はじめに、ダイエットは”食事制限”と”運動”がポイントということは皆様もよく御存知の事と思われます。そして、リバウンドの主な原因は「無理な食事制限」によるダイエットです。今回ご紹介する“肉ダイエット”は「無理な食事制限」によるストレスを抑えるダイエット方法の一つとして注目を集めています。
しかし、この手の方法のダイエットは、正しく理解した上でやらなければ効果が期待出来ないどころか、かえって健康を損なう畏れもあります。そこで、読者の皆様に向けて、肉ダイエットの正しい始め方と注意点について徹底解説していきたいと思います!
お肉を食べるとダイエットに効果はあるのか?
お肉による身体への効果
肉に含まれる成分に、L-カルニチンという成分があります。これは必須アミノ酸のリジンとメチオニンから生合成される非常に小さな化合物なのですが、脂質の代謝には不可欠な物質です。L-カルニチンは私達の筋肉細胞に多く存在していますが、加齢と共にこの成分の濃度が減少していく傾向があるため、積極的に経口摂取で補う必要があります。そのため、L-カルニチンを多く含む肉を摂取する事により十分な量を補給する事ができ、脂肪燃焼を促進してくれるためダイエットに効果的と言われるのです。
タンパク質を摂ることができる
お肉にはタンパク質がたっぷり含まれています。タンパク質は筋肉を作るのに必要な栄養素で、筋肉をつけることができれば基礎代謝量が上がりエネルギーを消費しやすい身体となります。さらに運動も併用することで従来よりも多くのカロリーを消費できるので、よりダイエット効果が高まるでしょう。
肉ダイエットのやり方
ゆっくりと食べる
パンやご飯などの主食の代わりにタンパク質(鶏のむね肉や牛の赤身肉等)を多めに摂り、時間をかけてよく味わいながら咀嚼する事で「炭水化物を食べたい」と思っている脳の空腹をごまかすことができます。
また、肉は炭水化物に比べて食べごたえがあり、自然と咀嚼回数が多くなって、食べ終わるまでに時間がかかります。
人間の脳は食べ始めてから約20分後に満腹を感じるシステムになっているため、肉ダイエットではこの脳の仕組みを利用して、ゆっくり食べることで結果的に食事量を抑えることができるのです。
脂身の少ない肉の部位を選ぶ
肉ダイエットをするにあたって、どの肉を食べても良いというわけではなく脂質の少ない部位を選ぶようにしましょう。肉に限らずどの食材にも言えますが、脂質が高いとカロリーも同じように高くなるため、せっかくのL-カルニチンの脂肪分解促進効果を低減させかねません。肉ダイエットをしたいのであれば、タンパク質が豊富かつ脂質が少ない赤身肉を積極的に摂取していきましょう。
1日の摂取量
身体活動量が低い成人女性の場合、お肉の1日の摂取量は150g~200gを目安にするのが理想的です。タンパク質を多く含む肉は100gあたり約20gのタンパク質が摂れるため、成人女性のタンパク質推奨摂取量が50gであることを考えると、必要な肉量は250gとなります。ただし、肉だけでは栄養バランスが偏ってしまうため、肉以外の食品からもタンパク質を摂りながら、バランス良い食事を心がけましょう。
食物繊維もしっかり摂る
肉ダイエットの際に気をつけたいのが、体臭がキツくなることと、便秘がちになることです。これらの対策として、食物繊維豊富な野菜を肉と一緒に摂取するようにしましょう。また、食物繊維が多く含まれるものを先に摂取する事により、余分な油や脂質等の吸収を抑えることができます。
運動も並行して行う
冒頭でお伝えしたとおり、肉にはL-カルニチンという成分が豊富に含まれています。L-カルニチンで脂肪燃焼を促進し、さらに運動も同時に行うことで脂肪燃焼の効率性を高め、痩せやすい身体づくりを目指すことができるでしょう。
ダイエットにおすすめのお肉の部位と効果
牛肉
牛肉のタンパク質は、必須アミノ酸のバランスが非常に良いという特徴があります。また、牛肉のタンパク質は調理によって失われにくいことに加え、体内吸収率が97%と高いため、効率よく吸収されるのです。
さらに、牛肉にはL-カルニチンも多く含まれており、豚肉や鶏肉と比較した場合、牛肉が最も多くのL-カルニチンを含んでいます。
牛肉の部位を紹介
牛肉を食べるならヘルシーな赤身肉をおすすめします。たとえば、牛ももの場合、脂身つきは209kcal・脂質13.3gに対して、赤身肉は140kcal・脂質4.9gと、カロリー・脂質ともに赤身肉の方がくなっています。一方で、タンパク質の含有量はほとんど変わらないので、ダイエット目的であれば積極的に赤身肉を食べるようにしましょう。
※乳用肥育牛(乳用牛)の栄養価を調査(可食部100gあたり)
(参考:牛肉の魅力)
(参考:食品成分データベース)
豚肉
