この記事を開いたあなたの会社では、朝礼の時などに誰かが1分間スピーチをする慣例があるのでしょう。1分という時間は短いものの、大勢の前でしどろもどろにならずに話すには、しっかりとした準備が必要です。とは言え、そもそもスピーチのネタがスムーズに決まらずに悩んでしまうことも多いはず。
この記事では、1分間スピーチの目的や文字数の目安を確認したうえで、取り上げやすいテーマの例やスピーチの組み立て方を具体的にご紹介します。さらに、実際にスピーチをする時に気を付けるべきポイントもお伝えしますので、1分間スピーチでお悩みの人はぜひ参考にしてください。
1分間スピーチの目的って?
まずは、1分間スピーチが何のために行われるのか、その目的を確認しておきましょう。一般的に会社で行われる1分間スピーチの主な目的は、次のようなものです。
・わかりやすく伝える力をつける訓練
話の要点をおさえてわかりやすく説明し、効果的な表現で伝える力は、ビジネスの色々な場面で必須のスキルです。例えば、取引先へのプレゼンや商談、上司への報告、それに社内会議での情報共有など、日々の色々な場面において口頭での簡潔でわかりやすい説明が求められます。時間におさまるように大事なポイントをまとめ、さらに聞き手を引き込むように豊かな表現で話すことが期待される1分間スピーチは、このようにわかりやすく伝える力を訓練するのにもってこいです。
・人前で話す練習
人によっては、大勢の前で話すことに尻込みしてしまったり、極端に緊張してしまったりする場合もあるでしょう。その点、1分間スピーチなら自分で決めて用意したテーマについて短く話すだけなので、人前で話すのが苦手な人がそれに慣れるための練習にもなります。
・情報収集の習慣づくり
効果的な1分間スピーチには、ネタ探しが欠かせません。1分間スピーチのネタ探しのために情報収集をする必要に迫られれば、日頃からニュースや流行、雑学などに目を向ける習慣ができます。このように、スピーチのネタ集めをきっかけに幅広く色々なことに関心を持つように促すことも、1分間スピーチを実施する目的の1つです。
(参考:CANVAS│朝礼で使える!スピーチの流れとおすすめネタ8選、例文もご紹介)
スピーチが苦手な人が多い理由
実際のところ、スピーチに苦手意識を持っている人は多いでしょう。日本では小学校から高校、さらには大学まで通して、学校で生徒が発言する機会が少ないため、多くの人は人前で話すことに慣れないまま社会に出ていくことになります。このため、社会人になった当初は、スピーチやプレゼンの経験が圧倒的に不足している状態と言えます。
こうした人がスピーチを苦手と感じるのは当然です。1分間スピーチを通して徐々に経験を積めば、もっと大勢の前での大事なプレゼンも、自信を持ってこなせるようになるでしょう。
1分間スピーチで話す文字数の目安
1分間スピーチでは、話をコンパクトにおさめる必要がありますが、文字数の目安を知っておけばスピーチの準備がしやすくなります。
一般的に、1分間で300文字程度が、聞きやすい量と言われています。これ以上文字数が多くなると早口ぎみになってしまい、聞き手に伝わりにくくなりますので、スピーチ内容はおおよそ300字程度になるように調整しましょう。
1分間スピーチで伝えやすいテーマ例
それでは、1分間スピーチではどんなテーマを選べばよいのでしょうか。ここでは、1分という限られた時間内で簡潔に話せて、かつ聞き手に興味を持ってもらいやすいテーマを4つピックアップしてご紹介します。
最近のマイブームや趣味
話しやすく、かつ聞き手からも興味を持ってもらいやすいのは、スピーチをする人自身のマイブームや趣味の話です。多くの場合、会社でプライベートな話をする人の数はある程度限られています。このため、1分間スピーチで自分の趣味の話をすると、会社での自分とは違った一面を知ってもらう良い機会にもなります。
最近のマイブームの話や長年の趣味の話、どちらでも構いませんので、なぜそれにはまったのかを紹介し、その趣味を通して得られることや気づいたこと、あるいは豆知識などを紹介するとよいでしょう。その上で、仕事の話に絡めて締めくくることができれば、まとまりの良いスピーチになります。
季節や時事ネタを利用する
自分の話ばかりではすぐにネタ切れになってしまいますが、いつでも頼りになるのは時事ネタです。新聞やオンラインのニュースサイトで話題になっている時事ネタを切り口に、自分が考えたことなどを話してみましょう。ただし、その話題について詳しく知らない人もいることを想定して、まずはわかりやすい解説から始めることを忘れずに。
ニュース以外でも、季節に合わせた話題はスピーチの強い味方です。季節の行事や食べ物、装いなど、その季節特有のことを想像してみると、面白いネタを思いつきやすいかもしれません。
最近、体験や経験したこと
