空気が乾燥する冬はもちろん、紫外線や冷房の影響で夏も唇は荒れてしまいがちです。対策をしていても、いつの間にか唇が荒れていたという経験はないでしょうか。
唇が乾燥してしまう原因は様々。場合よっては病気の兆候となることもあるため、普段から気にかけておきたいものです。
この記事では唇が乾燥する主な原因や、手軽にできるケア方法などをご紹介します。
唇が乾燥する8つの原因
唇は、話をしたり飲食したりと、日常的に摩擦などによる影響を受けやすい部位です。普段の何気ない行動が、実は唇の乾燥を引き起こしているかもしれません。まずは唇を乾燥させてしまう8つの原因を確認してみましょう。
紫外線による日焼け
唇が乾燥する原因のひとつが紫外線による日焼けです。
人間の身体は太陽光などに含まれる紫外線によりダメージを受けます。このとき、細胞をダメージから守ってくれるのがメラニン色素です。メラニン色素は皮膚や髪などに存在しており、活性化することにより紫外線を吸収する働きがあります。
しかし、唇にはメラニン色素が少なく紫外線を吸収しきれないため、結果として唇の細胞が大きなダメージを受け、乾燥が引き起こされると考えられています。
冷房
唇は身体の中でもとくに角層が薄く、皮脂腺や汗腺もないため、多くの水分を保持することがません。そのため、バリア機能が非常に低く、乾燥した空気の影響を受けやすいとされています。
冷房によって乾燥した室内は、唇にとって負担となる環境のひとつ。とくに直接冷房に当たる場所は、唇の乾燥が進行しやすくなります。また、冬場の暖房も同様に唇を乾燥させてしまうので、部屋の湿度が下がりすぎないよう気を配りましょう。
マスクとの擦れ
風邪対策や感染症予防のために使われるマスクですが、使い方を誤ると唇の乾燥を引き起こすことがあります。
マスクによって唇が荒れてしまうのは、マスクと唇の間に発生する摩擦が原因です。一方、マスクには保湿効果もあるといわれているため、リップクリームで唇をカバーするなど、できるだけ摩擦に気を付けながら使うのが良いでしょう。
アルコールや香辛料などの刺激物
アルコールや香辛料などの刺激物を摂取すると、過剰な刺激原因で唇が荒れてしまうことがあります。とくに食事後、唇を拭かずに放置していると乾燥や荒れにつながることがあるため、食事の際には常に唇の周りを清潔に保つようにしましょう。
リップクリームが合わない
保湿のために使われるリップクリームですが、体質に合わない場合は、かえって唇にダメージを与えてしまうこともあります。リップクリームを使用した後、少しでも唇に異常を感じた際はすぐに使用を中止し、パッケージに記載されている注意書きや原料をよく読み、アレルギーの原因となる成分が含まれていないか確認してみましょう。
胃腸の調子が悪い
胃腸が荒れているときも、唇が乾燥する場合があります。貧血を起こすと唇が紫になるように、内臓の不調は唇の異常として表れやすいためです。偏った食生活や疲労などで胃腸に負担をかけていないか、日ごろの生活を振り返ってみましょう。
ホルモンバランスの乱れ
個人差はあるものの、体内のホルモンバランスが乱れていると唇も乾燥しやすくなります。とくに女性は生理前や妊娠中、更年期などにホルモンバランスが大きく変化するため、唇の乾燥に悩まされることも多いかもしれません。
ストレス
ストレスが原因で唇が乾燥してしまう場合もあります。ストレスは身体全体の血行不良や代謝の悪化に繋がるため、結果として唇にまで栄養が行き渡らなくなり、乾燥を引き起こしてしまうのです。
その唇の乾燥、病気かも
唇の乾燥は病気のサインとなる可能性も。ここでは主な症例を4つご紹介します。
口角炎
口角炎は、唇の端が赤くただれ、皮がむけたり、かさぶたになったりしてしまう病気です。口を大きく開けたときに口角が裂けて痛みを感じるため、食事や会話がしにくくなることもあります。
口唇炎
唇の端に炎症が起こる口角炎に対し、口唇炎は唇全体に影響が出る病気です。唇が乾燥するほかにも、皮がむける、かゆみを感じるなどの症状が見られます。
感染症
唇の乾燥は、口唇ヘルペスなどの感染症にかかったときにも見られる症状です。
口唇ヘルペスとは、「単純ヘルペスウイルス」が原因となって、唇やその周辺に水ぶくれのようなブツブツができてしまう病気のこと。初期症状として唇のかゆみやピリピリとした違和感が出ます。
水ぶくれができたあとは乾燥し、かさぶたのようになることもあります。通常は自然に治る感染症ですが、免疫力が低下している人や乳幼児などは重症化する場合もあるので、不安な場合は早めに医療機関に相談してみましょう。
シェーグレン症候群
難病に指定されているシェーグレン症候群でも、唇の乾燥が見られる場合があります。
シェーグレン症候群は、全身の外分泌腺に炎症が起こり、口や目、肌などを乾燥させてしまう病気です。とくに女性に多く見られる症状で、40代から60代で発症する患者が多いといわれています。
個人差がありますが、症状が重くなると味覚異常や口の中の痛みなどに発展する場合もあると言われています。完治させるための治療法はまだ確立されていないため、発症した場合は医師と相談しながら対症療法を続けることになるでしょう。
