毎日の仕事や家事をする中で「マルチタスク」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。マルチタスクとは、様々なタスクを同時に進めることを意味します。
この記事ではマルチタスクの意味や仕事の活用方法、メリット・デメリットについてご紹介します。マルチタスクを上手に取り入れて仕事の効率化を図りましょう。
マルチタスクとは
まずは「マルチタスク」の言葉の意味や由来について知っておきましょう。
マルチタスクの言葉の使い方
マルチタスクという言葉は、元々コンピューター用語として使用されていたもので、複数のタスクを同時進行で処理することを意味していました。
現在では、コンピューターでの作業だけに限らず、調べものをしながらメールのやりとりをしたり、電話をしながら文書作成をしたりなど、複数作業を同時並行して行うことをマルチタスクと表現する人が多いようです。
(参考:大塚商会│マルチタスクとは)
マルチタスクが得意なのは男性?女性?
脳科学分野に古くからある考え方のひとつとして、「女性は男性よりマルチタスクが得意」というものがあります。これは、性別によって脳の処理に違いがあり、男性脳は一つの処理に集中することが得意とされ、女性脳は複数の処理を同時にこなすことが得意とされているためです。
とは言え、マルチタスクに関しては、得意不得意に男女差はないとの意見もあるため、さらなる研究が必要な分野だと言えるでしょう。
シングルタスクとは
複数のタスクを並行して進めるマルチタスクとは反対に、ひとつのタスクから順に作業を進めていくのがシングルタスクです。
一つのことに真剣に取り組む事で、結果として成果物のクオリティが上がったり、事前に優先順位を考慮して作業を進めることで時間に余裕を作ることができたりといったメリットがあります。
状況に応じてマルチタスクとシングルタスクを上手く取り入れることで、全体の作業効率をより高めることができるでしょう。
(参考:マイナビニュース│マルチタスク疲れ。シングルタスクで生産性を高める4つのコツ)
マルチタスクのメリット・デメリット
ここからは、実際にマルチタスクを取り入れた際のメリットとデメリットを紹介します。
メリット
同時進行で仕事ができる
マルチタスクのメリットとして代表的なのが、同時に複数の仕事を行えるという点です。時間に余裕も生まれるため、突発的に発生したタスクや急な方向変換にも柔軟に対応しやすくなるでしょう。また、適切なサイクルや流れを掴むことができれば、シングルタスクのみの場合に比べて、大幅に業務効率を改善することができます。
仕事の内容によっては作業効率が上がる
集中力が切れかけているときに別のタスクに取り組むと、リフレッシュした気持ちで次の作業に取り組むことができます。そのため、数字の入力や集計作業といった、集中しにくい単純作業
をマルチタスクで取り組めば、効率をアップさせることができるでしょう。
一方、複雑な作業をマルチタスクで取り組むと混乱してミスをしてしまう場合があるため、注意してください。
全体像を把握できる
複数のタスクを同時に進行させることで全体像を把握できる点も、マルチタスクのメリットのひとつです。例えば、ひとつの企画においてタスクAだけでなく、タスクB、タスクCも担当すると、それぞれの視点から企画の全体像や新しい気付きを得ることができるでしょう。
(参考:カオナビ人事用語集│マルチタスクとは? メリット・デメリット、シングルタスクとの違い、苦手な人の特徴、効率よく行う方法について)
ほかの仕事が停滞しない
マルチタスクを取り入れることで同時に複数の作業を進めることができるため、業務を停滞させずに進行することができます。また、関係者のタスクもマルチタスクでサポートできるようになれば、結果として全体の仕事も円滑に進むようになるはずです。
デメリット
オーバーワークになる
マルチタスクを行うことによって、仕事を抱えすぎてオーバーワークになってしまう場合もあります。複数のタスクに同時に取り組むと、はじめはスムーズに進行していきますが、終盤になるにつれてそれぞれのタスクに変更や修正が発生する場合があるため、それらの処理に追われて次第にスケジュールの余裕がなくなってしまうのです。
仕事の注意力が落ちてしまう
マルチタスクでは、ひとつのタスクを行っている最中にほかのタスクのことが頭に浮かぶことがあります。また、ひとつの作業にかけられる時間が限られるため、時間に対するプレッシャーを強く感じることもあるでしょう。
