副業は誰もが取り組むべきものではない
副業はあらゆる人をハッピーにする「万能薬」ではありません。
「万能薬」どころか、副業をはじめることでむしろ不幸になってしまうケースすら存在します。
HARES COLLEGEも含め、月間100人以上の方の副業・複業の相談に乗らせていただく中、「悪いことは言わないから、辞めておくことをオススメします」とお伝えするケースも多々あります。
筆者自身、しばらくは会社員をやりながら、仕事の合間の時間を縫って、時に苦しみながら複業を続けていました。「パラレルキャリア」で幸せになれる人と、なれない人とでは何が違うのでしょうか。
「副業」と「複業」の違い
一般的には「副業」という表現を用いますが、筆者が「フクギョウ」について語る時は、「複業」という表記を用いています。
では、そもそも「副業」と「複業」とでは、何が同じで何が異なるのでしょうか。
「本業」(多くの場合が、フルタイム正社員として従事している業務のことを指します)とは別に、他の会社に雇用をされる形で、または自ら個人事業主として活動を行う、という点では「副業」も「複業」も同じです。
一方で、「副業」と「複業」とでは、位置付けと対象と目的の3つの観点で異なります。
まずは位置づけ。「副業」では、その活動はあくまでサブ=副次的なもの。優先順位は主業に比べて断然低いです。他方で、「複業」の場合は、いわゆる本業との主従関係はなく、全て並列的な存在です。「パラレル(平行・並列)キャリア」と呼ばれる所以です。
次に対象。「副業」の場合は、収入を得られる業務のみが対象となりますが、「複業」の場合はその範疇に止まりません。金銭的な報酬が得られる活動はもちろん、NPOなどでのボランティア活動やPTAのような地域活動、家事・育児や介護など、あらゆる価値創造活動が対象となります。
最後に目的。これが一番重要なのですが、「副業」が文字通り副収入を得ることのみを目的としている一方で、「複業」では、副収入を得ることに止まらず、その活動を通じて自分らしい生き方を実現することや、本業のみでは得られない人とのつながりを獲得したり、経験・実績を積んだりすることで、オリジナリティ溢れるキャリアを形成する、といったことが目的になります。
単なるお小遣い稼ぎを目的とした「副業」よりも、人生を充実させ、新たな価値を生み出すことを目的とした「複業」を、筆者は推奨・推進しています。
ラクして稼ぎたい人は要注意。「不労所得」が口癖のヤツに気をつけろ!
「副業」をあまり勧めないのには、理由があります。それは「ラクして稼ぎたい」という欲求につけ込んだ悪質なビジネスに引っかかってしまう可能性があるからです。
事実、「副業に興味がある」という方のうち、実に約9割が「収入を増やしたい」という金銭的な理由がきっかけで副業に興味を持っています。それ自体は何も悪いことではなく、ごく自然な欲求です。
ただ、人間という生き物は、我々が思っている以上に合理的、いえ、怠惰な動物で、できる限り「ラク」をして稼ぎたいと思ってしまうものです。
その結果、「本業でいくら頑張っても給料が上がらないなら、副業で稼ごう」という思考になるのです。
ただ、残念ながら「ラクして稼ごう」という志向では、副業とはいえ、否、副業だからこそ、上手くいくワケがないのです。
本業であれ、副業であれ「発揮・提供したバリューに見合った報酬が得られる」というのが、ビジネスの本質であり、原理原則です。
これだけビジネス環境が熾烈を極める今、本業では誰もが一生懸命、努力に努力を重ねているにもかかわらず、なかなか思うように成果が上がらなかったり、給料が上がらずに苦労をされていらっしゃることでしょう。
そういった状況の中においては、よほど独自性のあるビジネスモデルでない限りは、本業に比べて限られた時間しか投資できない副業は、小銭稼ぎ程度が関の山です。
昨今の「副業ブーム」に乗じて、一部の副業サークルでは「ラクして稼げる!」「不労所得」といった、耳障りの良いキーワードを宣伝していますが、これらの多くは「ウソ」だと思っていただいて構いません。
