知らないうちにできている、おでこのブツブツ。赤くはれて目立ったりかゆみを感じたりと、厄介に思える存在です。また、「取り除けば早く治るのでは」とブツブツを手で取ろうとして、かえって悪化させてしまった経験もあるかもしれません。
おでこのブツブツの正体とはいったい何でしょうか。この記事で、症状別の原因を知り、適切な対処方法を確認してみましょう。
おでこのブツブツ① ニキビ
おでこに赤いはれのようなブツブツができていたら、それはニキビかもしれません。
最初は目立たない程度の白いブツブツが炎症を起こすことで赤くなり、さらに膿(うみ)ができると黄色っぽく変化していきます。
ニキビができる原因
ニキビができる原因は大きく3つに分けられます。
1つ目の原因は、毛穴の詰まりです。肌の細胞が新しく生まれ変わる「ターンオーバー」の周期が乱れると、毛穴に古い角層が残ってしまいます。すると皮脂の出口がふさがれて炎症を起こし、ニキビが生じるのです。
2つ目の原因は皮脂の過剰分泌です。思春期には、男性ホルモン「アンドロゲン」が増加する影響で皮脂の分泌が増えるとされていますが、成人の場合もストレスなどによって女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが崩れると、皮脂が過剰に分泌されてしまいます。
すると、皮脂を栄養源にしている「アクネ菌」が過剰に増殖し、肌が炎症を起こしやすくなってしまうのです。
3つ目の原因はアクネ菌です。アクネ菌は普段から肌の中にいる常在菌ですが、増殖しすぎると炎症を起こす原因となります。アクネ菌は皮脂を栄養源にしているため、皮脂の過剰分泌が起こることでどんどん増殖し、ニキビを発生させるのです。
ほかにも洗顔で力を入れすぎて肌を傷つけたり、紫外線を大量に浴びたり、栄養バランスが崩れたりなど、さまざまな原因によってもニキビが生じることがあります。
(参考:第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局│ニキビ・吹き出物の原因)
ニキビの治し方
おでこに赤くブツブツしたニキビができてしまったときは、すでに肌の内部で炎症が起きています。気になるからといって無理に取り除こうとせず、肌に負担をかけずに治す方法を試してみましょう。
ニキビがそれほどひどくなくセルフケアできる場合は、まずは食生活やスキンケアを見直します。代謝を促す効果があると考えられているビタミンB群、ホルモンバランスを整えるといわれるビタミンEなどを積極的に摂りましょう。とくに皮脂の分泌を調整してくれるビタミンB2は、豚肉や牛肉、牛乳、⻘魚などに多く含まれているため、これらの食材を積極的に食べるのがおすすめです。
スキンケアでは油分を与えすぎないようにしましょう。ニキビができる肌は皮脂が多いため、化粧水で水分をたっぷり与え、油分を多く含むクリームなどは控えめにしておくと、角質が柔らかくなって毛穴の詰まりを解消しやすくなります。
また、睡眠をしっかりとる、ストレスを解消する、おでこのニキビに髪が触れないようなヘアアレンジにするなどの行動もニキビの解消につながります。
ただし、ニキビが悪化してしまったときや、市販のニキビ治療薬を使っても症状が改善されないときは無理せず皮膚科などに相談してください。
おでこのブツブツ② ウイルス性のイボ
おでこや手にブツブツができた場合、ウイルス性のイボの可能性も。
イボにはさまざまな種類があり、とくに表面がてかてかとしており先端が平らなブツブツは「軟属腫疣贅(ゆうぜい)」や「青年性扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」と呼ばれていますが、これらのイボは若い女性のおでこなどに生じやすいと考えられています。
ウイルス性のイボができる原因
ウイルス性のイボは、免疫力の低下した皮膚から感染することが多いとされています。また、傷口からも侵入しやすいため、皮膚のひっかき傷やヒゲそり跡から感染するケースも。健康な状態であればウイルスが侵入しても発症しませんが、ストレスなどによって免疫力が低下した身体ではイボになってしまう可能性があるのです。
放置しておくと増殖して感染範囲が広まるおそれがあるため、早めの治療を行いましょう。
(参考:ホノミ漢方 剤盛堂薬品株式会社│いぼ(首いぼ、顔いぼ、老人性いぼ))
ウイルス性のイボの治し方
ウイルス性イボの一般的な直し方は、凍結療法です。主に皮膚科で実施されており、液体窒素を含んだ綿棒を肌に当て、ウイルスやイボを凍らせて除去します。しかし、1回で完治させることは難しいため、定期的な治療が必要です。
ほかにも、軟膏、漢方薬などで肌の状態を改善する方法もありますが、ウイルス性イボに有効な抗ウイルス薬は現在でも開発されていません。
(参考:Kracie ハトムギ専科│顔のいぼ(イボ)はどうしてできるの?)
