ダイエットやトレーニングの一環として有酸素運動を取り入れている方は多いはず。しかし、「挑戦してみたものの長続きしなかった」「うまく痩せられなかった」など、思うような効果が得られずに悩んでしまった経験はないでしょうか。
有酸素運動はなんとなく続けるのではなく、目的を意識してメニューを組むことでより高い効果が期待できます。この記事では有酸素運動の特徴やおすすめのメニュー、頻度などを徹底解説!無理なく続けられる有酸素運動に挑戦してみましょう。
有酸素運動とは?
有酸素運動(エアロビクス)とは、酸素を取り入れながら体内の血糖や脂肪をエネルギーに変えて行うトレーニングの総称です。身体への負荷が比較的軽く、長時間かけてゆっくりと行うメニューが多く、筋肉そのものを鍛えるというよりも、体脂肪の減少や持久力アップ、生活習慣病予防などに役立てられています。
まずは、有酸素運動の詳しい効果を見ていきましょう。
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット│エアロビクス / 有酸素性運動)
有酸素運動で得られる効果
有酸素運動では、筋肉を動かすエネルギー源として脂肪も使うため、ダイエットの効果を高めることを目的として、トレーニングメニューに組み込まれることがあります。また、有酸素運動によって体温上昇や血流の活性化が起きるため、年齢を重ねるごとに衰えやすい基礎代謝をアップさせるだけでなく、高血圧や冠動脈疾患の予防などにも効果が期待できるでしょう。
さらに、運動中に積極的に酸素を取り入れることで心肺などの呼吸循環器系機能が向上するという見解もあるため、結果として安静時の代謝アップや持久力の向上も期待できます。
有酸素運動の種類
前述したように、有酸素運動は時間をかけてゆっくりと行うトレーニングです。
代表的な種目としては、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが挙げられます。このほか、屋内でもできるエアロビクスダンス、太極拳なども有酸素運動の一種です。
有酸素運動と無酸素運動の違い
有酸素運動のほかに、無酸素運動という言葉を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。長時間継続して行う有酸素運動に対し、短距離走やウェイトリフティングなど、瞬発力が求められる運動のことを無酸素運動と言います。無酸素運動では、筋肉に蓄積された糖をエネルギー源として、短時間のうちに筋肉へ高い負荷をかけることができるため、筋肥大などに効果的だと考えられています。
(参考:おいしさと健康 glico│有酸素運動と無酸素運動の違いを知っていますか?)
詳しい違いについては以下の記事で解説しています。気になる方はぜひチェックしてください。
【目的別】有酸素運動のメニュー・目安時間
有酸素運動のポイントは「少し大変かも」と感じる程度の負荷をかけ続けることです。そこで、自分に合った運動強度を把握する目安として心拍数を参考にしてみましょう。
一般的に、脂肪燃焼に効果的な有酸素運動の目安は「最大心拍数の4~6割」と考えられています。これは心拍数が高くなりすぎると身体が無酸素運動として認識し、エネルギー源が切り替わってしまう場合があるからです。一方、逆に心拍数が低すぎると脂肪燃焼に時間がかかってしまう可能性があるため、適切な心拍数を維持することが重要です。
具体的に、有酸素運動の目標となる心拍数を計算するときは「カルボーネン法」という計算方法を用います。
「カルボーネン法」の計算式は以下のとおりです。
「(最大心拍数-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数」
計算に使う数値は、以下の方法で求めてみましょう。
・最大心拍数
最大心拍数の目安は「220−年齢」で計算できます。
・安静時心拍数
リラックスした状態で手首の親指側に指を添えて脈拍を1分間計測します。添える指は人差し指、中指、薬指の3本。朝、起きて身体を動かす前の状態で測るのが理想です。
健康な成人の安静時心拍数は1分間に60~80回程度といわれています。
・運動強度
運動するときの負荷を示す値。有酸素運動の場合は40%~60%が目安です。
上記の値をもとにモデルケースを計算してみます。
例:30歳、安静時心拍数60の人が運動強度50%の有酸素運動をするときの目標心拍数
(220-30-60)×0.5+60=125
