ヨガは、健康や美容、ダイエットといった幅広いニーズにマッチする運動として、幅広い世代に親しまれています。また、特別な道具を必要としないため、自宅で気軽に取り組める点も人気の理由のひとつでしょう。
ヨガの効果に即効性はありませんが、少しのポイントを抑えるだけで、効果をより実感しやすくなります。そこで、この記事ではヨガを行う意味や効果について徹底解説。さらに、現在も増え続けるヨガの種類も紹介していますので、これからヨガを始めたい方はぜひ参考にしてみてください!
ヨガの目的
古代インド発祥のヨガは、およそ3,000年以上もの歴史を持つと言われており、日常生活で生まれた身体の不調やストレスによる心の不調をコントロール・修正する方法として、長年にわたって親しまれ続けてきました。
日本では奈良時代以降、仏教の修行法として取り入れられつつ、徐々に各地に浸透していったとされています。そして、戦後は徐々に健康法としての地位を確立するようになり、現在はフィットネスジムなどで、エクササイズとして行われるスタイルが定着しているようです。
ヨガで最も大切となるのは「姿勢」と「呼吸」の2つ。独特のポーズと呼吸法に、瞑想が組み合わさることによって心と身体の不調を整えるほか、インナーマッスルを鍛えてボディラインを美しく見せる効果も期待できると言われています。
ヨガで期待できる効果
前述したように、ヨガは心身の健康維持・増進に高い効果があると考えられています。では具体的に、精神面と肉体面では、それぞれどのような効果が期待できるのでしょうか。
精神面での効果
精神面では、ストレス緩和、うつ症状の改善、不眠改善などの効果が期待できます。
その一例として、アメリカ合衆国の政府機関であるアメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)が行った研究では、慢性的な腰痛をもつ90人の参加者がヨガを実施したところ、6カ月後に痛みが緩和されただけでなく、うつ症状の緩和にも効果が認められたという結果が出ています。
また、ヨガによって精神が安定することで目の前のことに集中しやすくなるとも言われているため、日常生活にヨガを取り入れれば、生活の質の向上や仕事の効率化を目指すことができるでしょう。
(参考:米国保険社会福祉省│Yoga: What You Need To Know)
肉体面での効果
ヨガの特徴的なポーズと呼吸法によって、身体中にまんべんなく新鮮な酸素が行き渡り、細胞の活性化を促して新陳代謝を高める効果が期待できます。また、慢性的な腰痛が改善されるなど、身体の不調を整える効果も期待できるでしょう。
さらに、ヨガにはホルモンバランスを整える働きがあると考えられているため、女性に多い冷え性やむくみも改善にも効果があるとされています。
ダイエット・美容効果
ヨガのポーズには、人間が日常生活でついとりがちな体勢を防ぐため、あるいは正しい姿勢に戻すため、筋肉に逆の刺激を与える働きがあります。これによって、しなやかな筋肉が養われ、姿勢の改善・シェイプアップ効果が期待できるでしょう。
(参考:Medical Yoga│医療とヨガ)
また、全身の筋肉を動かすことによって、身体にため込まれた老廃物を排出するリンパの流れが改善されるため、肌トラブルが生じにくくなるといった美容効果も期待できます。
(参考:Real Stone│ヨガを始めてキレイになる?!女性にうれしいヨガの美容効果)
ヨガの種類まとめ
3,000年以上の歴史を重ねるヨガには、数多くのバリエーションが存在しています。その数は20種類以上とも、30種類以上とも言われるほど。ここでは、伝統的なヨガから近年注目が集まっているヨガまで、13種類をピックアップして紹介します。
ハタヨガ
ハタヨガとは、サンスクリット語の「ハ(太陽)」「タ(月)」を語源に持つヨガの流派の1つであり、現代に伝わるヨガの多くがこのハタヨガから派生していると考えられています。
ハタヨガは、ポーズと深い腹式呼吸によって、心身を安定させて内面への意識を高めるほか、全身の柔軟性を向上させる効果が期待できるとされています。これからヨガを始めたいという方は、基本とも言えるハタヨガから始めてみてはいかがでしょうか。
アシュタンガヨガ