おでこのブツブツ③ 稗粒腫
続いて確認したい症状は稗粒腫(はいりゅうしゅ)です。稗粒腫は、目の周辺やおでこなどにできる直径1~2mm程度の白っぽいブツブツで、初期のニキビと間違えられることもあります。とくに思春期以降の女性に多い症状です。
稗粒腫ができる原因
稗粒腫の主な原因はうぶ毛の毛穴などに詰まった角質です。幼いころにできた稗粒腫は自然に治ることがありますが、大人になってから生じた場合は、治療しなければ事前行き得ることはないとされています。
やけどやすり傷、皮膚の炎症、手術跡などが原因で生じることもあります。
稗粒腫の治し方
稗粒腫は周囲に移るようなものではなく、良性のため治療は必須ではありません。しかし、外見が気になってしまう場合は、皮膚科などで治療が可能です。
治療では注射針などを使って稗粒腫に小さな穴をあけ、中にたまった角質を外に押し出します。この方法は「圧出法」といい、わずかにつねられたような痛みがあります。
このほか、炭酸ガスレーザーを利用した治療法がありますが、保険適用外となるため、治療費が高額になる場合もあります。詳しくは、医師に相談してみましょう。
(参考:Shinagawa Beauty Navi│目のまわりにできるブツブツ稗粒腫(はいりゅうしゅ)とは?)
おでこのブツブツ④ 脂漏性角化症
おでこなどにざらっとした暗色のブツブツができた場合、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)かもしれません。ホクロに似ていますがブツブツした部分が盛り上がっており、こするとかさぶたのようにはがれることもあります。
脂漏性角化症ができる原因
脂漏性角化症は肌の老化現象で、日光に当たりやすい顔や首などに生じます。とくに中年以降に多い症状ですが、若い時期からみられる場合もあり、正確な原因はまだわかっていません。
(参考:医療法人恵生会 長瀬内科医院│脂漏性角化症、老人性疣贅、年寄りいぼ(イボ))
脂漏性角化症の治し方
脂漏性角化症そのものに害はないといわれていますが、黒っぽい色などが気になる場合は治療が可能です。また、かゆみや痛みがあるときは皮膚科での治療が推奨されています。
治療方法は液体窒素を使った凍結療法、炭酸ガスレーザーによる切除、電気針による除去などがあります。小さいものは比較的すぐに除去できますが、広範囲のブツブツや大きなものなどは継続的な治療が必要となるでしょう。
おでこのブツブツ⑤ 毛嚢炎
おでこの毛穴付近にできるブツブツは毛嚢炎(もうのうえん)かもしれません。毛嚢炎は、毛包炎(もうほうえん)と呼ばれることもある、皮膚の炎症のひとつです。
ほとんどの場合かゆみはありませんが、押すと痛みを感じることもあります。
毛嚢炎ができる原因
毛嚢炎は、毛穴の奥にある毛根を包み込んでいる部分に炎症が起こったもの。黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が傷口などから侵入し、赤っぽいブツブツや膿の原因になるのです。
また、汗などで皮膚が湿っているときもブドウ球菌が皮膚内部に入り込みやすいため、毛嚢炎になる可能性が高いとされています。
毛嚢炎の治し方
毛嚢炎の治療や予防のためには、皮膚を清潔にすることが推奨されています。毛嚢炎が軽度であれば1週間ほどで治りますが、悪化した場合は皮膚科に相談しましょう。治療には飲み薬や塗り薬の抗菌薬を使う場合がほとんどです。
おでこのブツブツ⑥ 単純ヘルペス
おでこにできる水ぶくれのようなブツブツは、単純ヘルペスの可能性があります。幼少期に感染することの多いヘルペスウイルスですが、大人になってから症状が現れ強いかゆみや水ぶくれに悩まされる人もいます。
単純ヘルペスができる原因
原因は、単純ヘルペスウイルスです。とくにおでこなどの顔面にブツブツが生じる場合は1型の単純ヘルペスウイルスが侵入している可能性が高いと言えるでしょう。
