夏野菜の代表とも言えるきゅうりは食卓に欠かせない存在です。食感が良く、様々な料理に活用できるなど便利な一方で、そのカロリーや栄養については詳しく知らないという方は多いでしょう。この記事では、きゅうりに含まれる栄養素や期待できる効果について解説します。
きゅうりの栄養価
カロリー:13kcal
タンパク質:1.0g
脂質:0.1g
炭水化物:3.0g
きゅうり1本およそ100gあたりのカロリーは13kcal、糖質は1.9gです。また、水分は95.4gと全体のおよそ95%が水分であるため、野菜の中でも特にカロリーが低いとされています。例えば、もやし100gあたりのカロリーは15kcal、にんじん100gあたりのカロリーは30kcal、かぼちゃ100gあたりのカロリーは78kcalと、カロリーが低いと言われているもやしなどの野菜と比較しても、きゅうりの方が低カロリーであることが分かるでしょう。
(参考:オリーブオイルをひとまわし│きゅうりの栄養価を徹底解説!【世界一栄養がない】という噂は間違い!)
「世界一栄養がない」はウソ!きゅうりに含まれる主な栄養素・効果
きゅうりは『Least calorific fruit』、日本語で「最もカロリーが低い果実」としてギネス世界記録に登録されています。この記録はカロリーに限った話であり、ビタミンやカリウムなど、きゅうりに含まれる栄養素の量については一切言及されていません。しかし、この記録がいつの間にか「世界一栄養がない野菜」と誤解され、広まったとされているのです。
実際には、きゅうりは低カロリーにも関わらずミネラル類やビタミン類など、身体に嬉しい栄養素がバランス良く含まれています。ここからは、きゅうりに含まれるそれらの栄養素について詳しく見ていきましょう。
(参考:KAGOME VEGEDAY│[きゅうりの栄養]あるorない?きゅうりの栄養と、世界の料理)
β–カロテン
色鮮やかな緑黄色野菜に豊富に含まれている「β-カロテン」ですが、きゅうりにも100gあたりおよそ330μg(マイクログラム)と、アスパラガスやトマトジュースと同程度含まれています。特に、皮の部分に多く含まれており、きゅうりの皮の部分が濃い緑色をしているのは、色素であるβ-カロテンの働きによるものです。
β-カロテンは、体内でビタミンAに変換され、視力や目の角膜、皮膚や粘膜などを健やかに保つ働きがあるほか、抗酸化作用があるため、老化予防にも効果が期待できます。
ビタミンC
きゅうり1本100gあたりに含まれるビタミンCの量は、およそ14mgとトマトの約1.26倍です。これは、1日あたりに推奨されるビタミンC摂取量のおよそ14%に相当します。
水溶性ビタミンの1種であるビタミンCには、日焼けによって生じるメラニン色素の生成を抑え、シミができるのを防ぐ働きや、風邪などの感染症に対する免疫力を強める働きが期待できます。一方で、骨や皮膚、細胞などに含まれているコラーゲンの生成に欠かせない栄養素でもあるため、不足すると血管がもろくなり、顔色の悪化や貧血などの症状を引き起こしてしまう可能性があるのです。また、ビタミンCは体内に蓄積することができないため、毎日の食生活の中で積極的に摂取するようにしましょう。
(参考:オリーブオイルをひとまわし│きゅうりの栄養価を徹底解説!【世界一栄養がない】という噂は間違い!)
ビタミンK
ビタミンKもきゅうりに多く含まれている栄養素のひとつです。ビタミンKには、カルシウムを骨に定着させる作用があるため、骨や歯を形成する役割を果たしています。また、血液を凝固させる成分を作る役割もあるため、ビタミンKが不足すると、出血した際に血液が凝固されず、血が止まりにくくなる可能性があります。とは言え、ビタミンKは腸内細菌によって体内でも作られるため、基本的に不足することはないと言えます。
カリウム
きゅうり1本分に含まれるカリウムの量はおよそ200mg。これは、1日あたりに推奨されるカリウム摂取量のおよそ13%に相当します。
カリウムには体内のナトリウムの排出を促進させる働きがあるため、むくみの解消に役立ちます。また、カリウムを適切に摂取することによって、高血圧の予防や改善が期待できるほか、脳卒中の予防や骨密度の増加にも効果が期待できます。
一方で、腎臓に負担をかけないために、カリウムの摂取を制限したいという方は、きゅうりを一度水にさらしたり、軽く3分程度茹でたりすることでカリウムの量を減らすことができるため、そういった調理方法を取り入れるのがおすすめです。
(参考:まつもと薬局│カリウム含有表(1食分))
シトルリン
シトルリンとは遊離アミノ酸のひとつで、きゅうりのほかにもスイカやメロン、ヘチマといったウリ科の植物に多く含まれています。遊離アミノ酸とは、長くつながったタンパク質として体内で血管や内臓、皮膚、筋肉などを構成している通常のアミノ酸とは異なり、それぞれが独立した状態で存在しているアミノ酸のことを指します。シトルリンを含む遊離アミノ酸は、必要に応じてすぐ働けるように細胞や血管を循環しています。
また、シトルリンには体内で一酸化窒素の生産を促進させることにより、血管を拡張させる働きがあるため、血流の改善や冷え、むくみの解消、新陳代謝の向上に効果が期待できます。さらに、シトルリンには運動時のエネルギー生産によって発生する、疲労の原因物質のひとつであるアンモニアの増加を抑える作用があるため、疲労回復のサポートや運動パフォーマンスの向上など、日常的にトレーニングやスポーツを行う人にとっても嬉しい様々な効果が期待できるのです。
(参考:おいしさと健康 glico│シトルリンの効果について。筋トレに役立つって本当?)
