
出会った10代のころからスノーボード一筋!の名取崇史さんがオーナーを務める「名取崇史 スノーボードサロン FORWARD」は、全国のスノーボード好きが集まるコミュニケーションサロン。名取さんはもちろん、サロンメンバーが主導するイベントやオフ会などが積極的に開催されているのが特徴です。
今回は、そんな「名取崇史 スノーボードサロン FORWARD」を深掘り! 「初心者から上級者まで、さまざまなレベルのスノーボーダーが集まっているからこそ、今からスノーボードを始めたい!と思っている方に入会いただきたい」と話す名取さんに、サロンの魅力や特徴、今後の展望などをじっくりとお聞きしました。

神奈川県出身。10代のときにスノーボーダーに出会い、スキー場に6年勤務。スノーボーダーメーカーでの勤務を経て、独立。スノーボード専門店&スノーボードメーカーを10年経営。現在は、スノーボードメーカー(FOSSIL SNOWBOARD)を経営しながら講習会等を開催。オンラインサロンのほか、【Voicy】『なとりのラジオ』、【YouTube】『なとりのテレビ』、電子書籍の執筆など、幅広く活動中。
スノーボード好きが集まるコミュニティーを作りたい
――まずは、名取さんがどんな活動をされてきて、オンラインサロンを始めるに至ったのか。プロフィールとあわせて教えてください。
プロフィールかぁ。結構ややこしいんですけど(笑)。簡単に言うと、僕は高校を卒業してからずっとスノーボード一筋。スキー場で働いたり、スノーボードのメーカーに入社したり。長野オリンピック(1998年)のころがちょうどスノーボードブームで、そこから若干人気が落ち着いたときの2004年ごろにこの業界に入ったので、その低迷期みたいな雰囲気がちょっともったいないなと。なんとかもっと盛り上がらないかなと思って、2010年に自分でお店を始めました。
盛り上げようと思ったら、やっぱりコミュニティーを作るしかないなと。スノーボードは1人でもできるけど、やっぱり仲間がいた方が出かける回数も増えるし、楽しい。そういったコミュニティーを作るとしたら、当時はやっぱりお店だったんですよね。
――たしかに、スノーボードを始めようと思ったらまずお店に行ってみる、という人も多かった時代ですよね。
そうなんですよね。お客さま同士が仲良くなったり、お店でイベントをしたり。そういうことをやりたかったんですけど、その後すぐにスマートフォン革命と言われるような時代になってしまって。誰もが簡単にインターネットにアクセスできるようになると、ボードやウエアを買うのもネットショッピング。正直お店に来る人も減ってきたんですよね。ほかに方法がないかなと思ったときにオンラインサロンというものがあると。それが2017年ですね。はっきりと覚えています。
――オンラインサロン黎明期というくらい早いタイミングですね。
最初のきっかけは、堀江(貴文)さんの本でした。そこで、地域も年齢も関係なしにコミュニケーションを取れる場所があると知って、どういうものなんだろうと。堀江さんを始め、いろんな人のオンラインサロンに入会し、活動に参加して勉強させてもらいながら、2019年にお店を畳んで自分のサロンを立ち上げました。DMMオンラインサロンに移転して、今3年目くらいですね。
――オンラインサロンが、スノーボードの新たなコミュニティーの場になればいいなと?
業界を盛り上げたい、スノーボード人口を増やしたいと思ったときに、やっぱり必要なのはコミュニティーですから。お店が担っていた役割をオンラインサロンでできればいいなと。昔は、お店に行けば、ルールやマナーまでスノーボードのことを教えてもらえましたけど、今はみんなSNSで都合のいい情報だけを調べて、買い物もネットで済ませちゃう。マナーが悪いんじゃなくて、ルールを知らないだけ。そういったこともオンラインサロンで解決できるのかなと。
昔、スノーボードショップがいろんな場所にあったように、オンラインサロンがもっとたくさんあってもいいと思うんですよ。それを目指して、まずは僕がオンラインサロンを成功……というと、何を持ってしてなのか分からないですけど、サロンの人数を増やして規模を大きくしていくことで、自分もスノーボードという分野でオンラインサロンをやってみようという人が出てきたらいいなと思っています。
――そこまで名取さんを熱くさせるスノーボードの魅力、どんなところに感じていらっしゃいますか。
非日常が一番大きいですよね。普段味わえないような空気感、滑っているときの疾走感。何にも代えがたいものですし、この面白さをもっといろんな人に知っていただきたいですね。
メンバーがやりたいことに挑戦できるサロンに
――名取さんのサロンは、退会率が約1%と長く入会されている方が多いとお聞きしましたが、どんな雰囲気のサロンなのか、特徴を教えてください。
僕もずっと試行錯誤しながら運営していますけど、個人的にうまくいっているなと思うのは、メンバーさん主導のイベントや企画が動いているというところでしょうか。僕が自分でイベントを企画することもありますけど、メンバーさんが先頭に立ってどこかに出掛けたり、一緒に滑りに行ったりしているんですよね。ちょっとキザな言い方をすると、自分の夢をかなえられる場所になっているんじゃないかなと思います。
――こんなことをやりたい、というのを名取さんだけじゃなくメンバーさんが気軽に言い出せる雰囲気があるということですよね。
