2024年8月10、11日の2日間、教員向けオンライン研修プラットフォーム「授業てらす」の対面×オンラインのハイブリッド型セミナー「磨け、授業力。 MOVE ACTION」がDMM六本木本社で今年も開催されました。
授業てらすは授業の質の向上によって、全国の学校に通う子どもたちと先生をHAPPYにすることを目的としたオンラインサロンです。サロンには全国47都道府県から小・中学校の先生たちが集まり、「子どもたち主体の授業」のあり方を学びます。
年1回開催されている本イベントは、今回で3回目。オフライン・オンラインそれぞれ合わせて950名の教育者の方々が参加して、2日間にわたる授業体験やワークショップを通じて、先生も子どもたちも楽しめるような授業のあり方を学びました。
そんなイベントの様子を、イベントに参加した先生たち、協賛する企業・団体の声とともにレポートします!
※昨年の開催レポートはコチラ!
2024年のテーマは「MOVE ACTION」
この2日間は、複数の科目で繰り広げられる「プロ授業体験」と「授業づくりワークショップ」を通し、生徒の目線と先生のあり方を学び、参加者が「MOVE ACTION」を全国に持ち帰ることが求められます。果たして先生たちはどんな「MOVE ACTION」を感じるのでしょうか。
新潟大学附属新潟小学校の中野裕己先生による国語の授業体験では、『モチモチの木』を題材としてピックアップ。登場人物で臆病者の豆太の心境の変化について、生徒役となった参加者たちが各々の意見を出し合います。
この授業では、生徒全員が同じ教材を使い同じテーマについて学習する「一斉学習」の形態が取られました。一見すると、生徒ひとりひとりの個性にフォーカスしない授業形態に感じられます。
しかし、自分の意見を出し他人の意見を聞くという授業を通じて子どもたちの個性を引き出すことができることを、中野先生は授業を通して参加者へ伝えました。
社会を担当した筑波大学附属小学校の由井薗健先生の授業は、「エモい社会科授業」をテーマに「水俣病」を題材とした授業が行われました。
授業では、被害者の写真などを提示しつつ、具体的に病気に関して感情移入できるような工夫が凝らされていました。その他にも、資料集や地図帳を用いて水俣病に関して情報収集する時間も用意。
そのうえで、「なぜ病気の原因となった企業が操業を停止するまで12年もかかったのか」を、被害者や企業、政府など多角的に考える時間を設けました。結園先生は水俣病という重いテーマを扱いながらも、対話を重視した授業を展開することで、「主体的・対話的で深い学び」を実現させたのです。
そのほか、国語・算数・社会・道徳・図工・体育・音楽・学級経営などなど各科目を題材としたワークショップでは、参加者たちは生徒の視点でプロの視点を学びました。
先生と共に子どもたちが輝ける場所を作りたい。
「磨け、授業力。 MOVE ACTION」には、同イベントに協賛する企業・団体のブースも出展されました。このイベントにかける想いやイベントへの感想など、一部の声をお届けします。
株式会社BYD
「夢中な人であふれる社会」をテーマに活動するBYDは、さまざまな企業と提携して商品開発、デジタル探求など多彩な授業を展開しています。授業を通じて子どもたちに感動体験を引き出しながら、個性の表現を促したり学びへの意欲を引き出すため、日々活動しています。
「日本の教育の本質的な課題を解決したいという授業てらすの立場は、私たちの目指す未来と合致していると感じています。『磨け、授業力。 MOVE ACTION』では多くの先生方が私たちの提供する授業に興味を持ってくださり、一緒にやりましょうと声をかけていただきました。こうした先生方と協力して、新しい“教育の当たり前”を作っていきたいです」
株式会社イマージュ
イマージュはLEGO®Education教材を活用したSTEAM教育(科学、技術、工学、芸術・リベラルアーツ、数学の5つの分野を統合的に学ぶ教育)を行う「STEAM Campus After School」を開校。LEGO®を用いた学習は、自分で考える力、自己実現できる力を養うことができます。
