10月29日に行われた女性起業家サロン恒例・特別対談イベント。今回はゲストに株式会社OWNDAYS代表取締役社長 田中修治さんを招き、「事業再生を成功させる方法」をテーマにお話を伺いました。
田中修治さんプロフィール
10代の頃から起業家として活動。2008年に巨額の債務超過に陥り破綻していたメガネの製造販売を手がける株式会社OWNDAYSに対して、個人で70%の第三者割当増資引き受け同社の筆頭株主となり、同時に代表取締役社長に就任。2013年にはOWNDAYSシンガポール法人、2014年にはOWNDAYS台湾法人を設立し、同社代表取締役社長に就任。現在、11か国260店舗展開(2018年8月末現在)し、独自の経営手法により、事業拡大と成長を続けている。
女性起業家サロンとは?
オンラインベビーシッターサービス「キッズライン」代表・連続起業家の経沢香保子主宰の会員制オンラインサロン。「起業で社会を変えたい」と目指す女性起業家のためのプロジェクトや勉強会を開催。月に一回ホットな人物を招いてコラボ対談イベントを実施している。
今回、サントリー様にご協賛いただき、オールフリー コラーゲンリッチを参加者にお配りしました。
嬉しいコラーゲン2000mg!ノンアルコールビールテイスト飲料で初めて、マザーズセレクション大賞受賞した商品です。
対談イベント後に行われた経沢さん参加の飲み会でも、コラーゲンリッチで乾杯しました!
当日は経沢さんも、メガネモチーフがあしらわれたスカートを着用されていました。サロンメンバー入澤あきこさんのコーディネートです。素敵!
株式会社OWNDAYS代表取締役である田中修治さん。2018年9月にはOWNDAYS買収・再生の実話を元にしたビジネス小説「破天荒フェニックス」を執筆・出版し、ベストセラーとなっています。
本書ではOWNDAYS買収から数々のピンチを乗り越え、再生に至るまでのストーリーが赤裸々に綴られています。今回は破天荒フェニックス出版のきっかけや、書籍内では語られなかったストーリー、また「なぜそこまで破天荒に指揮を取れるの!?」など、様々なお話を伺いました。
破天荒フェニックス執筆のきっかけは「ファンづくり」のため
田中さんが「破天荒フェニックス」を執筆・出版されたきっかけはファンづくりのため。ライバル企業の牙城を崩すためにはテレビCMや広告を打つ手もありましたが、それには莫大な費用がかかります。
田中:テレビCMはいわゆる投網漁。最後にモリで刺すためのファンが必要なんですよね。
そのためOWNDAYSがまず始めたのは、社員のSNS発信の解禁。ツイッターやインスタなどで「会社のことなら何でも投稿していい」と伝えたのだそう。
田中:iPhoneが分かりやすい例。誰かが「iPhone買おうかな」と言った時に、周りのアップルファンが「絶対買ったほうがいいよ」と推してくるじゃないですか。
SNS発信を解禁して社員を「地域の人気者」にすることで、徐々にOWNDAYSファンが増えていったといいます。その中で「俺も何か(ファンづくりを)やらないとな」と考え思いついたのが、「破天荒フェニックス」の執筆だったのだそう。
破天荒フェニックスは再生ストーリーのベスト盤
破天荒フェニックスがベストセラーになったのは、計算し尽くされた戦略に理由がありました。 本書には田中さんがネット上で週に1度配信してきた、OWNDAYS再生のエピソードが集約されています。しかしボリュームの関係上、全てのエピソードを本に入れることはできません。 そこで田中さんは本に集約するエピソードを選ぶ際に、ネット上で読者の反応が良かったものを選んでいったのだそう。 田中:正直僕がどういう風にOWNDAYSを再生していったのかとか、みんな興味ないと思ったんですよね。初めは会社名とか全て匿名にして、「海賊と呼ばれた男」のようにしようと考えていたくらいです。 いわゆる「自分の本」ではなく、「読者にウケる本」に仕上げた破天荒フェニックス。OWNDAYS再生ストーリーのベスト盤と言えます。 また本の内容だけでなく、文字数や本の厚み、価格なども、これまでベストセラーとなったものの型を参考に、緻密に計算していったのだそう。破天荒なベストセラーの裏には、かなり戦略的な取り組みがあったのですね……。 田中:僕に言ってもらえればいつでもベストセラー作りますよ(笑)。運命は錯覚。自分が全力を出せる選択肢を選ぶ
破天荒フェニックスの中で繰り広げられる田中さんの破天荒っぷりは、本の発売当初から話題です。例えば資金ショートをギリギリで乗り越えた矢先、シンガポールへの出店を決めるなど……。「そこでそれやっちゃうの!?」とハラハラした読者も多いのではないでしょうか。
ではそのような破天荒な決断を、田中さんはどう下しているのでしょう?