ヨガのなかで運動量が最も多いと言われているのが、アシュタンガヨガです。また、比較的難易度が高く、筋力が必要なポーズが多いため、体力に自信がある人やヨガに慣れている人に向いていると言えるでしょう。
その一方で、アシュタンガヨガはヨガの根本となる経典「パタンジャリ ヨガスートラ」に記されている八支則(サンスクリット語でアシュタンガ)を基盤にしているため、伝統的なヨガのスタイルも踏襲しているのが特徴です。そのため、「ポーズの順番が決まっている」「胸式呼吸を行う」「視点は固定させる」「ヨガ特有の筋肉の締め付け法(バンダ)を重視する」など、さまざまなメソッドが存在します。
パワーヨガ
パワーヨガはアシュタンガヨガをベースにしつつ、短期集中でシェイプアップすることに重点を置いたヨガです。1990年代にアメリカで発祥して以来、海外セレブを中心にヨガブームを巻き起こす火付け役となりました。現在でも、短い期間でダイエットしたい方やスポーツやビジネスなどで集中力を高めたい方を中心に、高い人気を集めています。
ダイナミックなポーズが多く筋トレ的な要素を含みますが、筋肉への負担は比較的少ないため、ケガのリスクはそれほど高くないと言えるでしょう。
ヴィンヤサヨガ
ヴィンヤサヨガは、前述したパワーヨガと同じくアシュタンガヨガから派生したヨガです。その特徴は、呼吸を保ちつつ、動きながら一連のポーズを流れるように行う点にあります。運動量が多く、発汗によって血液やリンパの流れが促がされるため、デトックス効果も期待できるでしょう。
また、インストラクターによってプログラム構成は様々。運動量をこなしたいのか、リラックス効果を得たいのかなど、目的に合わせて内容を自由に選ぶことができる点もヴィンヤサヨガの特徴です。
アイアンガーヨガ
「ヨガといえばアイアンガーヨガ」と言われるほど、世界中に浸透している存在であるアイアンガーヨガは、心身のリラックス、身体の歪みの改善を目的としたヨガです。
ゆっくりした動きで呼吸・姿勢を維持していくため、身体が硬い人も比較的取り組みやすいという特徴があります。また、状況に応じて補助器具を使うこともあるため、ヨガ初心者や体力に自信のない方でも安心して取り組むことができるでしょう。
クンダリーニヨガ
クンダリーニヨガは「気づきのヨガ」とも言われ、瞑想の要素が強く、ほかのヨガと比較してリラックス効果やメンタルケアをより強く感じることができるとされています。
その最大の特徴とも言えるのが、「火の呼吸」と呼ばれる独自の呼吸法。1分間に30回〜60回、慣れてきたら100回〜200回と非常に多い呼吸をこなすことにより、精神の安定、腹筋やインナーマッスルを鍛える、脂肪燃焼を促すなど、様々な効果が期待できます。
一方で、心臓に疾患を抱えている方や高血圧を持っている方は、かえって健康を害してしまう恐れがあるため注意してください。
ジヴァムクティヨガ
1984年にニューヨークで生まれたとされるジヴァムクティヨガ。ジヴァムクティには「自己の悟りや解放」といった意味があり、音楽をはじめとした現代カルチャーを取り入れることで生まれた、洗練された心地の良さとアート性の高さが魅力です。
イシュタヨガ
イシュタヨガは、ロサンゼルスで創設されたヨガの一流派です。イシュタには「個人」という意味があり、インストラクターのポーズを真似る一般的なヨガとは違って、それぞれの柔軟性や体質に合わせながらポーズを作っていくため、一人ひとり違った身体の形になる点が最大の特徴と言えるでしょう。
個人の状態に合わせたヨガを行えるため、初心者でも取り組みやすいヨガと言えます。
ホットヨガ
ほかのヨガに比べ「ヨガを行う環境」を重視しているのがホットヨガです。高温(36℃〜39℃)、かつ高湿(60%〜70%)に設定された蒸し暑い部屋のなかでヨガを行うため、発汗量が増加。加えて、血液の循環が良くなって老廃物が押し流されるため、デトックス効果も期待できるとされています。
最近ではフィットネスジムなどでも、スタジオレッスンの一環としてホットヨガを取り入れているところが多くあります。
(参考:Hot&Shape CALDO│ホットヨガとヨガの違い)
アロマヨガ
アロマヨガはその名の通り、アロマの香りに包まれた環境の中で行うヨガです。アロマオイルの種類によって、集中力アップ、リラックスといったさまざまな効果が得られると考えられています。
