ダンベルはフィットネスジムだけでなく、自宅でのトレーニングでも使いやすいアイテムです。腕や肩、胸や背中など、ダンベルを効率よく使用すれば、幅広い部位を効果的に鍛えることができるでしょう。
この記事では、ダンベルを使ったトレーニングの基本から、ダンベルの選び方、女性や初心者も実践しやすい部位別トレーニングについて解説します!
ダンベルトレーニングとは
ダンベルは、棒の両端にさまざまな重量の重りがついた形のトレーニング器具です。そして、このダンベルを使って行うトレーニングを「ダンベルトレーニング」と呼びます。まずは、実際にダンベルトレーニングを行う上での基礎知識や、自体重で行う「自重トレーニング」との違いを知っておきましょう。
ダンベルトレーニングの基本
ダンベルトレーニングの基本は、ダンベルの重量を活用して、筋肉に負荷をかけられる点にあります。より効率的に負荷をかけるために、次のようなポイントを意識しておきましょう。
(1)適切な重量でトレーニングする
効果的に筋肉へ刺激を与えられるトレーニングの強度は、「1セットあたり8〜12回の回数がなんとかこなせる程度」だと言われています。そのため、軽すぎて疲れを感じない重量のダンベルを使用したトレーニングは、あまり効果的とは言えません。
反対に、1回持ち上げるのが精一杯というような重量だと、関節や筋肉に過剰な負荷がかかり、肩や腰を痛めてしまうかもしれません。その時々の自分の体力・筋力に合わせて、適切な重量のダンベルを選ぶようにしましょう。
(2)フォームに注意する
正しくないフォームでトレーニングし続けると、筋肉を鍛える以前に関節などを痛めてしまう場合もあります。特にダンベルトレーニングでは、無茶なトレーニングでうっかりダンベルから手を離し、大怪我をしてしまうこともありえるのです。
トレーニング初心者の方は、いきなり重い重量に挑戦しようとしてしまいがちですが、それ以上に「正しいフォームでできているか」を意識して取り組むようにしましょう。
(3)マットなどで床を保護するor床が傷つきにくい素材を選ぶ
金属がむき出しになっているタイプのダンベルは、落下させた際に大きな音が響いたり、床が傷ついたりしてしまう場合があります。そのため、自宅でトレーニングをする際は厚めのマットを敷く、このあと紹介する軟らかいタイプの材質のダンベルを選ぶなど、できる範囲で工夫しましょう。
自重トレーニングとの違い
ダンベルトレーニングは、自重トレーニングと比べて大きく2つのメリットがあります。1つは、ピンポイントで鍛えたい部位を鍛えられる点です。これにより、肩や腕、胸だけを鍛えるなど、細かく部位別の筋肉にアプローチすることができます。
もう1つは、ダンベルを使うことによって、細かい負荷設定ができるという点です。自重トレーニングでも負荷の調整はできますが、負荷の調整幅は個人に左右されてしまいます。一方、ダンベルトレーニングは数字ではっきりと負荷を調整できるため、個人差のない細かな負荷調整が行えるのです。
「腕立て伏せで上半身や体幹を鍛えつつ、二の腕をダンベルトレーニングで集中的に追い込む」など、ダンベルトレーニングと自重トレーニングを組み合わせることで効率よくトレーニングメニューを組むことができます。両方のトレーニングの違いを理解し、目的や目標に合わせて使い分けましょう。
ダンベルの種類
ダンベルはその形状によって、固定式ダンベル、可変式ダンベル、ウォーターダンベルという3種類に大別できます。それぞれの特徴を知り、自分にあったダンベルを選択しましょう。
固定式ダンベル
1kg、3kg、10kgなど、重量が決まっている固定式ダンベルは比較的軽い重量のものが多く、この後に紹介する可変式ダンベルと比べて、コンパクトなつくりをしています。また、手頃な価格の商品が多いため初心者の方におすすめです。
ただし、トレーニング中に負荷を変更したくなった場合は、別の重さのダンベルを用意する必要があります。
可変式ダンベル
可変式ダンベルは重量のあるプレートの着脱ができる仕様となっており、多種目のトレーニングをしたい人におすすめのダンベルです。重りの組み合わせを自在に負荷を変えることができるため、「胸のトレーニングは10kgに設定して、下半身のトレーニングは20kgに設定する」など、1つのダンベルであらゆる部位を鍛えることができます。
一方で、プレートの数が多いため調整に手間がかかり、部品の保管場所も必要となります。
ウォーターダンベル
ウォーターダンベルは、プレートやダンベル全体に水を入れて使用するダンベルです。水の出し入れといった手間はかかるものの、トレーニングの目的や部位によって重さを変えることができるほか、水を抜いた後は非常に軽いため、持ち運びにも便利でしょう。
ダンベルの選び方
ここからはダンベルを選ぶ際に重視すべきポイントについて紹介します。これからダンベルの購入を検討している人は、次に紹介する内容を参考にダンベルを選んでみてください。
