スポーツ選手が減量・体力づくりを目的として行っているイメージがある縄跳びですが、実は消費カロリーが高いためダイエットに最適。しかし、縄跳びをしたのは小中学校の体育の授業が最後、という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな縄跳びの消費カロリーや得られる効果、具体的なトレーニング方法について解説します!これからダイエットをはじめるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
縄跳びによる効果
誰でも気軽に行える縄跳びですが、たくさんの嬉しい効果があります。
(1)脂肪燃焼効果が高い
後半でくわしくもさらに詳しく紹介していきますが、縄跳びは比較的消費カロリーの多い運動です。短い時間でもしっかり脂肪燃焼効果が期待できるため、時間に余裕がないという人でも取り組みやすいでしょう。
(2)体幹・下半身の引き締め効果
縄跳びは一定のリズムで垂直にジャンプし続けるため、主にももやふくらはぎといった下半身の筋肉を使います。また、ジャンプ動作を安定させるために体幹の筋肉も使われるため、ウエスト〜下半身全体の筋肉が鍛えられて、引き締め効果が期待できるのです。
(3)心肺機能アップで疲れにくい=痩せやすい身体に
縄跳びは消費カロリーの多い運動であると同時に「有酸素運動のなかでもハードな運動」と言われています。そのため、短時間でも継続的に取り組むことで心肺機能がアップし、体力も向上させることができるでしょう。
また、体力が向上することで身体が疲れにくくなります。その分有酸素運動の負荷を高めたり、駅では階段を使ったりと消費カロリーの多い行動が取りやすくなるため、より痩せやすい身体を手に入れることができるのです。
縄跳びの消費カロリー
運動の負荷を表す指標に、METs(メッツ=運動強度)という単位があります。これは安静に寝ている状態を1として、その運動がどれくらいの強度かを示したものです。
例えば、有酸素運動として代表的なランニングのMETsは、時速6.4kmのスローペースなジョギングで6.0METs。時速8kmのジョギングとランニングの間くらいのペースは、8.0METsとされています。
それに対して縄跳びの場合、毎分100回未満で跳んだゆっくりペースでも、8.8METs。毎分120〜160ステップとかなり速いペースで跳んだ場合では、12.3METsとされており。この数字は、サッカーやテニスなど、かなり激しく動くスポーツよりも高い強度となっています。
1つの運動の消費カロリーというのは、運動時間×体重×METsで計算できるため、高METsの縄跳びは、「消費カロリーの多い運動」と言えるでしょう。
(参考:平成28年 国民健康・栄養調査報告)
ランニングに関しての詳しい情報が知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。
縄跳びのコツ
縄跳びでダイエットや体力づくりをする際は、ケガをせず継続的に跳び続けられるよう、以下で紹介する5つのポイントを確認して行いましょう。
(1)縄跳びのグリップ部分を両手で持ちます。このとき、グリップを力いっぱい持つのではなく、リモコンを持つようなイメージで親指を少し立てるようにして持ちましょう。これによって、親指で縄をコントロールしやすくなります。
(2)足幅は肩幅より狭く、ジャンプしやすい程度を意識しましょう。目安としては、足の間に拳がひとつ入るくらいの広さです。
(3)つま先が内側を向いていると、ジャンプ時に足首をくじいてしまう危険性があります。そのため、つま先はやや外を向けるように意識してください。
(4)実際に縄跳びを跳ぶ際は、次のポイントを意識しましょう。
・腕全体ではなく、手首で縄を回す
・顎を少し引いて、目線は正面を意識する
・慣れないうちは、1分間で60回転(1秒で1回転)くらいから始め、徐々に回転数を増やす
・呼吸を止めず、一定のペースで吸って吐いてを繰り返す
(5)一定時間跳んだら、インターバルでしっかり水分補給をして、また次のセットを行います。運動初心者の方は、まずは1分間から始めてみましょう。
(参考:CANARY|効果が出る!『縄跳びダイエット』のおすすめメニュー)
縄跳びの基本メニュー
縄跳びには、さまざまなバリエーションの跳び方があります。毎回同じ跳び方だと飽きてしまって継続が難しいという場合は、次に紹介する基本メニューを日によって使い分けながら取り組んでみましょう。少しずつ体力がついて縄跳びに慣れてきたら、「前跳び10回→あや跳び10回→二重跳び10回」など、跳び方をミックスしてみるのもおすすめです。
前跳び
もっとも基本的な縄跳びの技です。まずは前跳びが安定して跳び続けられるように、繰り返し練習しましょう。継続して跳ぶことが難しいという人は、次の点を意識してみてください。
(1)回すだけの練習をする
縄跳びが苦手な人は、肩・腕を必要以上に大きく動かして縄を回している可能性があります。これでは余計な力が入ってしまうため、うまく跳ぶことができません。そこで、最初はジャンプをせず、脇をしめて肘から先で縄を回し、足に縄が引っかかったらまたいでまた縄を回す動作を繰り返します。
このようにして、縄跳び特有の腕の使い方を身につけましょう。
(2)縄を意識せず、リズムよく跳ぶ練習をする
次は、縄を使わずジャンプだけをしてみましょう。このとき、実際に縄があることをイメージしながら「いち、に、いち、に」とリズムよく跳びます。
二重跳び
