気軽に取り組めて消費カロリーも高いことから、ダイエットにおすすめと言われる運動が「スクワット」です。「スクワット15回は、腹筋500回分に相当する」と言われるほど消費カロリーが高いとされていますが、果たして実際の消費カロリーはどのくらいなのでしょうか?
この記事では、気になるスクワットの消費カロリーの真実と、スクワットによるダイエット効果について解説します!さらに、おすすめのスクワットメニューも紹介しているので、自宅で取り組んでみてください。
スクワットの消費カロリーとは
「スクワットは有酸素運動よりも消費カロリーが高いので、ダイエットにおすすめ!」。そんなダイエット情報を目にした方は、たくさんいるのではないでしょうか?ここでは、スクワットで消費するカロリーを実際に計算し、他の運動による消費カロリーと比較してみます。
スクワット消費カロリーの計算方法
スクワットに限らず、運動による消費カロリーはMETs(メッツ)という運動強度の単位を使って計算できます。厚生労働省によると、METsとは「安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの」を意味します。
そして、日本の研究機関「国立健康・栄養研究所」では、METsを使用したエネルギー消費量を次のように計算できるとしています。
エネルギー消費量(kcal/h)=体重(kg)×(METs – 1)×時間(h)
同研究機関のデータによると、自重で行うスクワットは5.0METsの運動量になると言われています。そのため、体重60kgの方が約10分スクワットをした場合、下記のように消費カロリーを計算することができます。
60(kg)×(5 – 1)METs×10/60(h)=40(kcal)
体重が50kgの方なら、消費カロリーは約33.3kcal。70kgの方なら約46.7kcalとなります。40kcalは、おおよそみかん一個分のカロリーに相当します。
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット|メッツ/MET’s, 国立健康・栄養研究所|改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』)
男性・女性で共通!スクワットの消費カロリー
前述したように、運動による消費カロリーは、体重、運動強度(METs)、運動時間によって計算されます。そのため、男性か女性かによってスクワット時に消費するカロリーが変わることはないと考えて問題ありません。
スクワットと他の筋トレの消費カロリーを比較
スクワットの消費カロリーが分かったところで、その他の筋トレによる消費カロリーについても見てみましょう。ここでは、国立健康・栄養研究所が公開している『身体活動のメッツ(METs)表』を参考に、それぞれのトレーニングメニュー別に消費カロリーを計算してみます。それぞれの消費カロリーは、体重が60kgの方がそのトレーニングを10分行なった場合の値です。
(1)軽強度の腹筋運動(2.8METs):約18kcal
(2)中強度の腹筋運動・腕立て伏せ・懸垂(3.8METs):約28kcal
(3)高重量・高強度の腹筋運動・腕立て伏せ・懸垂(8.0METs):約70kcal
(4)高強度のウエイトリフティングやダンベル、マシンを使用したトレーニング(6.0METs):約50kcal
スクワットの効果とは
たった15回行うだけで「腹筋500回分に相当する」とも言われていたスクワットの消費カロリーですが、実際に計算してみるとその他の運動による消費カロリーとあまり差がないことがわかりました。
それでも、スクワットには消費カロリーだけでは計れない、嬉しいダイエット効果がたくさんあるんです!