重さ
ダイエットなどの目的でトレーニングを始めたいという女性の場合は、片方最大5kg程度を目安にダンベルを用意しましょう。余裕がある方は、2kg〜5kgの範囲でダンベルを2組ずつ持っておくと、様々なトレーニングに対応しやすくなります。
トレーニングの頻度が高く、ある程度筋肉量を増やしたいという場合は、まずは片方最大10kgまで重量を引き上げてください。その後、トレーニングに慣れてきたら、最大30kgまでの可変式ダンベルを使用し、徐々に負荷を上げていきましょう。
素材
ダンベルには、大きく分けて4種類の素材が使用されています。ここでは、それぞれの素材の利点や特性について紹介しますので、自分のニーズに合ったダンベルを選んでみましょう。
(1)鉄
飾り気がなくシンプルな見た目で、値段も安いのが特徴です。ただし、鉄がむき出しのため、手の汗や空気中の水分によってサビやすいというデメリットがあります。
(2)クロームメッキ
メッキ加工された、高級感のある見た目が特徴のダンベルです。サビにくく耐久性が高いものの、鉄ダンベルと同様に床などに傷つけやすいため注意しましょう。
(3)ポリエチレン
鉄ダンベルをポリエチレンでコーティングしたものです。プラスチック製品のような見た目で、床に落としてしまった場合でも衝撃音や傷を抑えられるというメリットがあります。
(4)ラバー
鉄ダンベルをラバーで保護したダンベルです。こちらも、ポリエチレンダンベルと同じく、衝撃音を抑え、床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も比較的安価でカラーバリエーションも豊富なため、女性を中心に人気のダンベルです。
(参考:BODYMAKER)
ダンベルを使ったトレーニングメニュー
ここからは、ダンベルを使ったトレーニングメニューを部位別に紹介します!腕や肩、胸、背中、腹筋と5つの部位に分けてメニューを解説するので、自分の鍛えたい部位に合ったものに選んで取り組んでみましょう。
※記事内で紹介しているトレーニングの回数やセット数はあくまでも目安です。ご自身の体調に合わせ、無理のない範囲で行なってください。
腕
・アームカール
(1)立った姿勢で両手にダンベルを持ちます。背筋はまっすぐ伸ばし、両足は肩幅に広げてください。
(2)ひじを身体の真横より少しだけ前に出し、手のひらを正面へ向けてダンベルを持ち上げます。
(3)ひじを曲げきる手前で止めて、ゆっくり元の位置へ戻しましょう。
この動作を左右それぞれ8回〜12回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
アームカールは、腕に力を入れた際に力こぶとして現れる、上腕二頭筋を鍛える種目です。ひじを動かしながら行うと負荷が逃げてしまうため、出来るだけひじの位置を固定しながら行うようにしてください。また、手首を曲げ過ぎると前腕が疲れてしまう原因となるため、ひじから手先までがまっすぐになるようなイメージで行いましょう。
・フレンチプレス
(1)イスに座り、両手でダンベルを持ちます。この時、取っ手(バー)の中心部分よりも、上側を両手で支えるように持つと安定しやすくなります。
(2)ダンベルを頭の真上に持ち上げた状態から両手のひじを曲げ、ダンベルを後頭部に近付けます。この時、両手のひじの間隔があまり開きすぎないように注意してください。
(3)ひじをできるだけで曲げたら、ひじを伸ばしてダンベルを持ち上げます。
(4)(2)~(3)の動きを繰り返して、ダンベルを上下に動かします。この時、ひじがなるべく前後に動かないようにしましょう。
フレンチプレスは、二の腕にある上腕三頭筋を鍛えられるトレーニングです。8回〜12回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
怪我をする恐れがあるため、背筋をしっかりと伸ばし、腰が曲がらないよう注意しながら行ってください。また、ひじが前後に動かないように、しっかり位置を固定することを意識しましょう。慣れないうちは片腕ずつ行い、ダンベルを持っていない方の腕で動作中のひじを押さえて固定するというやり方も有効です。
肩
・サイドレイズ
(1)立った姿勢で、ダンベルを両手に持ちます。
(2)ひじを軽くまげた状態で、両手を身体の真横に広げるようにしてダンベルを持ち上げましょう。
(3)肩の高さと同じくらいまでダンベルを持ち上げ、ゆっくり元の姿勢に戻します。
この動作を8回〜12回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
サイドレイズは、主に肩にある三角筋を鍛える種目です。三角筋は肩関節を覆うように、身体の前面・中央・背面と広がっている筋肉ですが、このうちサイドレイズでは前面と中央の2カ所を鍛えることができます。
