紫外線やストレス、加齢など、肌荒れの原因は一つではありません。そのため、肌荒れを直すためには、自分の肌荒れの原因を理解し、正しい対処をすることがとても大切になります。この記事では、肌荒れ解消を期待できる栄養素やおすすめの食べ物などを取り上げ、美肌になる方法を紹介します。
肌荒れが起こってしまう一般的な原因3つ
ここでは、肌荒れを引き起こす原因として一般的によく知られているものを3つ紹介します。心当たりがある人もいるのではないでしょうか。
美肌を阻害する食べ物
スイーツや菓子パンなどの甘い食べ物や、インスタント食品やファストフードなど、油分と塩分が多い食べ物は肌荒れを引き起こしやすいとされています。
まず、甘い食べ物には糖質がたっぷりと含まれており、糖質が体内のたんぱく質と結びつくと「AGE(終末糖化産物)」という物質に変化ます。この、AGEが蓄積すると新陳代謝が悪くなり、糖尿病や動脈硬化といった病気の原因になるだけでなく、肌の張りに欠かせないコラーゲンにも悪影響を及ぼし、肌のくすみやシワ、たるみの原因にもなってしまうのです。加えて、脂肪と糖をとりすぎると、代謝を促すビタミンBが大量に消費されてしまうため、肌の水分・油分のバランスが崩れ、ニキビができる原因にもなります。
(参考:AGE牧田クリニック|AGEとは?)
また、市販のスイーツにはマーガリンやショートニングを多く含むものがあります。それらの油脂は悪玉コレステロールを増やすトランス脂肪酸を含んでいるため、美容や健康のためには摂取を控えるほうが良いでしょう。
そして、血液中の塩分濃度が上昇すると、浸透圧によって細胞の水分が低下してしまうため、塩分の摂りすぎは乾燥肌を引き起こします。インスタント食品やファストフードを日常的に食べていると油分・塩分の過剰摂取を招きやすいため、注意してください。
肌荒れを招く生活習慣
美肌に欠かせないのが、皮膚の一番外側にある角質層のバリア機能。ほこりなどの異物が皮膚に侵入するのを防止するとともに、肌内部の水分量を適切に保つ役割を果たしています。しかし、夜更かしや無理なダイエットなどで生活習慣が乱れると、肌のターンオーバーの周期が乱れて皮膚のバリア機能は低下してしまいます。
その結果、皮脂と水分のバランスが崩れ、吹き出物や乾燥肌、敏感肌といったトラブルを引き起こしやすくなってしまうのです。
肌荒れを起こすお手入れ方法
間違ったスキンケアよって、肌荒れを悪化させてしまっている人もいます。
肌の表面に汚れが残っていると、毛穴から余分な皮脂や角質、角栓といった老廃物を排出できず、毛穴の黒ずみや肌のくすみの原因になってしまいます。そのため、メイクをきちんと落とすことはスキンケアの基本と言えるでしょう。しかし、クレンジングをするときに何度も顔を洗ったり、力を入れて肌をゴシゴシとこすったりするのも良くありません。肌に刺激を与えすぎると角質層の皮脂がなくなり、バリア機能が低下して水分不足や皮脂の過剰分泌を招くからです。
また、基礎化粧品を肌タイプや年齢などに合わせて選ぶことも大切です。基礎化粧品に含まれる油や栄養、有効成分はターゲットの年齢層によって異なるため、自分の肌に合わないものを使用すると肌トラブルの原因になります。
肌荒れを放置することによって起こりやすい肌トラブル
肌荒れを放置すると、より深刻な肌トラブルにつながることがあります。
たとえば、肌の炎症や傷などを放置しておくと、過剰に生成されたメラニン色素が沈着してしみになってしまうことがあります。このしみは「炎症性色素沈着」といい、通常は肌のターンオーバーによって徐々に薄くなる一過性のものですが、慢性的なものになると消えずにいつまでも残ってしまうことがあります。
また、乾燥肌を放置しておくと角質が硬くなり、毛穴に皮脂や老廃物が詰まりやすくなります。この状態の肌はバリア機能も低下しているため、大人ニキビや、ちょっとしたことですぐに肌が荒れてしまう敏感肌の原因になってしまうこともあるのです。
このように、肌荒れを放置すると、しみや大人ニキビ、敏感肌につながることがあるため、早めに肌荒れの原因を突き止めて改善しましょう。
美肌になりたい!肌荒れに良い栄養素と食べ物
肌荒れを解消したい人におすすめの栄養素と食べ物を紹介します。
食物繊維
腸内環境と肌は密接に関係していることをご存知でしょうか。
腸内環境が悪化すると便秘になりやすくなり、便秘よって腸内にたまった腐敗物やガスは体内に吸収され、血流によって肌まで運ばれます。その結果、肌のターンオーバーの周期が乱れ、肌荒れを引き起こしてしまうのです。そのため、美肌には良好な腸内環境作りが欠かせません。
