料理やお菓子作りの材料としておなじみの「グラニュー糖」。ほかの砂糖と何が違うのかご存知でしょうか?
ひと口に砂糖といっても、色や食感、味など違いはさまざま。砂糖の種類により長所が異なるため、グラニュー糖にも真価を発揮できる場面があります。特徴やレシピに応じた選び方を知り、砂糖をもっとおいしく味わってみましょう。
グラニュー糖は砂糖の一種
グラニュー糖は世界中で使われている砂糖の一種。カフェなどで温かいコーヒーや紅茶と一緒に提供されるスティックシュガーの正体は、使いやすいよう小分けにされたグラニュー糖です。
原料はサトウキビやテン菜。しぼり汁から糖蜜(とうみつ)を分離させ、残った汁から不純物を取り除き結晶化させて作ります。
(参考:DELISHKITCHEN│グラニュー糖のカロリーは?他の砂糖との違いはコレ!)
砂糖の種類
日本は砂糖の種類がとくに豊富な国。グラニュー糖以外にも、上白糖や黒糖などさまざまな砂糖が存在します。
砂糖は製法によって2種類に分けることが可能です。グラニュー糖のように原料から糖蜜を分離させ結晶だけを取り出したものを分蜜糖(ぶんみつとう)、黒蜜のように原料を煮詰めて糖蜜を分離させずに固めたものを含蜜糖(がんみつとう)と呼びます。分蜜糖はメーカーによって精製糖(せいせいとう)と呼称される場合もあります。
分蜜糖と含蜜糖はさらに細分化されており、甘さや向いている料理などに違いがあります。主な砂糖の種類を確認してみましょう。
(参考:sweeten the future│砂糖の種類は大きく2つ! 含蜜糖と分蜜糖の違いを健康視点で考える)
上白糖
白い砂糖といえば、多くの日本人がイメージする上白糖。しかし世界的にはグラニュー糖のほうが一般的で、上白糖は日本で独自に作られた分蜜糖のひとつです。農林水産省によると日本国内の砂糖消費量の約半分を上白糖が占めています。
上白糖大さじ1杯は約8~9g。触れたときのしっとり感も特徴的です。「ビスコ」と呼ばれる糖液をかけて仕上げているため、しっとりとした手ざわりが出ています。
味にクセがないため、どのような料理とも相性がいいですが、とくに向いているのはパンやクッキーのようにきつね色に焼き上げたい料理。また、煮物のようにコクを出したい料理にもおすすめの砂糖です。
(参考:農林水産省│砂糖の種類)
三温糖
分蜜糖の一種で、ほんのり茶色がかった見た目が特徴的な三温糖。上白糖を取り出したあとの糖液をさらに煮詰めて作ります。
大さじ1杯は約8~9gなので粒の大きさや重さは上白糖と違いはありません。しかし甘みは上白糖よりも強く、煮詰める時間が長い分、香ばしさが際立っています。煮物や佃煮のような、砂糖の甘さやコクを強調したい料理におすすめです。
角砂糖
グラニュー糖を立方体に固めて作ったものが角砂糖です。形状が違うだけなので、グラニュー糖と比べて味の違いはありません。
温かい飲料に入れるほか、計量の手間が省けることから砂糖を溶かして使うレシピにも重宝されています。
氷砂糖
氷のような大きな粒や、透明感のある見た目が特徴的な砂糖で、結晶化にかける時間を長くすることで粒を大きくしています。
溶けるまでに時間がかかるため、フルーツシロップや果実酒づくりにおすすめの砂糖です。
氷砂糖には正十六面体のクリスタルタイプと、石のようにごつごつとした見た目のロックタイプがあります。
粉砂糖
グラニュー糖をさらに細かく砕いて作ったものが粉砂糖。大さじ1杯は約9gです。
ケーキなどのデコレーションに使われるほか、アイシングの材料にもおすすめ。粒子が細かく材料に混ざりやすいため、簡単にペースト状にすることができます。
黒砂糖
黒砂糖は含蜜糖のひとつ。サトウキビのしぼり汁を煮詰めたあと、冷やし固めて作ります。主に沖縄や奄美地方で生産されており、黒い見た目と濃厚な甘さが特徴です。
風味が強く、ようかん、かりんとう、煮物などに使われます。そのまま口に運んでお菓子のように味わうこともできる砂糖です。
グラニュー糖の大さじ1杯
グラニュー糖は大さじ1杯で約12g~13g。結晶の大きさは、上白糖に比べるとやや大きめです。
カロリーは大さじ1杯で46キロカロリーとこちらも上白糖に比べるとやや高め。これは、グラニュー糖がもっとも純度が高い(精製の過程で不純物が除かれている)からです。カロリーが気になる人は要チェックですね。