ひじが伸び切った状態で行うと、三角筋よりもひじの関節に負担がかかってしまうため、必ず軽くひじを曲げて行うようにしましょう。
・リアレイズ
(1)ダンベルを両手に持ち、足は肩幅よりやや広めに開いて立ちます。
(2)ひざを軽く曲げ、上半身を前傾させましょう。
(3)(2)の姿勢を維持したまま、ダンベルを身体の真横よりやや前方へ持ち上げましょう。このとき、ひじは軽く曲げておきます。
(4)肩の高さまでダンベルを持ち上げたら、ゆっくり下ろします。
この動作を8回〜12回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
リアレイズは、サイドレイズ同様に主に肩にある三角筋を鍛える種目ですが、リアレイズでは三角筋の背面(後部)を鍛えることができます。リアレイズでは肩の高さまでダンベルを持ち上げた際に刺激が強まるため、しっかりと限界までダンベルを持ち上げるように意識島yそう。
胸
・ダンベルプレス(床で行う場合)
(1)ストレッチマットなどを敷いて、あお向けになります。
(2)あお向けのまま足をやや開き、ひざを曲げて上半身を支えられるようにします。
(3)ダンベルを握り、まっすぐ上に持ち上げましょう。このとき、ダンベルを持つ手を天井に向けないようにしてください。
(4)ゆっくりとひじを曲げ、ダンベルを下ろしていきましょう。このとき、ややわきを閉じてダンベルを下ろすようにしてください。真上から見ると、ダンベルを下ろしたときに腕と上半身の角度が、60°〜70°くらいになっているイメージです。
(5)再びダンベルを持ち上げ、ひじが伸び切る少し手前で止めます。
(6)ゆっくり(4)の位置に戻しましょう。
この動作を8回〜12回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
ダンベルプレスは、胸を鍛える代表的な種目です。ダンベルをまっすぐ上げた際に、そのまま真横におろしていくと、胸よりも肩の負担が増えて痛めてしまう場合もあるため、やや脇を締めるように意識しながらダンベルを上下に動かしましょう。
幅の狭いベンチを使って行うと、より大きくダンベルを動かすことができます。
背中
・ベントオーバーローイング
(1)両手でダンベルを持ち、背骨が一直線になるようなイメージで上半身を前傾させます。足を肩幅よりやや広めにして、軽くひざを曲げて上半身がぶれないようにしましょう。
(2)(1)の体勢から、ひじを曲げてダンベルを持ち上げます。腕の力でダンベルを持ち上げるというよりも、肩甲骨を寄せるイメージで行いましょう。
(3)限界までダンベルを引き寄せたら、元の姿勢に戻します。
この動作を8回〜12回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
ベントオーバーローイングは、広背筋という、背中の大きな筋肉が鍛えられるトレーニングです。
腹筋
・サイドベント
(1)肩幅に足を広げて立ち、片手にダンベルを持ちます。もう片方の手は頭の後ろに添えます。
(2)上半身をダンベルの持っていない方へ、真横に倒していきましょう。
(3)できるだけ上半身を倒したら、元の姿勢に戻ります。
この動作を8回〜12回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
サイドベントは、腹筋のなかでも、横腹にあたる「腹斜筋」という筋肉を鍛えられる種目です。身体を倒す時は、骨盤の位置が左右にぶれたり、上半身が前や後ろに倒れたりしないよう注意して、真横に倒すことを意識しましょう。
(参考:日本パワーリフティング協会│「コラム記事15」ダンベルでのBIG3メニュー)
女性におすすめのダンベルトレーニング
上記で紹介したトレーニングは、これからダンベルトレーニングを始めるという女性にも有効です。そのなかで、何からはじめていいか迷ってしまう人は、次の3種目をから取り組むことをおすすめします。
(1)フレンチプレス
フレンチプレスは、上腕三頭筋の中でも腕の裏側に位置する長頭部分を重点的に鍛えることができるため、二の腕を引き締めたいという方におすすめです。
(2)ベントオーバーローイング(ワンハンドローイング)
メリハリのある上半身を目指したい方は、ベントオーバーローイングを取り入れてみてください。自重トレーニングだと鍛えることが難しい広背筋に効率よく負荷をかけることができます。
(3)サイドベント
腹斜筋のトレーニングは、ウエストのシェイプアップに有効です。サイドベントでは主に腹斜筋を鍛えられるほか、脇腹を大きくストレッチできるため、姿勢改善・呼吸改善の効果も期待できると言われています。
ダンベルは、自宅でのトレーニングの幅をもっと広げたいという人にとってとても便利なアイテムです。今回紹介したダンベルの選び方やダンベルを使ったおすすめトレーニングを参考に、日常にダンベルトレーニングを取り入れてみてください。