皆さんは、自由恋愛と聞くとどんなことを思い浮かべますか?
私は、自由恋愛主義という言葉を聞いたことはあったものの、その意味を深くは知りませんでした。その歴史を辿ってみると、キリスト教における結婚観を見直す運動から始まります。この記事では、そんな奥深い歴史のある自由恋愛主義を、日本人女性の目線から紐解いていきます。
自由恋愛主義とは
自由恋愛主義というのは、もともとは19世紀にイギリスなどの欧米で起こった社会運動のことです。この運動は、伝統的なキリスト教的結婚観に基づく結婚を、社会的ないしは経済的な束縛ととらえて、それを拒否するものでした。この運動は、結婚、避妊、姦通などの性に関する問題は当事者の私的な問題であるとして、そうした領域に国家が介入するのを排除することを目的としていました。
世界での歴史
19世紀の自由恋愛主義者たちがキリスト教的結婚観を否定した背景には、結婚によって女性が隷属的立場に置かれているという現実がありました。アメリカでは1848年まで、他の国ではそれと同時期かそれ以降まで、結婚した女性は財産に対してほとんどの権利を認められていなかったのです。また、女性から離婚を申し出ることは難しく、離婚に至った場合でも、子の養育に関してほとんど権利を認められていませんでした。こうした実態から、結婚は実質的には経済的な奴隷化や売春に近いものと考え、自由恋愛主義運動が生まれたのです。法的・経済的な結びつきに代えて、個人の自由意志と愛情に基づいて選んだ相手と関係を結ぶことを求めたのが、この当時の自由恋愛主義でした。
日本での歴史
このようにして西欧で生まれた自由恋愛という概念は、明治時代の日本にも入ってきました。もともと日本では、明治まで一夫多妻制が認められていました。有名な戦国武将の例を見ても、第一夫人にあたる「正室」の他に数多くの「側室」がいました。それが、明治31年に民法によって一夫一婦制が確立し、大正天皇以後は皇室の側室制度も廃止されたことにより、一夫一妻制が定着したのです。
しかし、一夫一妻制に変わった後も、日本ではお見合い結婚や政略結婚が当たり前でした。つまり、当時の結婚とは、自分の意思と関係なく親が決めるものだったのです。こうした状況にあって、西洋から入ってきた自由恋愛主義は、ロマンチックな憧れの対象と受け止められたようです。
現代の自由恋愛の概念
以上のような歴史的背景から生まれた「自由恋愛主義」という言葉ですが、その意味するところは時代と共に変遷してきました。1960~70年代には、性的な解放や性的な自由を主張する人々が「自由恋愛」という言葉を用いましたが、特にHIVエイズのような性感染症の蔓延と共に、この動きは下火になっていきました。
現在では、「自由恋愛」は、同時に複数の相手と恋愛関係になることを指して用いられることが主流になっています。結婚、或いは一対一の男女の関係という従来の枠組みにとらわれないという意味で「自由」ということなのでしょう。複数の恋人と同時に交際する状態を英語でポリアモリーと呼びますが、現代の自由恋愛はこの概念に近いと言えます。
日本の自由恋愛イメージ
日本での自由恋愛とは、もともとは本人の自由意志によって恋愛相手を決めることでした。その概念がどんどん拡大して、今では複数の恋人を持つ状態を指して使われることが増えました。日本では特に浮気や不倫、二股のような関係のことを婉曲的に「自由恋愛」と呼ぶことも多いようです。一方で、同性カップル等、LGBTの人々の恋愛への偏見も薄れてきて、恋愛の形はますます多様化し、旧来の価値観から自由になってきていると言えます。
性の多様化
近年(最近の杉田水脈議員の生産性発言以降は特に)、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字を取ったLGBTという言葉もすっかり定着し、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)についての認識が向上してきました。日本ではまだですが、欧米を中心に、同性婚を法律で認める国や地域も増えました。異性愛を前提とする旧来の価値観にはまらない、LGBTの多様な恋愛の形が、広く受け入れられるようになってきたということでしょう。
例えば、アメリカの俳優や有名人が男性同士または女性同士で結婚している事例はたくさんありますが、代理母出産で子供を設け、法改正を待って正式に結婚した男性同士のカップルもいます。
また、2014年に同性婚を認める法律が施行されたイギリスでは、王族が歴史上初めて同性婚をすることが話題になっています。この王族とは、エリザベス王女のいとこにあたる男性、アイバー・マウントバッテン卿。彼はバイセクシュアルですが、かつては女性と16年間結婚しており、娘が3人います。2016年に、今回再婚相手となる男性との交際をカミングアウトし、めでたくゴールインすることとなったのです。
自由恋愛のメリット・デメリット
現代の自由恋愛の概念の広がりの背景には、性の多様性が法的に認められるようになり、一夫一妻制を前提とする、従来型とは異なる様々な恋愛の形が受け入れられるようになったという社会的な変化があるようです。LGBTだけでなく、複数の相手と同時に交際するポリアモリーについても、それは単なる浮気性とは違って、「複数の人を好きになる性質」を持っていることが前提にあるのだそうです。
メリット
自由恋愛のメリットとしては、やはり、個々人が自分の望む形の恋愛を成就できるということが第一に挙げられます。同性婚の広がりに見えるように、伝統的な男女の一夫一妻制という枠組み自体が再検討を迫られている時代です。もちろん、制度や伝統にこだわる人々も少なからず存在するわけですが、制度や世間体に縛られて自分の気持ちを抑圧せざるを得ない人が減るのであれば、それは望ましい変化と言えるでしょう。
