「ビニール肌」という言葉を耳にしたことはありますか?ビニール肌は肌トラブルのひとつで、毎日念入りにスキンケアをしている人ほど陥りやすいといわれています。そのため、ツヤのあるきれいな肌に見える人でも、実はビニール肌になっていたというケースも少なくありません。また、場合によっては乾燥や肌荒れに発展してしまうことも。
この記事でビニール肌の原因や改善方法を知り、普段のスキンケアを見直してみましょう。
ビニール肌とは
ビニール肌とは、文字通りビニール素材のようにツルツルした手触りの肌のこと。ザラついた肌よりも好印象を抱くかもしれませんが、これは肌の角層が薄くなっていることが原因です。そのため、実は肌の表面にダメージが蓄積されており、刺激を受けやすい状態となっています。
ビニール肌が引き起こす肌トラブル
前述したように、ビニール肌は皮膚の角層が薄くなり、水分と油分のバランスが崩れた状態です。そのため、放置しておくと肌荒れや乾燥、にきび、シワなどのトラブルに発展する可能性があります。
では、なぜ角層が薄くなると肌が荒れやすくなってしまうのでしょうか。スーパーなどで行われる詰め放題を思い浮かべると、その仕組みがイメージしやすくなります。
詰め放題では、ひとつでも多くの物が入るようにと、ビニール袋を引っ張ることがあるでしょう。こうすると、確かに中身は多く入りますが、厚みの減ったビニール袋が重量に耐え切れず、途中で破れてしまうこともあります。
このビニール袋のように、薄く伸ばされた皮膚(角層)は抵抗力が下がってしまうため、外部からダメージを受けやすい状態に。すると肌内部に蓄積していた水分が蒸発しやすくなり、肌荒れや乾燥などを引き起こしてしまうのです。また、弾力性も低下するため、シワやタルミなどの外見的な変化も生じやすくなると考えられています。
(参考:リペアセルクリニック|脱ビニール肌!フォトフェイシャルで素肌美人になろう)
ビニール肌かどうかの診断
ビニール肌なのか、それとも本当にキメ細かい肌なのかは、どのようにして見分ければよいのでしょうか。いくつか診断項目を用意したので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
【洗顔後の診断項目】
・化粧水をすぐに付けないと、肌が張っているような感覚がある
・水分よりも油分が多く、不自然なテカリがある
【メイク時の診断項目】
・化粧品を使うと肌がヒリヒリする
・ベースメイクがなじみにくい
【日常の診断項目】
・肌がかゆいと感じることが多い
・肌が乾燥しやすい
・最近肌トラブルが増えたと感じる
・肌の弾力が低下したと感じる
【心構えの診断項目】
・洗顔をすればするほど肌がきれいになると思っている
・スキンケア用品はたくさん使ったほうがいいと思っている
当てはまる項目が多ければ、ビニール肌になっている可能性があります。とくに、日ごろから過度なスキンケアを行っている人は注意が必要です。
ビニール肌になる原因
ビニール肌になってしまう主な原因は、肌への過度な刺激です。肌を美しくしようとするあまり、誤ったスキンケアや洗顔などが日常化し、ビニール肌になってしまうことも少なくありません。ビニール肌になる具体的な原因をいくつか見ていきましょう。
スキンケアのしすぎ
ビニール肌の代表的な原因が、過度なスキンケアです。具体的には、メイク落としに強力すぎるクレンジング剤を用いている、古い角質を取り除くためのピーリングを行う周期が短い、などが挙げられます。
スキンケアは肌の清潔さを保つために必要なお手入れですが、肌に刺激を与える行為でもあります。そのため、スキンケアをしすぎると、本来肌に必要な水分や油分まで取り除かれてしまい、ビニール肌になる可能性が高まるのです。
スキンケア用品は用法と用量を守って正しく使用し、肌に触れる際は力を入れすぎないなど、日ごろから丁寧なスキンケアを心がけましょう。
過度な洗顔
誤った洗顔方法が原因で、ビニール肌になってしまうこともあります。
・洗顔をするとき、力を入れてゴシゴシと顔をこすっている
・洗顔料を使った洗顔を一日に複数回行っている
・スクラブ入りの洗顔料や、ピーリング、酵素洗顔など洗浄力の強すぎる洗顔料を頻繁に利用している。
これらはいずれも間違った洗顔方法の代表例で、肌に必要な皮脂や角質まで取り除いてしまっている可能性があります。
洗顔料を使って顔を洗うのは1日1回までにする、洗浄力の強い洗顔料を使うのは週1~2回にするなど、できるだけ肌に刺激を与えない洗顔を心がけましょう。
生活習慣の乱れ
脂質や糖質が多い食生活、過度なストレス、睡眠不足などは、肌への負担につながるため、生活習慣の乱れがビニール肌の原因になることもあります。
とくに40代以上の女性はホルモンバランスが崩れやすいといわれているため、規則正しい生活で心身を整えることを心がけましょう。
(参考:オーガニック化粧品のピュアノーブル|ビニール肌とその原因って?)