自分が最近体験したことは、リアリティがあって聞き手の興味をそそりやすいため、1分間スピーチにおすすめの話題です。物語のように話を展開して聞き手を引き込み、最後にオチをつけることができれば、スピーチ上級者と言えるでしょう。そこまで練り上げられなくても、どんな体験だったのかをかいつまんでわかりやすく説明したうえで、そこから学んだことや感じたことを話し、最後に仕事の話につなげることができれば上出来です。
おもしろい雑学や小ネタ
聞き手に役立つ1分間スピーチをしたいなら、おもしろい雑学を紹介するのもよいでしょう。身近なものに関する意外性のある雑学を調べて披露すれば、物知りな人という印象を持ってもらうことができるかもしれません。ただし、単に知識を見せびらかすようなスピーチや説教くさいスピーチでは、聞く側が楽しめませんので、おもしろさを重視してテーマ選びをするか、仕事に絡めたおもしろいオチをつけるのが良さそうです。
1分間スピーチのネタの発想法
続いて、実際に1分間スピーチの内容を決める時の、ネタの組み立て方を解説します。大まかに分けると、テーマの選択、メッセージの決定、そして構成の3ステップとなります。
テーマを決める
最初に、スピーチで取り上げるテーマを決めます。先に紹介した4つのテーマ例を参考に、自分が話しやすいテーマを選びましょう。例えば時事ネタや雑学なら、具体的にどういった内容を取り上げるのか考えましょう。
伝えたいことを決める
テーマが決まったら、1分間スピーチを通して何を伝えたいのかを決めてください。1分で色々なことを話してしまうと、結局何が言いたいのかわからないスピーチになってしまうので、伝えたいことは1つに絞る必要があります。
結論から逆算して構成を立てる
伝えるべきメッセージが決まったら、それがスピーチの結論になります。その結論から逆算する形で、スピーチ全体の構成を組み立てましょう。
構成では、起承転結を意識すると流れが良くなりますが、1分で話せることは限られています。そこで、1分間スピーチでは、選んだテーマを使った「つかみ」の部分(起承転結の「起」)に続いて、自分の考えなど軸となるメッセージ部分(「承・転」)を続ける2部構成とし、最後に短い結びやオチ(「結」)で締めくくるのが理想です。
(参考:リクナビNEXTジャーナル│15秒で決まる!人の心をガッチリつかむ「3分スピーチ」のコツ)
1分間スピーチで気をつけたいポイント
最後に、1分間スピーチをする時に注意すべき点を挙げておきます。スピーチ内容を効果的に伝えられるように、ぜひ意識してみてください。
導入はシンプルに分かりやすく
スピーチの導入部分は、できるだけシンプルでわかりやすい内容にしましょう。例えば時事ネタを扱う場合なら、「最近、○○が話題になっていますね」というセリフでスピーチを始めれば、聞き手はこれからどういう話が始まるのか見当がつき、話を理解しやすくなります。
同様に、自分の趣味について話す時は「今日は自分の趣味について話します。私の趣味は○○です。」といった内容で話し始めると、テーマが明確になるだけでなく、気軽な話題であることが伝わり、リラックスして聞いてもらうことができるでしょう。
早口になりすぎないようゆっくり話す
早口でスピーチをすると、聞き手が話の流れについていきづらくなり、結果的に伝えたいメッセージがうまく伝わらない可能性が出てきます。特に、1分間という時間制限があることで気持ちが焦り、つい早口になってしまう人も多いのではないでしょうか。心当たりのある人は、意識的にゆっくり話すように心がけてみてください。
途中で脱線しないようにする
スピーチの途中で何か思いついたり、聞き手の反応を見て何か補足したくなったりする場合でも、用意しておいたスピーチ内容から脱線するのは避けましょう。1分間におさまらなくなってしまう上、スピーチのメッセージが伝わりづらくなってしまいます。
メモや原稿は見ない
うまいスピーチをしたいと思うばかりに、一字一句練り上げたスピーチ原稿を用意する人もいますが、スピーチ中は原稿やメモを見ないのが理想です。
原稿を用意してスピーチの本番で見てしまうと、それを文字通りに読むだけになってしまい、伝えることがおろそかになってしまいがち。話の要点や順序を頭に入れた上で、何も見ずに自然に話せるようなるまで練習しましょう。不慣れなうちは、万一緊張して頭が真っ白になってしまった場合に備えて、要点を箇条書きしたメモをお守り代わりに持っておくと安心です。
(参考:type.│スピーチが上手な人が実践している!今日から使える5つのコツとは?)
まとめ
1分間スピーチは、わかりやすく伝えることや人前で話すことの練習になるほか、情報収集の習慣づくりにも役立ちます。聞きやすさを考えると300字くらいの長さになりますので、まずはテーマを選び、スピーチの中で自分が伝えたい結論を1つ決めた上で、起承転結を意識しながら、結びを除いて大きく2部構成になるように内容を組み立てていくとよいでしょう。
テーマ選びで悩んでいる場合は、この記事で紹介したテーマ例を参考に、自分が話しやすい話題を考えてみてください。最後に紹介した注意点もあわせて実践すれば、簡潔でわかりやすいスピーチに一歩近づくはずです。