社会人であっても、迷ってしまうことが多いクールビズ。今回は「TPOにふさわしいクールビズの服装って?」、「クールビズってそもそも何?」といった疑問を解消するための情報を紹介します。正しいクールビズの着こなしを知り、快適に夏を過ごしましょう!
クールビズとは
実は、クールビズという言葉は、服装だけを指すわけではありません。改めてクールビズの定義や期間を確認してみましょう。
期間はいつからいつまで?
クールビズは、環境省の呼びかけにより2005年から始まった取り組みで、当初は6月から9月末日の4か月間実施されていました。しかし、2011年は東日本大震災に起因する節電の必要性を考慮し、5月から9月末日の5か月間実施されることとなり、以降2018年にいたるまで、5月から9月末日をクールビズ期間と定めています。
また、6月以降は「スーパークールビズ」と称し、より本格的なクールビズの実施が推進されています。環境省は、その取り組みの一環として、沖縄伝統のかりゆしの着用や、朝型勤務シフトの導入などを呼びかけています。
(参考:環境省 平成30年度クールビズについて、環境省 2011年クールビズについて(第二報))
環境省が策定したガイドライン
環境省はクールビズを、「国民が地球温暖化対策を意識して物事を選択する「COOL CHOICE」運動の主要施策」と定めています。夏に適した服装のことだと思われがちですが、正確には
冷房時の室温28度を目安に夏を快適に過ごすライフスタイル出典: 「環境省 平成30年度クールビズについて」
を指しているのです。
室温28度と聞くと暑いように感じますが、冷房の設定温度とイコールではありません。部屋全体の気温を28度程度にするために、冷房の温度や服装を調整しよう、という意図が込められています。
夏になるとよく耳にする、この28度程度という温度は、クールビズが始まった2005年時点に定められていた以下の2つの規則を元に設定されました。
「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」要約 「第2条 空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給できる設備をいう)を設けている場合は、厚生労働省令で定める基準に適合するように空気を浄化し、温度、湿度又は流量を調節して供給をすること。」出典: 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令
労働安全衛生法「事務所衛生基準規則」抜粋 「第5条第3項(空気調和設備等の調整) 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない。」出典: 「COOL CHOICE<< どうして「28℃」? >>」
つまり、冷房を適切に利用して室温を28度に保つことは、クールビズ開始前から建築業者や事業者に対して求められていたのです。
さらに、クールビズでは温室効果ガスの排出をおさえるため、エアコンだけに頼らず服装やライフスタイルによっても体感気温を下げようとさまざまな取り組みが行われています。
2005年に財団法人省エネルギーセンターが実施した実験によると、「ノージャケット・ノーネクタイの場合、体感気温が2度下がる」という結果が出ました。そのため、環境省のクールビズ服装ガイドラインでは、ノーネクタイやノージャケットを許容しています(ただし、ノージャケットは5月中は徹底せず、スーパークールビズの6月から徹底)。
ビジネスにおけるクールビズの服装
ここからは、実際にどのような服装がクールビズに適しているのかを説明していきます。ただし、クールビズの基準は企業によって異なることがあるので、あくまでも一般的な例として参考にしてください。
【女性】OKな服装
女性の場合、節度があり清涼感を意識した服装をするといいでしょう。パンツスタイルもスカートスタイルもOKですが、丈の短すぎるものは避けましょう。悩んでしまう場合は、クールビズ用の半袖シャツやチノパンなどが無難です。
スカートの場合は薄手のストッキングを着用すると、きっちりとした感じになり好印象です。足元はラフになりすぎない靴を選びましょう。企業にとって異なるものの、環境省のガイドラインではスニーカーも許容しています。
【女性】NGな服装
ノースリーブなどの露出が高いものや、下着が透けて見えるような服装はNGです。夏場は汗をかきやすいので、下着やシャツの色にも気を使いましょう。また、Tシャツやジーパンなどのラフすぎる服装も避けることが無難です。
(参考:環境省におけるクールビズの服装の可否)
【男性の場合】OKな服装
男性の場合は、パンツとシャツを単体で購入して組み合わせることが基本です。ノーネクタイ、ノージャケットが一般的ですが、ネクタイを外す場合はクールビズ用のシャツを着用しましょう。
ワイシャツの場合、白もしくは薄いピンクかブルーが無難です。「ホリゾンタルカラー」と呼ばれる、襟元が水平に広がった形であれば、ネクタイがなくても引き締まって見えます。もしネクタイをする場合は「セミワイドカラー」という、襟元が100度以上開いたものを選ぶといいでしょう。ポロシャツの着用も認められている場合は、「ビズポロ」というビジネス向けのポロシャツがおすすめです。
足元は、社内であればサンダルを可としている場合もあります。また、環境省のガイドラインのように、スニーカーを許容していることもあるので、TPOを意識して使い分けましょう。
そのほか、クールビズの普及に伴い、年中ノーネクタイが定着した企業もあります。クールビズ終了後もノーネクタイを続けるかは、社内の環境を見て判断しましょう。