そうですね。スノーボードのブランドを持っているので、ボードの選び方とかメンテナンスとか、そういったことを僕が発信することもありますが、それよりもメンバーさんが投稿したトピックの方が「いいね」の数が多いことも(笑)。でも、それでいいと思うんですよね。僕自身、新しいことに挑戦するのが好きな人間なので、みんなが自分のやりたいことにチャレンジできる。スノーボードを通して、その場所を提供できているのかなと感じています。
――先ほど、立ち上げ前には堀江貴文さんのサロンに入会するなど研究を重ねたとおっしゃっていましたが、今のサロン運営の糧になっていることもありますか。
実を言うと、自分のやりたいことができるというのは、堀江さんのサロンをちょっと真似させていただきました。堀江さんのサロンに入会していたときには、合宿に参加したり、自分でスノーボードのイベントを立ち上げたり。堀江さんもご自身が発信するというよりも、メンバーが仲間を集めて何かしら企画することが多いんですよね。それがオンラインサロンの理想なのかなと思っています。
オンラインサロンのことをあまり知らない人だと、オンラインレッスンとかスクールっぽいものをイメージされますけど、特別な情報を得られるところ、というよりもコミュニティーを楽しむことで、知識や経験を増やしていく場所、というような気がしています。
――今、名取さんがおっしゃったことがオンラインサロンの理想形だと思いますが、それを実現できているサロンはそこまで多くないのかなと。名取さんのサロンがうまく運営できている秘訣はどこにあると思いますか。
最初はもちろん、名取さんが何か始めるから、みたいな感じで入ってきてくださる方が多かったので、自分も積極的にいろいろ発信していましたけど、それじゃ長続きしないよなと。それで、自分の理想はみんなが発信するコミュニティーだということをちゃんと言葉にするようにしたんですね。しつこく言い続けたことがうまくいったのかなと思いますね。
ちょうど当時、「Voicy」というラジオのような音声コンテンツで『なとりのラジオ』というものを知人の紹介で始めたんですね。そこでも、オンラインサロンの話をよくしています。自分たちでイベントを立ち上げてもいいよ、好きなことを発信して、といった感じで言い続けていたら、ちょっとずつトピックを作ってくれるようになって、気軽に参加していいんだ、という気持ちがみんなのなかに生まれてきたように思います。
――オンラインサロンって入会したもののどうしたらいいんだろう、と思う人も多いですよね。
だからこそ、こういう楽しみ方があるよ、こうやって使ってくださいね、と言い続けたことがよかったのかもしれないですね。
――メンバー主導のイベントは、名取さんがしっかりと管理されているというのも安心ですね。
そうですね。企画しているイベントは一応全部チェックしていますから。それだとあまり伝わらないんじゃないかなとか、発信方法をアドバイスすることもあります。運営がずさんだとトラブルも多くなりがちですが、僕のサロンは誰でも入れるコミュニティーではないですから。安心安全に参加いただけると思いますね。
スノーボードを始めたい人におすすめ!
――メンバーは、初心者から上級者までレベルはさまざまとお聞きしています。
うまい人だけが集まっているんじゃないかとよく言われるんですけど、始めたばかりという方はもちろん、プロのスノーボーダーの方もいらっしゃいます。個人的には、初心者の方にぜひ入会いただきたいんですよね。うまい方と一緒に滑れたり、その知識を分けてもらえたりするわけですから。こんなにいい環境はないのにな、と思います。
みんなすごくフレンドリーですよ。滑走予定を自由に登録できるカレンダーもありますし、一緒に行ってみたい!と言い出しやすい雰囲気もあるのかなと感じています。やっぱりオンラインサロンって最初はちょっと緊張すると思うんです。でも、スノーボードという共通の話題があるので、仲良くなるスピードも速い。もっと気軽に、若い方にもスノーボードって面白いんだよ、ということを知っていただきたいですね。
――ちなみに、そろそろシーズンも終わる時期ですが、夏の間もいろいろイベントが開催されているんですよね。
そうですね。例えば、一昨年は僕、フルマラソンに挑戦したんですよ。それを発信したら、メンバーも「やってみたい」と言ってくれて。去年は、メンバー8人と一緒に走りました。そういった形のみんなでやってみよう、という企画も多いですね。メンバー主導だと、山下りのマウンテンバイクをやろうと集まっていましたね。
――今後、予定しているプロジェクトがあれば教えてください。
一つ進めているのは、僕が手掛けているブランドで新しいボードを作ろうという企画。サロン内でクラウドファンディングをやったんですね。その新たなモデル開発の過程をいろいろ伝えているんですけど、それはかなり盛り上がっていますね。それこそ設計図まで見せていますから。あと、今年の夏はみんなでサッカーをやろうと言っています。
――それでは、展望とあわせてメッセージをお願いします。
スノーボード業界にオンラインサロンという文化を根付かせて、それをもっとカジュアルにみんなが利用できるようになればいいなと思います。スノーボードがもっと盛り上がるためには、継続的に楽しめるコミュニティーがやっぱり必要だと思いますから。オンラインサロンって、想像よりも全然気軽なもの。スノーボードを始めたいなと思ったら、ぜひ一度のぞいてみていただけたらうれしいです。
オンラインサロンって、スポーツジムと同じ感覚なのかなと思うんですよね。最初はみんなが手を差し伸べてくれるし、教えてくれることもあるけど、楽しみ方は自分次第じゃないですか。それと同じように、うちのサロンでも自分なりの楽しみ方を見つけてもらえたらと思います。その活動を通じて、スノーボードをもっと好きになってもらえたらいいですね。