この場合、運動中の心拍数が1分間に125前後となるようにトレーニングメニューを考えましょう。腕やマシンに装着するタイプの心拍計も販売されているため、より正確な数値を知りたい方や運動中に数値を確認したい方は活用してみてください。
続いて、有酸素運動の具体的なメニューと目安を見ていきましょう。
(参考:健康長寿ネット│運動強度とは)
ウォーキング
背筋を伸ばし、腕をしっかり振りながら歩きましょう。周囲と会話できる程度の余裕を持ったペースで、20〜30分間続けます。足はかかとを先に下ろし、つま先で地面を押すことを意識してください。最初はゆっくりとした速度で歩きましょう。
ランニング
少し息がはずむ程度のペースで、20〜30分間を目標に走りましょう。継続するうちに「楽になった」と感じたら、距離や時間をのばしてもかまいません。いきなり走り始めるのではなく、早歩きから徐々にスピードを上げていくことがポイントです。
サイクリング
少しきついと感じる速さで、屋外を自転車で走りましょう。目安は約20分間です。屋内の場合は、エアロバイクを活用すれば同様の運動を行うことができます。
水泳
1回30分~1時間を目安に、休憩をはさみながら泳ぎましょう。泳ぎ方は自分の得意なものでかまいませんが、クロールや平泳ぎなど、長時間継続できる方法がおすすめです。
水泳の長所は、陸の上で行う運動に比べて関節への負荷が少ないこと。実際に高齢者のリハビリとして水泳を取り入れている介護施設もあります。また、水泳では水の抵抗によって負荷が増すため、陸上での運動と比較して約2倍のカロリーを消費すると考えられています。そのため、ダイエットにもおすすめです。
さらに、泳がず、水中でウォーキングをするだけでも有酸素運動ができます。水中ウォーキングの場合は週2~3回、約30分~1時間程度を目安に続けてみましょう。腕と足を水中で大きく動かすことがポイントです。
自宅でできる有酸素運動
階段は、有酸素運動に利用できる場所のひとつです。背筋を伸ばして足を大きく動かし、階段を上り下りしてみましょう。5〜10分間繰り返すことを1セットとして、3セットを目安に行ってください。足の裏全体が階段に乗るようにすることがポイントです。
階段がない場合は、ちょっとした段差を上ったり下りたりするだけでも効果が期待できます。以下の記事では、自宅でできる有酸素運動について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
有酸素運動のよくある質問
最後に、適切な頻度やダイエット効果を得られる運動時間の目安など、有酸素運動に関する気になる疑問にお答えします。
週にどのくらい運動するべき?
生活習慣病予防として有酸素運動を行う場合、週3~5回が適切な頻度といわれています。運動の強度によっても異なりますが、ほどほどに疲労を感じる程度であれば週5回、高い負荷であれば週3回が目安です。
もちろん、軽い有酸素運動を毎日行ってもかまいません。無理なく継続できるメニューに取り組んでみましょう。
有酸素運動を行うタイミングは?
有酸素運動を行うタイミングは、食事をしてから約1.5時間後が良いと考えられています。このタイミングで血糖値がピークになるため、とくに血糖値上昇や中性脂肪の値を抑えたい人は、積極的に有酸素運動を取り入れてみましょう。
1回20分以上やらないと効果がない?
有酸素運動を行う時間の目安は1回20分以上とされていますが、健康維持が目的であれば20分以下であっても十分効果が期待できます。効果を実感するまでに長い時間を要するため、まずは短時間でも継続することを優先しましょう。
ただし、ダイエット目的の場合は、20分以上の有酸素運動がおすすめ。有酸素運動を開始してから約20分後は、「体脂肪燃焼のゴールデンタイム」とも呼ばれ、主なエネルギー源が糖分から体脂肪に切り替わります。そのため、より効率よく脂肪を燃焼させることができるでしょう。
部分痩せ(顔、ウエスト、ふともも)は可能?
有酸素運動は全身のエネルギーをまんべんなく使うため、部分痩せには向いていません。しかし、筋トレと組み合わせることで、特定の部位に負荷をかけることは可能です。有酸素運動で基礎代謝を高め、さらに筋トレで痩せたい部分を重点的に鍛えるなど、有酸素運動と無酸素運動を効率よく活用すれば、結果的に特定の部分を早く痩せさせることができるでしょう。
酸素を取り入れ、体内の血糖や脂肪をエネルギー源とする有酸素運動は、無酸素運動と比べて身体への負荷が軽いため、運動初心者にもおすすめです。さらに、脂肪燃焼や健康維持の効果も期待できるため、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。