東洋医学を“家庭の医学”に。「自律神経の父」松本博喜さんが伝えたい、病を引き起こさない習慣

著者名さとう れいこ
東洋医学を“家庭の医学”に。「自律神経の父」松本博喜さんが伝えたい、病を引き起こさない習慣

「なんとなく身体がだるい」「疲れが取れない」。身体から小さなサインが出ていても、忙しい毎日のなかでは、つい自分のことを後回しにしてしまいがちです。そんな日々の不調に対して、「もっと一歩前、二歩前、三歩前から関わりたい」と話すのが、「自律神経の父」として東洋医学や健康について発信する鍼灸師・松本博喜さんです。

松本さんが考える「病を引き起こさない習慣」とは何なのか。自分の身体を知ることの大切さから、東洋医学を日常で生かす方法、オンラインサロンで実現したいことまで伺いました。


松本 博喜

延べ10万人以上の身体と向き合ってきた鍼灸師。「薬に頼りすぎず、習慣で体を整える」という東洋医学の考え方を提唱し、Instagramで15万人超の支持を集める。現在はエステサロン7店舗を運営する傍ら、DMMオンラインサロン「自律神経の父」を主宰。同サロンでは「病を引き起こさない習慣」を目指し、誰もが自身の専属医になれる一生モノの「整い習慣」を分かりやすく伝授している。


 

「治す」だけでは足りない。鍼灸師として感じた違和感

松本さんが鍼灸師を志した背景には、学生時代にサッカーで怪我を繰り返したことや、自身も体調不良に悩んだ経験がありました。その後、鍼灸師として多くの患者さんと向き合うなかで、松本さんの「治療」に対する考え方にも変化が生まれたといいます。

 

ーー鍼灸師として多くの方を診てこられるなかで、どのような課題を感じるようになったのでしょうか?

松本さん: 鍼灸師なので、「痛いから治してほしい」と言われて施術をして、痛みが取れて「よかった」と言ってもらえる。それはもちろんありがたいことなんです。でも、あるときから、それだけでは自己満足のように感じるようになりました。

僕たちが本来関わらなければいけないのは、もっと一歩前、二歩前、三歩前なんじゃないかと。

僕はよく、「鍼灸師という職業がこの世からなくなったときが、僕たちのミッション成功」と話しています。鍼灸師に相談しなくてもいいということは、それだけ不調や痛み、身体の問題で悩む人がいないということですよね。本来、医学が目指すべきなのは、そこなんじゃないかと思っています。

 

東洋医学は「木」ではなく「森を見る」

ーーそもそも「東洋医学」とは、どのようなものなのでしょうか?

松本さん: よく言われるのが、「木を見るのが西洋医学、森を見るのが東洋医学」という考え方です。

たとえば森の中で一本の木が枯れたとします。西洋医学では、その木に何が起きているのかを見る。一方、東洋医学ではその木を見ることに加えて、「森全体に何かが起きているんじゃないか」と全体を見ていきます。身体も同じで、ひとつの症状だけではなく、その人の体質なども含めて見ていくのが東洋医学だと思っています。

 

ーー「自律神経の父」として発信されていますが、自律神経と東洋医学にはどのような関係があるのでしょうか?

松本さん: 自律神経は、内臓の働きなどを調整している神経です。僕は、そうした自律神経の働きと、東洋医学で身体全体の状態を捉える考え方には、重なる部分があると考えています。だから、自律神経だけ、特定の臓器だけを見るのではなく、食事や生活習慣、心の状態なども含めて、その人全体を見ることを大切にしています。

 

ーー東洋医学の視点から現代人の生活環境について、気になっていることはありますか?

