7月から本格的に稼働を始めた、オンラインサロンの『CFun Creator’s Salon』。このサロンは仮想通貨とブロックチェーンを活用した、クリエイターのための全く新しいSNSのリリースを目指すCFunジャパン株式会社が運営しています。
7月22日、同社の関係者とサロンに参加しているクリエイターさんたちがDMM本社に集まり、交流会が開かれました。
今を生きるクリエイターが何を思うのか。そして、CFunというサービスが目指すところと、その道にある期待や課題。タブーなしで、会員の皆さんが率直な意見をぶつけ合う交流会の様子をレポートします!
ブロックチェーン技術と仮想通貨をフル活用した『CFun』
サロンを運営するCFunジャパン株式会社は、シンガポールに本社を持ち、主に中国で運営されているという、グローバル企業。同社が今後リリースを予定しているのが、『CFun』というSNSです。
CFunは、世界的にも高い人気を誇る日本のクリエイターの作品を、中国をはじめとしたアジア全土に広げていくためのプラットフォームです。同サービスで作品を発表する際には、中国語翻訳などのサポートを行います。
そして、CFunで特に注目すべきなのが「ブロックチェーン技術と仮想通貨を活用している」という点です。
まず、情報管理を行うブロックチェーン技術によって、今までのネット発信でおろそかになっていた著作権管理を容易にします。次に、ユーザー同士のお金のやり取りに仮想通貨を採用することで、作家とユーザーの間に余計な仲介を挟むことなく、リアルタイムで作家が収入を得ることができます。また、ユーザーのコメントやシェアに仮想通貨を付与する仕組みを作ることで、ユーザー同士のコミュニケーションを活発にします。
CFunは、最先端のIT技術を活用した、クリエイターとファンをつなぐ全く新しいプラットフォームなのです。
交流会で知りたいのは、日本の作家たちの「リアル」
交流会をファシリテートするのは、CFunジャパン株式会社のコンテンツディレクター、三門さんと、管理部に所属する寺田さん。コンテンツディレクターの三門さん自身も、フリーの声優として活躍している、クリエイターの一人。
今回のような交流会を開催した目的は、日本のクリエイターのリアルな現状を知ることにありました。サービスそのものに抱く思いだけでなく、クリエイターたちがどうやって仕事を取っているのか、そして、業界の将来に抱く不安や願いを聞くことで、CFunがどうやってその悩みを解決できるかを模索していきます。
「私は声優としての業界しか知りません。CFunのサービス充実という目的はありますが、私自身、みなさんとおしゃべりしながらクリエイターの世界を勉強したいんです。」そう語る三門さんの思いを体現するように、交流会では様々な立場の方が思い思いの言葉を口にし始めました。
高い可能性を秘めるアジア市場
交流会には、現役で作品を世に出している作家さんから、作家を支えるアシスタント、クリエイター向け専門学校の副校長など幅広い立場の方々が集まりました。
みなさん、CFunの掲げるビジョンにはかなり興味と期待があるようでした。特に、日本国内にとどまらず、中国や世界に向けて自分の作品を発信するチャンスがあることに魅力を感じたようです。
実際に、中国の漫画市場を見て見ましょう。中国では、90年代に生まれた若い方を中心に、漫画を愛読する方は非常に多く、その数は3億人近くともいわれています。日本の総人口は2018年7月時点で1億2659万人ですから、その数の多さに圧倒されます。また、中国はデジタルデバイスの普及率が日本以上で、漫画もスマホで読むという方が一般的です。そのため、いわゆる「縦スクロール」「カラー作品」が売れる傾向にあるようです。日本でもコミックアプリの普及によって、カラーで縦スクロールの作品が増えてきてはいるものの、やはり主流なのは少年誌や青年誌などの紙媒体を想定した作品ですから、ここは国内市場との大きな違いと言えるでしょう。
CFunに寄せる「期待」と「懸念」
そんな魅力的な中国の漫画市場ですが、クリエイターさんの中には、そもそも中国、アジアに作品を展開させるというイメージすら抱いてなかったと口にする方もいました。しかし、「中国のユーザーには、日本作品への一種の「信頼感」があり、日本の作品ならと手にする方が少なくない」と三門さんは言います。日本の作品は、海外市場でも高いポテンシャルを秘めているのかもしれません。
「漫画以外にも、日本でもトップクラスの売り上げを誇るコンテンツは、中国でも同様に高い人気があるが、逆にそれ以外にどんなコンテンツがあるのか、中国ユーザーには知る機会がありませんでした」と寺田さん。しかし、CFunを使えば、中国ユーザーに「こういう作品もあるんだよ」というのを伝えられるようになるわけです。
一方、作品を海外に打ち出すことに対しては、懸念する意見も見られました。「日本でも青少年保護条例のような表現規制があるが、中国はどんな状況なのか?」。自身の作品を海外展開する上でとても重要な、表現規制の問題が話題にあがります。ある作家さんは、海外で作品を出すというタイミングで、表現規制という壁にぶつかった経験を語りました。
中国やヨーロッパといった海外でも、反社会的な内容や暴力的なものに対する規制があるのは確かです。なかには日本以上に厳しい条件が設けられている国もあり、この規制内容は国によってすべて違うのが現状です。CFunでも、こうした表現を1つ1つチェックすることの重要性を強く感じていると三門さんは説明しました。
作家にとって何よりの願いは「描き続けられること」
クリエイターの皆さんのお話を聞いていく中で、気になることがひとつ。それは「クリエイターや作家が求めるもの」は何かということです。交流会に参加されたみなさんに尋ねたところ、その答えはいたってシンプルでした。どの方も、作家として作品を「描き続けられること」を、最も大切にしていたのです。
「商業的な都合から、泣く泣く連載を終了することとなってしまった」「描き始めてから収入が入るまでにタイムラグがあるせいで、作品の人気に火がつく前に生活が苦しくなってしまった」。この国の漫画家やクリエイターは、そうした苦しさや不安を抱えながら作品の制作を続けているという現実があります。
大金持ちになりたいわけじゃない。作品を描くのに必要な最低限の収入を確保して、いつまでも描き続けられる環境を整えたい。それが、クリエイターの切なる願いでした。
だからこそ、CFunには大きな期待がかかります。たとえ国内ではニッチな需要でも、どこかの国の誰かに受け入れられるかもしれない。そうすれば、クリエイターは理想的な生活に一歩近づくことができるのです。
クリエイターの方からは、日本の悪しき出版文化にとらわれない、新しいプラットフォームを求める強い声があることがわかりました。そしてCFunは、近年急速に成長しているブロックチェーンや仮想通貨といった新たな技術に、その解決策を見出しています。
CFunは今後も、クリエイターの生の声を聴きながらサービスの取捨選択を進めていくと、三門さんと寺田さんは語ります。新たなサービスに興味がある方やクリエイター同士で様々な意見交換をしたい方は、ぜひこのサロンに参加して、運営陣に生の声を届けてあげてください。その声1つ1つが、日本のクリエイターシーンを大きく変えることになるかもしれません。