たった3本のモールが「命あるクマ」に変身。モールベアづくりを国本雅之先生に教わりました!

著者名サトートモロー
たった3本のモールが「命あるクマ」に変身。モールベアづくりを国本雅之先生に教わりました!

モールベア制作の第一人者・国本雅之さん。「熊三昧」の名で活動する国本さんのつくるモールベアは、たった数本のモールを使って、3cm以下の動物を魔法のように生み出します。愛らしい動物たちがほしい、自分でもつくりたいという想いを持った人びとが集まるのが、オンラインサロン「モールベアと動物と小さな世界」です。 今回は、DMMスタッフが国本さんの指導のもと、人生初のモールベア制作に挑戦! 「手芸は小中学校の家庭科以来」という初心者スタッフが、悪戦苦闘しながらも我が子を誕生させるまでの全記録をお届けします!


国本雅之

針金のモールを使って、さまざまなミニチュア動物を制作。国本雅之氏の作品は国内はもとより海外でも人気で展示会では開催5分で完売する程。また、各所でワークショップも開催する傍ら、著書も多数出版。


立体の「一筆書き」でつくるモールベア

——本日はよろしくお願いします! 早速ですが、目の前に置かれたこのモール……これが今日の材料なのですか?

DMMスタッフ(以下、DMM):正直、子供の工作で使うようなキラキラしたモールを想像していたので、この落ち着いた色合いに驚いています。 国本さん:よろしくお願いします。そうですね、市販のモールにはこういうアンティークのような色合いはありません。だから、白や薄いピンク、薄紫などのモールを自分で染めて作っているんです。  

 

——モールを染めるところから創作が始まっているのですね。

国本さん:今回はテディベアを作るということで、この中から好きな色を3本選んでください。

DMM:えっ、たった3本ですか? この3本だけで、さっき見せていただいたあの精巧なクマができるんですか? 国本さん:そうです、3本で一体になります。道具はニッパー、ペンチ、ハサミ、そしてこのピックを使います。これらを使いつつ、編み物のように針金を通したり、ねじったりしながら動物を作っていきます。

DMM:なるほど……。じゃあ私は、テディベアらしく、この淡いベージュ系の3本で挑戦してみます。 国本さん:では、頭から作っていきましょう。3本の中で、もし太さにばらつきがあれば、一番太いモールを頭にすると可愛く仕上がります。まず、端から2センチくらいのところで直角に曲げて、そこを首のラインにします。 DMM:はい、直角に……。こうですか?

国本さん:そこから鼻の長さを決めて折り返し、軸にくるっと巻き付けて鼻の厚みを出していきます。ここが重要なんですが、上の段が長いとキツネみたいにツンとしちゃうし、下の段が長いと顎が出ちゃう。上下の長さを揃えて、しっかりと押さえるのがコツです。 DMM:うわ、もうこの時点で難しい(笑)。ちょっとズレると顔が変わっちゃいそうで怖いです。

国本さん:次に耳を作ります。モールを上に折り上げて、ピックで頭のパーツの隙間を広げて差し込みます。引っ張り具合で耳の大きさが変わるんですが、この穴が残るか残らないかギリギリくらいの大きさが、クマらしい耳になります。

 

  ——ここで大まかな顔のデザインが決まるわけですね。

DMM:じゃあ僕は、ちょっと耳を大きめにして可愛い感じを狙ってみます。……あ、左右の大きさを揃えるの、意外と難しい!

国本さん:耳ができたら、ここからが本番。「立体のひと筆書き」のように、長いモールを耳の間に通したり、鼻の下を回したりして、頭の形を編んでいきます。隙間がないように、しっかりと押し付けながら作ってください。 DMM:確かに工程は「ひと筆書き」ですが、パズルみたいで頭を使いますね。どこを通っているのか一瞬見失いそうです。それに、これ以上引っ張ったら形が崩れそうで結構怖い……。

