最初のうちはスムーズに体重が落ちていたものの、ある時期からなかなか減らず悩んだ経験はありませんか?この期間は”停滞期”と呼ばれ、ダイエットを途中であきらめてしまう大きな原因のひとつとなっています。
しかし「自分の努力が足りない」と落ち込むのは時期尚早。停滞期は、ダイエットをしたことがある人ならほとんどが経験するほど、当たり前の難所です。ダイエットへのモチベーションを取り戻すためにも、停滞期の原因や乗り越えるための過ごし方を確認してみましょう。
ダイエット停滞期の特徴
ダイエットを開始してしばらくすると、体重や体脂肪が落ちにくい時期が訪れます。「運動も食事も変えていないのにどうして」と思うかもしれませんが、原因はダイエットの停滞期です。個人差はありますが、ダイエットを開始してから数カ月のうちにやってくると言われています。
停滞期はどんな人にでも起こりえる現象ですが、この期間は体重の減少など目に見える成果が出にくいため、ここでダイエットを挫折してしまう人も少なくありません。
ダイエットが停滞する原因
ダイエットの停滞期はなぜやってくるのでしょうか。原因には諸説ありますが、代表的なものが恒常性(ホメオスタシス)です。
恒常性とは、身体の中の環境を一定の状態に保ち続けようとする生命現象のことで、体重の減少のみに限らず、気温など外部の環境が変化した場合にもはたらきます。
ダイエットを始めた人は、体重を減らすために運動量を増加させる一方で、食事量に制限を加えることがほとんどです。これにより、「今は飢餓状態なのだ」と身体が勘違いし、恒常性によって生存に必要なエネルギーを少しでも多く取り込もうとする一方で、エネルギー消費を抑えようと基礎代謝を低下させます。その結果、体重の減少が抑えられてしまうのです。
停滞期が始まるタイミングには個人差がありますが、1カ月で体重が5%以上減少すると、恒常性がはたらくと考えられています。とくに、食事制限によるダイエットを試みている場合は身体が飢餓状態だと感じやすくなるため、停滞期が早くやってくるようです。
(参考:循環器内科 なんば くろとびハートクリニック|院長コラム)
ダイエット停滞期の過ごし方
健康を維持し、身体の状態を正常に保つ上で欠かせない恒常性(ホメオスタシス)。しかし、意図的に体重を減少させたい人にとっては、頭を悩ませるはたらきに思えるかもしれません。
恒常性による停滞期は、身体がダイエット中の摂取カロリーや運動量に慣れ、体内でバランスがとれるようになるまで続くとされています。個人差がありますが、目安は数週間から1カ月程度。また、長期のダイエットに挑戦しているときは、停滞期を複数回経験する可能性もあります。
停滞期中は、「努力しても体重が落ちない…」とモチベーションが下がってしまう人もいるかもしれません。そこで、つらい停滞期を乗り越えるためのヒントをいくつか紹介します。
体重が落ちないことを気にしすぎない
ダイエットの停滞期は誰にでもやってくる現象なので、気にしすぎる必要はありません。停滞期中であっても、体重が横ばいでキープできているか、少しずつ減量できていることがほとんどです。そのため、リバウンドが見られなければ問題ないでしょう。
ダイエットは一朝一夕で結果が出るものではないため、長い目で見て身体をコントロールすることが大切です。
ダイエットの成果を記録する
停滞期中は、これまでのダイエットの成果を見返したり、ダイエットの目的を再確認したりして、モチベーションを維持するのもおすすめです。
たとえば、ダイエットの目的が「好きな服を着こなせるようになりたい」だった場合、体重計の数字を重視しすぎるよりも、鏡の前に立ってみたほうが成果を実感できるかもしれません。
また、食事、体重、体脂肪変化の記録を付けておくと、次に停滞期が来たときの参考にすることもできます。とくに、食べたものを書き出しておくと食事バランスの確認もできるため、体調管理の面でも役立つはずです。
停滞期中は視点を変えながら、楽しくダイエットを継続できるように心がけてみましょう。
ダイエットの内容を変えない
体重が落ちにくくなると「この方法では効果がないのでは」と不安に思うかもしれません。しかし、これまで通りの方法を継続することも大切です。体重が落ちにくくなったからと、急激に運動量を増やしたり極端に食事量を減らしたりすると、体調を崩しかねません。
停滞期中であっても、適度な運動とバランスのいい食生活を続けていれば、少しずつダイエットの効果が見えてくるでしょう。
ダイエットの方法を見直したい場合は、運動量と食事摂取量のバランスを確認してみてください。なぜなら、運動不足やカロリーの過剰摂取によって、疑似的な停滞期に陥っている場合があるからです。
