今や子どもたちの憧れの職業の1つにもなっているYouTuber。有名YouTuberが超高収入であることは周知のとおりですが、平均的なYouTuberは一体どのくらいの収入を得られるのでしょうか。
この記事では、多くの有名YouTuberが所属しているUUUMの公開資料から、YouTuberの平均収入を試算します。さらに、YouTuberの主な収入源である広告収入について、収入を得るための条件や広告の種類まで含めて詳しく説明したうえで、広告収入以外にどのような収入源があるのかも解説します。YouTuberとして活動することに興味がある皆さんは、ぜひ参考にしてください。
YouTuberの平均収入(単価)は?
はじめに、YouTuberの平均収入がどれくらいなのかを試算してみましょう。
日本のトップYouTuberたちの多くが所属するUUUM株式会社の四半期決算資料では、対象期間の広告収入額や動画再生数が公開されています。
執筆時点で最新の2021年12月から2022年2月までの3か月間のデータを見ると、この期間の広告収入(YouTubeからの収益)は合計38億900万円となっています。同じ期間の合計動画再生回数129億8,800万回ですので、UUUM全体での1再生あたりの広告収入は次のように計算できます。
38億900万円(広告収入)÷129億8,800万回(再生回数)=約0.293円/再生
1再生あたりの広告収入が0.293円なので、例えば1か月の再生回数が100万回のYouTuberの1か月あたりの広告収入は、次のように試算できます。
0.293円×100万回=29万3,000円
月100万回再生でようやく月収30万円弱と考えると、YouTuberとして生計を立てるのはかなりハードルが高いと言えるかもしれません。
(参考:UUUM 2022年5月期第3四半期決算説明)
メインは広告収入
YouTuberにとってのメインの収入源は、上で平均単価を試算した広告収入です。ただし、YouTubeに動画を投稿すれば誰でも収入を得られるというわけではありません。ここでは、広告収入とはどのようなものなのかをきちんと把握するため、広告収入の特徴を解説したうえで、YouTubeから広告収入を受け取るために満たさなければならない主な条件を詳しく紹介します。
広告収入の特徴
YouTuberのメインの収入源である広告収入は、投稿した動画に広告を掲載することで得られる収入です。仕組みとしては、テレビコマーシャルと同じように、宣伝をしたい企業がYouTubeにお金を払って広告を出します。YouTuberたちが各自の動画に広告枠を設定すると、視聴者たちがその動画に掲載された広告を見ることになります。YouTubeが再生回数に応じてYouTuberたちに広告料を分配するので、再生回数が多いYouTuberほど、多くの広告収入を得られるという仕組みです。
一度動画を公開してしまえば、YouTuberはその動画が再生される限りずっと収入を得ることができます。つまり、YouTubeで広告収入を得ることは、一度作ったコンテンツから継続的に収入を得ることができる、いわゆるストック型のビジネスと言えます。
YouTubeで広告収入を得る条件
それでは、YouTubeで広告収入を得るためには何が必要なのでしょうか。ここでは、YouTubeパートナープログラム(YPP)の利用資格として公開されている、4つの主な条件を解説します。
収益化ポリシーを守っていること
1つ目の条件は、YouTube のチャンネル収益化ポリシーを遵守していることです。収益化ポリシーといっても1つではなく、YouTubeのコミュニティガイドラインや利用規約、著作権、Google AdSenseプログラムポリシーなど、複数のポリシーのことを指します。
収益化をするためにYPPに申し込むと、チャンネルのテーマや再生回数の多い動画、最新の動画などを確認され、コンテンツがポリシーに沿っているかどうかを審査されます。
18歳以上であること
YouTube広告で収益を受け取るためには、YouTubeの母体であるGoogleの「Google AdSense」というサービスに参加する必要があります。しかし、Google AdSenseには18歳以上でなければ参加できません。そのため、18歳以上であることが、YouTubeで広告収入を得るための条件の1つと言えます。
ただし、18歳未満の場合は、自分のGoogleアカウントを両親など18歳以上の保護者のGoogle AdSenseアカウントにリンクさせれば、YouTubeで広告収入を得ることができるようになります。
公開動画の総再生時間が4,000時間以上
広告収入を受け取るためには、チャンネルがYouTubeのポリシーやガイドラインを遵守しているかどうかをYouTube側が判断するための、十分な情報が必要です。このため、チャンネルに一定以上のコンテンツが存在することが必要となります。
そこで、有効な公開動画の総再生時間が、直近の12か月間で4,000 時間以上であることが1つの条件とされています。
チャンネル登録者数が1,000人以上
総再生時間が4,000時間以上という条件の他に、もう1つ重要な条件が、チャンネル登録者数が1,000人以上というものです。ある程度のコンテンツが投稿されていて視聴されている実績があるだけでなく、まとまった数の登録者数がいて、定期的に視聴される見込みがあることが求められていると言えるでしょう。
広告収入の種類
広告収入と一口に言っても、YouTubeで表示される広告は様々であるため、広告収入の単価にもばらつきがあります。そこで、続いては主な広告の種類を確認していきましょう。
・インストリーム広告
インストリーム広告とは、動画コンテンツの前後や途中に再生される動画広告です。5秒ほど経過すればスキップ可能なものと、最後までスキップできないものの2種類があります。
・アウトストリーム広告