国本さん:そこは勇気を出して、ぐっと力を入れていきましょう。モールは針金が入っているので、結構力を入れても大丈夫。モールが出てきた根元に爪を添えて、形を崩さないようにしっかり引くんです。ゆるいと後で崩れちゃいますから、ガチガチに固めるつもりで取り組んでください。 DMM:もっと引っ張ってもいいんですね! 先生に言われてグッと引いたら、急に頭が締まって小さくなりました。なるほど、こうやって強度を出していくんですね。まさに「編んでいる」感覚です。 国本さん:すごい。立派なクマの頭ができましたね。大まかな形ができたら、ペンチを使って全体の形を整えていきます。後頭部がペタンとなっているので、そこも直していきましょうか。

DMM:本当だ。パッと見はちゃんと頭部が完成したように見えますが、細かな修正でどんどん形がよくなっていきますね。これ、やりだすとドンドンハマっていきそうです(笑)。 ——ちょっとの手入れで全然形が違いますね……!

手足の制作。360度の「ねじり」が生む立体感

国本さん:頭ができたら、次は手足です。残しておいた細いモール1本を使います。まず長さに少し差をつけて二つに切り分けて、短い方の1本で腕を作ります。 

 

——これ1本で両手ができるのですね。

DMM:切る時は後戻りできないから緊張しますね。

国本さん:切ったモールの両端を折り曲げて、外側で向きを合わせるようにして二重の輪を作り、外側で合わせたところだけねじります。この時のねじり方は「反時計回り」にねじってください。

DMM:左手で固定して右手でねじって……。あ、ねじりすぎて短くなっちゃいました。

国本さん:同じ場所ばかりねじると短くなっちゃうんですよ。ねじる支点を少しずつずらしながらやるのがコツです。でも、中に芯があるから多少はやり直しがきくので安心してください DMM:モールベアはリトライできるのがありがたいですね。……よし、修正できました。

国本さん:次に、輪っかを平らにして、ピックを2本通して大きさをそろえます。そしてここからが重要。ピックを通したまま、90度ずつ4回ねじります。つまり360度ねじることで、先端に小さな穴が残って、それが手のひらになるんです。

DMM:え、すごい!さっきまでただの輪っかだったのに、ねじったら急に「手」になりました! この穴が手のひらになるなんて、魔法みたいです。でも、先生の手と比べて僕のはちょっと不格好かな……(笑)。

国本さん:仕上げにペンチでカクカクと挟んで形を整えると、ねじり目が揃って綺麗な腕になりますよ。

DMM:本当だ! ペンチで整えたら、急にプロっぽい仕上がりになりました。道具の使い方が重要なんですね。 国本さん:足も同じ作り方ですが、足は90度を5回ねじります。そうすると正面に足の裏がくるような、テディベアらしい見た目になります。

胴体と頭部の合体、そして仕上げでフワフワのクマへ

国本さん:パーツが揃ったら合体させます。まずは手と足の中心をボンドで留めて、頭のパーツと組み合わせます。 ——まるでプラモデルのパーツを組むみたいですね。

国本さん:そして最後の一本で胴体を巻いていきます。脇の下から背中、お腹へと、「たすき掛け」のように巻いて太らせていきます。 DMM:抱っこ紐みたいに巻いていくんですね。……あれ? なんか僕のクマ、おむつ履いてるみたいになっちゃいました(笑)。 国本さん:巻き方がゆるいとおむつみたいに見えちゃうんですよね(笑)。ここでもしっかり爪で押さえて、引っ張りながら巻いてください。クマちゃんはお腹がポッテリしている方が可愛いので、お腹周りは重点的に巻いていきましょう。

DMM:なるほど、ここでも「締め」が大事なんですね。……よし、グッと締めたらお腹が膨らんで、一気にクマになりました!あとは手と足をすこし曲げてっと。  

 

——すごい。3本のモールがテディベアになりました! 国本さん:形ができたら、ここからが一番楽しい作業です。このブラシやピックを使って、表面の毛を掻き出してみてください。

DMM:(カリカリ……)うわっ、すごい! さっきまで針金感があったのに、毛を掻き出すとフワフワになって、急に「毛並み」ができました! 国本さん:そうなんです。埋まっている繊維を引き出すことで、モールであったことを忘れるような質感になるんです。丁寧にやればやるほど、表情が変わってきますよ。

DMM:これは夢中になりますね……無言になっちゃう(笑)。埋もれている毛を掘り起こすのが快感です。この作業で一気にクオリティが上がりますね。

目と鼻をつけて命を吹き込む

国本さん:仕上げに目を入れましょう。目打ちで穴を開けて、選んだ目を穴に通していきます。この穴の位置で表情が決まるので慎重に。針金の隙間を探しながら、穴を開けるのがコツです。 DMM:ここが一番緊張しますね……。左右対称にするのが難しい!……よし、入った!

