毎日の食事を見直したいけれど、忙しくて料理に時間をかけられない。何から始めればよいのか分からない。そんな方に、手軽につくれる料理を伝えているのが、腸活料理研究家の「むっち」こと加藤睦美さんです。
料理教室や飲食店で人と向き合ってきた加藤さんは、オンラインサロン「むっふぁみ-muffami-」も主宰しています。サロンの紹介に掲げるのは、「1人にしない、させない。」という言葉。料理の原点から、日々の食事で大切にしていること、人とのつながりに込めた想いまで伺いました。

むったく株式会社代表取締役・料理研究家。幼少期から料理に親しみ、高校卒業後は飲食店や大学・学生寮などで食に携わる。2人の子どもを育てながら30歳で料理教室を開き、累計1,500人以上に料理を伝えてきた。43歳で腸活レストラン「むったく。」を開業。2023年にはプロバスケットボール選手の食事を担当し、2024年にはパリオリンピックのバスケットボール日本代表団に食事サポートのため帯同。現在はオンラインサロン「むっふぁみ-muffami-」を主宰し、手軽につくれる腸活料理を伝えている。
母の笑顔がうれしかった。料理を好きになった原点
ーーまず、これまでの活動について教えてください。
加藤さん: 30歳で料理教室を始め、その後、腸活レストラン「むったく。」を開業しました。スポーツ選手の食事を担当する機会もありました。
手軽につくれる腸活料理をもっと多くの方に届けたいと思い、オンライン料理教室も始め、現在はオンラインサロン「むっふぁみ」を主宰しています。
ーー料理に目覚めたのは、小学校低学年のころだそうですね。どのようなきっかけだったのでしょうか?
加藤さん: 母は専業主婦で、いつも台所にいるような人でした。そんな母が料理をつくる姿に憧れていたんです。
私が手伝うと、母が笑顔になって褒めてくれる。それがうれしくて、「料理をすると母が喜んでくれるんだな」と思ったことを、今でもよく覚えています。最初は褒められたくて、母のやり方を見ながら、自分でもいろいろつくるようになりました。
子どもを褒めることって大事ですよね。うれしくなって、またやってみようと思える。自分の経験からも、そう感じています。
ーー料理が好きだったところから、腸活料理を伝えるようになったきっかけを教えてください。
加藤さん: 最初から腸活を意識していたわけではなく、もともとは料理が好きで、手づくりの食事を大切にしていました。自分自身の食事を見直した経験もあり、料理教室を続けるなかで、使う食材にも目を向けるようになったんです。
大きなきっかけは、親友を亡くしたことでした。身近な人との別れを経験して、毎日の食事を改めて大切にしたいという想いが強くなりました。
飲食店を始めてからは、がんなどの病気を抱える方と接する機会もありました。そうした出会いを通じて、今の自分を大切にすることや、日々の食事に目を向けるきっかけを届けたいと思うようになりました。
おいしさや楽しさも大切に。忙しい日にもつくれる料理を

ーー料理を伝えるうえで、大切にしていることは何ですか?
加藤さん: 今は、食事は幸せを感じられるものであってほしいと思っています。
以前は私自身、考え方がすごく固くなって、「あれもダメ、これもダメ」と言っていた時期がありました。
でも、食べて「楽しい」「おいしい」「幸せだな」と感じることも大切にしてほしい。ここ数年は、そうしたことも意識するようになりました。
それから、忙しいお母さんたちが多いので、料理にかかる時間を短くすることも大切にしています。手の込んだ料理もできますが、今は、手軽につくれるものを中心に伝えています。
ーー手軽につくるために、どのような工夫をされているのでしょうか?
加藤さん: 「ズボラ」も、私の料理のテーマなんです(笑)。電子レンジを使うレシピはありませんが、手軽につくれるように工夫しています。
たとえば、あらかじめ合わせておけるタレを教えています。醤油やみりん、酒、ニンニク、生姜などを合わせたもので、そのタレに何を組み合わせると、どんな料理になるかを伝えるんです。
鍋をスケールに載せて、水、タレ、野菜を入れる。そんなふうに、鍋に直接計量しながら材料を入れてつくるレシピもあります。作業にあまり時間がかからないものが多いですね。
ーー料理が苦手な方にも、取り入れやすそうですね。
加藤さん: 「料理ができない」と思っている方にも来てほしいです。できないというより、つくり方を知らないだけということもあると思うんです。
「こんなに簡単にできるんだ」と知ってもらいたい。初心者の方にも伝わるようにしていきたいですね。
遠くの人にも料理を届けたい。オンラインで広がったつながり
ーー対面の料理教室から、オンラインへ活動を広げたきっかけを教えてください。
加藤さん: 対面で料理教室をしていたころ、県外の方からも「料理を習いたい」というお問い合わせをいただいていました。
ただ、私はオンラインのことに疎くて、直接会うことを大切にしていたんです。
そんなとき、周りの方から「オンラインで始めたら、県外の人にも届けられるよ」と勧められました。確かにそうだなと思って、人の助けを借りながらサブスクリプションを立ち上げたのがきっかけです。
ーー実際に始めてみて、どのようなことを感じましたか?
加藤さん: 直接会えるのが一番だという気持ちはありますが、オンラインで活動することで、広がりを感じました。つながりも増えましたね。
会っていなくてもやりとりをしてくださる方がいますし、それまで出会えなかった人たちと知り合える。そうしたところに、オンラインならではのよさを感じています。
「1人にしない、させない。」料理の先にあるコミュニティ

