイルドな印象のシャツなどを身に着けます。
ストリートダンスの種類
続いてご紹介するストリートダンスは、時系列に沿ってカテゴリーに分類されます。ここでは、オールドスクール、ニュースクールという2つのカテゴリーに沿って、主なストリートダンスのジャンルを解説します。
ストリートダンスとは
ストリートダンスは、黒人文化の中で発展したブラックミュージックというジャンルの音楽に合わせて踊るダンスです。ストリートダンスの音楽には4拍子のビートがあり、それを基本リズムとして踊ります。
オールドスクール
オールドスクールという言葉は「古典的」といったような意味合いで、ストリートダンスのカテゴリーとしては、1980年代までに生まれたダンスを指します。これには、次の5種類ダンスが含まれます。
ブレイクダンス
ブレイクダンスは、頭や背中を床につけて回転したり、片手で逆立ちしたりといった大技を特徴とするアクロバティックなダンスです。元々はニューヨークのギャングが銃を使わず優劣を決めるために始まったと言われており、バトル要素が強いとされています。
ポップダンス
ポップダンスは、パントマイムやロボットダンスなど、人間らしくない動きを使ったダンスです。ここで言うポップとは音楽のジャンルのことではなく、「筋肉を弾く」という意味で、筋肉を弾いて生み出すメリハリのある動きが特徴です。
ロックダンス
「鍵をかける」という意味のロック(Lock)に由来するロックダンスは、鍵をかけるように体の動きをピタリと止める動きを特徴とするダンスです。メリハリのある動きには、体の各部の筋肉や関節の正確なコントロールが求められます。
ソウルダンス
全てのストリートダンスの原点と言われるソウルダンスは、1950年代から1960年代の初期にかけて生まれました。ソウルミュージックあるいはR&Bの音楽に合わせて踊る、この時代のダンスの総称であり、独特のリズムが特徴です。
ワッキングダンス
ワッキングは1970年代初期にゲイダンサーの間で生まれたダンスで、パンキングと呼ばれることも。腕を鞭のように振り回す動きや、腕を巻きつけるような動きのほか、バレエやジャズダンスに見られるターンなども取り入れられています。
ニュースクール
ニュースクールは1980年代以降に生まれたストリートダンスで、オールドスクールの時代に生み出されたステップなどをベースに形作られています。そのため、ニュースクールのダンスにはオールドスクールの様々な動きが混在しています。
ヒップホップ
最も人気の高いストリートダンスであるヒップホップダンスは、時代や音楽に合わせて踊り方が変化してきたこともあり、定義づけが難しいジャンルでもあります。基本的には、ピップホップミュージックに合わせて踊りながら、より自由な表現を目指すダンスと言えるでしょう。
ハウスダンス
ハウスダンスは、ディスコ音楽から発展したハウスミュージックに合わせて踊るダンスです。様々なジャンルのダンスから取り入れた動きと、流れるような素早いステップを特徴としており、速いビートに合わせた動きは時に目まぐるしいほどです。
(参考:STREET DANCE CLUB EXTENSION│ジャンル紹介)
バレエの種類
続いてご紹介するバレエは、女の子の習い事の定番ですが、実はこれもいくつかの種類に分けられます。
バレエとは
イタリア語で「踊る」という意味の「Ballare」に由来するバレエは、ルネサンス期に西欧で始まった劇場芸術の一形式です。つまりバレエとは本来、音楽や演劇、美術、衣装など全てを含んだ総合舞台芸術を指しますが、一般的には、バレエダンサーの動きを指して、ダンスの一類型として扱われます。
ロマンティック・バレエ
現代のバレエの起源であるロマンティック・バレエは、革命後のフランスで生まれました。妖精や悪魔が登場する幻想的な世界を描いた、演劇的要素の強い踊りです。バレエ特有のつま先立ちのステップや軽やかなジャンプは、ロマンティック・バレエで生まれたものです。
