ダイエットをしているのになかなか痩せない、歳を重ねるにつれて脂肪が気になるようになってきた、と感じたことはありませんか?もしかすると、その原因のひとつに「代謝の低下」が挙げられるかもしれません。
そこでこの記事では、代謝に関する基本的な知識や代謝向上に役立つ方法について詳しく紹介します。
(参考:朝日新聞 Reライフ.net│基礎代謝を上げるにはコレ!医学博士がすすめる九つの方法)
代謝についてわかりやすく解説します
まずは、代謝に関する基本的な情報について確認しておきましょう。
代謝とは何か
代謝とは、人間の身体の中で生じる全ての物質の化学変化とエネルギー変換のこと。なかでも、代謝の過程を物質の面からみた場合を「物質代謝」と呼び、エネルギー変化の面からみた場合を「エネルギー代謝」と呼びます。
これら2つの代謝の違いについて詳しく見ていきましょう。
エネルギー代謝
私たちの身体は、食事から摂取した糖質、脂質、タンパク質(三大栄養素)を消化・吸収することによってエネルギーを作り出しており、この働きを「エネルギー代謝」といいます。
こうして作り出されたエネルギーは、全てが身体を動かすために使われるのではなく、体温の維持や臓器の活動、呼吸など、生命維持活動においても常に消費されているのです。
(参考:Kracie│基礎代謝は上げられる?その方法とは?)
物質代謝
人間の細胞は、常にブドウ糖やアミノ酸などの栄養をとり入れ、たんぱく質を主成分とする原形質を合成していますが、その一方で二酸化炭素やアンモニアを排出します。
このように、体内で発生する合成と分解による物質の変化を「物質代謝」と呼びます。
基礎代謝の平均(男女)
性別と年齢が同一である場合、基礎代謝量はほとんど身体の表面積に比例すると考えられているため、年齢別の平均値と比較することで自分のおおよその基礎代謝量を推測することができます。
ここでは、厚生労働省「食事摂取基準2020年度版」(※)をもとに基礎代謝の平均値を確認してみましょう。
(※参考:厚生労働省「食事摂取基準2020年度版」)
筋肉量が減少すると基礎代謝量が下がるため、男女ともに筋肉量のある20代〜40代をピークに、基礎代謝量は減少していく傾向にあることがわかります。
年代別の基礎代謝の平均についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
代謝がいい・代謝が上がるとは
よく「代謝がいい」「代謝が高い」という言葉を耳にしますが、これは具体的にどのような状態を意味するのでしょうか?
私たちの身体は、動いていてもじっとしていても、代謝によって作り出したエネルギーを常に消費し続けていますが、ここで消費されるエネルギー量は誰でも一定というわけではなく、筋肉量や年齢、臓器の状態などによって大きな差があります。そのため、「代謝がいい」とは、同じ動作を行った際により多くのエネルギーを消費できる状態のことを指すと考えられるでしょう。
ただし、一般的にはたくさん食べても太りにくい体質のことを指して言われることが多いようです。
代謝が良いとどのようなメリットがあるか
代謝が良くなるとエネルギーの消費量も増えるため、わずかな運動量でも脂肪が燃焼しやすく、結果として太りにくい身体に近づくことができます。また体温を高く保てるようになるため、冷え性・むくみ・肩こり・腰痛の改善などの効果が期待できるでしょう。
代謝を上げる方法
効率的にダイエットを行うためにも、代謝を高めることが重要だと分かりました。代謝は元々の体質による差が大きいとされていますが、食事や運動などによって意識的に向上させることもできます。ここからは、代謝を上げるための具体的な方法について見てきましょう。
代謝を上げる食べ物
効率的に代謝を上げるためには、筋肉量を増やすこと、体温を上げること、血流をよくすること、の3つが重要です。まずは、この3つを満たす食べ物について紹介します。
筋肉量を増やす食べ物