運動量は自分の体力レベルに合わせて、常に変化させて行くことが重要になります。継続して運動をするようになると体力が向上するため、ダイエットを始めたばかりのころは大変だと思っていた内容でも、いつの間にか簡単にこなせるようになっているかもしれません。
運動は適切な強度で行うことで効果が高まると言われているため、トレーニングの負荷を強くしてみる、エクササイズの時間を少し長くする、普段とは違うメニューに挑戦するなど、徐々に向上する体力に合わせて内容を工夫してみましょう。ただし、急激に運動量を増やすと逆効果になってしまうため、無理のない範囲で少しずつ調整していくことが大切です。
また、たくさん運動をしている人でも、普段から食べすぎていてはダイエットの効果が薄れてしまいます。カロリーの高すぎるものを食べていないか、間食をしすぎていないか、栄養バランスは偏っていないかなど、食事の内容も振り返ってみるといいでしょう。
(参考:アイメッド|ダイエットの停滞期とは?挫折のきっかけとなる停滞期を乗り越える方法)
「チートデイ」で停滞期を乗り切ろう
ダイエット停滞期を乗り切る方法のひとつが「チートデイ」。チートデイとは、ダイエット目的で行っている食事制限を一時的に緩和させ、普段ダイエットを頑張っている自分を少しだけ甘えさせてあげる日のことです。
しかし、方法を間違えると逆効果になってしまうことも。そこで、チートデイのメリットや注意点などを確認してみましょう。
チートデイのメリット
チートデイのメリットは、なんといってもリフレッシュができることです。ケーキやラーメンなど、ダイエット中は我慢していた好きな食べ物を解禁することで、ストレス解消につながるでしょう。
また、心だけでなく、身体にとっても、チートデイには大きなメリットがあります。
冒頭でも説明したように、身体がダイエットによる体重減少を飢餓状態だと勘違いすることではたらく恒常性(ホメオスタシス)が停滞期の原因です。そこで、チートデイを設けて食事量を一時的に増やすことで、「飢餓状態ではなかった」と思わせることができるのです。すると、基礎代謝が通常に戻り、停滞期を抜け出せる可能性があります。
チートデイを行うタイミング
チートデイは気まぐれに行うものではなく、計画的に実施することが大切です。「今日はたくさん食べたい気分だから」、「食事量が多かったからチートデイ扱いにしよう」と摂取カロリーが多い日が続いてしまうと、せっかく体重が減ってもリバウンドしてしまう可能性があります。ダイエットによって体重が5%ほど減り、停滞期に入ったと感じたらチートデイを設ける日を計画してみましょう。
目安は多くても週1回まで。体脂肪率が30%~35%ある人は、2週間に1回程度でもかまいません。体脂肪が35%以上ある場合は、まだチートデイを設ける必要はないと考えられます。
チートデイは、停滞期に必ず設けなくてはいけないものではないので、「今週は好きな食べ物を解禁しなくても大丈夫かな」と思ったら間隔を空けるなど、自分の身体と相談しながらタイミングを決めましょう。
チートデイの食事内容や摂取カロリー
チートデイでは、食事内容やカロリーに制限を設ける必要はありません。過度な暴飲暴食には注意しつつ、好物だけれど我慢しているものなど、自分が食べたいと思うものを食べましょう。
また、ダイエットによって不足している栄養素を補うためにチートデイを役立てるのもおすすめです。肉に含まれるたんぱく質や牛乳に含まれるカルシウムなど、ダイエット中の食事ではあまり摂取できていない食材を選んでみてください。
チートデイの注意点
チートデイを理由にダイエットをさぼる癖をつけてしまっては本末転倒です。チートデイはあくまでもダイエットのモチベーションを高めるための手段だと認識しておきましょう。
また、チートデイだからといって、過度なカロリー摂取を続けてはリバウンドの原因になりかねません。ダイエット中の食事内容にストレスを感じているのであれば好きなものを食べ、食事量を我慢しているのであれば量を増やすなど、あらかじめ方向性を定めておくのがおすすめです。
普段ダイエットを頑張っているからこそ、チートデイは効果を発揮してくれるもの。日常的にバランスのいい食事や適度な運動を心がけつつ、計画的にチートデイを実施し、上手にダイエット停滞期を乗り越えていきましょう。
(参考:北祐会神経内科病院|チートデイ)
ダイエット中、誰にでもやってくる停滞期。身体が自分を飢餓から守ろうとすることで起こる自然な現象なので、神経質になる必要はありません。もし不安に感じるのであれば、ジムのトレーナーなどの専門家に相談してみてもいいでしょう。
ダイエットは短期的に成果を出そうとするのではなく、長期的な視点から取り組むことも大切です。ストレスを溜め込まないよう、ときにはチートデイで上手く息抜きをしながら、楽しくダイエットに励んでみてはいかがでしょうか。