ーー「1人にしない、させない。」という言葉には、どのような想いを込めていますか?
加藤さん: これまで料理を通して人と関わるなかで、孤独を感じている方や、人とのつながりを求めている方がいることに気づいたんです。
もともと知り合いではなかった人たちが、私の活動をきっかけに出会って、家族のような関係になっていく姿も見てきました。同じような悩みを持つ人と知り合うことが、心の支えになる場合もあります。
料理を学ぶことだけでなく、誰かと話したり、悩みを分かち合ったりすることにも意味がある。そうしたつながりを、もっと広げていきたいと思っています。
ーー料理を学ぶこと以外にも、参加する理由があるのですね。
加藤さん: そうなんです。料理を習いたくて入ったけれど、「前のレシピも、まだつくれていません」という方もいらっしゃいます。
それでも参加を続けてくださる方を見ると、料理だけでなく、人とのつながりも求めているのだと感じます。会うことで悩みが少し軽くなったという声もあって、料理以外のところでも、いいつながりが生まれているんだなと思います。
ーー料理については、どのような声が届いていますか?
加藤さん: それまで料理をつくらなかった方が、つくるようになったという声があります。そこから料理にはまって、いろいろつくってくださる方も増えました。
子どもが食べるようになったという声をいただくこともあります。家族が喜んでくれると、つくる側もうれしくなって、またやってみようと思える。そういうサイクルができたらいいなと思っています。
ーー忙しい毎日のなかで、食事をつくることが負担に感じる方もいると思います。そうした方に伝えたいことはありますか?
加藤さん: 料理は、どうしても「面倒くさい」という気持ちが先に出てしまいますよね。でも、自分の体に入れるものを面倒だと言うのは、自分自身に失礼ではないかと思うんです。自分を大切にすることとして、食事にも目を向けてほしいと思っています。
だからこそ、私も手軽につくれる料理を伝えています。つくり方さえ知っておけば、できることはあります。その手軽さを、まず知っていただきたいですね。
自分を大切にすることから。これからの「むっふぁみ」

ーー今後、どのようなことに取り組んでいきたいですか?
加藤さん: 会員さんのなかには、新しい仕事や活動を始めて頑張っている方もいます。そうした方を紹介したり、一緒に発信したりして、そこからも新しいコミュニティが生まれたらいいなと思っています。
それから、悩みを話せる場所にもしていきたいです。親しい人にも言えないことがあったり、人に話すこと自体が苦手だったりする方もいますよね。そうした方にとって、心のよりどころになる場所であってほしいと思っています。
ーー最後に、入会を検討している方へメッセージをお願いします。
加藤さん: まず、自分自身を大切にしてほしいと思っています。お母さんたちは子どもを優先しがちですが、自分を大事にすることが、子どもを支えることにもつながると思うんです。
長年続けてきた食生活を見直すには、時間も必要です。一度つくって終わりではなく、まずは数か月、料理を続けながら、食事や自分の体に目を向ける時間にしていただけたらうれしいですね。