クラシック・バレエ
バレエと聞いた時に誰もが思い浮かべるクラシック・バレエは、フランスから伝わったバレエがロシアで発展して生まれたものです。物語を踊りで表現することよりも、ジャンプや回転などの技術を重視するもので、形式に重きを置き、厳格に定められた技法を踏襲して踊ります。
モダン・バレエ
制約の多いクラシック・バレエに反発する形で生まれたモダン・バレエは、表現の可能性を追い求める自由なバレエです。クラシック・バレエと共通の基礎を持ちながらも、民族舞踊を取り入れるなど、独創性を重視しています。
バレエの衣装・服装
ロマンティック・バレエは、膝丈かそれよりも長いチュチュを着て踊りますが、動きが複雑になるクラシック・バレエでは、丈が短く動きやすいチュチュを身に着けます。自由さを重視するモダン・バレエでは衣装や靴も自由で、トウシューズを履く必要すらありません。
K-POPダンス
韓国のアイドルグループの人気に伴って、ダンスのジャンルとして最近確立されたのがK-POPダンスです。
K-POPダンスとは
K-POPダンスとは、名前のとおりK-POPアイドルたちの楽曲で用いられているダンスで、様々なジャンルのダンスが取り入れられています。曲と調和したキャッチ―な動きが特徴で、思わず踊ってみたくなったという人も多いでしょう。K-POPの楽曲の振り付けをそのまま踊ることを、K-POPカバーダンスとも言います。
(参考:DANCE SCHOOL D STUDIO│KPOP DANCEとGIRLSHIPHOP、HIPHOPの違い)
フィットネスダンスの種類
スポーツジムなどでも運動やダイエットを目的としたダンスのプログラムが提供されていますが、その中には、ここまでで紹介したほかの様々な種類のダンスが含まれます。
フィットネスダンスとは
ここでは、シェイプアップや筋力強化を目的としてスポーツジムなどで行われるダンスを、フィットネスダンスとしてご紹介します。
ベリーダンス
ベリーダンスは、トルコやエジプトなど中近東の民族舞踊。「お腹」を意味する「ベリー」の名がついているとおり、お腹や腰の筋肉をゆっくりと動かすのが特徴です。体のパーツをしっかり動かすので、インナーマッスル強化や腰回りのシェイプアップ効果が期待できます。
タヒチアンダンス
ポリネシアに伝わるタヒチアンダンスは、有名なフラダンスの原型だと言われています。特に、タヒチアンドラムの速いテンポに合わせて踊る「オテア」は、男性は足、女性は腰を動かしながら激しく踊るため、体幹トレーニングやダイエットに効果があると言われます。
ポールダンス
天井と床を繋ぐ真っすぐな金属製のポールを使って踊るポールダンスでは、音楽のジャンルにとらわれず、自由な表現を楽しむことができます。筋肉を使うと同時に有酸素運動にもなるので、ダイエットや筋力アップに効果が期待できるでしょう。
男性向け・女性向けのダンス
主なダンスの種類がわかったところで、男性と女性それぞれにおすすめのダンスをピックアップしてみました。
男性向けダンス
男性に是非挑戦してもらいたいのは、なんといってもブレイクダンスです。難易度は高いですが、頭で体を支えて回転する動きなど、ブレイクダンス特有のパワフルで派手な動きには誰もが憧れを抱くのではないでしょうか。銃を使わずダンスで争うために生まれたという、平和を目指す姿勢も魅力ですね。
女性向けダンス
女性には、シェイプアップ効果が期待できるベリーダンスがおすすめ。さらに、煌びやかで妖艶な衣装も、ベリーダンスの大きな魅力です。綺麗な衣装を着て楽しみつつ、体も引きしまるという、なんともお得なダンスと言えます。
今流行っている・人気のダンスとは
ここ数年、特に若い女性の間では、TikTokなどを使ってダンス動画を共有するのが流行っています。K-POPダンスが流行っているのと同じように、J-POPの歌の振り付けをコピーして踊るのも人気なようです。