新陳代謝アップ=脂肪燃焼効果が得られる
スクワットをはじめとした筋トレは、有酸素運動に負けないくらいの脂肪燃焼効果が秘められています。
「換気性閾値強度の運動が運動後過剰酸素消費量の量・持続時間に及ぼす影響」という論文によると、筋トレなどの高い強度の運動を一定時間行なった後は、運動を行わなかった場合に比べて過剰にエネルギーが消費されることが示されています。また、実験の結果から無酸素運動を1時間程度継続した場合としていない場合とでは、24時間の総消費カロリーに600kcalもの差があることが明らかになりました。
(参考:『換気性閾値強度の運動が運動後過剰酸素消費量の量・持続時間に及ぼす影響』,1992)
筋トレ後にエネルギーの消費量が高い状態が一定時間続くのは、無酸素運動を続けることによって体が軽い酸欠状態に陥り、それによって傷ついた体を回復させるために、新陳代謝が活発になることが原因であるとも言われています。
このように、スクワットはやっている最中よりも、「運動後」の脂肪燃焼効果が高いトレーニングなのです。
基礎代謝で痩せやすい体に
筋トレのダイエット効果で注目したいのは、基礎代謝が上がることです。基礎代謝とは、動かずにじっとしていても体が常に消費しているエネルギーのことを言い、このうち全身の筋肉(骨格筋)による代謝は全体の2割ほどを占めていると言われています。
スクワットで鍛えられるのは太ももやお尻など大きな筋肉なので、コツコツ継続して鍛えるほど、基礎代謝が上がって「太りにくく痩せやすい体」に変身していきます。
下半身のシェイプアップになる
少し前まで、「筋トレをするとかえって太く見えてしまう」と悩む女性が多くみられました。しかし、最近では芸能人やモデルの方も積極的に筋トレをしているので、そのイメージはだいぶ薄れてきたようです。
もちろん、ボディビルダーのようにとても重いダンベルやバーベルを使った強度の高いトレーニングを行えば、筋肉が発達して全身が太くなることはあります。しかし、自重メインで、負荷よりも回数を重視するスクワットなら、脚やせに高い効果を発揮することでしょう。
また、スクワットは太ももの表側だけでなく、お尻やもも裏も同時に鍛えることができます。お尻ともも裏はヒップアップに欠かせない筋肉ですから、スクワットは下半身全体をシェイプアップするのに、ぴったりな種目といえるでしょう。
正しいスクワットのやり方(種類別)
スクワットは筋トレの代表的な種目ですが、実はフォームがかなり難しいことでも有名です。ここでは、自宅でもできる3種類の基本的なスクワットを参考に、しっかりと下半身のシェイプアップ+ダイエットができるフォームをお伝えします。
ノーマルスクワット
(1)両足は肩幅よりやや広く開き、つま先を少し外へ向けます。
(2)両手はまっすぐ前に伸ばすか、胸の前で組みましょう。
(3)ももが地面と水平になるまで、ゆっくりとしゃがみましょう。このとき、ももの前の筋肉が効いていることを意識します。また、しゃがんだ際には膝がつま先の向いている方向より内側に入らないように注意し、顔はまっすぐ前を向くのではなく、傾いた背筋に合わせて前方の床を見るようにしましょう。
(4)しゃがんだ時の姿勢は、「すねと背筋が平行になっている」ことを意識します。また、かかとやつま先に体重が偏らず、足裏全体で地面を踏むようにしましょう。
(6)もも裏とお尻の筋肉を使うイメージで、まっすぐ立ち上がります。
ダイエット目的の場合は、「しゃがむ・しゃがんだ姿勢をキープ・立ち上がる」という一連の動作を、それぞれ「3秒・3秒・3秒」かけながらゆっくり丁寧に行ってみましょう。正しいフォームで行うためにも、姿見などの大きな鏡の前でやるのがおすすめです。
最初は10回を1セットとして、3セットずつ週2回を目標にして行い、慣れてきたら15回を1セットとして、4セットを週2〜3回行うなど、回数とセット数を増やしてみましょう。休憩も挟みつつ、15分〜30分間取り組んでみてください。
ワイドスクワット
ノーマルスクワットより足幅を広げて行うスクワットです。基本的なやり方はノーマルスクワットと同じですが、足を肩幅の1.5倍〜2倍くらいまで、大きく広げて行いましょう。足を大きく開くことで、お尻やももの内側により刺激を与えやすくなります。
最初は10回を1セットとして、3セット週2回を目標に行い、慣れたら15回を1セットとして4セットずつ週2〜3回行うなど、回数とセット数を増やしましょう。
ダンベルスクワット
「普通のスクワットだと物足りない」「もっと運動強度を上げたい」と思った方は、ダンベルを使って強度を上げてみましょう。ダンベルが家にない方は、水を入れた2Lペットボトルで代用できます。ダンベルの持ち方ですが、「ダンベルを胸の前で、両手持ちする」か、「体の横に片手で1つずつダンベルを持つ」かのどちらかで行ってください。
