発売半年で12万部を突破したベストセラー書籍『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門』。その著者・三戸政和さんが運営するオンラインサロンが、「サラリーマンが300万円で小さな会社を買うサロン」です。
サラリーマンが会社を買ってオーナー社長に?労働対価ではなく資本家として稼ぐ?個人M&Aのスタンフォード大学を目指す?今までの”働く”という概念を根底から覆すキャリアのあり方について、三戸さんに詳しくお話を伺いました。
大廃業時代と終身雇用の崩壊を乗り越えるために
――まずは、三戸さんのご経歴を教えてください。
元々はソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)というベンチャーキャピタル企業に勤めており、日本やシンガポール、インドでベンチャー投資やM&Aを行っていました。2011年には兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。そして、ロンドンで神戸ビーフのプロモーション会社の立ち上げに関わった後、現在代表を務めている日本創生投資を創設しました。事業内容は、中小企業に対する事業再生や事業承継に関するバイアウト投資です。
――M&Aは大企業がするイメージですが、個人でもできるものなのですか?
もちろんです。サラリーマンでもM&Aはできます。そもそもM&Aとは、会社の株式を100%買い取り、自分自身で経営するか、配当金という形で投資に対するリターンを得る、もしくは会社の業績を伸ばしてから売却してキャピタルゲインを得るために行うものです。一般的には大企業が事業拡大のために行うイメージのあるM&Aですが、中小企業や個人にも大きなメリットのあるものなんですよ。
――なぜ今、個人M&Aに注目すべきなのでしょうか。
現在、日本は「大廃業時代」を迎えています。中小企業の多くが後継者問題に直面しており、70代の社長の43.7%、80代の34.7%が後継者不在となっています。息子が大学進学とともに上京して地元に戻ってこない。従業員の中に事業を引き継げる人材がいない。このような理由から廃業せざるを得ない状況にある企業は、この10年ほどでなんと126万社にも上るのです。これらの企業は従業員数が10人程度と規模が小さいことが多いため、大企業はM&Aで手を出しません。なので、サラリーマンや中小企業が買おうじゃないか、ということなのです。
また、サラリーマンの終身雇用制度はもはや崩壊しています。そのような中で人生100年時代と言われるようになり、リタイア後に20年も働く必要が出てきました。これを受けてサラリーマンも副業をしようということが盛んに言われるようになりましたが、ビジネスキャリアや老後のやりがいといった課題は、個人M&Aでも解決するのではと考えています。今、廃業問題を抱えている会社は何十年も事業を継続しています。そのような会社に、今までサラリーマンとして培ってきたノウハウを注入すれば、より成長させられる可能性が高いんです。
労働対価ではなく、資本家として稼ぐ
――サラリーマンがM&Aを行うメリットは何なのでしょうか。
まず、サラリーマンでも資本家になれるということです。サラリーマンは自分の労働に対する対価しか得られないため、大企業であっても時給3,000円~5,000円程度の稼ぎが限界です。どれだけ頑張っても時給が何十万、何千万にはならないので、稼げる金額は知れているんですね。
例えば、ソフトバンクの孫正義さんの社長としての年間報酬は約1億3,000万円です。年間労働時間の2,000時間で割ると時給6万円くらいで、優秀な弁護士やコンサルタントと同程度しか稼いでいません。そんな孫さんがなぜ儲かっているかというと、筆頭株主としての株式の配当金が年間100億円もあり、2兆円の株式を保有しているからなんです。今話題のZOZOTOWNの前澤友作社長も同じですね。孫さんも前澤さんも、労働対価だけで生きていたら大して稼げていないんですよ。企業は株主への説明責任があるので、日本で役員報酬を何十億と設定するのは現実的ではありません。
一方で、筆頭株主になることで時給ではない発想で儲けることができるようになるのです。彼らほどの資本家になるのは中々できないことですが、個人M&Aで会社を買えば同じようなことが実現できるのです。資本主義で稼ぐためには、誰が儲かるのかという基本的な社会構造を理解することが重要です。
――「稼ぐ」という概念が大きく変わりますね。個人M&Aに必要なスキルやキャリアはありますか?
基本的にはありません。私のツイッターを見て個人M&Aに興味を持ち、著書を読んでアクションを起こしてくれた人がいるのですが、彼は某大手企業の新卒2年目、わずか25歳でした。社会人経験が浅く、特別なマネジメントスキルがある訳ではありません。しかも、本業とは関係のない業界の企業を買収した上、ゆかりのない地方にあるため土地勘もなし。信用金庫からお金を出してもらっているので、手金も一切出していません。それでも今も買収した企業のオーナー社長をやっており、上手く運営できていますよ。
元々、彼は高校生の頃から起業したいという思いがあったそうです。しかし、個人M&Aの方が確実に成果を出せると考えて実行したとのことでした。なので、「資本家になりたい」「自由度の高い生き方をしたい」というモチベーションの強い人なら実現できると思いますよ。
サラリーマンでもオーナー経営者になれる
――オーナーになったらどのような仕事をすることになるのですか?