アロマが好きな方や疲れを癒したい方などヨガに何かプラスの要素がほしいと感じている方におすすめです。
陰ヨガ
陰ヨガは、ヨガにおける「陰」の要素、すなわち「静的な要素」を重視したヨガです。1つのポーズをおよそ3分〜5分程度、深呼吸をしながらゆっくり行うことで、身体の奥深くにまで働きかけ、柔軟性の向上やリラックス効果、ストレス軽減の効果が期待できます。
反対に、アシュタンガヨガやパワーヨガといった運動量の多いヨガは「陽ヨガ」とよばれ、運動不足の解消やダイエットにおすすめです。
沖ヨガ
沖ヨガは、日本でヨガ普及に尽力した沖正弘氏が考案したヨガです。別名「求道ヨガ」とも呼ばれ、インドの伝統的なヨガの要素に中国の陰陽道や日本の武道など、様々な要素が加えられています。
沖ヨガでは、食事や心身を整える方法、瞑想の方法などをすべて「行法」と名付けており、体の法則や心の法則をつかんで日常的に活かすことで、生活そのものをヨガと捉えることを本旨としています。
(参考:NPO法人沖ヨガ協会│沖ヨガとは何か、その特徴は何か(龍村修))
ハリウッドヨガ
ハリウッドヨガは、ハタヨガを基に1980年頃のアメリカで独自に発展し、ハリウッドセレブの間で人気を集めたことで世界的な知名度を得ました。エアロビクス的な要素が強く、短い時間でテンポよくポーズを変えていくのが特徴です。
心身の安定、ダイエット、シェイプアップ、姿勢改善といった効果が期待できるでしょう。また、パワーヨガとも近い要素を持つため、ボディメイク目的の方にもおすすめのヨガです。
基本の呼吸法とポーズ
ヨガの効果を最大限に高めるためには「姿勢」と「呼吸」が重要になります。それぞれの項目ごとに、基本的な動作や意識したいポイントを確認しておきましょう。
呼吸
ヨガにおける呼吸法は、流派で異なる場合があるものの、ほとんどの場合は腹式呼吸がベースとなります。腹式呼吸では、次の点を意識しましょう。
・息を吸う時は、お腹に空気を送るようにします。このとき、同時に胸の部分にも意識を向け、肺を広げるイメージで行いましょう。
・息を吐く時は、おへそから息を押し出すように吐き出します。このとき、肛門も締めるように意識するといいでしょう。
ポーズ
ヨガのもう1つの要素である姿勢は、流派によって大きく異なるものです。そのため、ここでは、認定NPO法人 日本ヨガ連盟が「基本ポーズ」としているものをいくつか紹介します。
・三日月の伸びのポーズ
(1)あお向けの姿勢になり、頭の上で両手を組んで裏返します。
(2)息を吐きながら両手をまっすぐ上に伸ばし、かかとを押し出しましょう。しっかり身体を伸ばしたら、身体の力を抜きます。
(3)同じように身体を伸ばし、手足を弓なりに右へ伸ばし、ふっと力を抜きます。
(4)今度は弓なりに左へ伸ばし、力を抜きましょう。
縮んで硬く強張った筋肉群を伸ばすことができるため、朝起きてベッドの上で行うと、身体を目覚めさせる効果があります。
・胸を広げて落とすポーズ
(1)あお向けの姿勢で、両手を横に広げます。
(2)息を吐きつつ、胸を広げるようにして真上にゆっくり持ち上げ、すとんと胸を落とします。胸を上に広げる際は、足首を曲げてアキレス腱も一緒に伸ばしましょう。
寝る前に行うことで、首や肩の緊張を解き、深い呼吸がしやすくなります。
・座ったままで腰回りをケアするポーズ
(1)椅子に浅く座って、左右のももを引き上げましょう。
(2)引き上げにくかった方のひざを両足で持ち、同時にアキレス腱も伸ばすようなイメージで胸にぐーっと引きつけます。このとき、背中が丸まらないように注意してください。
(3)何回か同じ動作をしたら、反対の足も繰り返します。
仕事の休憩中にも取り組むことができるポーズです。身体の土台である骨盤周りをケアして、腰痛を予防しましょう。
(参考:認定NPO法人日本ヨガ連盟│日本ヨガ連盟の基本ポーズ)
よくある質問
ヨガは心身の健康維持やダイエット、美容など様々な効果が期待されています。その一方で、流派やポーズの種類が多く、どんなタイミング・頻度で取り組むべきかなど、初心者目線では分からないこともたくさんあるでしょう。
ここでは、そんなヨガに関する疑問に、まとめて答えていきます!