豚肉には、牛肉の約10倍といわれる圧倒的な量のビタミンB1が含まれています。豚肉の部位の中でも、特にビタミンB1を含むのが肩ロース、ヒレです。ビタミンB1は食欲不振や疲労、だるさといった症状を改善してくれる効果があるため、運動を併用としたダイエットをする場合は豚肉をおすすめします。
豚肉の部位を紹介
タンパク質を含む点などは牛肉と成分が似通っていますが、牛肉と比べるとカロリー・脂質ともに少なめです。ただし、脂身があるとカロリー・脂質が高くなってしまうため、赤身肉を選んり、脂身が少ない豚もも、豚ヒレなどの部位を選ぶと良いでしょう。先ほどお伝えしたように、豚フレはビタミンB1を多く含むことからもおすすめの部位です。
※大型種の栄養価を調査(可食部100gあたり)
(参考:豚肉のチカラ)
(参考:食品成分データベース)
鶏肉
鶏肉には、豚肉や牛肉と同じようにミネラル・タンパク質・ビタミンを含まれていますが、特に秀でているのが脂質の少なさです。皮なしの場合、100gあたりに含まれる脂質はなんと数%以下。鶏肉の部位の中でも、特にささみはタンパク質を多く含むと同時に脂質がとても低いため、ほかの肉類の中でもトップクラスを誇る栄養価の高さを誇ります。
鶏肉の部位を紹介
鶏肉の各部位を見てみると、ささみの低カロリー・低脂質・高タンパク質さが際立っていることがわかります。一方で、鶏皮は脂質を含み、かなり高カロリーであるため、ダイエット中は控えたほうが良さそうです。鶏むねや鶏ももでも皮を取り除くことでカロリーを抑えることができるため、気になる方は皮なしで食べるようにしましょう。
※若鶏(ブロイラー)の栄養価を調査(可食部100gあたり)
(参考:鶏肉の実力)
(参考:食品成分データベース)
ラム肉
牛肉と同様にラム肉には豊富なL-カルニチンが含まれており、その含有量は肉類の中でも最多です。牛肉や豚肉など、ほかの食肉100gあたりのカルニチン含有量を比較してみると、ラム肉が圧倒であるということがわかるでしょう。
・ラム肉 80mg
・鶏肉 4.55~9.10mg
・豚肉 35mg
・牛肉(ヒレ) 59.8mg
(参考:グルメミートWORLD)
ラム肉の部位を紹介
ラムの各部位を比較すると低カロリー・高タンパク質なのは、 ももであることがわかります。ももは脂質が少なく、ラム独特の風味が弱くあっさりとしているため、食べやすい部位です。
※ラム肉の栄養価を調査(可食部100gあたり)
(参考:食品成分データベース)
カロリーが低いお肉の部位ランキング
豚肉、鶏肉、牛肉、ラム肉の中でカロリーが低い順にランキングを作成したところ、次のような結果となりました。ささみの脂質の少なさとタンパク質の多さを見ると、まさにダイエットにぴったり。また、脂肪燃焼に有効なL-カルニチンの含有量は、ラム肉>牛肉>豚肉>鶏肉 の順に多いことがわかります。
バランス良く食べることで、それぞれの肉が持つ優れた栄養素を摂取できるでしょう。
肉ダイエットにおすすめのレシピ~5選~
(1)鶏むね肉ときゅうりの塩麹和え(1人前)
所要時間:約50分(※漬込時間30分含む)
【材料】
鶏むね肉…150~200g
きゅうり…1本
塩コショウ…少々
薬味ふりかけ…少々
料理酒…小さじ1
塩麹…大さじ1
生姜チューブ…お好みで
【作り方】
①鶏むね肉を1口サイズに切り、(もしくは最初から切られているものを買う)塩コショウを少々まぶす。
②ラップをテーブルの上に大きく広げ、その上に①を置く。
③肉に料理酒と塩麹を混ぜ、少々揉み込んでからラップで包み、冷蔵庫で30分漬ける。
④30分経ったら③を冷蔵庫から取り出し、常温に戻るまでしばらく放置する。
⑤放置している間にきゅうりを1口サイズに乱切りしておく。
⑥常温に戻ったら④を600Wのレンジで約4分加熱する。
⑦ボウル状のお皿に⑤と⑥を取り出し、薬味ふりかけと生姜チューブと白ごまをお好みで入れて和えれば完成!
(味にもう少しアクセントをつけたい人はポン酢等を後で更に加えてみても良いかもしれません。)
【ワンポイントアドバイス】
面倒ですが、④は省略しないで必ず常温に戻して下さい。常温に戻してからでないと、レンジにかけた後、不味くなります。
【オススメポイント】
フライパンを使わない為、後片付けが楽です!また、鶏胸肉はプリン体含有量が少ない為、日常的に食べても安心です。
(2)鶏アボカド丼(1人前)
所要時間:約15分
【材料】
鶏モモ肉…150~200g
アボカド…1個
オリーブオイル…大さじ2
塩コショウ…少々
料理用ワインスプレー…適宜
てりやきソース…お好みで
【作り方】
①鶏モモ肉とアボカドを一口サイズに切る。
②フライパンに①を入れ、塩コショウ、ワインスプレー、オリーブオイルを混ぜて絡め、5~10分程炒める。
③肉が良い色になってきたら火を止め、どんぶりにそれを盛り付け、最後にてりやきソースをお好みの量で絡めたら出来上がり!