腸内環境を整えてくれる栄養素としては、食物繊維がよく知られています。腸内環境は、腸内に存在する悪玉菌と善玉菌のバランスによって決まるといわれていますが、食物繊維には、腸内の悪玉菌や有害物質を減少させる働きがあります。
また、食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、水溶性と不溶性をそれぞれ1:2のバランスで摂取すると便秘予防に効果があるとされています。
水溶性食物繊維を多く含む食品は、オクラ、サトイモやゴボウ、かんきつ類、海藻類。不溶性食物繊維を多く含む食品は、玄米や小麦ふすま、コンニャクやキノコ類、キャベツやさつまいもなどです。また、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく含む食品として、納豆、バナナやキウイ、アボカドなどもおすすめです。
たんぱく質
たんぱく質は全身のあらゆる細胞のもとになる重要な栄養素です。そのため、たんぱく質が不足するとホルモンバランスや自律神経の乱れ、冷え性など、多くの不調を引き起こします。さらに、健康な肌をつくるために欠かせないコラーゲンの合成も停滞するため、乾燥肌やニキビなど肌荒れの原因となってしまうのです。
たんぱく質は、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品に豊富に含まれています。美容と健康のためにも、意識してたんぱく質を摂取するようにしましょう。
脂質
脂質の取りすぎは、肥満や生活習慣病などの原因となりますが、一方で適度な脂質の摂取は美容に欠かせません。脂質は、細胞膜やホルモンの材料になるほか、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促すなどの働きがあり、不足すると様々な皮膚障害を引き起こします。中でも、必須脂肪酸と呼ばれるリノール酸、α–リノレン酸、アラキドン酸は、体内で生成することができないため、食品から摂取しなければなりません。
厚生労働省の発表した、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、理想的な脂質の摂取量は、1日の総摂取エネルギー量の20~30%程度が望ましいとされています。 脂質は体内で1gあたり9kcalとなりますので、例えば、20代の女性が1日に必要なエネルギー量である2000kcalを基準にして考えた場合、必要な脂質は約55gになります。
脂質は肉の脂身やラード、バター、ごま油、オリーブ油などに多く含まれていますが、さまざまな食品から複数の種類の脂質をバランスよく摂取するようにしましょう。
(参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要、厚生労働省|e-ヘルスネット、農林水産省|脂肪酸、厚生労働省「統合医療」情報発信サイト)
(参考:必須脂肪酸欠乏時における皮膚障害発症のメカニズムの解明,お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系,市育 代,2016)
ビタミン類
ビタミンは、人が生きていく上で欠かせない栄養素の一つです。ビタミンB群、C、A、D、E、Kなど、様々な種類があり、それぞれのビタミンごとに働きも異なっています。
レバーやうなぎ、卵や乳製品に多く含まれるビタミンAは皮膚と粘膜のうるおいを保ち、肌のターンオーバーを促進します。また、レバーや魚卵、のりなどに多く含まれるビタミンB2も肌のターンオーバーの正常化に必要です。
そして、ニンニクやレバー、魚、牛肉などに多く含まれるビタミンB6はホルモンバランスを整え、肌の代謝を良くします。魚卵や大根、かぼちゃ、ウナギ、アーモンドなどナッツ類に多く含まれるビタミンEは血行を促進するため、肌のバリア機能強化にも有効です。そのほか、ピーマンやかんきつ系の果実、ブロッコリー、カリフラワーなどに多く含まれるビタミンCは体内の活性酸素を除去するほか、体内でのコラーゲンの生成も助けてくれます。
ほとんどのビタミンは体内で生成することができないので、食べ物などからバランスよく摂取するようにしましょう。
(参考:武田コンシューマーヘルスケア株式会社|タケダ健康サイト ビタミンって何?)
