レンジフードは調理で生まれる臭いを外に出してくれる、大切な換気設備です。毎日の炊事で活躍している存在ですが、手入れや掃除をする機会が意外と少ない部分。そのため、気づいた頃には、目に見えて汚れがたまっていることも少なくありません。
この記事では、レンジフードが汚れてしまう原因と、レンジフードを掃除するときのポイントを解説します!ギトギトとした汚れがこびりついてしまう前に、こまめに手入れしてあげましょう。
レンジフードが汚れる原因
レンジフードに付着する汚れは、「油とホコリ」が主な原因です。
レンジフードは、臭いと一緒に食材の油を含んだ蒸気も吸い込んでおり、この蒸気がレンジフードにあたって冷やされることで油が付着します。そして、この油にホコリなどがつき、あの見慣れたギトギト汚れになってしまうのです。
普段から油を使い、炒める・揚げる・焼くなどの調理をしている家庭では、特にレンジフードは汚れやすいでしょう。ただし、前述したように、油が直接飛んで汚れていくわけではないので、茹でる・煮る・蒸すなどのような料理がほとんどの場合でも、食材の油でレンジフードは汚れていきます。
汚れを放置するとどうなる?
レンジフードの汚れは、床や台所の汚れと違いそこまで気にならない場合も多いでしょう。しかし、汚れをそのまま放置して使い続けていると、不具合が起きる可能性があります。具体的な不具合の中身は、主に次の5つです。
(1) 排煙の効果が落ちてしまう
排気口が汚れでふさがってしまい、臭いや煙の吸引効果が大きく低下してしまいます。
(2)部屋に油汚れや臭いが充満してしまう
レンジフードの吸引効果が低下すると、汚れや臭いがキッチンを通じてほかの部屋に行きやすくなります。そのため、レンジフードだけでなく、部屋全体に臭いがついてしまうことも少なくありません。また、油汚れで雑菌などが繁殖し、キッチン全体が不衛生になる危険性もあります。
(3)レンジフードがボロボロになってしまう
油汚れは、レンジフードの塗装にもダメージを与えます。塗装がボロボロとはがれ落ちてしまうと、交換が必要になることも。
(4)運転効率が落ちて、電気代が上がってしまう
レンジフードの汚れによって、ファンの回転が重くなってしまいます。同時に、汚れで吸い込みも悪くなるので、じわじわと電気代が増えてしまうことがあります。
(5)ファンが故障して使えなくなる
さらにレンジフードの汚れが進行すると、故障という最悪の事態に陥ってしまいます。
カンタンにできるレンジフードの掃除方法
レンジフードの汚れを放置すると、電気代増加や故障、部屋に臭いが充満するなど、いいことがありません。そこで、カンタンに用意できるいくつかのアイテムを使って、自分でレンジフードの掃除を試してみましょう!
掃除に必要なもの
レンジフードの掃除では、主に次のものを用意しましょう。
(1)アルカリ性洗剤 もしくはセスキ炭酸ソーダ(重曹)沸騰水
レンジフードについた油は、基本的に「酸性」です。油汚れを落とすのなら、反対の性質を持つアルカリ性の洗剤を用意しましょう。
最近では市販の洗剤ではなく、環境に優しいナチュラル洗剤を使うこともあります。レンジフードの汚れをナチュラル洗剤で落とすなら、重曹とセスキ炭酸ソーダを混ぜた特製洗剤がおすすめです。
セスキ炭酸ソーダ(重曹)沸騰水の作り方
- 大きめの鍋(アルミ・銅・真鍮鍋は避けること)に、水1リットルを入れて沸騰させる
- 重曹かセスキ炭酸ソーダの粉を、大さじ3杯で少しずつ鍋に入れて混ぜる
- 混ぜ終わったら火からおろし、火傷しない水温になるまで放置する
ここで紹介している「セスキ水(セスキ炭酸ソーダ)」は、日頃の掃除にも便利です。気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください!
