多くの市民ランナーが街や公園で汗を流す季節。「自分も走ってみようかな」なんて思っている人も多いのではないでしょうか。今や日本のマラソン人口は1千万人ともいわれています。
しかし、実際に走ってみると気がつく、さまざまな疑問。
「ペースはこれでいいの?」「この靴は自分に合っている?」「体が痛くなるのはなぜ?」
だれでも手軽に始められるスポーツだからこそ、ランナーの悩みは千差万別です。
そんな悩めるランナーが、超一流のランニングのプロに気軽に相談できるオンラインサロンが、「マラソン大学」です。
今回はマラソン大学を主宰する、白方健一さん、奥山智也さん、木村誠さんにお話を伺いました。
マラソン大学はランナーのためのお悩み解決集団である
―お三方は、それぞれがランニングコーチ、パーソナルトレーナーとして第一線で活躍しているマラソンのプロですね。得意分野を教えてください。
奥山:白方さんは、ホノルルマラソン8位入賞したこともある、ランナーとしても超一流の実績を持つ指導者です。
木村:奥山さんは、柔道整復師の国家資格を持つ体のスペシャリストです。ランニング指導に特化した医療従事者って日本でもかなり珍しい存在だと思います。僕は足とランニングを専門としたトータルサポート施設、「RUNART足の治療院―駒沢公園―」を運営しています。
白方:木村さんは、治療院でランナーのためのインソールのフィッティングや治療もしています。
―「マラソン大学」とは、一体どんなところなのでしょうか。
木村:ひと言でいうと、ケガをせずマラソン自己ベストを達成したいランナーのための、お悩み解決コミュニティです。でも必ずしも、速いタイムで走りたい人たちだけのコミュニティではありません。
健康のためにとか、ダイエットのためとか、走る目的は人それぞれなので、何か目標を持って走る人たちをサポートする。それがマラソン大学です。
白方:僕は地方でランニングを教える機会も多いんですが、全国いつでもどこにでも、というわけにはいきません。ランニングする人のサポートをしたいのに、時間や場所で制約ができてしまうんです。
そのジレンマを解消するための手段として、「いつでも、どこでも、だれでも」参加できる場所がほしいとずっと考えていました。マラソン大学では毎月1回の定例講義を開きますが、全編をオンライン上でライブ配信するので、現地に来られない会員の方にも届けることができます。
三人三様の知見を集結させて、より広く深い情報を会員の方に直に届けられるのがマラソン大学の大きな特徴だと思います。
ランナーがぶつかる壁「モノ、カラダ、プラン」にフォーカス
月1回の定例講義の様子
出典:マラソン大学 〜ケガせず自己ベスト達成したいランナーのための学校〜
―具体的にはどんなことを学べるのでしょうか?
白方:マラソン大学では、「モノ・カラダ・プラン」についてのお悩み解決をコンセプトにしています。実際走り始めた人の約7割が「モノ、カラダ、プラン」のどれかが合わなかったりわからなかったりしてケガを負い、走ることをやめてしまうんです。だからランナーにとって障害となる、この三つに特にフォーカスしています。
木村:基本的には月に1回の講義を12回で修了。4カ月ごとに1学期から3学期に分け、「モノ・カラダ・プラン」それぞれの項目を1学期につき一つずつ学んでいきます。
学期末には、豪華ゲストを招いて、「日本ランニング変革会議」という文化祭のような大きいイベントを行います。
前回の定例講義のテーマは、「モノ」についてでした。アメリカナンバーワンのランニングシューズメーカー、ブルックスさんにご協力いただいて、3種類50足のランニングシューズを用意してもらったんです。シューズの選び方の講義をして、そのあと実際に試し履きをして、外で走ってもらうところまでしました。
―普通のスポーツショップだったら、店内をちょっと歩かせてもらうくらいしかできないですよね。
木村:最初にシューズの踵の硬さやサイズの選び方の講義をして、そのあとの「体験」までしてもらうことが、ここでしかできない価値です。もちろんライブ配信を見ている会員の方からも、リアルタイムで質問も受け付けます。
奥山:毎回テーマは決まってますが、それに沿った悩みを挙げてもらって、その場でお答えしていくので、けっこうフレキシブルに進みますね。
白方:たとえば、目標に合わせて、トレーニングメニューの提案もします。具体的に、何キロを何分で、どういう路面を走ったらいいか、レース前のこの期間にはどういう調整をしたらいいか、などです。
木村:こういったプロのランニングコーチと一般のランナーが直接やり取りできる場って、まずないんです。彼らに質問するには、1時間1万円払ってパーソナルで指導してもらうしかない。
それがだめなら、本を読んだり、YouTubeを見て方法を真似る。その中間を僕らはつくりたかったんです。
マラソン大学の会費は1カ月3,240円なので、毎日走る人なら、1日100円ちょっとでプロのメソッドが練習に活かせます。缶コーヒー1杯分ですよ(笑)!