ビニール肌の改善・治療方法
ビニール肌を改善するためにはどのように過ごせばいいのでしょうか。今すぐにできる方法や、外出時に気を付けたいポイントなどをご紹介します。
過剰なスキンケアを控える
まずは、ビニール肌の主な原因である過度なスキンケアを見直してみましょう。
【洗顔】
洗顔料はスクラブの入っていない低刺激のものを選びます。ピーリング用のアイテムは刺激がとても強いため、使い過ぎにはくれぐれも注意してください。
また、摩擦を抑えるために、洗顔料をしっかり泡立てることも大切です。肌をこするのではなく、泡でやさしくなでるように洗うのがポイント。最後は人肌程度のぬるま湯でしっかりとすすぎ、洗顔料や水分が肌に残らないようにしましょう。
【保湿】
洗顔後の保湿では、化粧水だけではなく乳液などのクリームも併用するのがおすすめです。ビニール肌は保水力が弱いため、せっかく化粧水で水分を補充しても、みるみるうちに水分が蒸発してしまいます。そこで、油分を含む乳液などで表面を覆うことで、肌の保水力を高めることができるのです。保湿に使う基礎化粧品はできるだけ刺激の少ないものを選びましょう。
化粧水を肌にしみこませるためにコットンを使う場合もありますが、ビニール肌の人は刺激の少ない手のひらを使いましょう。この時、化粧水をたくさん染み込ませようと、強く叩き込むのは厳禁です。化粧水を適量手のひらにとり、顔全体を包み込むようにやさしくなじませましょう。
【メイク・クレンジング】
メイクとクレンジングでも、ビニール肌の人には低刺激のアイテムがおすすめです。
ベースメイクではBBクリームを使う、摩擦をやわらげるためにメイクブラシの使用を控えるなどの工夫をしましょう。クレンジング用品は、ミルクタイプやクリームタイプを選ぶと、シートタイプやオイルタイプよりも摩擦が抑えることができるといわれています。
スキンケア用品やメイク用品を買うときは成分表示などを見て、自分の肌に合ったアイテムを選ぶことが大切です。ひとりでは決められないときは、化粧品売り場の美容部員に尋ねてもいいでしょう。
(参考:オーガニック化粧品のピュアノーブル|ビニール肌の改善と角質培養の8つの対策ポイント)
肌断食
肌断食とは、あえて肌に化粧品などを塗らず「すっぴん」のままの状態で過ごすことです。
肌に刺激を与える原因となる、界面活性剤や防腐剤が含まれた化粧品の使用を控え、肌表面のバリア機能を回復・維持することで、肌トラブルを改善できると考えられています。
ただし、人によってはかえって肌への負担が大きくなってしまう可能性も。肌断食を試したいときは、皮膚科の医師など、専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。
外出時の紫外線対策
外出をする際に避けられないのが、紫外線による肌へのダメージです。夏の暑い日に限らず、メイクの前は日ごろから日焼け止めを塗り、肌を紫外線から守ることを心がけましょう。
しかし、日焼け止めはとにかく強力なものを選べばいい、というわけではありません。外出時間の長さと目的によって使い分けると、肌への刺激を最小限に抑えることができます。
日焼け止めの強さは「SPF(Sun Protection Factor)」と「PA(Protection Grade of UVA)」で表されています。
SPFは、肌が炎症を起こす原因となるUVB(紫外線B波)をどれだけ抑えられるかを示しています。強さは、日焼け止めを塗らない場合と比較した際の、UVBに対する防御効果の違いによって、2~50+の数字で表されます。
PAは肌を黒くする原因であるUVA(紫外線A波)をどれだけ抑えられるかを示しています。強さは「PA+」〜「PA++++」の4段階で表されます。
散歩やちょっとした買い物などの日常生活には、SPF10〜20かつPA++程度の日焼け止めが適しているといわれています。ジョギングなどの軽い運動やレジャーをするときに適しているのはSPF30以上かつPA+++の日焼け止め。長時間炎天下ににいなければならないとき、マリンスポーツなどを楽しみたいときなどはSPF50以上かつPA++++の日焼け止めでしっかり肌をガードしましょう。
いずれの場合でも、時間が経つと汗や皮脂によって日焼け止めが落ちてしまうので、こまめに塗り直すようにしてください。
(参考:ANESSA SUN CARE BOOK|SPFとPAの違いって?賢い日焼け止めの選び方)
肌の表面が薄くなり、刺激を受けやすくなってしまうビニール肌。乾燥や肌荒れなどの肌トラブルに発展することもあるため、放置するのはおすすめできません。
過度なスキンケアや誤った洗顔が原因で、知らず知らずのうちにビニール肌になっている可能性もあるため、洗顔やスキンケアの方法を見直してビニール肌を改善していきましょう!