二重跳びは前跳びの要領で一回ジャンプをする間に、縄を二回転させる跳び方です。腕や下半身の負担が増すだけでなく、縄を回すタイミングにもコツが必要なため、難易度は高め。体力に余裕が出てきたら、前跳び1回→二重跳び1回→前跳び1回…といった流れで、少しずつ回数を増やしてみましょう。
その上で、次のポイントを注意しながら跳んでみてください。
(1)グリップの先端を持つ
グリップはなるべく端を持ちます。リモコンを持つようなイメージで親指を立てて持ち、グリップをコントロールしやすいようにしましょう。
(2)跳ぶときに「くの字」にならず、背筋は伸ばす
二重跳びをしていると、ジャンプをする際につい腰がひけて「くの字」になってしまいがちです。そうならないように、視線はしっかりと正面を向き、背筋を伸ばしながらジャンプしてください。
(3)前跳びよりも高く跳び、ひざは曲げる
1回のジャンプで縄を2度回すため、前跳びよりも高くジャンプする必要があります。(2)のポイントを意識しつつ、ひざをしっかり曲げて両足で高く跳びましょう。
(参考:NHK SPORTS STORY|二重跳びのコツが知りたい!縄跳びのプロが教える気をつけるべきポイント)
あや跳び
身体の前で常に腕をクロスさせながら跳ぶ技を、交差跳びといいますが、前跳びとこの交差跳びを、交互に繰り返し続けるのがあやとびです。交差時に腕を大きく動かさないと、縄が足に引っかかってしまうため、慣れるまでは腕を交差させた交差とびの状態からはじめるといいでしょう。
後ろ跳び
前跳びとは逆回転で、身体の前方から後方へ縄を回す跳び方が後ろ跳びです。跳ぶ瞬間の縄が見えないため、前跳びより難易度が高くなります。前跳びで縄の回し方、リズムをしっかり理解してから、徐々にチャレンジしてみましょう。
(参考:CANARY|効果が出る!『縄跳びダイエット』のおすすめメニュー)
縄跳びのよくある質問
ここでは、縄跳びについての気になる疑問について詳しく解説していきます。具体的な消費カロリーやケガをしないためのコツを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
縄跳びする上での注意点は?
縄跳びは、ジャンプをし続ける運動です。そのため、運動に慣れていない人は、腰やひざを痛めてしまう危険性があるほか、日常的に運動を行う人であっても、足首を痛めてしまう場合があります。
ケガを予防して、長時間継続して跳ぶためにも、縄跳びをする前には腰やもも、アキレス腱、足首をしっかりストレッチするようにしましょう。また、縄跳び中はクッション性の高いスポーツシューズを履くことで、体への負担を軽減できます。
縄跳びでの消費カロリー計算方法
縄跳びによる消費カロリーは、次の式で求められます。
体重(kg)×運動時間(h)×運動強度(METs)=消費カロリー(kcal)
縄跳びの運動強度(METs)を使って、実際に縄跳びを行ったときに想定される消費カロリーを計算してみましょう。
(例)体重50kgの女性が、休憩をはさみつつ合計15分縄跳びをした場合
・毎分100ステップ未満のゆっくりとしたペースで前とび(8.8METs)
50(kg)×0.25(h)×8.8(METs)=110kcal
・毎分12〜160ステップのかなり速いペースで跳んだ場合(12.3METs)
50(kg)×0.25(h)×12.3(METs)=153.75kcal
ご飯1膳分が約170kcalとされているため、ゆっくりとしたペースで縄跳びを行った場合でご飯2/3膳分、速いペースで行った場合でほぼご飯1膳分を消費できます。また、縄跳びを継続することで筋肉がつけば基礎代謝も上がるため、1日を通しての消費カロリーを増加させる効果も期待できるでしょう。
縄の長さはどのくらいがベスト?
両足で縄の中央を踏んで、両手でグリップを持ちます。そのまま、気をつけの姿勢で脇を閉め、二の腕が身体についたまま、手首を曲げずに肘を90°に曲げてください。
このとき、問題なく肘を90°に曲げられる長さが、適切な縄の長さの目安です。短すぎたり長過ぎたりする場合は、長さを調節しましょう。
縄跳びは回数?時間?
縄跳びでは跳んだ回数を目安や目標にしてしまいがちですが、縄跳びを含む有酸素運動において重視すべきなのは、「どれくらいの時間その運動を継続したか」ということです。そのため、ペースや回数にこだわりすぎず、時間を意識して取り組みましょう。
ダイエット目的で行う有酸素運動の場合は、おおよそ20分間程度継続するのが良いとされています。
縄跳びの効率的な時間帯
縄跳びを行うタイミングとして、推奨されているのは、朝と夕方です。
(1)朝に有酸素運動をするメリット
朝に運動を行うことによって、血行が促進されて自律神経の交感神経が優位になるため、1日を活動的に過ごすことができるでしょう。
(2)夕方に有酸素運動をするメリット
日中〜夕方のタイミングは、代謝が活発になっているため、この時間帯で有酸素運動を行うことで、より高い脂肪燃焼効果が期待できます。一方で、夜寝る前などにハードな縄跳びをすると、身体が活発になり寝付きが悪くなってしまうためおすすめしません。
いずれの場合でも、普段の働き方やライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で継続しやすい時間帯を選ぶようにしましょう。
消費カロリーも多く、跳び方のバリエーションも多い縄跳びはダイエットやトレーニングの強い味方です。また、楽しく有酸素運動ができる点も縄跳びの嬉しいポイントと言えるでしょう。今回紹介したポイントやメニューを参考に、まずは1日1分などできるところから取り組んでみてください。