筋トレには、BIG3と呼ばれる超王道の3種目があります。ベンチプレス、デッドリフト、そして最も多くの人に知られているのが「スクワット」です。他の種目に比べると気軽にできるスクワットですが、実は正しく行おうとすると意外と難しい種目でもあるのです。
そこでこの記事では、ダイエットや体力アップ、筋肉強化などを目指す運動初心者の方へ、正しいスクワットのやり方や回数の目安、器具を使ったトレーニング法を解説します!
初心者さんでもわかる!正しいスクワットのやり方
スクワットにはさまざまなバリエーションがありますが、まずはオーソドックスなスクワットのフォームを覚えましょう。
基本的なスクワットフォーム
もっとも基本的なスクワットのフォームを紹介します。読みながら、皆さんも実践してみてください!
(1)両足は肩幅よりやや広く開き、つま先を少し外へ向ける
(2)両手はまっすぐ前に伸ばすか、胸の前で組む
(3)ももが地面と水平になるまで、ゆっくりとしゃがむ
【ポイント】
*しゃがむ際は、ももの前の筋肉が効いていることを意識する。
*ケガを防止するため、しゃがんだ時にひざがつま先よりも内側に入らないようにする。
*かかとやつま先に体重が偏らず、足裏全体で地面を踏むよう注意する。
*顔は上体に合わせて、2m〜3m先の床を見るようにする。あごをあげてまっすぐ前を向くと、反り腰になりやすい。
(4)もも裏とお尻の筋肉を使うイメージで、まっすぐ立ち上がる。
スクワットのフォームで大切なのは、脚を曲げた時の姿勢です。しゃがんだ時にお尻を後ろへ突き出しすぎると重心が前方に偏り、腰の負担が増えてしまいます。逆に上体をまっすぐにしたまま脚を曲げると重心が後方に偏り、ひざを痛めてしまう原因になるでしょう。そのため、スクワットをするときは「すねと背筋が平行になっている」ということを常に意識しながら取り組むようにしてください。
スクワットは、下半身全般を鍛えられる種目です。しゃがむ時はももの前、しゃがみきってから立ち上がるまでは、お尻ともも裏の筋肉を使っていることを意識してみましょう。
【ダイエットしたい人向け】スクワットのやり方
ダイエットのためにスクワットを活用したい!という方は、「ワイドスタンススクワット」と「フロントランジスクワット」という、2つのバリエーションのスクワットがおすすめです。
・ワイドスタンススクワットのやり方
ワイドスタンススクワットは、通常のスクワットよりも脚幅を大きく広げて行います。脚幅は肩幅の1.5倍〜2倍くらいを目安にしてみてください。
脚幅を広げることで太ももの内側に刺激が入りやすくなるため、基本のスクワットよりも脚のラインを細くする効果が期待できるでしょう。また、負荷が高いため、腹筋と連動する筋肉である内転筋も同時に鍛えることができます。
・フロントランジスクワットのやり方
フロントランジスクワットは、脚を前後にずらして行うスクワットです。片足を一歩後ろにおき、前に出している方の脚を意識しながらスクワットを行いましょう。この時、身体が前傾しすぎたり、背筋を反らしすぎたりしないように、お腹周りに力を入れて姿勢を維持してください。
片足重心でスクワットをすることで、お尻の筋肉により刺激が入りやすくなります。ヒップラインをきれいにしたい人におすすめのスクワットです。
スクワットの間違った認識!
ダイエットのためのトレーニングとして、スクワットは高い人気があります。一方でスクワットには、さまざまな「誤解」が多いという側面もあるのです。
スクワットをすると、脚が太くなる?
スクワットに関する誤解で1番多いのが、脚が太くなるというもの。スクワットをすることで、脚がむくんでしまうと感じる女性は少なくないようです。
しかし、筋肉が不足していることも、脚がむくんでしまう原因のひとつ。そのため、スクワットで脚の筋肉を鍛えれば、脚のむくみを予防することが可能だと考えられます。
また、正しいフォームでスクワットを続けていれば、筋肉が成長して基礎代謝があがるため、ダイエット効果も期待できるでしょう。
(参考:ヘルスUP日経Gooday30+|筋トレは脚太くなるからイヤ? 女性の運動6つの誤解、CANARY|太ももを細くしたい人へ!4つの原因から対策を伝授します)
スクワットではつまさきより前にひざが出てはいけない?