(参考:yuskin|唇の荒れ)
唇が乾燥してしまうNG習慣
唇の乾燥は、前述したように体調の乱れや空気の乾燥などが原因で引き起こされます。しかし、知らず知らずのうちに唇に直接刺激を与えてしまい乾燥を治りにくくしている可能性もあるのです。
無意識にやってしまいがちなNG習慣を4つ紹介するので、日ごろの行動を振り返ってみましょう。
唇を触りすぎる
唇は刺激に弱いため、指で触ったり、強くこするだけでも傷つけてしまうおそれがあります。
唇をなめる癖がある
唇をなめると一時的にうるおったように感じますが、実際は逆効果。角質がダメージを受け、唇の細胞に蓄えられている水分まで蒸発してしまいます。
唇の皮をむく
唇の皮がはがれかけているとき、つい指でむいてしまう人もいるかもしれません。しかし、無理に皮を剥がすと唇の根本まで傷つけてしまい、かえって乾燥や荒れを悪化させる可能性があります。
リップクリームを唇に強く押し付ける
乾燥対策でよく使われるリップクリームも、強く押し付けすぎると、摩擦によって唇にダメージを与えてしまうことがあります。
唇にやさしいリップクリームの塗り方
リップクリームは手軽に唇の乾燥をケアするのに効果的ですが、使い方を誤ると逆効果になってしまいます。
唇になるべく刺激を与えないリップクリームの塗り方を練習してみましょう。
・唇を清潔にする
リップクリームを塗る前に、唇に付着した汚れをきれいにします。とくに食事後や歯磨きのあとは、ティッシュペーパーなどを使ってやさしく拭き取っておきましょう。
・唇を4分割して塗る
リップクリームを使う際に、唇の全面に押し付けるように塗る人もいるかもしれません。しかし、乾燥をケアしたいときは、唇を上下左右に4分割して考えるのがコツ。
唇の中心から左右それぞれの端に向かって、円を描くようにしてリップクリームを塗っていきましょう。このとき、縦ジワをなぞるように塗ると、ムラなく唇をケアできます。
唇の内側や端はとくに乾燥や荒れが発生しやすい場所なので、塗り残しがないように意識してください。
唇の乾燥をケアする方法
唇のターンオーバーは約3日間周期で、他の部位よりサイクルが早いのが特徴です。そのため、たとえ乾燥してしまった場合でも、正しい方法でケアすれば健康的な状態に戻りやすいといえるでしょう。
唇の乾燥をケアする方法はリップクリームだけではありません。最後に、おすすめのお役立ちアイテムや習慣づけておきたい行動などをご紹介します。
(参考:第一三共ヘルスケア|ケアをするほど効果が見える 肌より早い唇のターンオーバー)
ワセリン
「リップクリームでは刺激が強すぎて荒れてしまう」と感じている人は、ワセリンを使ってみましょう。天然素材である石油から作られるワセリンは保湿力が高く、肌触りもやわらかいため、唇への刺激を最小限に抑えることができます。ワセリンは精製の度合いによっていくつかの種類に分けられ、唇のケアにはとくに純度の高い白色ワセリンがおすすめ。
ワセリン少量を唇にたっぷり乗せ、綿棒でなじませるようにして塗ります。リップクリームタイプの製品も売られているため、塗りやすさや持ち運びやすさで好きな方を選びましょう。
ハチミツ
ハチミツは、古くから知られている天然由来の肌ケアアイテム。豊富に含まれているアミノ酸やビタミンなどが、肌の乾燥を防ぎ、再生を促すことで、唇をしっかりケアしてくれると考えられています。
さらに、ワセリンとハチミツを1:1の比率で混ぜ合わせれば、パックのように使うこともできます。蒸しタオルであたためた唇に塗り、ラップで覆ってから5~10分ほど時間を置きましょう。その後ラップを外し、ワセリンとハチミツを拭き取れば、唇のケアができます。
こまめな水分補給
体内の水分が不足しているときは、唇も乾燥しがち。のどが渇いたと感じる前に水を飲むなど、こまめな水分補給を心がけましょう。とくに、マスクをしているときや湿度の高い場所にいるときは身体が乾燥を感じにくいため、時間を決めて忘れずに水分を摂取することをおすすめします。
治らないときは皮膚科へ
唇のケアを続けても、なかなか乾燥が治らない場合もあるかもしれません。そんなときは自己流で対策を続けるのではなく、皮膚科を受診してみましょう。
保湿のために塗っているリップクリームなどが体質に合っておらず、アレルギー症状を引き起こしている可能性もあります。また、前述したように唇の乾燥が兆候となる病気もあるため、少しでも不安なことがある場合はとくに、専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。
唇は、空気の乾燥だけでなく、マスクとの摩擦や誤ったケアによってもガサガサになってしまう場合があります。日頃の何気ない生活習慣を見直し、こまめな水分補給など正しい乾燥対策をして、美しい状態を保ちましょう。また、唇の乾燥は病気のサインになっている可能性もあるため、自分で適切なケアを行ってもなかなか改善されない場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。