松本さん: 身体だけではなく、精神的にも余裕がなくなっている人が多いと感じます。

たとえば、以前なら電車に乗っている時間は、外を眺めたり、何もせずに過ごしたりする時間がありましたよね。でも今は、少しでも時間が空けばスマートフォンを見る。何もしない「空白の時間」がなくなってきています。

もうひとつ、東洋医学の考え方では「心(しん)」は暑さの影響を受けやすいとされています。昔は30度を超えたら「今日は暑いな」と言っていたのに、今では30度なら涼しく感じるくらい、暑い時期が長くなっていますよね。

こうした気候の変化も、身体を見るうえでは無視できないと僕は考えています。東洋医学は「森を見る」ので、食事やストレスだけではなく、季節や気候など、自分を取り巻く環境まで含めて身体を見る。何かひとつだけを原因として考えないことが大切だと思っています。

健康の9割は生活習慣。「健康にいい」が自分に合うとは限らない

ーー不調を防ぐためには、普段の生活習慣が重要なのでしょうか?

松本さん: 僕はよく歯磨きに例えるんですが、生活習慣が9割だと思っています。

鍼灸の施術を受けることが歯医者さんに行くことだとしたら、毎日の食事や生活習慣は歯磨きです。1カ月間まったく歯を磨いていない人が、「月に1回歯医者に行っているから大丈夫」と言っていたら、おかしいですよね。身体も同じです。普段の食事や生活習慣が整っている人は、そもそも僕たちと出会わなくてもいい。だから本来は、そこを伝えていきたいんです。

ただ、パンケーキもおいしいし、グミもおいしい(笑)。全部を我慢する必要はないと思っています。我慢すること自体もよくないですから。食べるなら、その分どう整えるか。楽しみながらバランスを取っていけばいいと思います。

 

ーー健康に関する情報があふれるなかで、どのように自分に合ったものを選べばよいのでしょうか?

松本さん: 大切なのは、その情報が自分の身体に合っているかどうかです。僕はこれを「マッチング」の問題だと考えています。

たとえば薬も、その人の状態に合ったものを使いますよね。食事も同じで、「これが健康にいい」と言われているからといって、誰にでも同じように合うとは限りません。だから、何を食べるか、何をするかを決める前に、まず自分の身体が今どんな状態なのかを知ることが大切だと思っています。

小さなサインに気づく。「自分の身体を知る」ことが予防の第一歩

ーー「病を引き起こさない習慣」を身につけるために、まず何から始めればいいのでしょうか?

松本さん: 一番は、自分の身体を知ることだと思っています。実は、みんな何かしら身体からサインが出ているんです。ちょっとニキビができたとか、朝起きたときに「今日はなんか重だるいな」と感じるとか。反対に、「今日はすごく調子がいい」という日もありますよね。それも全部、身体からのサインです。

でも人は、自分のことを後回しにしがちです。「私は大丈夫」「元気だから大丈夫」と動いてしまう。だから、自分の声や身体の変化を感じ取って、精神と身体を一致させていくことも、健康を考えるうえではすごく大切だと伝えています。

 

ーー東洋医学では、自分の身体の状態をどのように確認するのでしょうか?

松本さん: 僕がサロンなどで伝えているのが、自分で自分の脈を確認する「セルフ脈診」です。

たとえば朝起きたときの脈と、ご飯を食べたあとの脈では違いがあります。毎日自分の脈を見ていると、少しずつ普段との変化が分かるようになってくるんです。東洋医学には、脈だけではなく、舌を見る「舌診」など身体を見るさまざまな方法があります。

そうしたものを組み合わせながら自分の状態を知って、日々の生活に生かせるようになる。それが大切だと思います。

情報だけでは終わらない。オンラインサロンだからできる「実践」と「つながり」

ーー東洋医学というと専門的で難しいイメージもありますが、一般の方に伝えるうえで意識していることはありますか?