田中:例えばAとBの選択肢があった場合、みんなはどっちかが正解でどっちかが不正解って、まるで運命が決まっているように言うじゃないですか。でもそれは錯覚なんですよ。
つまり田中さんにとって「選択肢に正解はない」と。その上で選択肢を選ぶ際は「どっちを選んだほうが自分が全力を出せるか」を基準にするのだそうです。
田中:結局は別にどっちを選ぼうが天国にもなるし地獄にもなる。大事なのは選択した後に「自分が選んだ道が正解だった」と思える努力をできるかどうかなんで。
シンガポールへの進出も、「ライバルのいない新天地だからこそ自分はコミットできる」と感じ決断したのだそう。
海外進出は実は楽だった!?
今や11カ国に店舗を展開するOWNDAYS。最初の海外進出はシンガポールでした。破天荒フェニックスの中では日本語が通じない中での店づくりに苦労したエピソードが書かれています。
しかし、今回田中さんからは「実は逆に(海外進出は)楽だったんですよね」と驚きの発言が。なぜかと言うと、日本語が通じると言葉の裏に隠された真意にまで思いを馳せてしまい、疑心暗鬼になってしまうからなのだそう。
田中:「社長俺頑張ります!」と言われても、「とか言ってこいつほんとは辞めるんじゃないか?」って思っちゃうじゃないですか。
そう言った意味で、英語や中国語でコミュニケーションを取るので精一杯な海外進出は、ある意味気が楽だったといいます。
夢は総選挙で社長を決めること!
OWNDAYSは面白い人事の仕組みをとっている組織としても話題です。例えば「インフルエンサー採用枠」。この採用では、インフルエンサー手当として基本給プラス5万円が支給されるのだそう。 今回はそんなOWNDAYSの取り組みの中でも、「上司を総選挙で決める制度」について伺いました。 田中:(総選挙制度は)メリットしかないですよ。デメリットはない。どこの会社もやった方がいいと思う。 そもそも田中さんが選挙制度を取り入れたのは、「会社で働く上で一番不満が出やすいのは人事権」と実感していたから。社内に派閥ができると厄介で、「俺○○派閥になっちゃったからゴルフやらなきゃ……」など、社員から愚痴が出るようになるのだそう。 そこでOWNDAYSでは経営陣だけは社長が決め、その他は基本的に年に1回の投票で決めるようにしました。 田中:最終的には社長選挙をやりたいんですよね。自分たちが選んだリーダーで3年任期とかにして。その都度「社長ダメだ」と思ったらまたひっくり返せばいいんじゃない、みたいな感じで。 選挙によって社長が選ばれる会社なんて、とてもユニークですよね。田中さんなら高い支持率で再選を果たしていきそうですが……。会社経営に民主主義は合わない
イベント後半は恒例の質問コーナー。今回もサロンメンバーやイベント参加者の方々から質問が寄せられました。その中でもっとも印象的だったのが、「友人同士で会社をやっていく上でフラットな関係を続けていくには?」という質問に対する回答です。
田中さんはこの問いに対し「やめておいた方がいい」とバッサリ。その理由として「会社経営に民主主義が合わない」ことを挙げていました。
田中:ある程度独裁してやらないと特に会社は無理。みんなでやろうと言っている時点で自分の弱さの裏返しなんですよ。
また会社がある程度の規模になるまでは、経営を始め経理や人事も全て社長が手がけて把握できるようにすべきなのだそう。
田中:会社のこと把握していないと、誰かが何かやらかした時に、「これは俺がやるからお前はもういらない」って言えないじゃないですか。
キャッシュフローが苦しくても順番を間違えてはいけない
質問の中には、会社のキャッシュフローが苦しい時の乗り越え方を問うものもありました。
田中:お金の支払いは順番がちゃんとある。その順番をちゃんと守ること。
田中さんによると、優先すべきは社員の給料や取引先への支払い。社員を切ったり支払いを後回しにしたりしてお金をどうにかしても、根本の解決にはならない、と。それが原因で会社の信用が落ちてしまったり会社の体力が無くなったりすると、元も子もないのだそう。
対談の中では具体的なリスケや資金繰りの方法も語っていただきました。気になる方は女性起業家サロン内のアーカイブ動画でぜひお聞きください! サロンに入会すると視聴できます。
今後も目が離せないOWNDAYS
今回のイベントではこの他にも、本の中では語られなかった壮絶なエピソードを聞くことができました。数々の試練を乗り越えたOWNDAYSだからこそ、今や11か国250店舗を展開する企業にまで成長したのですね。
またイベントの終わりには「近日中にビッグなお知らせがあります」と宣言していた田中さん。その言葉の通り、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン系列の投資会社 Lキャタルトン・アジアと、三井物産企業投資から出資を受けることを11月に発表しました。Lキャタルトン・アジアが日本企業に出資するのはこれが初。今後のOWNDAYSからもますます目が離せません。
「もうOWNDAYSしか買わない」と言うファンを生み出すため、破天荒フェニックスを執筆・出版した田中さん。かく言う私も破天荒フェニックスを読む以前は、本書で言う「ジェイムズ」でメガネを購入していました。しかし今回のイベントに参加して、ここで宣言させていただきます。
「もうOWNDAYSしか買いません!」
田中さん、今回は刺激的なお話をありがとうございました。参加されたみなさま、誠にありがとうございました!
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