マルチタスクでは、これらの要因によって注意力が落ちるため、普段なら問題なくこなせるタスクであっても、大きなミスを起こしてしまうかもしれません。
切り替えが難しい
複数のタスクを同時にこなしていると、気持ちの切り替えが難しくなるため、ひとつのタスクで何かトラブルやミスがあった時、次のタスクに後ろ向きな気持ちを引きずってしまうことも少なくありません。
マルチタスクに向いていない人
短時間で複数の仕事を切り替えながら行うマルチタスクでは、注意力やペース配分を管理する力が必要不可欠であるため、気が散りやすい性質の人はマルチタスクに向いていません。
じっくりと作業したい人や、集中力を高めるのに時間がかかる人は、マルチタスクではなく自分のペースでタスクを進める方が向いているといえるでしょう。
マルチタスクに向いている人
マルチタスクで仕事をする場合、必要に応じて相談や報告を行うなど、複数の人とのコミュニケーションが欠かせません。そのため、コミュニケーション能力が高い人はマルチタスクに向いていると言えます。
また、コミュニケーション能力が高い人は、同僚や取引先など、立場がそれぞれ異なる人が関わるマルチタスクも円滑に進めることができるでしょう。
マルチタスクのやり方・アドバイス
最後にマルチタスクを行う際のポイントをいくつか紹介します。
取り組んでいる仕事に集中する
マルチタスクで仕事をする際は、目の前の仕事に集中することが大切です。事前に計画を立てた時間ごとに、ひとつずつ課題をクリアするイメージで取り組んでいくことで、仕事のリズムを掴みやすくなるでしょう。
適度に休憩を取り、時間の余裕を持つ
マルチタスクを上手に活用するためには、時間配分も重要なポイントのひとつです。タスクに追われて休憩する時間が取れないと、疲労が溜まってパフォーマンスレベルが低下してしまうリスクがあるため、時間配分を考慮して適度に休憩を取りながら行うことを意識してください。
スケジュール管理
マルチタスクを行う際は、それぞれのタスクの内容や進捗具合を考慮してスケジュールを組みましょう。
スケジュールを頭の中だけで整理すると、抜け落ちてしまう場合もあるため、ToDoリストを作成するのがおすすめ。タスクをリストにすることで、その日にやるべきことがはっきりとわかり、効率よくタスクをこなすことができるようになります。
アプリやタスクを書いたポストイットなどを活用しながら、自分に合った方法でスケジュールを管理してみてください。
タスクに優先順位をつける
タスクをリスト化したら、それに併せて優先順位をつけるようにしましょう。優先度の低いタスクに時間をかけて、優先度の高いタスクを後回しにしてしまうと、結果的に全体の効率が悪くなってしまいます。
また、タスクの優先度を意識して取り組むことで、期日遅れも防げるようになるでしょう。
タスクに費やした時間を計測する
初めて行うタスクは、そのタスクを完了させるまでにどの程度時間がかかったかをなるべく計測しておくのがおすすめです。ひとつのタスクに必要な時間の見積もりの精度をあげることで、よりスケジュールや優先度を管理しやすくなります。
スピード重視でコミュニケーションを図る
マルチタスクではコミュニケーション能力が必要不可欠だと紹介しましたが、この能力をカバーしたい場合は、スピード感を意識したレスポンスを心がけましょう。素早いレスポンスは相手に安心感を与えることができるため、次のコミュニケーションも円滑に進めることができるはずです。
すぐに回答できない相談や確認の連絡を貰った場合でも、「調べて次第折り返して連絡する」という旨の返信をするようにしてください。
アイディアをメモしておく
頭の中が整理できておらず、常に目の前のタスク以外のことを考えていると、効率が悪くなってしまいます。そのため、スケジュールだけでなく、頭に浮かんだアイディアなどは自分の頭の中にとどめておかず、時にはすべて脳の外に出してしまうことも大切です。
やらなければいけないことに加えて、新しく思いついたことは、「紙に書く」「スマホに入力する」「人に振る」などの手段を取って思考を「外部化」させ、ストレスを感じない環境をつくりましょう。
マルチタスクを取り入れることで、作業効率が上がったり、素早くアクションできたりとスムーズに仕事に取り組むことができます。一方で、タスクを抱えすぎると集中できなかったり、オーバーワークになってしまったりといったデメリットもあるため、状況に応じてマルチタスクやシングルタスクを使い分けるようにしましょう。この記事で紹介しポイントを意識して、自分の性質や働き方と向き合うながら、上手にマルチタスクを活用してみてください。