食物繊維
きゅうり1本あたりに含まれる食物繊維の量はおよそ1.1g。これはレタス1玉分と同程度の保有量です。
食物繊維は腸内の環境を整えつつ、排便を促す働きがあるため便秘予防に効果があることに加え、小腸内の余分な糖分やコレステロール、ナトリウムを体外へ排出する作用もあり、糖尿病や動脈硬化、高脂血症、心筋梗塞などの病気を予防するのにも役立ちます。
また、食物繊維を摂取すると、体内で水分を吸収し膨張するため満腹感を感じることができます。これにより、食べすぎを防ぐことができるのも嬉しいポイントのひとつでしょう。
(参考:大塚製薬│食物繊維を摂ろう!食品に含まれる食物繊維量一覧)
「食べると逆に栄養を破壊する」といわれたきゅうり
以前まできゅうりには「ビタミンCを破壊する酵素が含まれている」とされていましたが、近年そのような事実はないということが分かっています。
というのも、きゅうりには身体に有益な「還元型ビタミンC」を無益な「酸化型ビタミンC」に変える「アスコルビン酸酸化酵素」という酵素が含まれており、このことが誇張して広まり「ビタミンCを破壊する」と言われていました。しかし、近年の研究で「酸化型ビタミンC」は身体の中で再び「還元型ビタミンC」に変換されるということが明らかになってきました。
そのため、結果ビタミンCの総摂取量は変わらないというわけです。
きゅうりのおすすめレシピ
そのまま食べても調理を加えても美味しく食べられるきゅうり。ここでは手軽に作れるきゅうりのおすすめレシピを見ていきましょう。
きゅうりのツナ和え
低カロリーなきゅうりとタンパク質が豊富なツナの組み合わせは、減量中の方に最適です。ノンオイルのツナ缶を使用することでさらにカロリーを抑えることができるため、お好みでアレンジしてみてください。
【材料】
きゅうり 1本
ツナ缶 1/2缶
塩 小さじ1/3
醤油 小さじ1/2
おろしにんにく 小さじ1
ベビーリーフ 適量
1.きゅうりは食べやすい大きさで乱切りにします。
2.1を塩で揉んで、5分ほど置いておきましょう。
3.5分後、きゅうりを手でよく絞って水気を切ります。
4.3にツナ缶と醤油、おろしにんにくを加えて完成です。
たたききゅうり
ごま油と醤油で手軽に調理できるたたききゅうり。冷蔵庫で冷やして味を馴染ませることで、さらに美味しく食べることができますのでぜひ試してみてください。
【材料】
きゅうり 2本
白いりごま大さじ1
糸唐辛子 適量
Aごま油 大さじ2
A醤油 小さじ2
A塩昆布 5g
Aすりおろしニンニク 小さじ1/2
1.きゅうりをめん棒で叩いてヘタを取り、食べやすい大きさに切ります。
2.ボウルに1とAを加えてよく混ぜます。
3.白いりごまを加えてよくなじませてください。
4.お好みで糸唐辛子をトッピングして完成です。
きゅうりと鶏ささみのわさびマヨ和え
きゅうりと鶏ささみであっさりとした食感を楽しむことができます。おかずやおつまみに最適な一皿です。
【材料】
きゅうり 1本
鶏ささみ 100g
大葉 3枚
A醤油 小さじ1
Aマヨネーズ 小さじ1
Aごま油 小さじ1
Aわさび 小さじ1/2
白いりごま 適量
1.きゅうりはヘタを取り、食べやすい大きさで乱切りにします。大葉は軸を取り、千切りにしてください。
2.鶏ささみは食べやすい大きさに切ります。耐熱容器に入れてラップをかけ、500Wの電子レンジで2分程度加熱しましょう。
3.ボウルにAを入れてしっかりと混ぜます。1と2を入れ、味が馴染むように全体を混ぜ合わせます。このとき、加熱した鶏ささみの粗熱が取れていることを確認しましょう。
4.お好みで白いりごまをトッピングして完成です。
きゅうりの浅漬け
漬けるだけで手軽に調理できる浅漬け。冷蔵庫に常備しておくと便利な一品です。
【材料】
きゅうり 2本
水 350cc
塩 大さじ1/2杯
Aしょうが 1片
A 砂糖 小さじ1杯
A白だし 大さじ2杯
A水 大さじ4杯
A 輪切り唐辛子 1本分
1.きゅうりはヘタを落とし、全面に切り目をつけて、10等分に切ります。
2.塩水に1を浸して10分程度置いたら、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。
3.保存袋に2とAを入れて全体が混ざるように揉みます。冷蔵庫で半日ほど置いて完成です。
きゅうりはサラダや漬物など様々な料理に活用することができる優れもの。カロリーが低いことに加えて、ビタミン類やミネラル類などをバランスよく含んでおり、身体に嬉しい食品です。毎日の食事に効率よくきゅうりを取り入れて健康的な食生活を目指しましょう。