「つまさきより前にひざが出てはいけない」というのは、スクワットのフォームに関してよく耳にするアドバイスですが、これは半分正解で、半分間違いと言えます。脚を曲げた時にすねと背筋が平行になっていると、重心が中心にあるので非常に安定した姿勢を保つことができます。実はこの体勢の時、ひざはつま先よりやや前に出ていることが多いのです。
もちろん、ひざが前に出すぎていたり、逆にひざがまったく曲がっていなかったりすると、腰やひざを痛める原因になります。しかし、姿見などでスクワットのフォームをチェックするときは、ひざよりも全体の姿勢を意識するようにしましょう。
【筋肉をつけたい人向け】スクワットのやり方
筋肉を成長させるのに必要なのは、十分な負荷です。そのため、基本のスクワットを毎日100回やるよりも、重りなどを持って8回〜12回できる強度の方が、効率よく筋肥大できます。
そのため、ダンベルやバーベルを使用するのが理想ですが、自重のスクワットをメインにする場合でも、次に紹介する2種類のスクワットは比較的高い負荷をかけることができます。
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットは、フロントランジスクワットに似た種目ですが、後ろに引いた脚をベンチに置いて、前脚の負荷をより高めます。ベンチがない場合は、椅子やベッドに脚を置きましょう。脚を曲げる時は、上体が前に倒れすぎないようにしてください。
(参考:日本パワーリフティング協会|自重スクワット【筋肥大向き】バルクアップ向きの負荷重量設定とセットの組み方)
ジャンピングスクワット
ジャンピングスクワットは、しゃがんでから立ち上がる時に、真上へジャンプして行うスクワットです。有酸素運動としての効果も高く、連続してジャンプするだけでかなりの疲労感を覚えます。トレーニングに夢中になると呼吸を忘れがちなので、このあとに紹介する呼吸法と合わせて取り組んでみてください。
【高齢者向け】スクワットのやり方
高齢者の方は、椅子を使った簡単なスクワットから始めてみてください。やり方としては、椅子に浅く腰掛けて、腕は前ならえの姿勢にするか、胸の前で組みます。あとは普通のスクワットと一緒で、椅子からゆっくり立ち上がりましょう。
姿勢の注意点も、普通のスクワットと同じです。上体が前に倒れすぎたり、まっすぐのまま立ち上がらないようにします。背もたれには寄りかからないように気を付けましょう。
スクワットの正しい呼吸方法
筋トレでは、呼吸を止めないことが大切です。もちろん、スクワットでもそのポイントは同じで、基本的には足を曲げる時に息を吸い、立ち上がる時に息を吐くようにしましょう。ただし、息を吐く時にお腹の力を緩めたり、お腹をへこませてしまわないよう気を付けてください。
また、スクワットなどのトレーニング中は、姿勢を保つためにお腹にしっかりと力を入れることが大切。そこでポイントとなるのが「腹圧(ふくあつ)」です。大きく息を吸った時、お腹が自然と膨らんでウエスト周りに圧を感じたり、くしゃみをするときお腹に力が加わるのを感じたりしたことはないでしょうか。腹部にかかるこのような圧力を腹圧と言います。
スクワットでは、この腹圧を抜かないようにしましょう。慣れない方は、まっすぐ立った状態で息を吸い、脇腹や背中の方まで空気が入るイメージでお腹をふくらませます。その状態を維持しつつ、最初に紹介した呼吸を行いましょう。
腹圧を入れた状態での呼吸は、それだけでもトレーニングになります。呼吸をつかさどるインナーマッスルである、腹横筋や横隔膜が鍛えられるので、お腹周りのシェイプアップも期待できるはず。
(参考:SPOSHIRU|間違った呼吸法は健康に悪い?正しい呼吸法でスクワットを効率的に。、稲城長沼はせ川接骨院|誰も教えてくれない腹圧と体幹の違い)
スクワットの回数
ダイエットを始めたばかりの頃は、モチベーションが非常に高いものです。毎日スクワットをやって身体を鍛えよう!という気持ちになりがちですが、ただ毎日トレーニングするだけでは、効果が半減したりケガをしたりすることも。適切なスクワット回数や頻度を、しっかり頭に入れておきましょう。
スクワットの適した回数とは