(2)新聞紙数枚
(3)ゴミ袋(40リットルなど大きめのもの)1枚
(4)ゴム手袋
(5)キッチンペーパー
(6)割りばし
(7)食品用ラップ
(8)スポンジや使い古しの歯ブラシなどの掃除道具
レンジフードには複数の種類があります。フィルターがネジ止めされているタイプもあるので、自宅のレンジフードをよく確認し、このほかにも事前にドライバーなどの工具を用意しておくといいでしょう。
掃除の手順
必要な道具が揃ったら、いよいよ掃除の開始です!アルカリ性の洗剤に触れるので、ゴム手袋をしっかり付けて作業をしましょう。フィルターを外す前に、床が汚れないよう新聞紙を敷いておきます。
(1)フィルターを外す
レンジフードの換気扇に付属しているフィルターを外します。フィルターはレンジフードの種類によって違いますが、ほとんどの場合は下のいずれかで外すことができます。
- ネジを取ってフィルターを外す
- フィルターについた取っ手で外す
- 左右に取り付けられたストッパーを押し上げて外す
(2)ファンを外す
フィルターの後は、ファンを取り外します。ファンは主に、円筒型をした「シロッコファン」と、昔ながらの「プロペラファン」の2種類が主流です。それぞれ次の点に注意して取り外してください。
・シロッコファンを外す場合
シロッコファンは縦長の羽根が付いているのが特徴で、ファンの手前にある円盤(「ベルマウス」と呼びます)が、ネジで固定されている状態です。このネジを反時計回りに回すと、ファンを外すことができます。急にネジが緩んでファンが落ちないよう、片手でファンを押さえながらネジを回してください。
・プロペラファン
プロペラファンも同じで、ファンの中心にあるネジを反時計回りに回すと外すことができます。
(3)パーツをつけおき洗いする
ここまでに外したフィルター、ファンなどすべてのパーツを、つけおき洗いしましょう。つけおきの場所は、キッチンシンクか浴室がおすすめ。油等で汚れないように、事前に用意したゴミ袋を広げてください。念のため、ゴミ袋は二重にしておくといいでしょう。
ゴミ袋にフィルター、ファンを入れ、油の溶け出す40度〜60度のお湯をはります。そこに、アルカリ性洗剤か先ほど作ったセスキ炭酸ソーダ(重曹)沸騰水を入れましょう。洗剤の用量は、記載されている量を守れば問題ありません。そして、つけおきした状態で、約1時間〜2時間放置します。
汚れがひどい場合は、なるべく2時間放置するようにしましょう。お湯を扱う際は、ヤケドなどに注意してください。
(4)スポンジ、歯ブラシ、割りばしで洗い流し
つけおきしたパーツを取り出し、油汚れと洗剤を一緒に洗い流します。お湯がまだ熱い場合は、最初に水を入れて水温を下げてから取り出すといいでしょう。
広い面積の油を落とすときはスポンジを使います。シロッコファンの細かい羽についた汚れは、歯ブラシ・割りばしなどを使うのがおすすめです。
各パーツを洗い終えたら、乾燥した場所に干しておきます。
(5)レンジフードカバーを掃除
パーツを乾燥させている間に、レンジフードのカバーも掃除しておきましょう。濡らしたぞうきんにアルカリ性洗剤、あるいはセスキ炭酸ソーダ(重曹)沸騰水を染み込ませます。掃除の時は、カバーの外部→内部の順序で行うのがいいでしょう。
これだけでは汚れが落ちない場合は、キッチンペーパーとラップを使って、次の手順で汚れを落としましょう。
- 洗剤・沸騰水をキッチンペーパーに染み込ませ、汚れの部分に貼りつける
- キッチンペーパーにラップを貼り、30分~1時間そのままにする
- ラップ・キッチンペーパーを外して、ぞうきんでふき取る
(6)乾拭き
パーツを乾いたぞうきんで、乾拭きしましょう。ここで水分が残っていると、カビなどが発生する原因になってしまいます。
(7)パーツの組み立て
ファン、フィルター等のパーツを組み立てて、掃除はおしまいです。
掃除が面倒なときは業者に頼もう
レンジフードの掃除は、季節ごとに行うのがおすすめ。フードカバーやフィルターなどは、週1回を目安に簡単に拭いておくだけでも、分解して掃除するときが楽になります。
しかし、カンタンにできるとは言っても、用意するものも多く時間がかかるので、自分でやるのは大変だという人もいるでしょう。そんな時は、掃除業者などにレンジフードの掃除をお任せするのも一つの手段です。そこで、実際に業者へ依頼すると、時間や料金がどのくらいかかるかもまとめまてみました。
料金の目安
レンジフードおよび換気扇のクリーニングを業者に依頼すると、おおよそ2時間〜3時間かかります。また料金の目安ですが、有名な業者は以下のように設定しています。
- ダスキン レンジフードクリーニング(換気扇クリーニング):18,000円(税抜)
- おそうじ本舗 レンジフード・換気扇クリーニング:15,000円(税抜)
- カジタク レンジフードクリーニング:13,500円(税抜)
業者は、レンジフード以外にも、エアコンや浴槽などなかなか手の届きにくい場所のクリーニングも受け付けており、それらの場所と合わせて申し込むと、セット料金になる場合もります。レンジフード以外で気になる場所があれば、合わせて料金を比較してみてください。
料理をしていると、レンジフード周りは必ず汚れてしまいます。いつも気持ちよくキッチンを使うために、今回紹介した掃除方法を試してみてください!できればプロに任せたいという方は、業者に依頼することも検討してみましょう。