ヘルペスウイルスは一度感染するとその後も体内に留まるため、風邪やストレスなどで免疫力が低下すると症状が再発することもあります。幼児期にヘルペスウイルスに感染した人が多い一方、大半の人が無症状で気づきにくいのはこのヘルペスウイルスの特徴によるものです。
単純ヘルペスの治し方
単純ヘルペスの症状は強い感染力をともなっているため、早めの治療が必要です。皮膚科などに相談し、抗ウイルス薬を処方してもらいましょう。
また、単純ヘルペスが生じたときは、タオルや食器などを人と共用しないようにし、なるべく接触を控えることも大切です。手洗いなどで常に清潔な状態を保ち、睡眠や栄養を十分にとって安静にしましょう。
水ぶくれのようなブツブツを破ってしまうと別の箇所に単純ヘルペスが移る恐れがあるので、患部には触れないことをおすすめします。
おでこのブツブツ⑦ 湿疹
皮膚炎と呼ばれることもある湿疹(しっしん)では、かゆみをともなう赤いブツブツがおでこなどに生じます。アトピー性皮膚炎なども湿疹の一種です。
湿疹ができる原因
湿疹の原因はさまざまですが、薬剤や金属といった外部からの刺激や、体調や体質などの内的要因などが組み合わさって起こると考えられています。
そのため原因を絞り込むことが難しく、とくに原因不明な場合は「急性湿疹」、さらに発症から長期間が経過した「慢性湿疹」だと診断されることもあります。
慢性湿疹になると、皮膚がザラザラと乾燥した状態になります。
湿疹の治し方
湿疹の治療ではステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬で炎症やかゆみを抑えます。外的要因がわかっている場合は、原因となるものを排除しましょう。
強いかゆみのせいでどうしても患部をひっかきたくなるかもしれませんが、皮膚を刺激すると悪化する可能性が高いため、患部には触れないようにします。
肌を清潔に保つ、保湿をする、紫外線対策をするなどの手段も湿疹の治療につながると考えられているため、できることから試してみましょう。
おでこのブツブツ⑧ あせも
汗をかいたあとに生じたおでこのブツブツは、あせもかもしれません。専門用語では汗疹(かんしん)といい、汗をかきやすい夏によく見られる症状です。
あせもができる原因
大量の汗を放置したままにすると、あせもが発生します。皮膚には汗を排出するための管がありますが、汗に含まれる塩分、さらにホコリなどによって管が詰まってしまうことがあります。すると皮膚内部で詰まった汗が周囲を刺激し、炎症を引き起こすのです。
(参考: PARAMOUNT BED│「あせも」の正しいセルケア)
あせもの治し方
通常、あせもは数日で自然に治るとされています。治るまでは涼しくて通気性のいい、汗をあまりかかない環境で過ごしましょう。
ひっかいてしまうと傷ができて細菌が侵入するおそれがあるため、かゆみを抑えるために市販の薬を使用するケースもあります。ただし、薬を使うときは薬剤師などに相談し、自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。
症状が悪化した場合やなかなか治らないときは皮膚科に相談しましょう。ステロイド外用剤などの薬を処方してもらうことができます。
あせもの予防には、通気性のいい服を着る、こまめに汗を拭きとる、シャワーを浴びて汗を取り除くなどの方法が効果的です。また、肌が乾燥しているとあせもができやすいので、保湿も忘れないようにしましょう。
(参考:医肌研究所│顔などにできるブツブツの正体は!?種類と原因、対処法)
ニキビ以外にもさまざまな症状で発生するおでこのブツブツ。その原因は様々で、中にはセルフケアで完治できるものもあります。ただし、単純ヘルペスのように感染力が高く、治療を必要とする場合もあるため、不安を感じたらすぐに医療機関に相談するようにしましょう。