「『STEAM Campus After School』のことを知っていただきたいと思い出展しましたが、これだけ多くの熱心な先生がイベントに集まっていることに感銘を受けました。そして多くの先生が、『STEAM Campus After School』に興味を持ってくださいました。こうした先生方とともに、一人でも多くの子どもたちを笑顔にしていきたいです」
明治図書出版株式会社
明治図書出版は教育分野一筋に、子どもの学びを支える教材、先生をサポートする書籍・雑誌などを提供しています。紙の書籍を中心としつつ、小学校・中学校向けデジタルサービスの開発・提供もするなど、学び方の変化にもいち早く対応しています。
「私たちは、先生方をサポートできる教育書をお届けするという使命を持って活動してきました。今回、ブースにて展示・販売している書籍をお読みになった先生方が、よき学びを得て生徒たちに還元できるようなお手伝いをしていきたいと思っています。今後も、イベントに集まった熱意あふれる先生方と一緒に、子どもたちのための活動を続けていきたいです」
教師で良かったともう一度思い出すことができた
イベントに参加した先生たちからは、新たな学びや仲間との出会いを喜ぶ声がたくさん寄せられました。(一部抜粋)
「私自身初の参加でしたが、なかなか全国的にも有名な先生方が同じ場に集まって、講演を聞ける機会はなかなかないので、大変勉強になりました。どうもありがとうございました。」
「今、川崎市の教員ですが、様々な県の方と話し合い、教材一つであんなに盛り上がることができ、同志だなと思い嬉しさと勇気をいただきました。」
「セミナーを通じて、教育の本質は変わらないものの、その実現方法は時代とともに進化していく必要があることを強く感じました。ICTの活用や新しい教育手法を取り入れつつも、子ども一人一人と向き合い、その成長を支援する教師の役割はますます重要になっていくと実感しました。」
「夏休みで、学校が始まることが憂鬱でしたが、そんな気持ちが吹っ飛びました。教師という仕事の素晴らしさを思い出すことができました。」
「自分の実践を振り返ることができ、また、新しい学びができた有意義な時間となりました。ありがとうございました。」
※両日最後に「参加者の学び」をチームでまとめ、短尺に記載・発表し、本イベントの体験を全員でシェアしました
先生の挑戦する姿が学校現場に勇気を与える
授業てらすの代表である星野さんにも、今回のイベントのテーマについてお聞きしました。
「3回目となった今回の『磨け、授業力。 MOVE ACTION』は、私以外の運営メンバーである先生が主体となって、イベントを運営することを大きなテーマとしました。子どもたちの主体性を育むうえで、先生方が率先して動くことがとても大切です。そこで培われた経験が、学校現場で働く先生方に勇気を与えると考えました。
深刻な教員不足や精神疾患による休職者の増加、不登校の増加など。世間では学校教育を取り巻く深刻な状況が取り上げられています。この環境下において、現場にいる私たちができることは挑戦することです。
本イベントのコンセプトである『MOVE ACTION」には、先生方が熱意をもってチャレンジすることの重要性を込めました。
先生方が頑張ってくださったおかげで、イベントは大きな盛り上がりを見せました。印象的だったのは、お子さん連れの先生が以前よりも増えている点です。また、結婚間もないご夫婦が、旅行を兼ねて来てくださるという姿も見られました。
そうした先生方が集まり、学校という職場の枠組みを超えて仲間となり、一緒に頑張るという関係性が築かれていくのを見ると、とても嬉しく思います。
授業てらすは『子どもたちも先生も笑顔になる』という未来を思い描いています。今後、教育業界がどのように変化するかは分かりませんが、ここで集まった先生方が、教育現場に新しい価値を生み出していくことに期待しています」
「磨け、授業力。 MOVE ACTION」では、子どもたちの未来につながる授業をしたい、学校環境を改善したいという先生や企業、団体の熱い想いを強く感じました。自分の授業のあり方を変えたい、志を同じくする先生方と切磋琢磨したい。そんな想いを抱く先生は、ぜひ来年開催される授業てらすのイベントに足を運んでみてください。
また、「授業てらす」ではオンラインサロンを通じて、プロの講師陣による講座・授業を提供しています。こちらの情報も、ぜひチェックを!
#授業てらす #星野達郎