2つ目のメリットは、社会全体を見た時に、価値観の多様化が進むことです。複数の人を同時に愛すること、結婚という形にこだわらないこと、そしてパートナーが同性同士であることなど、多様な恋愛の形を認めることで、一対一の異性愛を規範としてきた旧来の価値観から脱却し、多様な価値観を認め合える社会の実現が近づくのではないでしょうか。
デメリット
デメリットは、何と言っても周囲の理解を得にくいことでしょう。特に日本では、LGBTへの理解もまだまだ進んでいない状況ですので、ポリアモリーのような恋愛の形は「奇異だ」「ふしだらだ」などとレッテルを張られ、忌避されてしまいそうです。そうなると、気軽に恋愛相談やのろけ話をすることも難しいでしょう。
また、そもそも同じ恋愛観の人に出会うのも難しいと思われますので、自分の望む形の恋愛を成就するのにもかなりの困難がつきまとうのではないでしょうか。異なる恋愛観の相手と無理をして交際しても、嫉妬や価値観の違いで喧嘩になるなど、長続きせずに終わってしまうことも予想されます。
浮気・不倫・二股は自由恋愛か
そもそも浮気や不倫は自由恋愛として受け入れられるべきものなのでしょうか。これらに該当するような自由恋愛の事例を挙げながら考えてみます。
浮気・不倫・二股
浮気、不倫、二股は、どれも複数の相手と同時に関係を持つことです。近年は不倫SNSなるものも登場し、不倫相手を探す人が相当数存在していることがよくわかります。
体験談を探してみると、夫に浮気されて許すことが出来ず、しかし子どものために離婚はしないと決めたある女性が、なんと子どもの前で自由恋愛宣言をしたという話が見つかりました。自分は自分で自由に夫以外の相手と恋愛をするから、夫も子どもも好きにすればいい、と言い放ち、数か月後には実際に恋人をつくり、娘にのろけ話を聞かせたりもしたのだとか。結婚を維持したまま恋人を作っているので、本来であれば不倫に該当する事例ですが、夫は(自分の浮気が原因なので)黙認せざるを得ず、子どもたちも戸惑いながらも受け入れたということで、結局その夫婦は、妻の自由恋愛宣言から10年以上経っても離婚していないのだそうです。
隠す前提は自由恋愛ではない
複数の人と交際する「ポリアモリー」は、複数の人を愛する性質を持ち、かつパートナーの理解と合意を得ることで、それを実践していることを指すのだそうです。つまり、相手の合意を得ずに隠れて他の人と恋愛関係になっている場合、それはポリアモリーではないということです。先ほどの事例では、妻が夫と子供に対して「自分は自由恋愛をする」と宣言していたので、家族の合意を得ていたことになります。
自由恋愛を主張するのであれば、個人の主義主張としてそれを公にするのがその自由を謳歌するための義務であって、一般的な浮気や不倫のように相手に隠したまま別のパートナーを作るのは自由恋愛とは呼べません。特に結婚後の不倫については、法律で禁じられている不貞行為を働いていることになりますので、全ての関係者の合意が無い限り、自由恋愛という言葉で美化して受け入れられることはないでしょう。関係者と合意の上で配偶者以外と交際することをオープンマリッジと呼びますが、これは自由恋愛の一つの形と言えます。
自由恋愛の合意を得るのは困難
一般的には、合意を得て複数の恋人を作るのは困難です。合意を得てポリアモリーを実践している人の体験談はインターネット上にいくつかありましたが、別の交際相手がいる相手と同意の上で交際しても、その人自身が一人の相手を愛する性質の人であると、やはり嫉妬から破局してしまうことが多いようです。結局のところ、同じ恋愛観の人同士でないとうまくいかないのですね。一対一の交際が当然のことと見なされている現代の日本においては、合意の上で複数の人と交際する自由恋愛はまだまだ実現が難しそうです。
自由恋愛したいか?と聞かれたら
今回、この記事を書くために色々調べてみた上で私が思うことは、自由恋愛とはなんとも曖昧な概念だということです。本来の意味であった「個人の自由意志に基づく恋愛」という意味で自由恋愛したいかと問われれば、今まで当然のようにそうしてきましたし、反対する理由はありません。(ただし、モテる人とそうでない非モテの人の格差が生まれるとか、恋愛に消極的になって少子化に繋がるといった理由で問題視する人もいるようです…。)一方で、関係者全員の合意を得るという前提のもと、複数の相手と同時に交際したいかと聞かれれば、今のところ私にはそういう性質や願望は無さそうです。
交際相手が自由恋愛主義者だったら?
では、交際相手が自由恋愛主義(ポリアモリー肯定派)で、私以外の人と交際したいと言ったら…。これは悩みどころですね。好きな相手の意向なので聞き入れてあげたいところですが、私が一対一の関係を望む以上は、実現は難しいのではないかと思います。
とは言っても、試してみたら私も実はポリアモリーが性に合っているということもあるかもしれませんし、自分の価値観にこだわらずに受け入れてみるのも手かもしれません。それでうまくいかなければ、恋愛観の合う別の相手を探すべきということなのでしょう。ポリアモリーであれ同性婚や両性愛であれ、他者の恋愛観を否定せず、そして思い込みかもしれない自分の恋愛観にも囚われすぎず、我慢や無理もしないということを心がけて、真摯な対応を行えるのが理想ですね。
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