―お得ですね(笑)
木村:次回の講義は、「プラン」のカテゴリーですが、ランナーの食・栄養をテーマにしています。今話題のベースフードさんにご協力いただいて、完全栄養食として開発された、ベースパスタの試食を行う予定です。
参加資格は、ベテランから初心者までOK
―どんな人が参加してるんでしょうか?
出典:マラソン大学 〜ケガせず自己ベスト達成したいランナーのための学校〜
木村:「フルマラソンで4時間を切りたい」、「毎日5キロ健康に走り続けたい」など、何かしら自分なりの目標を持って走っている人がほとんどです。目標を持って走っているから壁にぶち当たることがある。
そこで解決策を、正しい知識を持ったプロに聞きたいっていう人が参加しています。
白方:走るきっかけって、けっこう簡単なんですよね。だれかに誘われてとか、運動不足が気になってとか人それぞれ。走るって年齢とか性差とか関係ないんで、自分なりに目標設定できて、達成感を得られるのが、ランニングの魅力でもあります。
僕らはその手助けをしたいんです。
奥山:コミュニティなので、ほかの人と仲良くもなれますし、もちろん一人で走りたいっていう人も尊重します。
木村:ネット配信を見るだけで完結することもできるし、仲間をつくりたかったら足を運べばいいし、どっちも選べるっていう利点はありますね。
―年齢や職業関係なく、趣味を共有できる場があるのはいいですね。
木村:それと一般的に、経営者の方がマラソンしてるっていうのは、よく聞きます。
白方:走っているときって頭の中は実はリラックス状態なんです。気持ちの整理ができたり、良いアイディアが浮かんだりするので、仕事の効率アップっていう意味でも、ライフスタイルに取り入れている人は多いですね。
マラソン大学が、日本のランを変える
―メンバーが増えつつあるマラソン大学ですが、これからのビジョンはありますか?
木村:僕らがマラソン大学を立ち上げた時、最終的な目標として、「日本のランを変える」ことを掲げました。
これには三つの段階があって、まず「ランの常識を変える」、次に「ランの楽しみ方を変える」、そして「ランの未来を変える」です。
現在の取り組みがまさに「ランの常識を変える」ためです。トップクラスのランニングコーチが、日本最高のソリューションを全ランナーに届ける手段って、ひと昔前はありませんでした。
せっかく走るなら、初心者から正しい知識を身につけて、長く走り続けてほしい。そのための環境つくりが最初の段階です。
そしてランナーの悩みを解決した次は、その人たちが楽しく集まって走れる場を、ランニングのプロが提供する。人とのつながりと楽しさがあってこそ、ランニングと人生と、相互作用で豊かになっていくと思うんですが、そのコミュニティとエンタメも上質でなければ意味がないんです。
そしていつか、マラソン大学の基準がランニング業界全体に浸透して、マラソンに関わる人みんながハッピーになれるっていうところまで達成させたいですね。
―最後に、これからマラソンをはじめる人へ、アドバイスやメッセージをお願いします。
奥山:まず、マラソンって決して苦しくないよって伝えたいですね。初心者の方に多いのが、自分のペース配分がわからずに速く走りすぎて、苦しいから嫌になっちゃうっていうパターンなんです。
ランニングって苦しくなる手前で走るのが基本なので、苦しかったら歩いてもいいんです。最初は10分しか運動できなかったのを、5分ずつ伸ばして、ちょっとずつ運動時間を長くしていけば、自然と走ることの楽しさが身につくんじゃないかなと思います。
白方:早く走りすぎるのを予防するためのプランとして、9分走って1分歩くっていうのもおすすめです。9分走れれば、それはもう素晴らしいランニングのはじまりだと思うので、毎日少しずつ走って、何セットか繰り返せるようになるといいですね。
あとは景色がいいところを走って四季を感じたり、走ったあとのご飯はおいしいなとか、体で受け止める感性が敏感になっていくと、さらに走るのが楽しくなるんじゃないかな。
木村:僕はよく、ランニングって「小さな旅」だなと思うんです。走りながら、普段いかない小道に入ってみたり、偶然きれいな花を見つけたりすると、ちょっといい気分になりますよね。
気持ちよかったからまた走りたいなって思うところから、ランの楽しみが生まれるんじゃないかなと。
その楽しみの手助けをするのが僕らの役割だと思っているので、走ってみて何か悩みが生まれたら、ぜひマラソン大学に入って僕たちに相談してください。マラソン大学はいつでも、どこでも、だれでも学べる、ランナー全員の味方です!
取材を終えて
「走りたくない時はないんですか?」との質問に、「やりたくない時はやらなければいいんです(笑)」と、白方さん。走ることと人生が寄り添っているプロならではの自然体の答えでした。
マラソンの未来を見据える、マラソン大学。入会は学期の途中からでも可能です。近所を走っているだけだったけど実はレースに出てみたい、やろうやろうと思ってランニングシューズだけは買ってある、という方。せっかく走るならば日本最高峰のコーチと一緒にはじめてみてはいかがでしょうか?