悩み別の肌荒れにおすすめの栄養素と食べ物
肌荒れにもさまざまな症状があります。ここでは、肌の悩み別におすすめの栄養素や食品をご紹介します。
ハリ
紫外線や栄養不足などによって皮膚内部の水分量が足りなくなると、肌のハリがなくなってしまいます。肌の保水量を改善するためには、ビタミンAやビタミンB2、ビタミンB6、N-アセチルグルコサミン、ナイアシン(ビタミンB3)の摂取がおすすめです。
N-アセチルグルコサミンは、カニやエビの殻、きのこ、牛乳などに多く含まれており、肌の水分保持を助けるヒアルロン酸の元となります。また、ナイアシンは落花生やきのこ類などに多く含まれており、欠乏すると乾燥肌の原因になります。
シワ
シワは皮膚の表面がたるむことで発生します。肌がたるんでしまう原因としては、肌の水分不足の他、エラスチンやコラーゲン不足、肌の土台となる骨の骨密度の減少などがあげられます。
シワ対策には、「ハリ」で述べた肌の保水量を改善してくれる栄養素のほか、コラーゲンやエラスチンの材料になる栄養素、骨密度の減少を防ぐカルシウムをとることがおすすめです。
コラーゲンを豊富に含む食材としては、うなぎや豚バラ肉、軟骨や牛テール、手羽先や鶏の皮、ゼラチンなどがあります。しかし、食事から毎日必要量のコラーゲンを摂取することはなかなか難しいため、コラーゲンを配合するサプリメントなどを併用しながら、上手に補いましょう。
食事やサプリメントなどで補給されたコラーゲンは体内でアミノ酸に分解されるため、コラーゲンとしての効果が期待できないとする意見も一部見られますが、FANCL ヘルスサイエンス研究センターが行なった実験では、経口摂取されたコラーゲンは体内で吸収され、皮膚にまで到達することを確認しています。
カルシウムは、乳製品や魚介類から摂取が可能です。コラーゲンには、カルシウムの定着を助ける働きがあるので、同時にバランスよく摂取するようにしましょう。
さらに効果を実感したい方は、体内でのコラーゲン合成に必要なビタミンCや、コラーゲンの構造を支えるエラスチンを同時に摂取してみましょう。
(参考:大塚製薬株式会社 エクオールライフ 顔面骨密度の減少が顔のたるみを招く?、株式会社資生堂 資生堂コラーゲンLABO コラーゲンの基礎知識、日経ヘルス 髪や爪にも効果 コラーゲン、そのとり方はNG 、株式会社FANCL ファンケル研究開発 コラーゲンペプチドが皮膚に届くことを確認)
しみ・そばかす
紫外線が肌内部にダメージを与えたとき、皮膚は損傷を避けるためにメラニンを生成します。このメラニンがしみ・そばかすの原因です。
しみ・そばかすについて、詳しくは以下の記事でも紹介していますので、参考にしてみてください。
しみ・そばかすで悩んでいる時に取りたい栄養素はビタミンCです。レモン、ピーマン、キウイなどに多く含まれているビタミンCは、メラニンの生成を抑える他、肌のターンオーバーを促進してしみ・そばかすを薄くする働きがあります。
加えて、レバーやうなぎ、卵や乳製品に多く含まれるビタミンA、ニンニクやレバー、魚、牛肉などに多く含まれるビタミンB6、魚卵や大根、かぼちゃ、ウナギ、アーモンドなどナッツ類に多く含まれるビタミンEのほか、チーズやレバー、赤身肉、牡蠣(かき)などに多く含まれている亜鉛にも肌のターンオーバーを促す働きがあるため、しみ・そばかすで悩む人は積極的にとるようにしましょう。
吹き出物
ホルモンバランスの乱れによって毛穴に皮脂がたまり、皮膚が炎症を起こすことが吹き出物の原因です。吹き出物を防ぐためには、抗酸化物質を含む食品を多くとって皮脂の酸化を防止しましょう。皮脂の酸化を防ぐには、プルーンやりんご、コーヒーや紅茶・緑茶、赤ワインなどポリフェノールを含む食品や、魚介類・海藻類などミネラル分を含む食品がおすすめです。その他にも、「しみ・そばかす」の項目で紹介したような、皮膚のターンオーバーを促す食品も一緒に食べるようにしましょう。
食べ物以外で肌荒れを解消したり美肌を目指したりする方法
食べ物以外にも肌荒れを解消して美肌に近づく方法はあります。
まず、十分に睡眠をとることです。良い睡眠はダメージを受けた皮膚組織を修復する成長ホルモンの分泌を促します。
次に、自分の肌状態に適したスキンケアをすることも大切です。きちんとしたメイク落としを心がけると同時に、肌を傷めるお手入れをしないことや自分に合った基礎化粧品を選ぶことを意識しましょう。
そのほか、適度な運動をするとストレスを解消でき、自律神経のバランスが整うので、肌にも良い影響をもたらします。また、運動は腸のぜん動運動を活発にするため、美肌の大敵である便秘の解消にも効果的です。
美肌は体内から!肌荒れを解消する生活習慣やお手入れも大切
肌荒れを改善するためにはお手入れの方法や生活習慣を見直す必要があります。最も大切なのは栄養バランスの取れた食事をとる習慣づくりといえるでしょう。
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