ヨガと瞑想って何が違う?
精神の安定やメンタルケアという目的で、ヨガと瞑想はよく似ているように思えますが、「動き」があるかないかという点で見ると大きく異なっています。ポーズを取りながら呼吸や体の感覚に意識を向けるヨガに対し、瞑想は基本的に座ったまま呼吸や体の感覚に意識を向けるため、動作が伴うことはありません。
おすすめの時間帯は朝?夜?
ヨガは行う時間によって、それぞれ目的や得られる効果が異なります。たとえば、朝にヨガを行えば頭がスッキリするため、1日を気持ちよくスタートすることができます。一方、夜にヨガを行えば心身の緊張がほぐれるため、睡眠の質を高めることができるでしょう。
どのような効果を得たいかで、行う時間帯を決めてみてください。もちろん、朝と夜の両方行っても問題ありません。
ヨガは食前食後どちらが良い?
満腹の状態で運動を行うと内臓に負担がかかるため、ヨガは食前に行うのがおすすめです。食後に行う場合、ご飯を食べて2時間程度は身体を休めるようにしましょう。
ヨガは毎日やっても大丈夫?おすすめの頻度は?
身体の負担にならない範囲であれば、ヨガは毎日行っても問題ありません。とはいえ、「毎日やらなきゃ!」と思うと、ヨガがかえってストレスの元になってしまう場合もあるでしょう。
そのため、運動初心者の方は週1回からヨガを始め、その後週2回〜3回に増やしていくなど、無理のないペースで継続していきましょう。
ヨガの効果が出るまでどのくらいかかる?
集中力が高まる、精神が安定するなどの内面的な効果は、人によっては早い段階で感じることができるかもしれません。一方で、身体への変化を実感したい方は、最低でも3カ月はヨガを継続するよう心がけましょう。
短期で毎日行うよりも、週2、3回のペースでなるべく長く続けるのが大切です。
身体がかたくてポーズが難しい
ヨガのポーズは、無理をして苦しむよりも「心地いい」状態であることが理想です。
ヨガは流派によって、ポーズの難易度が大きく異なりますが、身体と心をリラックスさせることを目的とした静的なヨガであればポージングの難易度も下がるため、身体が硬い人は陰ヨガなどを試してみてください。
それでも身体の硬さを感じる方は、呼吸が止まっている・歯を食いしばっているといった癖が出ていないかチェックしながら、「ここまでなら力を抜いてポージングできる」という状態を探っていきましょう。また、ヨガブロックなど、専用の道具を活用してみるのもひとつの手です。
ヨガをするときにおすすめの服装は?
ヨガをするときは、身体の動きや呼吸を邪魔しないアイテムを選びましょう。たとえば、ワイヤーが入っていないブラトップやスポーツブラ、伸縮性の高いレギンスやヨガパンツ、Tシャツなど、適度に身体にフィットしながら締めつけすぎないアイテムがおすすめです。
ヨガマットは必要?
ヨガマットがなくても、ヨガをすることはできます。しかし、ヨガマットを使用した場合、以下のようなメリットがあるのです。
・グリップ力を高めることでヨガのポーズが取りやすくなる
・汗を吸ってくれる
・冷えた床で体温を下げずに済む
・硬い床から身体を守ってくれる
・ポージング中の怪我を防止できる
ヨガマットは、ヨガ以外にもストレッチや筋トレなどにも活用できるため、事前に用意しておくといいでしょう。
ヨガは、流派によって目的や手法が大きく異なります。しかし、どの流派でも共通しているのは「心身の健康、ダイエット、美容などに効果が期待できる」という点。記事の内容を参考に、リラックスしたい、シェイプアップしたいなど、自分の目的や目標に応じて、ヨガに挑戦してみてください!