みなさんは、ランニングとジョギングの違いをご存知でしょうか?どちらも、「走る」運動であることは共通していますが、自分が行っているのは「ランニング」なのか「ジョギング」なのか、そもそも両者に呼び方以外の違いがあるのか気になっている方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、ランニングとジョギングの違いを詳しく紹介。さらに、より効果的な運動ができるよう、よくある質問にもお答えします。
ランニングとジョギングの違い
ランニングとジョギングには、呼び方以外の違いはないのでは?と思うかもしれませんが、実は両者には明確な違いがあります。その違いとは、運動中の身体への負荷である「運動強度」。厚生労働省が「健康づくりのための身体活動基準2013」(※)で挙げている資料によると、ジョギングよりもランニングの方が高い強度になっています。
運動強度はMETs(メッツ)という単位で表され、何もしていない安静時のメッツが1とすると、ランニングは8.3以上、ジョギングは6~8に換算されます。
また、ランニングは長距離走のアスリートも取り入れるほどの本格的なトレーニングであり、ときには息切れするほどのハイペースで取り組むことも。一方、ジョギングはゆっくりと継続的に走ることを重視しており、有酸素運動としての効果が期待できます。
※参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」
ランニング・ジョギングの効果
ランニングとジョギングは、効果もそれぞれで異なります。どちらも健康にいいとされている運動ですが、目的によっては逆効果になってしまうことも。次は、目的別にランニングとジョギングどちらをすべきか、具体的に紹介していきます。
筋力アップ
筋力アップを目的とする場合には、ジョギングがおすすめです。ジョギングのような有酸素運動は筋トレとは相性が悪いと思われがちですが、順番や時間配分に気をつければ相乗効果が期待できるでしょう。
筋力をアップして引き締まった身体を作るためには、筋トレと同時に余分な脂肪を燃焼させたり、基礎代謝を高めたりすることも大切です。ジョギングは、脂肪を主なエネルギー源として活用する有酸素運動であることに加え、全身の筋肉を鍛えて基礎代謝を高める効果も期待できます。さらに、心肺の筋肉が鍛えられることで、筋トレに必要な持久力をアップさせる効果も期待できるため、ジョギングと筋トレを同時に継続することでお互いの運動効果を高めることができるでしょう。
筋力アップが目的であれば、ジョギングを先に行い、数時間空けてから筋トレするのがおすすめです。ただし、ジョギングをやりすぎると、せっかく鍛えた筋肉が小さくなってしまう可能性があるため、あくまでも筋トレをメインで取り組むようにしてください。
免疫力アップ
免疫力アップを目的とする場合には、ジョギングがおすすめ。ジョギングによって血行が良くなると、体温が上がるほか、栄養や酸素が全身に行きわたりやすくなるため、免疫力アップの効果が期待できます。
一方で、息が上がるほどの激しい運動はかえって免疫を下げてしまうこともあるため、ゆっくりしたペースで継続するようにしましょう。
脂肪燃焼・ダイエット効果
脂肪燃焼効果やダイエットを目的とする場合には、ジョギングがおすすめです。
有酸素運動を始めた直後は主なエネルギー源として体内の糖質が消費されますが、運動開始後約20分程度で主なエネルギー源が脂肪に切り替わると考えられています。そのため、比較的運動強度の低い有酸素運動であるジョギングを長時間継続して行うことで、効率よく脂肪を燃焼させることができるのです。
またジョギングは基礎代謝を向上させる効果も期待できます。基礎代謝が上がると安静時に消費されるエネルギー量が増えるため、ジョギングはダイエットに最適と言えるでしょう。
体内時計を整える・睡眠効果
ジョギングのような軽い有酸素運動によって呼吸が活発になると、睡眠による疲労回復効果も高まると考えられています。しかし、就寝直前に走るとかえって目がさえてしまうため、寝る3時間前までに行うのがおすすめです。
また、ジョギングには体内時計を整える効果もあるといわれています。朝起きてから軽くジョギングをすることで体内時計がリセットされるため、1日を気持ちよく過ごすことができるでしょう。
セロトニン分泌効果
セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれることもある脳内物質で、自律神経を整えたり気分をリラックスさせたりする効果があるといわれています。ランニングやジョギングで下半身を動かすと脳のはたらきが活発になるため、セロトニンの分泌を促す効果が期待できるでしょう。
一方で、ハードな運動を行うとかえってストレスを感じてしまう場合もあるため、運動初心者の場合はジョギングから始めるのがおすすめです。
ストレス解消効果
ランニングやジョギングにはストレス解消効果も期待できます。前述したように、ランニングやジョギングによって分泌が促されるセロトニンにはストレスを解消する効果もあるといわれており、イライラした気持ちを落ち着つかせてくれるでしょう。また、適度に身体を動かすことで、脳をリフレッシュさせることもできます。
(参考:glico│ランニングでダイエット効果を感じるために必要なポイント)
ランニング・ジョギングのコツ
ランニングやジョギングをするときは、次に紹介するいくつかのポイントをおさえることで、効果を高めることができます。
朝にランニング・ジョギングをしてみる
特にダイエット効果を目的とする場合、ランニングやジョギングをする時間帯は朝がおすすめです。
体内の糖質が少ない朝に有酸素運動を行うことで、比較的短時間のうちにエネルギー源を体脂肪に切り替えることができます。さらに、起床直後の体は脂肪を燃焼しやすい状態にあると考えられているため、朝にランニングやジョギンを行うことで、より効率よくダイエットすることができるのです。