ジャズダンス
J-POPの女性アーティストの楽曲に多いのが、ジャズダンスと呼ばれるジャンルのダンスです。もともとはバレエやミュージカルの雰囲気を持ったダンスですが、最近はヒップホップなど、ストリートダンスとの融合も進んでいます。
初心者でも大丈夫!簡単なダンスとは
これからダンスを始めたい人のために、初心者にも優しい簡単なダンスを紹介します。
ヒップホップダンス
ピップホップ音楽に合わせて自由に踊るヒップホップダンスは、大人はもちろん、子どもの習い事としても人気があります。格好よく踊れるようになるまでには少し時間がかかりますが、基本ステップからコツコツ学んでいくとよいでしょう。
世界のダンスの種類
最後に、世界のダンスの種類を一挙にご紹介します。気になるものがあれば、この機会にぜひ始めてみてはいかがでしょう。
スペインのダンスの種類
世界のダンスと言われて真っ先に思い浮かぶものの1つは、叙情的なスペインのダンスではないでしょうか。代表的なものは、華やかな衣装や特徴的な動きを持つ、フラメンコです。
フラメンコ
フラメンコはスペイン南部のアンダルシア地方で生まれたもので、本来はダンスだけでなく、歌やギターの伴奏を含むパフォーマンス全体を指します。フラメンコのダンスは「バイレ」と呼ばれ、つま先やかかとで床を踏み鳴らす動き、それに独特な手の動きが特徴的です。
ブラジルのダンスの種類
陽気で情熱的なイメージのブラジルにも、華やかなダンスが色々あります。中でも、サンバでは日本人とってなじみ深いでしょう。
サンバ
ブラジルを代表するサンバの音楽に合わせて踊るのがサンバ。リオのカーニバルのように、露出度の高い派手な衣装を着けて、弾むように踊るのが特徴です。サンバは基本的に即興の踊りを中心としており、サンバのステップに合わせてそれぞれが自由に表現をします。
ハワイのダンスの種類
同じポリネシア地域のタヒチアンダンスともかかわりの深いハワイのダンスと言えば、映画やテレビコマーシャルでもおなじみ、フラダンスです。
フラダンス
もともと女神に仕える巫女たちの儀式であったフラは、ダンスだけでなく演奏や歌唱も含めた総合芸術であり、宗教的な意味合いも持っています。ゆったりとした音楽に合わせてステップを踏みながら腰を振り、手で物語を表現するのが特徴です。
アルゼンチンのダンスの種類
ラテンアメリカ発祥のダンスは数多くありますが、アルゼンチンを起源とするタンゴは、日本でも戦前から人気があったと言われています。
タンゴ
タンゴは、哀愁を帯びたメロディーや激しいリズムを特徴とする印象的な音楽に乗って踊るペアダンスです。アルゼンチンの首都の酒場で下層階級の男性が踊った荒々しいダンスが始まりと言われていますが、その後ヨーロッパでも人気を博し、2009年にはユネスコの世界遺産(無形文化遺産)に登録されました。
(参考:横須賀芸術劇場 ブログ│アルゼンチンタンゴの歴史、そして現在の最先端サウンドを生み出す楽団)
キューバのダンスの種類
ダンスが盛んなキューバは色々なダンスを生み出していますが、アメリカや中南米で人気のあるサルサも、その1つです。
サルサ
サルサは男女ペアで踊るダンスで、スピード感あるステップや情熱的な腰の動きが特徴です。プエルトリコ系移民によってアメリカで生まれたと言われていますが、キューバの伝統音楽を使用していることもあり、キューバスタイルが最も伝統的なものとされています。
社交ダンス、ストリートダンス、バレエ、K-POPダンス、そしてフィットネスダンスという5つの種類に分けて、主なダンスを解説しました。
ゆったりとしたものや動きの激しいもの、一人で踊るものやペアで踊るもの、衣装に特徴のあるものなど、一口にダンスと言ってもその中身は千差万別。この記事の解説を手掛かりに、ぜひ自分にぴったりのダンスを見つけて楽しんでみてはいかがでしょうか。