スクワットに限らず、筋肉を成長させるのに適した回数というのは、8回〜12回を3セット程度と言われています。ただし、適切な回数というのは、運動の負荷で大きく変わるものです。ダンベルやバーベル、リュック、ペットボトルといった重りが自宅にある人は、それらを活用して「なんとか8回〜12回できる」という強度に調整し、それを3セット繰り返してみましょう。
重量による強度アップができない人、あるいは重りを持つのが不安な人は、15回〜20回を3セットなど、1セットあたりの回数を増やしてみてください。
(参考:FiNC U|スクワットは毎日と1日おきではどちらが痩せる?効果的に行うトレーニングのポイント)
スクワットは毎日したほうがよいのか
筋トレは筋肉に対して、一定のダメージを与える運動です。そのため一度トレーニングをしたら、1日〜2日の回復期間が必要だと考えられています。そのため、スクワットも毎日するよりは、週2回〜3回で行うようにするといいでしょう。
もちろん、この頻度にも強度の考え方が関わっています。運動を始めたばかりの方は、強度も回数もそこまで多くありません。1日30回程度、基本のスクワットのみを行うのであれば毎日取り組んでも問題ないと考えられます。最初のうちは、「運動に慣れる」ことを目標にスクワットを取り組んでみてください。
間違ったスクワットのやり方
ここまでに、いくつかスクワットの間違ったフォームを紹介しました。改めてここで、それらをまとめてみます。
・つま先はまっすぐや内側に向いている
→つま先は外側に開く
・しゃがんだときにひざがつま先より内側に入る
→ニーインといって、ひざのケガにつながります。しゃがんだときにつま先と同じ向きか、やや開いているくらいの意識を持ちましょう。
・しゃがんだときにひざが前に出すぎたり、おしりを後ろに突き出しすぎている
→どちらも、ひざや腰に負担がかかります。しゃがんだとき、すねと背筋が平行になるようフォームを意識してください。
・しゃがんだときに顎が上がり、顔がまっすぐ正面を向いている
→反り腰の姿勢になってしまいます。背筋と同じ角度で、顔もななめ下を向くようにしましょう。
グッズや器具を使ったスクワットのやり方
スクワットは、自分の体一つでできるのが大きなメリット。しかし、運動経験がない方や体力に不安のある方は、ケガをする危険もあります。ここでは、スクワットをする際におすすめの初心者向けトレーニング器具を紹介します!
椅子を使ったスクワット
椅子を使ったスクワットはひざ・腰の負担を軽減できるため、初心者の方にもおすすめです。ベッドなど、他の家具でも代用できます。
スクワットマジック
通販番組、通販サイトで販売されている、椅子のような形状をしたトレーニング補助用のグッズです。使い方は簡単で、スクワットのフォームでこのスクワットマジックにしゃがむだけ。微妙な角度がフォームの調整に役立つほか、椅子を使ったスクワットのように強度の補助もしてくれます。
(参考:Shop Japan|スクワットマジックの効果的な使い方)
バランスボール
さまざまなトレーニングに使えるバランスボールを使った、「ウォールスクワット」という種目があります。やり方は簡単で、壁と背中でボールをはさみ、そのままスクワットをするだけ。ボールの補助がある分、安定した姿勢でスクワットを行えるため、姿勢を崩すことなく下半身を鍛えられます。
さらに負荷を加えたい場合は、片足でスクワットを行ってみましょう。バランスを取る際に、お腹周りの筋肉も鍛えられるので、スクワットのバリエーションを増やしたい方にもおすすめです。
(参考:日本パワーリフティング協会|バランスボールスクワット【種目解説|男女共用】下半身の簡単な鍛え方)
ゴムチューブ
バランスボールと同じく、有名なトレーニング器具です。チューブを両手で持ち、先端を両足で踏みながらスクワットをすることで、簡単に強度を上げることができます。ダンベルやバーベルなどの重りを必要とせず、場所も取らないので、スクワットや他のトレーニングに変化を加えたい方は、ぜひ使ってみてください。
スクワットは、自宅のちょっとしたスペースで手軽に下半身やお腹周りを鍛えられるとても効率のいいトレーニングです。効果を最大限発揮するためには、フォームについて気をつけるべき点も多いですが、ダイエットや体力づくり、筋力アップのためにもぜひ取り組んでみてください!