株主業であれば仕事は一切ありません。配当金を得るだけです。M&Aをした会社で社長業を行う場合は、多少のマネジメントは必要になります。ただ、何十年も続いている企業の社長は基本的にそんなにやることがないんですよ。稟議や銀行からの借り入れなど、重要なポイントで判断していくだけです。今勤めている会社の社長をイメージしてみてください。毎日現場を走り回ってはいませんよね?社長は何かトラブルがあった時に動ける状態じゃないと、リスクが大きいんです。社長が働き詰めの会社は逆に危険とも言えますね。
私がオーナーを務めている売上4~5億円規模の会社があるのですが、ここ4ヶ月は会社に行っていません。役員などが中心に業務を進めてくれているので、私は会社に行く必要がないんです。やることと言えばメールで届いた稟議書を確認するくらいで、この規模の会社ですら仕事に費やす時間は月に3~4時間程度。だから、本業のあるサラリーマンでもできるんです。もちろん、オーナーになって最初のうちはよそ者な訳ですから、お互いに理解を深める必要はあります。ですから、最初の2か月くらいは有休をとりながら活動し、相互理解を深めていけば、後は上手く回していけるはずですよ。
――個人M&Aの具体的な進め方を教えてください。
一般的には、各都道府県の商工会議所に設置されている事業引継ぎセンターに相談したり、オンラインのM&A仲介サービスを利用したりして、企業を探していくことになります。
しかし、一番のおすすめは取引先や仕入れ業者からM&A候補企業を見つけることです。自分がよく知っている会社の方がマネジメントしやすいので、後継者に悩んでいる取引先には声をかけておくべきです。そこから今すぐ承継というケースはあまりないですが、何年後かに具体的な話が進み始めるかもしれません。
あとは、仕事の関係者や親族など身近な人に「会社を買おうと思っている」と伝えていくことが重要です。年賀状やSNS、名刺、メールの署名欄に記載するのもいいでしょう。そうすることで、「こんな会社があるけど話を聞いてみない?」と、少しずつ情報が集まり始めるはずです。まずはフラッグを立てることから始めましょう。
――M&A候補企業を見つける際に重要なポイントはありますか?
売上の構成を見ることですね。単発の案件ばかりで売り上げている企業は、社長が変わったら業績が落ちてしまうリスクがあります。一方、安定した取引先が複数あり、過去数年に渡って継続して利益をあげている企業は今後にも期待できるでしょう。
個人M&Aの超中立アドバイザーとして
――オンラインサロンメンバーのM&Aの実績を教えてください。
サラリーマンをしながら、350万円でレストランを買った30代の男性がいます。オーナー経営者として営業時間などをてこ入れし、売上を2倍に伸ばしました。順調に店舗数を増やしていったのですが、売上が頭打ちになったため、次は店舗を経営する会社の売却に向けて動いているようです。
会社を買ったらいつまでも経営し続けなければならないという訳ではなく、ある程度のところまで成長させてから、売却してキャピタルゲインを得るという選択肢もありなんですよ。
――オンラインサロンではどのような活動をしていますか?
個別の案件に対するコンサルティングが中心です。M&Aを進めると様々な問題が出てきますが、交渉条件などの判断基準が分からず悩むことが多いです。そのような際に、このケースではこうだと中立の立場からアドバイスしています。
M&Aでは中立で話をできる人がいないんですよ。M&A仲介会社のフィナンシャルアドバイザーは、成果を出すためにクロージングさせる必要があるため、どうしてもアドバイスにビジネスの要素が入ってきてしまうんですね。でも、会社を買うということは、ほとんどの人にとっては一世一代の決断なんです。その条件が本当に適切なのか、判断を誤ってしまうと数千万円損してしまうこともあり得ます。そのようなシーンで利害関係なく完全に中立的な視点で、金額や交渉条件の判断基準をアドバイスできるのは、このサロンをおいて他にありません。
判断基準をまとめた本を書けばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、M&Aは個別具体的なケースによって判断基準が全く違うんですよ。ですから、一般論を当てはめるのは非常に難しく、だからと言ってケーススタディを全て引用するのは現実的ではありません。このオンラインサロンなら、案件ごとに柔軟にアドバイスできるので、我ながらものすごく価値のあるサロンだと思いますよ。中には、一般論を教えるだけで数十万円とるようなセミナーもあるくらいですからね。
あとは、交渉時に必要な考え方や売却の動き方といった基本的なノウハウを共有したり、サロンのメンバー同士で交流を持ったりもしています。また、共同でM&Aを行う企業をサロンメンバーで立ち上げることになり、今後が非常に楽しみですね。先に述べた、25歳で会社を買った彼も入って、次なる買収の準備をしています。
「個人M&Aのスタンフォード大学」を作りたい
――とても良心的な活動ですね。なぜそこまでするのですか?
個人M&Aを通して、日本社会をもっと良くしていきたいのです。私がいたベンチャー投資の世界は、10年ほど前から起業家と投資家を結びつけるカンファレンスなどが出てきて、ベンチャー投資の生態系が出来上がりました。しかし、個人M&Aはまだ未開拓の分野です。これから生態系を作っていき、私がその第一人者になれればすごく面白いと思っているんですよ。大廃業時代や終身雇用の崩壊、人生100年時代と、日本社会には課題が山積しており閉塞感が漂っています。その社会問題に一石を投じて、日本の未来を作っていけるといいですね。
――今後の目標について教えてください。
「個人M&Aのスタンフォード大学」を作りたいです。スタンフォードは、優秀な起業家がどんどん輩出されるプラットフォームとなる大学を創設し、シリコンバレーができて経済と社会を大きく活性化させました。
そのようなイメージで、このオンラインサロン出身者が何千、何万の会社を買い、日本の社会を明るくしていってほしい。そして、私がその集団の先鞭となることができれば、これほどワクワクできて面白いことはないと思うんです。
個人M&Aで日本をもっと良くしたいと語る、三戸政和さん。その力強い眼差しと壮大なスケールの目標に、思わず胸が熱くなってしまいました。
人生100年時代に新しいキャリアを模索したい。資本家として大きく稼ぎたい。日本の社会と経済を盛り上げたい。そう考えている方は、オンラインサロン「サラリーマンが300万円で小さな会社を買うサロン」にぜひご参加ください。個人M&Aに関する有益なアドバイスがもらえるだけでなく、日本の未来を明るくする仲間たちと出会えるに違いありません。