【男性の場合】NGな服装
Tシャツ、ジーパン、ビーチサンダルなど、ラフすぎる服装はNGです。また、クールビズ用でないスーツのネクタイを外しただけ、という服装も避けましょう。通常のスーツは、ネクタイも含めて綺麗に見えるようにシルエットが計算されているので、ノーネクタイだとだらしなく見えてしまいます。
アロハシャツやチェックシャツなど、派手すぎる柄や色もNGと受け取られることがありますが、2018年の環境省のように、アロハシャツの着用を認めている事例もあります。クールビズ期間中の服装について不安がある場合は、企業の規則を確認してみるといいでしょう。
(参考:Sankei Biz クールビズ開始 省庁はアロハOK)
就活におけるクールビズの服装
企業によっては、就活生に対して、クールビズで面接や説明会に来るよう指示している場合があります。リクルートスーツが基本となる就活ですが、クールビズを推奨されたときはどのような服装をすべきでしょうか。性別ごとに適した服装や、内定者懇親会での服装について紹介します。
【女性の場合】OKな服装
ノージャケットのスーツ姿が基本です。ジャケットは最初から脱いでもいいですが、不安な場合は持ち歩くようにしましょう。
【女性の場合】NGな服装
派手な柄のシャツやTシャツ、ジーパンは避けましょう。企業では許容されている場合でも、就活で会社を訪問するときはスーツに基づく服装が無難です。また、丈の短いパンツやスカート、サンダルもNGです。
【男性の場合】OKな服装
就活生の場合は、ネクタイの着用が基本ですが、企業によってはノーネクタイやノージャケットでOKな場合もあります。ネクタイについて採用担当者から指示があった場合はそれに従い、とくに言及されていない場合はネクタイを身に着けるといいでしょう。もし、ノーネクタイで就活をする場合は、襟がしっかりと立っているシャツを選ぶと、かっちりとした印象になります。
クールビズ用のジャケットやパンツは、それぞれ単体で購入して着用する「ジャケパンスタイル」も許容されている場合があります。ネイビーのジャケットにグレーのスラックスなど、落ち着いた色を意識して選びましょう。
【男性の場合】NGな服装
女性の場合と同様に、派手な柄のシャツやTシャツ、ジーパンは悪目立ちしてしまいます。また、ネクタイについて個別の指示があったのに従わない、ということも避けましょう。
クールビズを推奨している場合でも、入社式や内定式など儀礼的な場ではリクルートスーツを着用するのが礼儀です。企業にもよりますが、うっかりしてノーネクタイで行かないように注意しましょう。
内定者懇親会におけるクールビズの服装
内定者と社員の親睦を図る内定者懇親会は、内定式などよりもカジュアルな雰囲気で行われます。企業から「クールビズで来てください」と言われた場合は、ノーネクタイ、ノージャケットでも問題ないでしょう。また、服装についてとくに指定がなければリクルートスーツで、「私服でお願いします」と言われた場合は清潔感のある自由な服装で行きましょう。
クールビズに適した服の選び方
ビジネスマンも就活生も、クールビズに適した服を選ぶときにはいくつかのポイントをおさえるといいでしょう。服を購入するときに役立つヒントを4つ紹介します。
すぐ乾く素材か
夏は汗をよくかくので、速乾性や吸水性にすぐれた素材の服を選ぶといいでしょう。ポリエステルやナイロンなどの合成繊維を含んだ乾きやすいシャツも販売されています。株式会社ユニクロが販売する「AIRism」は、抜群の通気性で速乾性が高く、体感温度を下げる接触冷感素材を使用しているため、夏におすすめです。
家で洗濯できるか
汗のにおいやシミを防ぐためにも、こまめに洗濯できる服を選びましょう。シワになりにくいものやアイロンがいらないもの、型崩れしにくいものを選ぶと手入れの手間を省くことができます。
下着が透けないか
クールビズでは、シャツの中に下着を着用するのがエチケットです。ただし、色の濃いものや派手な柄のあるものはシャツを着ていても透けてしまうので、肌の色やシャツの色に近いものを選びましょう。
サイズは合っているか
普段の服選びと同様に、体型にあったサイズを選ぶことが大切です。とくに、シャツは首回りのサイズがあったものを着ると、シルエットがきれいに見えます。
(参考:東洋経済ONLINE 崩しすぎない「クールビズ」着こなしのコツ)
クールビズの服装における注意点
国が推奨しているクールビズだからといって、だらしない格好やマナー違反は避けたいところです。最後に男性も女性も気をつけておきたいポイントを3つ確認しておきましょう。
シワに注意
シャツやスラックスがシワだらけだったり、襟元がよれていたりするとだらしなく見えてしまいます。毎日きちんと手入れをして、服の状態を保ちましょう。
ジャケットの持ち方に注意
ノージャケットの場合でも、念のためにジャケットを持ち歩くことがあるでしょう。ただし、つかんで持ち歩くと型崩れするおそれがあります。両肩を合わせるようにたたんで腕にかける持ち方がおすすめです。
汗に注意
汗を放置すると服に汗ジミができたり、周囲に不快感を与えてしまったりすることがあります。汗が引いてから先方にあいさつできるよう時間に余裕を持って出発する、汗拭きシートを持ち歩くなど汗対策を心がけましょう。制汗剤を選ぶときは無香料のものを選ぶと、どんなシチュエーションでも使うことができます。
ここまでクールビズの定義や服装について紹介してきました。暑いからといって過度にエアコンの温度設定を下げると、体調を崩しかねません。体調をキープするためにも、服装などで温度調節をし、暑い夏を快適に過ごしてみてはどうでしょうか。