アウトストリーム広告はモバイル専用の広告で、YouTube上ではなくウェブサイトやアプリ上でバナーなどの形で表示されます。音声なしで自動再生され、視聴者がタップすると音声がオンになる仕組みです。
・ディスカバリー(サイドバー)広告
サイドバー広告とも呼ばれていたディスカバリー広告は、現在はインフィード広告に改称されました。これは、動画のサムネイル画像とテキストで構成される広告で、YouTubeの検索結果や関連動画の横、あるいはYouTubeモバイルのトップページなどに表示されます。視聴者がクリックすると動画が再生されるタイプの広告です。
・バンパー広告
バンパー広告は、動画コンテンツの前後や途中に 6 秒以内で再生される広告です。短くて覚えやすいメッセージを伝えるのに適した広告で、視聴者はバンパー広告をスキップすることはできません。
・オーバーレイ広告
オーバーレイ広告は、動画の下部にバナーのような形で表示される広告です。動画にかぶさる形で表示されますが、広告の枠の右上にある×印をクリックすれば消すことができます。
(参考:Google広告ヘルプ│動画広告フォーマットの概要)
広告収入以外の主な収入源
ここまでで詳しく解説した広告収入がYouTuberの主な収入源ですが、これ以外にもYouTuberは様々な形で収入を得ることができます。最後に、広告収入以外の主なYouTuberの収入源を1つずつ見ていきましょう。
企業PR案件
人気YouTuberたちは芸能人と同等かそれ以上の影響力を持つため、企業からタイアップ案件の依頼が入ることがあります。
特定のYouTubeチャンネルの視聴者には、ある程度共通する関心ごとがあるはずです。企業としては、自社がターゲットとする層に近い視聴者層を持つYouTuberに自社製品を紹介してもらえば、ターゲット層に効率的にPRできるというわけです。
企業案件の報酬はYouTuberの影響力によって決まるとされ、1万円程度から1千万円程度まで、大きな幅があります。
スーパーチャットなどの課金
YouTubeでのライブ配信中に行われる課金型のチャット「スーパーチャット」(通称スパチャ)も、YouTuberにとって重要な収入源の1つです。
スーパーチャットでコメントを投稿すると、配信しているYouTuber側に分かりやすく表示されるため、投稿を読んでもらいやすくなります。似たような課金サービスに、投稿動画に特別枠でコメントを残すことができる「スーパーサンクス」というものもあります。こうした課金サービスは、視聴者が金額を決めて自発的に課金するものなので、「投げ銭」とも呼ばれます。
ただし、課金された額の30%が手数料としてYouTubeに差し引かれるため、YouTuberの収入になるのは残りの70%です。さらに、iPhoneやiPadなどiOS端末上のYouTubeアプリから投げ銭を送る場合は、YouTubeの手数料にApp Storeの手数料が上乗せされるため、手数料が合計40%程度になります。
メンバーシップ・ファンクラブ
YouTubeには、毎月決まった額の料金を支払うことで自分の好きなYouTuberを応援する「チャンネル・メンバーシップ」という仕組みがあります。ただし、メンバーシップはチャンネル登録者数が3万人以上でなければ利用することができません。
日本の場合、毎月の料金は90円から12,000円までの19段階から選択可能で、YouTuberは最大5つの会員レベルを設定することができます。
なお、メンバーシップ収益からは税金や手数料が差し引かれるため、YouTuberの収入となるのは、得られたメンバーシップ収益全体の70%です。
(参考:YouTubeヘルプ│チャンネルメンバーシップの料金: 日本)
自身が手掛けるサービス
YouTuberの中には、グッズを製作して販売するなど、自身でサービスを展開して収入を得る人たちもいます。チャンネル登録者が 1 万人以上いること(ただし音楽チャンネルの場合は別条件)などの条件を満たせば、YouTubeのグッズ紹介機能を利用することもできます。ただし、この機能を使わなくても、自身でネットショップを用意してそちらに視聴者を誘導するという選択肢もあります。
同じように、自身のブログに視聴者を誘導してアフィリエイト収入を得るケースもありますし、エステや整体、飲食店など自身で店舗を運営しているYouTuberであれば、動画で店舗の紹介をして集客を図り、収入増につなげることもできます。
イベント開催
固定ファンがいるYouTuberであれば、イベントを開催して参加費を徴収することも、大きな収入源になりえるでしょう。ビジネス系やノウハウ系のYouTuberであればセミナーや講演会、音楽系YouTuberであれば演奏会、ゲーム系YouTuberであればオフ会など、チャンネルの内容に合わせて様々なイベントが考えられます。
また、自分でイベントを開催する以外にも、チャンネルの内容に関係するイベントへの出演を依頼されるケースも。その場合、参加費を徴収する代わりに出演料を受け取ることができるのです。
動画編集
YouTuberに動画編集のスキルは必須ですが、このスキルを使って動画編集を請け負い、収入を得るという手段もあります。初心者のYouTuberからの需要が見込めるほか、クラウドソーシングなどのプラットフォームを介して動画編集の仕事を受注することもできます。
一般的に動画1本あたり数千円程度の収入にはなるので、YouTuberとしての収入が安定しない場合などに副業として取り組むのにも良いでしょう。
まとめ
この記事では、YouTuberの収入源について、メインの広告収入を中心に詳しく解説しました。広告収入の1再生あたりの単価の目安やYouTubeで広告収入を得るための条件、そして広告の種類などは、これからYouTuberとして活動することを考えている人にとっては不可欠な情報なのではないでしょうか。
また、最後に紹介したように、YouTuberは広告収入以外にも様々な方法で収入を得ることができます。自分のスキルや知識を活かすしてどのような方法で収入を得られるか、YouTuberデビューの前にぜひ検討してみてください。