そうした耳障りの良い謳い文句に魅了され、「副業」として怪しいネットワークビジネスや情報商材屋さんを始め、お金を稼ぐどころか、友人からの信用・信頼を失って、後悔している方も少なくありません。
その複業に「目的」はあるか?複業の5つのメリット
上述の通り、「ラクして稼ごう」という動機から副業をはじめると足元を掬われてしまいます。「副収入のみ」を目的とした副業では、幸せになれないケースも多いです。それ以外の目的意識を持って複業に取り組むことが、幸せなパラレルキャリアへの近道です。
では改めて、複業のメリットをいくつかご紹介します。
1、副収入を得ることができる
会社員として給料を月額5万円あげるのは至難の業ですが、副業で月5万円稼ぐことは、さほど難しいことではありません。「ラクして稼ごう」という心持ちではうまくいきませんが、マーケットのニーズを捉えて自らのスキルを価値に変えることで、数万円〜十数万円の副収入を得ることも可能です。
2、やりたいことに挑戦できる
どんなに優秀な方でも、会社員である以上、「どんな部署でどんな仕事をするか」について、全て自分の思い通りにすることは難しいものです。「こんなことをやりたい!」という提案をしても、「そのアイデアで、一体いくら利益を出せるの?」と聞かれて何も言えなくなってしまうことも。
複業ならば、誰の指図も受けることなく、100%自分がやりたいことに挑戦することが可能になります。本業でなかなかやりたいことに取り組めていないからといって嘆いたり、安易に転職を考えるのではなく、「複業でできないだろうか?」と考えてみることをオススメします。
3、スキルアップができる
複業を通じて得られるものとして、やはり「スキルアップ」は欠かせないでしょう。
本業だけでは得られないスキルや知識を得るために、本を読んだり、セミナーに参加したり、社会人大学院に通うなど、インプットを積極的に行うことは非常に良いことです。
ただし、ただ闇雲にインプットするだけではスキル・ノウハウとして自分の中に蓄積することはできません。インプットした知識をきちんとアウトプット、実践することを通してのみ、スキルアップが可能になるのです。
社外で学ぶことの多くは新領域のテーマ・分野で、本業ではすぐに実践の機会が得られないケースも多いです。その場合は、「複業」でまずは実践してみることによって、本当のスキルに変わり、そのスキルが将来的には本業でも活かせる可能性もあります。
4、視野が広がり、アイデアの種との出会いが増える
自宅と職場の往復だけだと、「会社の常識が世間の常識」であると錯覚してしまいますが、「複業」で第三、第四のコミュニティを持つことで、実に多様な人、多様な価値観が存在することに気づくことができます。
視野が広がることで、本業とは異なるビジネス領域での成功事例の要因を抽出し、本業のアイデアに活かす、といったことが可能になるのです。
5、かけがえのない仲間とのつながりができる
個人的に、4年前に複業を始めて以来、一番感じているメリットがこちら。会社員として、自社内にとどまっているだけでは出会えない人と出会い、複業というプロジェクトに一緒に取り組む中で、利害関係を超えた「絆」が生まれることも少なくありません。
なぜなら、本業では会社員として「やらなければいけないこと」というタスクに基づいて行動するのに対して、複業の場合は「やりたいこと」という価値観に基づいて行動するケースがほとんどのため、同じ価値観やビジョンを持ったかけがえのない仲間と出会える確率が高まるのです。
「好き」と「得意」で稼ぐ複業家のために
以上、「副業」では得られない「複業」ならでのはメリット5つをご紹介しましたが、いかがでしたか?
これからのキャリアを考える上で、2つ以上当てはまるものがあれば、ぜひ複業にチャレンジしてみてください。
『HARES COLLEGE』は、そうした「好き」と「得意」で稼ぐ複業家のためのオンラインサロンですので、ご興味ある方はぜひ参加してみてくださいね。
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