ダンベルを持っていると腕や手がパンパンになる、手が小さくて持ちにくいという方は、バックパックに重りになるものを入れて、それを背負いながらスクワットをしましょう。最初は10回を1セットとして、3セット週2回を目標に行い、慣れたら15回を1セットとして4セットずつ週2〜3回行うなど、回数とセット数を増やしていきます。
ブルガリアンスクワット
強度の高いスクワットの代表といえば「ブルガリアンスクワット」です。この種目は簡単にいえば、片足で行うスクワット。片足を後ろに下げ、ローテーブルやソファ、ベッドの上に乗せます。そのまま、床についている方の足だけを使って、スクワットを行いましょう。
体が左右にぶれないこと、しゃがんだときに、膝が内側に入らないように気をつけて行なってください。左右10回ずつを1セットとして、3セット週2〜3回を目安に始め、慣れたら1セットあたりの回数を、15〜20回まで増やしてみてください。
ジャンピングスクワット
スクワットに有酸素運動の要素をプラスした、いいとこ取りの種目が「ジャンピングスクワット」です。やり方はノーマルスクワットと同じですが、立ち上がるときに地面を強く蹴って、思い切り真上にジャンプします。ジャンプはなるべく全力で行うのがポイントです。
他のスクワットで動きに慣れていきつつ、まずは週1ペースで行ってみましょう。1セットを10回として3セットを目安に行い、慣れてきたら徐々に回数・セット数を増やしてみます。よりハードに取り組んでいきたい方は、20秒全力でジャンプスクワットをして、10秒インターバルを入れる動作を合計4回〜8回繰り返す、HIIT(高強度インターバルトレーニング)にチャレンジしてみてください。
スクワットでダイエットする方法
スクワットで効率的にダイエットするなら、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
ランニングと組み合わせる
スクワットのような筋トレ=無酸素運動は、代謝アップに欠かせない運動です。さらに効果的に脂肪を燃焼するためには、ランニングのような有酸素運動を加えるのが効果的。脂肪燃焼のためのランニングは、少し息が弾むくらいのペースを維持しながら30分ほどを目安にして行なってみましょう。
スクワットを取り入れたダイエットメニュー
ダイエットには「無酸素運動(スクワット)+有酸素運動(ランニング)」が最適ですが、両方を一度にやろうとすると、合計で1時間〜1時間半ほどかかってしまいます。
そのため、ダイエットメニューは「月・水・金はスクワット、火・木・土はランニング」といったように、交互に取り組むのがおすすめです。または「平日5日のうち、最低3日はスクワットをして、土日は少し長めにランニングする」といったように、ダイエットに取り組める時間の長さによって内容を変えても、効率よくダイエットを行うことができます。
スクワットチャレンジとは
アメリカを中心に、大流行した「スクワットチャレンジ」というダイエット法。多くは「30日スクワットチャレンジ」という名前で、「30日間毎日スクワットを行う」という、とてもシンプルなダイエットです。ただし、その最大の特徴は「日を追うごとにスクワットの回数を増やしていく」というところにあります。
初日は50回からはじめ、2日目は55回、3日目は60回……と、徐々に回数を増やしていきます。そして、最終日である30日目には、なんと1日250回のスクワットを行います。かなりの回数ですが、もちろん一度にやる必要はありません。何セットかに分割して、トータルで目標回数を達成できるように頑張ってみましょう。
毎日100回スクワットすると効果はある?
前述したスクワットチャレンジでも、最終的には3けたの回数でスクワットをすることになります。また、アスリートの中には「毎日100回スクワットをしている」という方もいるようです。これだけの回数のスクワットを毎日こなせるのはとてもすごいことで、毎日100回のスクワットができるようになる頃には、きっと皆さんの身体はかなり引き締まっていることでしょう。
ただ、私たちの体は一定の強度を繰り返していくと、それに慣れていく性質があります。毎日100回のスクワットに「慣れる」ことで、見た目に大きな変化を感じにくくなってしまうかもしれません。スクワットに限らず、筋トレは量より質が重要です。最近マンネリだな、スクワットに飽きてきたなと思ったら、今までより強度の高い種目に変えてみましょう。
スクワットの消費カロリーは、決して多くはありません。それでも、スクワットの持つ効果はダイエットに多くのメリットがあります。特に、これまで運動不足だった方には驚きの変化をもたらすでしょう。ダイエットやボディメイクを始める方は、今回ご紹介したさまざまな種類のスクワットにチャレンジしてみてください!