運動不足の解消やダイエットを目的として、日常的に筋トレを取り入れているという方は多いでしょう。しかし、仕事や学校から帰宅して家事などに追われていると、筋トレを行うのが寝る前になってしまうという場合もあるかもしれません。そこでこの記事では、寝る前に筋トレを行うことで得られるメリット・デメリットについて詳しく解説します。また、筋トレの効果を高めるコツや、寝る前に行う筋トレに関する様々な疑問にもお答えしていますので、ぜひ参考にしてください。
寝る前の筋トレで得られる効果(メリット)
まずは、寝る前に筋トレを行うことで得られる3つの効果について見てみましょう。
習慣化しやすい
筋トレは、決まった時間帯に取り組むことで習慣化しやすくなるとされています。忙しい日々を過ごす中で、時間を確保するのは簡単なことではありませんが、寝る前であれば時間を作れるという方は多いでしょう。
寝る前の筋トレを日々のルーティンとして習慣化させることで、効率よく身体を鍛えることができます。
睡眠の質が上がる
「寝る前に筋トレを行うことで目が冴えて寝つきが悪くなってしまうのでは」と疑問に思っている人もいるかもしれません。しかし、適度な筋トレであれば睡眠に悪影響を及ぼす可能性は低く、むしろ体が適度に疲労することで、安眠につながりやすいとされています。そのため、寝る前に筋トレを行うことで、睡眠の質を高めることができるでしょう。
筋肉の回復・成長を促進
トレーニングの負荷によって傷ついた筋繊維や蓄積された疲労は、休息をとることで回復していき、その結果として筋力の向上や筋肥大などが起こります。
寝る前に筋トレを行えば、睡眠でしっかりと体を休ませることができるため、筋肉の回復と成長を促進することができるのです。
寝る前の筋トレで気をつけたいこと(デメリット)
寝る前に筋トレを行うことはメリットばかりではありません。身体に負担をかけない正しい方法でトレーニングをするため、デメリットについても確認しておきましょう。
負荷のかけ過ぎは睡眠に逆効果
適度な疲労感は睡眠の質を高める効果が期待できますが、反対に、負荷が大きすぎる筋トレや長時間の筋トレを睡眠前に行うと眠りの質が悪くなってしまう可能性があります。
これは、筋トレを行うことで交感神経が副交感神経よりも優位になることで、脳が興奮状態に陥ってしまうためです。寝る前に筋トレを行う場合、あくまで適度な強度で取り組むよう心がけましょう。
筋トレ後の食事に要注意
トレーニング前後に、軽食やプロテインを摂取する方もいるかもしれません。しかし、食べた物が胃の中で消化されるまで、通常2~3時間かかるとされているため、寝る直前に食べ物を摂取した場合、胃腸に大きな負担がかかってしまいます。
筋トレ後に飲食せずに済むように、夕食の際にタンパク質を多めに摂取しておくなど、事前に対策をしておきましょう。
(参考:オリーブオイルをひとまわし│寝る前の筋トレが効果的って本当?気になるメリットデメリットとは)
筋トレ後はストレッチでリラックス
寝る前にトレーニングを行った後は、心と身体をリラックスした状態にすることで睡眠の質を高めましょう。入浴することもその手段のひとつですが、より効果を高める方法として、ストレッチがおすすめです。なぜなら、ストレッチには、筋肉をクールダウンさせてリラックス状態にするだけではなく、筋肉に蓄積された疲労物質や老廃物の排出を促す働きがあるためです。
ただし、寝る前に行うストレッチは、激しく身体を動かすものは避け、筋肉を伸ばすことを目的とした軽い種目を選ぶようにしましょう。
寝る前でも手軽にできるトレーニング
寝る前に筋トレを行う場合、トレーニング器具や広いスペースを必要とせず、自宅で手軽に取り組むことができる「自重トレーニング」がおすすめです。ここでは、その具体的な種目について見ていきましょう。
腕立て伏せ
トレーニング種目としてはメジャーな腕立て伏せですが、正しく取り組むことで、より効果を実感できます。二の腕や腹部を重点的に鍛えたい人は、ぜひ取り入れてみましょう。
1.うつ伏せの姿勢になり、肩の真下かつ肩幅よりも少し広い位置に両手を付き、身体を起こします。
