次世代ネットメディアの潮流 ニュースアグリゲーターの攻略法とは?

著者名CANARY 編集部
ネットメディアsalon
いろいろな意味で注目を集めているネットメディア。多くの人の注目が集まるということはそれだけ責任を伴うとともに、大きな可能性を秘めているということ。オンラインサロン『ネットメディアSalon』では、メディア業界に従事する方々を対象に、ネットメディアの最新動向と情報共有、専門的な意見交換が行なわれています。

メディア関係者ばかりの専門的なオンラインサロン

このオンラインサロンは、Web、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ等のメディアの制作/運用/運営に現在進行系で関わっている人ばかりが会員になっています。当然、サロン内の議論もネットメディアに特化した専門的な内容になっています。

そんなネットメディア業界人たちの議論を束ねるサロンオーナーも最先端のメディア人です。

ネットメディアsalon

松浦茂樹さんはSmartNewsメディアコミュニケーションディレクター。複数のIT企業、米ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」日本版初代編集⻑を経て現職。スマートフォンとタブレット端末向けにニュース閲覧アプリを提供するスマートニュース社で、各メディアとの橋渡しを主業務とするメディアコミュニケーションディレクターを担当しています。

このキャリアを見れば、サロン内でいかに最新の業界トピックを取り扱っているか、想像がつくはずです。

第1回meetup「ニュースアグリゲーター大解剖」

オンライン上でも活発に議論が交わされていますが、オフ会(meetup)も定期的に開催されています。昨年には、「ニュースアグリゲーター大解剖」というテーマでオフ会が開かれました。

ニュースアグリゲーターとは、松浦氏が所属しているSmartNewsやYahoo!ニュースに代表されるようなニュース記事を束ねて統合しているプラットフォームのこと。ユーザーはアグリゲーターのサイトやアプリにアクセスすれば、様々な配信元のコンテンツをまとめて閲覧できる構造になっています。近年はSNSからニュースコンテンツを取得しているユーザーも増加しており、FacebookやTwitter、LINE、Googleもニュースアグリゲーターといえます。

ネットメディアや新聞社などのコンテンツプロバイダーの立場からすると、膨大なユーザーを集めている各ニュースアグリゲーターにどう対応していくかはメディア事業における喫緊の課題なわけです。例えば、各々のプラットフォームにコンテンツを最適化させる「分散型メディア」構造を選択するメディアも台頭してきています。

この日は、アグリゲーター/コンテンツプロバイダーを両方経験している松浦氏、最先端のキュレーションやビデオメディアを経験したやまざきひとみ氏をファシリテーターとして、登壇ゲストにはアメリカにおける分散型メディア戦略の急先鋒で現在はグローバル展開も進んでいるバズフィード社からBuzzFeedJAPAN創刊編集長の古田大輔氏を招いて、トークセッションが行われました。

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まずは、ネットメディアにおける世界の現状や日本特有の特徴(某ポータルサイト一強のパワーバランス、SNSでシェアしない)や、シェアされるコンテンツの世界との差異など、日本国内の話に止まらず世界全体を視野に話が展開されていきました。

その中で、「BuzzFeedでも、データは見るものの時々データを忘れるということも奨励されています。データばかり見ていても縮小再生産にしかならない。当たったコンテンツがあってもそればかりやっていたら数ヶ月で飽きられる。失敗しながら次の一手を考えておく必要があります。」(古田氏)というコメントからも分かるように、何が盛り上がるのか・盛り上がらないのか、失敗しながらチャレンジしていく姿勢が重要であると説いていました。

アメリカや他国で流行しているものが環境の異なる日本にそのまま当てはまるとは限らないので、コンテンツをヒットさせるにはトライ&エラーを繰り返していくことが結局は最短距離なのかもしれません。

ニュースアグリゲーターが圧倒的な集客力を誇り、コンテンツを多くのユーザーに届けられるようになったことはよかったものの、一方でコンテンツプロバイダー側のサイトやアプリにユーザーが訪れなくなってしまってきている状況もあります。ネイティブ広告と呼ばれる記事広告や自社サイト内でしか掲載していない広告はアグリゲーターに配信できず、肝心のマネタイズの部分で苦戦する状況が生じているわけです。

ニュースアグリゲーターの攻略法とは

Buzzfeedは、「ディストリビューション戦略を採っていて、自社サイトに来てもらうだけではなくて、そもそも読者を山ほど抱えている各プラットフォームに自分たちのコンテンツを積極的に分散させていくことによって、より多くの人にリーチしていく。」(古田氏)という判断をCEOが下したそうです。

但し、この戦略が成り立つのは現状のメディア環境を理解した上で、「外で読まれて自社の方に帰ってこなくても成り立つビジネスモデルを作り上げた」(古川氏)からこそなのです。

「ネットの戦略戦術はコロコロ変わる」(松浦氏)状況の中でリアルタイムに情報収集していくことはもちろん、コンテンツ提供の意味や戦略戦術を考え続けながら動いていくことが必要なようです。

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一方で古田氏は、「メディアを成功させる為に戦略・戦術・ビジネスモデルを学ぶことはすごく大切だけれども、やっぱり根本としてあるのは“自分がよりよいと信じるものをより多くの人に読んでもらう為にはどうすればいいか“がスタート地点にある」べきだと強調していました。

アグリゲーターやネット業界の動向や SEO対策、SNSシェアなどテクニカルな面を勉強しておくことは必要ながらも、クオリティの高いものを作ろうとすることで「本体のブランドを作る」ことにつなげていくことが肝要なのだと感じました。

移り変わりの早いネットメディア業界の最前線

トークセッションの後は質疑応答の時間。ストレートな質問に白熱した議論も行われました。また、同会場で飲食を伴う懇親会も催され、メディア関係者同士の交流もはかられました。

オフ会で話された内容も数ヶ月後には過去に変わり、ビジネスモデルすら変わってしまうかもしれない。それがネットメディアの特徴の一つです。そういった意味では常に未来への追求をしていくこのオンラインサロンは、参加者同士で情報交換をしながら未来を追いかけていける場所といえるでしょう。

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