また、夜にランニングを習慣づけようと思っても、仕事が長引いたり食事に誘われたりと、なかなか継続が難しいもの。スケジュールに左右されにくい朝の時間を有効に活用してみましょう。
十分なストレッチや水分補給
こわばった筋肉を急に動かすと、ケガの原因になってしまうため、運動前には十分なストレッチを行いましょう。
ランニングやジョギング前のストレッチには、心拍数を少しずつ上げながら筋肉や関節もウォームアップさせることができるウォーキングがおすすめです。このほか、肩や股関節をゆっくり回したり、その場で脚を持ち上げたりするストレッチも効果的でしょう。
また、ランニングやジョギングを行うと発汗によって体内の水分が失われやすくなるため、水分補給も大切です。水分補給をしないまま放置しておくと脱水症状を引き起こすおそれも。とくに夏場は熱中症の危険性があるため、こまめに水分補給を行うようにしましょう。
ただし、一気に大量の水分を摂取するのではなく、15分ほどの間隔で小分けにし、のどの渇きを感じる前に意識して飲むようにしましょう。また、真水よりも体内への吸収スピードの早いスポーツドリンクがおすすめです。
先に筋トレをすることで脂肪燃焼効果アップ
ジョギングをする前に筋トレを行うことで体内の糖質が優先して消費されるため、ジョギングに切り替えてから比較的短時間で体脂肪を燃焼できるようになります。
また、筋トレによって筋肉量がアップすると基礎代謝が高まり、より多くの脂肪を燃焼できるともいわれているため、軽く筋トレを行った後にジョギングを行うことで、効率よく脂肪を燃焼させることができるでしょう。
(参考:ADIDAS RUNNERS BLOG│【図説つき】ランニング前後にオススメのストレッチは? 中野ジェームズ修一さんが解説するストレッチが必要な理由)
ランニングのよくある質問
最後に目安にする心拍数や食事のタイミングなど、ランニングのよくある質問について解説します。
ランニングでの消費カロリー計算方法は?
冒頭でも紹介したように、ランニングの運動強度はジョギングよりも高いため、より多くのカロリーを消費することができます。
消費カロリーを知りたい場合は、以下の方法で計算してみましょう。
消費カロリー(kcal)=1.05×METs×ランニング時間×体重(kg)
運動強度を示すMETsの基準は、ランニングのペースで異なります。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」(※)で挙げられている以下の基準を参考にしてみましょう。
134m/分:8.3
139m/分:9.0
161m/分:9.8
188m/分:11.0
※参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」
また、ランニング以上にカロリーを消費できる運動として縄跳びも挙げられます。縄跳びについては以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
ランニング中の心拍数目安は?
ランニングは自分に合ったペースで行うのがおすすめです。このとき目安となるのが心拍数で、ランニングは最大心拍数の65%から80%程度のペースで続けることが理想とされています。最大心拍数の算出方法はさまざまですが、「220-年齢」でおおよその値を計算することができます。
ちなみにジョギングの心拍数目安は最大心拍数の40%から60%程度。これは人と会話ができる程度の心拍数なので、もしジョギング中に会話ができないほど息切れしてしまう場合は、ペースが速すぎることが原因かもしれません。
ランニング前後の食事は?
空腹の状態でランニングをしても大きな問題はありませんが、あまりにもお腹がすいていると集中力を欠いたり低血糖で気分が悪くなったりするおそれがあります。そのため、ランニングの前には軽く食事をとるようにしましょう。また、ランニング前に適度な糖質を摂取しておくことで脂肪燃焼効果が高まるとも考えられています。
ただし、食後すぐに激しい運動を行うと体調を崩してしまうこともあるため、食後30分~1時間半程度あけてから取り組むようにしてください。
ランニング前に食べておきたいメニューはバナナ、ヨーグルト、ゼリー飲料など消化がいい軽食類。同時に水分もしっかり補充しておきましょう。ランニング後は30分以内にたんぱく質や炭水化物を補充し、ビタミンなどほかの栄養素もバランスよく摂取するのがおすすめです。
どのくらい走ると効果がある?
ランニングはジョギングよりも運動強度が高いため、最初は5分間や10分間など短時間を目標にして、慣れてきたら時間をだんだんと伸ばしていき、最終的には20分程度一定のスピードで走れるようになるといいでしょう。ただし、ランニングをしすぎると疲労が蓄積されてしまうため、週3回程度を目安に無理なく続けるがおすすめです。
走るときにタイツやスパッツは必要?
ランニング専用のシューズやウェアを使用すると、ランニングで足にかかる負荷を軽減できるだけでなく、速乾効果のあるウェアなどを身に着ければ快適にトレーニングを行うことができます。ランニングは1年を通して継続的に行いたいトレーニングのため、季節や天候に合わせてウェアを何枚か用意しておくといいでしょう。
ランニング中に適度な圧力をかけて疲労回復効果をうながすスパッツやUVカット効果のあるウェア、関節をサポートしてケガ防止効果が期待できるウェアなど、様々なアイテムが販売されています。デザインや機能面などにこだわってウェアを選ぶのも、ランニングの楽しみのひとつと言えるでしょう。
ジョギングは軽い有酸素運動、ランニングは本格的なトレーニングと違いはあるものの、どちらも健康促進効果が期待されています。短時間でも継続すること目標に、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。