2.下半身を支えるように足の爪先を起こし、頭から足まで一直線になるように姿勢を整えます。
3.顔を上げ、1m先に視線を向けましょう。
4.なるべく上体が床に近付くように腕を曲げてください。
5.息を吐きながら腕を元の位置まで伸ばします。
この動作を10~20回で1セットとし、3セットを目安に行ってみましょう。
また、トレーニングに慣れていない場合は、より負荷が軽い「膝つき腕立て伏せ」から挑戦してみるのもおすすめです。
腹筋
基本の腹筋は、インナーマッスルを効率よく鍛えることができる種目のひとつ。正しいフォームを身につけて、メリハリのあるボディラインを目指しましょう。
1.仰向けの状態になり、両膝を約90°に折り曲げましょう。このとき、両手は耳の後ろに当て、頭部を浮かします。
2.みぞおちを中心に、背中を丸めながら起き上がります。このとき、背中が伸びないよう注意してください。
この動作を10回で1セットとし、30秒のインターバルを挟みながら3セットを目安に行ってみましょう。
スクワット
太ももや臀部、ふくらはぎなど、下半身の大きな筋肉を全体的に鍛えることができる点がスクワットの特徴です。省スペースで取り組むことができるため、寝る前に気軽に取り組むことができます。
1.足を肩幅程度に広げ、足先を少し外側に向けます。
2.背中を真っ直ぐに保ったまま、ゆっくりと腰を落としてください。このとき、重心はかかとにかけておきましょう。
3.太ももと床が平行になるまで腰を落としたら、素早く元に戻します。
この動作を10回で1セットとし、30秒のインターバルを挟みながら3セットを目安に行ってみましょう。
寝る前の筋トレでよくある質問
最後に、より高い効果を実感するために、寝る前の筋トレに関するよくある疑問にお答えします。
毎晩寝る前に筋トレしても問題ない?
筋トレの効果を高めるのに適した頻度として、初心者の場合は週2~3回、トレーニングに慣れている人の場合は週3~4回が望ましいとされています。スポーツをしている人や、より本格的に鍛えたいという人の場合は、毎日取り組んでも問題ありませんが、日によってアプローチする部位を変更しましょう。これは、間をあけずに同じ部位に負荷をかけ続けるとダメージを受けた筋肉の再構築が間に合わず、かえって筋肉が減ってしまう危険性があるためです。
2日ほど時間を空けて同じ部位を鍛えることで、より効果的に筋力・筋持久力を増強することができるとされているため、自分の状態に合わせた適切な頻度で取り組みましょう。
(参考:RENAISSANCE│理想的な筋トレの頻度は?初心者が長く続けるためのコツ)
筋トレは寝る何時間前が理想?
トレーニングは睡眠の3時間前までに行うのがおすすめです。
人間の身体は入眠の際に手足などの皮膚表面から熱を放出する「熱放散」を行うことで、身体の内部の温度を下げて眠りにつきます。筋トレをした後は心拍数が上がり体温が高い状態になるため、寝る直前に筋トレを行うと身体が休息状態を作り出せず、深い眠りを妨げてしまいかねません。
そのため、寝る前に筋トレを行う場合は3時間前までに終わらせるよう気を付けましょう。
(参考:おいしさと健康glico│適切な筋トレの頻度と行うべき時間帯)
筋トレから寝る前の間にプロテインを飲んでも大丈夫?
夜の筋トレ後にプロテインを摂取する場合、就寝する30分~1時間前を目安として飲むことをおすすめします。
睡眠中は多くの成長ホルモンが分泌されていますが、そのピークは就寝後30分~3時間後とされているため、その30分~1時間前にプロテインを摂取しておくことで効率よくタンパク質を吸収することができるのです。ただし、胃腸の弱い人の場合、寝る前の飲食は胃痛や胃もたれを引き起こす原因にもなるため、注意してください。
寝る前の筋トレを習慣化させることで、筋肉の成長と回復を促して効率よく身体を鍛えることができます。しかし、行う時間帯によっては睡眠の質下げることもあるため、自分の生活や身体の状態を見て調整しながら、無理のない範囲で継続していきましょう。