国本さん:目の色もオレンジや青など選べますが、どれにしますか?

DMM:うーん、迷いますね。まるでゲームのキャラクリエイトみたいです(笑)。……よし、この青い目にします!うわー、目がついた瞬間、急に「生き物」になりました。

国本さん:青い目、似合ってますね。最後に糸で口をつけて、革を五角形に切って作った鼻を貼れば完成です。

DMM:鼻を革で作るのも細かいですね! 五角形に切るのが震えます……。 DMM:……やった。ついた! 完成しました!

国本さん:おめでとうございます! 初めてにしては上出来ですよ。最後にリボンをつけてあげましょう。

DMM:ありがとうございます! いやあ、自分だけのクマだと思うと、愛着が湧きすぎてやばいです。「我が子」って感じです(笑)。

作ることの面白さをたくさんの人に体験してほしい

——お疲れ様でした!約3時間という長丁場でしたが、実際に作ってみてどうでした?

DMM:想像以上に奥が深いことに驚きました。最初はモール3本でできると聞いて「簡単な工作かな?」くらいの気持ちだったんですが、実際はパズルのように頭を使うし、指先の技術も必要で。

国本さん:そうですね。基本は工作に近いんですけど、プラモデルのディテールアップをするような、メカニカルな組み立てに近い感覚かもしれません。「モールベアと動物と小さな世界」の会員さんはほとんど女性なのですが、意外と男性にも向いていると思います。

DMM:確かに! 構造を理解して緻密に組み立てていく感じは、プラモデル好きな男性は絶対ハマると思います。慣れてきたら、自分の好きなヒーローを作ったりするのも面白そうです。

国本さん:実際、そういう楽しみ方もできますよ。道具も少なくて済むし、場所も取らない。夜にお酒を飲みながらちょっと楽しむ、といった大人の趣味としても最適なんです。 ——国本さんは長年モールベアを作られていますが、一人で作るのとサロンで皆さんと作るのとで違いはありますか?

国本さん:全然違いますね。いろんな人と作ると新しい発見があるんです。会員さんのやり方を見て「あ、こっちの方が作りやすいな」と気づいて、僕自身の教え方がアップデートされることもあります。  

 

——教えることで先生自身も進化されているんですね。

国本さん:あと、会員さんと特定のテーマを決めて、ストーリー性のあるモールベアづくりをすることもあるんです。 ——それも楽しそう!サロンでは、今後どのようなことをしていきたいですか?

国本さん:若い人や子育て中で外に出られないお母さんたち、そして男性の方々にも楽しめる場所にしたいですね。オンラインだけでなく、こうしてオフの場に集まってワイワイ作るのも楽しみたいです。みんなで作ったクマをずらっと並べて、写真撮影会もしたいな。

DMM:それは最高ですね! 今日僕が作ったこの子も、オフィスのデスクに飾って可愛がりたいと思います。

国本さん:モールで芯に金属が入っていますから、マグネットのようにくっつけて飾るのもおすすめですよ。

DMM:それは最高ですね!パソコンにくっつけようかな(笑)。

国本さん:ぜひ可愛がってあげてください。


モールベアは、作る人によって顔も形も全く違うものになります。この記事を読んで興味を持ってくださった方は、ぜひ一度、この「3本のモールから生まれる奇跡」を体験してみてください!

Harpy(ハーピー) - モールベアと動物と小さな世界 - DMMオンラインサロン
Harpy(ハーピー) - モールベアと動物と小さな世界 - DMMオンラインサロンえ?これは本物のテディベア?と思うほど精密で可愛らしいテディベアが作れます。大きさはなんと約3cm!同じ技術を使って様々な動物も。国内外で人気の国本先生によるワークショップ。小さな動物に合わせて小物も作る予定です!
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