暑い季節に入り、腕や足を露出する機会が増えてきましたね。サンダルを履こうとして、ふと足先が気になってしまった人もいるのではないでしょうか。
この記事では、足の裏やかかとにたまった角質を取り除く方法や、自宅でできる角質ケアの方法を紹介します。角質の本来の目的や角質がたまる原因も解説していきますので、角質を正しく理解して、効果的なケアに役立てましょう!
足の角質について
まずは、角質とはそもそも何なのかを確認しておきましょう。
肌トラブルの原因というイメージが強い角質ですが、実は角質にも大切な役割があるのです。
角質とは
角質とは、肌の表皮部分の中で一番外側にある角質細胞のことを指します。人の肌の構造は、外側から順に角質層(かくしつそう)、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層(きていそう)の4層に分けられますが、このうち一番外側の「角質層」を形成しているのが角質細胞です。
基底層では、常に細胞分裂によって角化細胞(ケラチノサイト)が生まれており、後から生まれる細胞に徐々に押し上げられる形で、おおよそ2週間かけて角質層に到達します。そして、角化細胞はさらに2週間かけて角質層の最上部(肌表面)に到達し、少しずつ自然に剥がれ落ちていきます。この一連の流れをターンオーバー(角化)といい、この表皮の営みが乱れると肌トラブルの原因になってしまうのです。
角質の役割
角質層には、角質細胞内にある水分の流出を防ぐことで表皮のうるおい保ち、肌を外部刺激や乾燥から守る働きがあります。この働きを「バリア機能」といいます。
バリア機能には、「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質」「皮脂膜」の3つの保湿成分が大きく関わっており、ターンオーバーの乱れによってこれらの保湿成分が不足することで、肌トラブルが起きやすくなると言われています。
(参考:MARKS&WEB|肌の構造と役割、第一三共ヘルスケア|ミノン|敏感肌のバリア機能とは)
足に角質がたまる原因
角質は本来、古いものから自然に垢となってはがれ落ちていくものですが、様々な原因で表皮に蓄積されてしまうことがあります。中でも、足は特に角質がたまりやすい箇所です。足の皮膚が乾燥したり角質が厚くなったりしている人は、ここで挙げる原因に心あたりがないか、確認してみてください。
ターンオーバーの乱れ
先に説明した「ターンオーバー(角化)」のリズムが乱れると、古くなった角質細胞がはがれ落ちにくくなります。
もともと足は、体の他の箇所に比べてターンオーバーに時間がかかるため、角質がたまりやすい状態です。さらに、足の血行が悪い場合には、栄養分が足にまで行き渡らなくなることによってターンオーバーが乱れる場合も。このため、冷え性の人は足の裏やかかとに角質がたまりやすいと言われます。
冷え性の改善には普段の食生活が影響します。炭水化物やたんぱく質のほか、緑黄色野菜や果物などに多く含まれる「ビタミンB」や「ビタミンC」の摂取も、冷え性改善に効果が期待できます。角質に悩んでいて冷え性の自覚がある人は、一度自分の食習慣を振り返ってみるのがいいでしょう。
(参考:第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局|肌あれの症状・原因)
乾燥
足の裏には肌に油分を供給する役割を持つ皮脂腺がないため、油分が不足して乾燥しやすいという特徴があります。一方で汗腺は多いので、汗とともに水分が蒸発しやすく、さらに乾燥しやすい状態です。また、肌のターンオーバーが乱れていると、古い角質がはがれにくくなって角質が分厚くたまっていきますので、さらに乾燥が進行する原因になります。
熱いお湯に触れたり、足元用の暖房器具を頻繁に使ったりすると、肌が乾燥しやすくなるので気を付けましょう。また、かかとが乾燥している時にサンダルを履くなど、乾燥が気になる箇所を露出するのも避けましょう。
姿勢が悪い
物理的な刺激も、角質が厚くなる大きな原因です。
姿勢が悪い人は、歩く際に左右の足に均等に体重が分散されずに偏りが出ます。こうして、同じ箇所にばかり負荷がかかることで、圧力や摩擦を受ける箇所の角質が厚くなってしまいます。
靴が足に合っていない
靴の形やサイズが足に合っていない場合、靴の中で足が圧迫されたり、動いたりして、摩擦がくり返され、角質をさらに厚くする原因となります。
特定の部分に圧力がかかり皮膚が刺激されると、防御反応として角質が厚く硬くなってしまうのです。
角質がたまりやすい箇所
足の中でも、特に角質がたまりやすい箇所があります。その原因を確認しておきましょう。
指の付け根
親指や中指、小指の付け根あたりは、角質が厚くなって、たこや魚の目ができやすい箇所の一つです。
特に、ハイヒールをよく履く人は、親指や中指の付け根の角質が厚くなりやすく、こうした箇所にできるたこを「ヒールだこ」と呼ぶこともあります。小指の付け根あたりの角質が厚くなる場合は、ハイヒールや先端が細くなっている靴による圧迫、あるいは歩き方や外反母趾などが影響している場合があります。
親指
歩くときに親指側に重心を置く歩きぐせがある場合、親指の側面あたりの角質が厚くなる傾向があります。その他、O脚やがに股、外反母趾なども、親指の角質が厚くなる原因となります。
かかと
かかとの角質が厚くなってがさがさしたり、ひび割れたりといった悩みを抱えている人は多いでしょう。
かかとは、立っている時に全体重の7割を受け止めているとされ、足の中でもとりわけ負荷がかかっている箇所と言えます。この体重を支えるため、かかとには分厚い皮下脂肪があります。通常、この脂肪の中を通る毛細血管が皮膚に栄養を届けるのですが、体重による負荷のせいで毛細血管が切れやすく、栄養がうまく行き渡りません。このためターンオーバーが乱れ、角質がたまりやすくなるのです。
また、夏にサンダルを履いてかかとを露出すると、紫外線による刺激を受けます。これもかかとの角質が厚くなる原因の一つです。
足の角質を放置するとどうなる?