グラニュー糖の特徴
上白糖などほかの砂糖との違いをチェックしたところで、改めてグラニュー糖を使う上でのポイントを確認してみましょう。
(参考:三井製糖│グラニュ糖)
水に溶けやすい
砂糖には「親水性」という水と結合しやすい性質があります。とくにグラニュー糖は水に溶けやすいため、飲み物に甘みを足すときにも向いています。
クセのない甘み
甘さにクセがないため、料理の香りを邪魔しないグラニュー糖。そのため、香りを楽しむ飲み物や食べ物に甘さを加えるときにも好んで使われています。
カロリーが比較的高い
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、グラニュー糖1gあたりのエネルギー量は約3.93キロカロリー。ほかの砂糖が持つ1gあたりのカロリー量は上白糖3.91キロカロリー、三温糖3.90キロカロリーです。そのためグラニュー糖はほかの砂糖に比べると、わずかにカロリーが高いといえます。
(参考:文部科学省│日本食品標準成分表2020年版(八訂)全体版)
グラニュー糖が向いている料理
上記で紹介したグラニュー糖の特徴を活かすことができる料理には、どのようなものがあるのでしょうか。主な使用例をご紹介します。
洋菓子
グラニュー糖は水分に溶けやすいことから、洋菓子のメレンゲやクリーム作りによく使われています。砂糖自体の水分量が低いため、焼き菓子に使うとサクッとした食感に仕上がります。
また、上白糖に比べて焦げにくいため、焼きすぎない見た目を目指したいときにもおすすめです。
コーヒー・紅茶
砂糖自体に香りやクセがないグラニュー糖は、コーヒーや紅茶にぴったり。コーヒー豆や茶葉本来の風味を損なわず、甘みを追加することができます。グラニュー糖自体に色が付いていないため、見た目もそのまま。さらに溶けやすいため、スプーンでかき混ぜるだけですぐになじんでくれます。
グラニュー糖を他の砂糖の代わりとして使うときのポイント
「レシピに書かれている種類の砂糖がない!」と、料理を作るときに焦った経験はありませんか?本来は違う砂糖を使う料理でも、グラニュー糖で代用できる場合があります。
グラニュー糖を代用品として使う場合は、分量に工夫が必要
グラニュー糖はすっきりとした甘さなので、上白糖や三温糖と同じ分量では味に物足りなさを感じる可能性があります。甘みが弱い場合は、味見をしながら少しずつ足していくといいでしょう。計量スプーンで測るときは、砂糖の種類による重さの違いにも注意。グラニュー糖大さじ1杯は約12~13gなので、上白糖や三温糖の約8~9gよりも重いことを覚えておくとよさそうです。
一方で、黒糖やメープルシュガー、コーヒーシュガーのような風味の強い砂糖の代用品としては、グラニュー糖はいまひとつといえます。
グラニュー糖は体に悪い?
グラニュー糖をはじめとする砂糖は体に悪いのではないか、と心配する人も少なくないでしょう。
たとえば「砂糖を食べると太る」との噂はよく耳にします。しかし砂糖はご飯などほかの食品と比べても、ずば抜けてカロリーが高いわけではありません。たしかに摂取カロリーが消費カロリーよりも高いと体重が増えていきますが、砂糖だけが直接的な原因ではないといえます。
また、「砂糖を食べると虫歯になる」と不安を感じている人もいるでしょう。しかし歯を溶かしているのは砂糖ではなく、虫歯菌が出す酸。虫歯菌は口の中に食べかすが残っていると増殖し、どんどん酸を出してしまいます。砂糖を禁止するよりも、何かを食べたり飲んだりしたら歯を磨き、口の中を清潔に保つことのほうが大切だと考えられています。
病名から砂糖が関係していると思われることの多い糖尿病も、実際は運動不足などの生活習慣の乱れが原因です。すい臓から分泌されるホルモンの一種・インスリンが正常に働かなくなり、体内で代謝しきれなかったブドウ糖が尿に残ってしまうため、「糖尿病」と呼ばれています。そのため、砂糖を食べない、というだけでは病気の予防につながるとはいえないでしょう。
(参考:朝日新聞デジタル│白砂糖が体に悪いってホント? 黒糖や三温糖との違いは)
グラニュー糖は世界中で使われている分蜜糖の一種。あっさりとした甘さや水への溶けやすさなどから、洋菓子や飲料とも組み合わせやすい砂糖です。ほかの砂糖との違いを把握したうえで、料理のアレンジにも利用してみてはいかがでしょうか。