【ワンポイントアドバイス】
一口サイズにあらかじめ切って売られている鶏モモ肉を使えば、調理時間をより短縮する事ができ、とても便利です。
【オススメポイント】
アボカドも鶏モモ肉も食材として非常に優れており、ヘルシーな上に味・食感の満足感がとても高いのが特徴です。これなら炭水化物抜きでも不満は少ないはずです。
(3)鶏ささみの温キャベツ添え(1人前)
所要時間:約40分
【材料】
鶏ささみ…150~200g
キャベツ…大きい葉なら2~3枚、小さい葉なら3~4枚
熱湯…1800cc
市販のてりやきソースやステーキソース等…お好みで
市販のシーザードレッシングやしそドレッシング等…お好みで
【作り方】
①大きめのボールに熱湯1800ccを入れ、その中に鶏ささみを入れ、肉の芯まで熱が通るように菜箸で少しつついてから、ラップをかけ、そのまま40分放置する。
②その間にキャベツの葉を2~3枚(3~4枚)、手で細かく千切り、耐熱用の器に盛り付け、レンジ(600W)で1分前後温める。
③ささみに充分、熱が通ったのを確認してから湯を捨て②の皿にささみも加え、綺麗に盛り付ける。
④お好みで、ささみにはてりやきソースやステーキソースを。温キャベツにはシーザードレッシングやしそドレッシングをかけて少し和えたら、完成!
【ワンポイントアドバイス】
ささみの肉片の大きさによっては40分で芯まで熱が通らない場合があります。表面が良い色になっていても中は一度切って、色をみないと分かりませんので、③の時に一番大きな肉片をナイフで半分に切って色を確認してみましょう。まだ赤いようならば、その色が表面の色に近くなるまで、もう5~10分程、湯に浸けたままにして下さい。キャベツは温め過ぎると水分が失われてしまい、不味くなりますので注意して温めて下さい。
【オススメポイント】
ささみは、プリン体含有量が多い部位ですから毎日の常食には適しませんが、脂質が少なくローカロリーです。1週間に2日くらいなら良いでしょう。また、こちらのメニューは包丁やフライパンを使わない為、後片付けが非常に楽です!
(4)牛ヒレステーキ(1人前)
所要時間:11分
【材料】
小麦粉…少々
塩コショウ…少々
牛ヒレ肉…150~200g
クレソン…お好みで2~3枝
ステーキソース…お好みで
【作り方】
①肉全体に小麦粉を薄くふりかけ、均等に付くよう指で広げる。
②肉をフライパンに乗せ、塩コショウを少々ふりかけて強火で6分焼く。
③裏返して反対面を中火で4分焼く。
④皿に盛り付け、お好みでクレソンを添えたり、ステーキソースをかけたら完成です。薄味派は塩コショウだけでも充分かもしれません。
【ワンポイントアドバイス】
小麦粉は小容量のふりだせるタイプを使うのが便利です。厚く塗りつけると中に熱が通り難くなってしまうので薄く塗りましょう。こうする事により肉の旨味が閉じ込められ、美味しく仕上がります。牛ヒレは高い食材ですが、やはり国産のものが味・食感共に優れているのでオススメです。閉店前や消費期限前に買い付けに行く等して、巧くGETしてきましょう!
【オススメポイント】
国産の牛ヒレ肉は何と言っても美味しく、満足感があります!更に低脂質高タンパクで太り難く、鉄分も豊富に含まれる為、貧血予防にもなります。また、付け足しのクレソンは便秘予防にもなるカリウムが豊富に含まれており、他にも優れた栄養素が沢山含まれているスーパーフードで肉との相性はバッチリです。
(5)ラムチョップステーキ(1人前)
所要時間:約15分
【材料】
ラムチョップ…150~200g
オリーブオイル…小さじ2
塩コショウ…少々
ハーブミックス(※調味料)…少々
ステーキソース…お好みで
【作り方】
①ラムチョップの両面にハケでオリーブオイルを薄く塗る。
②魚焼きグリルの上に肉を置き、片面に塩コショウとハーブミックスを少々ふりかけ、7分焼く。
③赤い色が無くなってきたら、ひっくり返し、もう一度上面に塩コショウとハーブミックスを少々ふりかけてから7分焼き上げ、完成!塩コショウだけでも充分ですが、物足りない人はお好みのステーキソースをかけてお召し上がり下さい。
【ワンポイントアドバイス】
ハーブミックスをふりかける事により、ラム肉独特の臭みが消え、食べやすくなります。グリルの性能によって2~3分、焼き時間の誤差が生じます。初回は気を付けて焼いてください。
【オススメポイント】
ラム肉は脂肪を燃焼させる為に必要なカルニチンという成分が他の肉と比べ、ダントツに高い為に肉食ダイエット向きです。また、グリル調理の為、油が調理者に飛んでこなくて安全かつ、焼いている間に他の料理や家事等も出来て効率が良いです!