それでは、たまった角質を放置するとどうなってしまうのでしょうか。
ニオイの原因になる
角質がたまったままにしておくと、ニオイの原因になります。
足の汗腺は、体の他の部分よりも3~10倍も多いため、靴を履いている時にはかなりの量の汗をかきます。たまった角質が汗によって蒸れて柔らかくなると、それをエサとして雑菌が繁殖します。こうして雑菌が繁殖する過程で、嫌なニオイが出るのです。
冷え性の原因になる
血液の循環は、毛細血管が刺激されることで促進されます。ところが、角質がたまって厚くなっていると、外部からの刺激が足に伝わりにくくなるため、血流が悪くなってしまうのです。これが冷えの原因となり、体温が下がって、頭痛や肩こりといった様々な体の不調につながっていく場合もあります。
ひび割れて痛む
固くなった角質をそのままにしていると、ターンオーバーにも影響が出るので、肌自身の保湿力が低下し、どんどん乾燥が悪化していきます。あまりに悪化するとひび割れを起こすことも。ひび割れに至るまで悪化すると、角質だけでなく皮膚も割れるので、歩く時に痛みを感じる場合があります。
水虫になっていることも
水虫とは、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が角質層に入り込んで繁殖することで起きる病気です。水虫の症状にはいくつかの種類がありますが、かかとがガサガサして粉をふいたようになる症状もその一つ。このタイプの水虫はほとんどかゆみを伴わず、見た目で判断することも難しいため、ただの乾燥だと思っていたら実は水虫だったという可能性があります。
(参考:サンドラッググループ|かかとのカサカサ、水虫かも?| 2017.5月)
角質を取りたいときには
たまってしまった角質を取り除くには、いくつかの方法があります。家でできる手軽なものに加えて、プロによるフットケアもありますので、足の状態に合わせて選びましょう。
角質パック
足をピーリング液に浸す「角質パック」は、肌への負担が比較的少なく、簡単に古い角質をはがすことができる方法です。また、足全体をローションに浸すため、指と指の間や爪の周りのなど、細かい部分の角質まで簡単にケアすることができます。ピーリング液に浸してから、約1~2週間で足裏全体の皮がむけ、つるつるの肌に生まれ変わります。時間をかけて徐々に皮がむけていくので、人前で靴や靴下を脱がない時期に使用するのが良いでしょう。
株式会社リベルタの「Baby Foot」シリーズは、浸す時間が60分の標準タイプと30分の時短タイプがあるほか、香りの違うものや男性向けのもの、コラボ商品など、幅広いラインアップで人気です。
・ベビーフット イージーパック
(商品リンク:ベビーフット (Baby Foot) ベビーフット イージーパック)
電動リムーバー
簡単に角質を取り除ける電動リムーバーは、かかとの悩みを手間なく解決してくれる心強いアイテムです。ヘッドが回転することで、摩擦によって角質を綺麗に取り除いてくれます。製品によってヘッドの素材やパワー、形まで様々なので、性能の他に、重さや手なじみの良さなども比較しながら選ぶと良いでしょう。
パナソニックの「角質クリア」はペンタイプの電動リムーバー。ヘッドは大きさの違う2種類が付属しており、回転速度も2段階から選ぶことができます。シェーバーのような形状をした一般的なタイプよりヘッドが小さいものの、パワーがあってしっかりと角質を削ることができるほか、爪の横や指の間と言った細かい部分にも対応できるのが魅力です。
・パナソニック角質クリア
(商品リンク:パナソニック 角質クリア)
皮膚科やフットケアサロンの受診
角質がひび割れて痛みがある場合や深い魚の目ができている場合などは、皮膚科やフットケアサロンの受診をおすすめします。自己流で対処しようとした結果、逆に症状が悪化してしまう可能性があるためです。また、セルフケアを1か月ほど続けても効果が見られない場合、水虫などの病気の可能性がありますので、皮膚科を受診してみましょう。
フットケアサロンを利用する時は、事前にホームページなどを見て自分の足の状態に合った処置を受けられるか確認しておきましょう。
角質のケア方法
たまってしまった角質は取り除くしかありませんが、本来であれば、角質をためないように普段からケアをしておくのが一番です。普段から足に保湿クリームを塗って油分を補充し、乾燥を防ぎましょう。入浴後は特に肌が乾燥しやすいので、お風呂あがりにすぐにクリームを塗るのがおすすめです。
フットケア専用のクリームにも種類がありますが、ワセリンやグリセリン、シアバターなどの保湿成分が配合されているものがおすすめです。特に、かかとの乾燥がひどい場合には、尿素が配合されたクリームが効果的。ただし、尿素の入ったものは、使い続けると角質が薄くなりすぎる危険がありますので、パッケージに記載されている使用方法を確認してから使いましょう。
リムーバーやクリームを使用して角質を取り除いたり乾燥を防いだり、といった直接的なケアも大切ですが、余裕があれば根本原因への対処も考えたいところ。足を冷やさないようにすることや、足に合った靴を選ぶこと、あるいは正常なターンオーバーを保つためにバランスの良い食事で栄養を取ることなど、やるべきことは人それぞれです。角質がたまる原因としてこの記事で紹介したものの中から自分の思い当たる原因が見つかったら、どのように改善していくことができるか、ぜひ検討してみてくださいね。