松本さん: 僕は、「算数を数学にしない」と言っているんです。日常生活で、サイン・コサイン・タンジェントってほとんど使わないじゃないですか(笑)。でも、足し算や引き算、掛け算、割り算は使いますよね。

東洋医学も同じで、専門的な理論をすべて理解してもらうのではなく、日常生活で使えるところまでシンプルにして伝えることを意識しています。もっと深く学びたい人は専門学校で学べばいい。一般の方には「ドラッグストアくらい」の身近さでいいと思っているんです。

 

ーーInstagramやnoteでも東洋医学について発信されていますが、オンラインサロンならではの特徴はどこにありますか?

松本さん: オンラインサロンでは、一つひとつの東洋医学の知識を、もう少し深く学べるようにしています。実際に直接会って脈を見たり、会員さん同士で脈を見合ったりしながら、セルフ脈診ができるようになることもひとつです。Instagramのサブスクでは、スマートフォンの一画面でさらっと分かるような情報を発信していますが、オンラインサロンではもう少し深く学び、実際に体験できる。

それに加えて、僕はこれからの時代、コミュニティがすごく大切だと思っています。同じような悩みを持つ人と出会って、「悩んでいるのは私だけじゃなかったんだ」と思える。そういう場所にもしていきたいですね。

ーー人とのつながりを大切にされる背景には、これまで患者さんと向き合ってきた経験もあるのでしょうか?

松本さん: そうですね。今でも忘れられない患者さんがいます。

長く関わらせていただいた方で、阪神ファンだったので、会うとよく阪神の話をしていました。その方はその後亡くなられたのですが、ご家族から、最期のころに突然起き上がって「松本先生のところに行かな」と言ってくださったと聞いたんです。その話を聞いたときは、泣きそうになりました。でも同時に、「僕は本当にこの方にそれだけの価値を提供できていたんだろうか」と考えました。

僕がその方と出会ったのは、すでに身体に不調を抱えてからでした。でも、もっと前に僕や東洋医学に限らず、自分の身体について考えるきっかけになる情報と出会っていたら、もっと早く身体からのサインに気づけていたかもしれない。

長生きすることだけが正解だとは思っていません。ただ、より健康に過ごすために、もっと前からできることがあるんじゃないか。その方との出会いは、そんなことを考えさせてくれました。

「実家に帰るような場所」に。オンラインを飛び出して広げたいつながり

ーーそうした経験も踏まえて、オンラインサロンをどのような「場」にしたいと考えていますか?

松本さん: 僕は、安心して戻ってこられる場所にしたいと思っています。どれだけ食事や生活習慣に気をつけていても、人間関係のトラブルでストレスを感じたら、全部崩れてしまうこともありますよね。

東洋医学というと食事などに注目されがちですが、僕は人との関係や、自分が安心して戻れる場所があることも、健康を考えるうえですごく大切だと思っています。実際、オンラインサロンやセミナーで初めて会った人同士が仲良くなって、次に来るときには一緒に参加してくれることもあります。そうやってご縁がつながっていく姿を見ると、「この場をつくってよかったな」と思います。

ーーそのために、今後やっていきたいことはありますか?

松本さん: リアルで集まれる機会を、もっと増やしていきたいです。僕はずっとしゃべっていられるのでセミナーもできますけど(笑)、それよりみんなと一緒にBBQをして、わちゃわちゃ話しているような場もつくりたい。人の目を気にせず、童心に戻れるような場所だったり、「一人じゃないですよ」「その悩みを一人で抱えなくていいですよ」と思える場所だったり。憩いの場でも、実家でも、遊び場でも、学びの場でもいい。

Instagramやオンラインサロンが、そんなふうに安心して戻ってこられる場所になってくれたらうれしいですね。

 

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松本博喜 - 自律神経の父 松本博喜のオンラインサロン - DMMオンラインサロン東洋医学を各家庭に! 自分の脈で体調を見れたり、薬膳が日々の食事に取り入れれたらどんなに健康に近づくか☆ 現代では珍しい"脈で健康状態を読み取る脈診"を取り入れ、東洋医学で整う習慣を学び実践。東洋医学をもっと身近に!
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