筋肉量を増やすためには、筋肉の主成分であるタンパク質の摂取が欠かせません。厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準」によると、成人が1日に必要とするタンパク質量は、体重1kg につき0.8 ~ 1.0g、日常的に運動をしている場合は1.0 ~ 2.0g とされています。脂質が少なくタンパク質が多い肉や魚、大豆品、乳製品などを積極的に食べるといいでしょう。
ただし、食事だけで筋肉量が増えるわけではないため、日常的に適度な運動を行うことをお勧めします。
(参考:Kracie│「代謝を上げる食事」の巻)
体温向上に役立つ食べ物
身体が冷えると、臓器の働きが鈍り代謝が低下してしまいます。体温を上げる食材の代表である根菜類やしょうが、唐辛子に加えて、汁物や鍋物のような温かい料理で身体を内側から温めましょう。
また、冷えた水やジュースなどは身体を冷やす原因になるため、これらの代わりに白湯(さゆ)や温かいお茶を選ぶだけでも体温向上に役立ちます。
(参考:あすけん│基礎代謝アップ!痩せ体質を手に入れる方法)
血流をよくする食べ物
血流をよくすることで体内の栄養循環がスムーズになり、代謝も向上させることができます。納豆に含まれるナットウキネーゼ、玉ねぎやにんにく、らっきょうなどに含まれるアリシンには、血液の流れを正常化する作用があると考えられているため、積極的に摂取しましょう。
代謝向上に効果が期待できる食べ物はダイエットやボディメイクに役立ちますが、それだけを食べ続けたからといって高い効果が期待できるものではありません。偏った食生活にならないよう注意し、適度な運動と規則正しい食生活を心がけましょう。
代謝を上げる飲み物
飲み物を工夫することでも基礎代謝を高めることができます。コーヒーや紅茶、緑茶などの飲料は、代謝率を高めたり、代謝を促進したりする効果のあるカフェインを豊富に含むため、特におすすめです。
また、代謝向上を目的として筋肉量を増やしたい場合、トレーニングやスポーツ中にBCAAなどが配合された飲料で水分補給をすると良いでしょう。体内で生成することのできないアミノ酸をしっかり摂取することで、トレーニング中に壊れた筋組織の修復や筋肉の増強に役立つとされています。
代謝を上げる運動
代謝を向上させるためには、食事だけでなく運動も重要です。運動をする習慣がない人や筋肉量に自信がない人は、まずは筋トレから始めてみましょう。
負荷の大きなトレーニングをするのが不安という人は、ウォーキングやランニングのような長時間続けられる有酸素運動に取り組んでもでもかまいません。全身の血流が良くなることで代謝量の増加が期待できることに加えて、有酸素運動は脂肪をエネルギー源として消費しやすいため、取り組めば取り組むほど消費カロリーを増やすことができるのです。
身体を動かすことに慣れてきたら、有酸素運動と筋トレを組み合わせることで、より効果が期待できるでしょう。
(参考:おいしさとエネルギー健康 Glico│エネルギー消費の大半を占めるのは基礎代謝。効果的に上げるには?)
代謝を上げる習慣
食生活の改善や適度な運動に加えて、代謝を上げるために日常生活の中で手軽にできる習慣をいくつか紹介します。
入浴で身体を温める
お風呂に入る際はシャワーだけで済まさず、38℃から40℃程度に設定したぬるま湯に20分程度つかりましょう。じっくり湯船につかって身体を温めることで発汗が促され、代謝を向上させる効果が期待できます。
(参考:FUJIFILMサプリメント│代謝をアップする 日常生活の過ごし方)
十分な睡眠をとる
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、身体のさまざまな代謝調節に関わっていると考えられています。成長ホルモンの分泌がスムーズに行われるようにするためにも、十分な睡眠時間を確保しましょう。
入眠の妨げにならないように、寝る前はテレビやスマートフォンなどの光の刺激を避けるよう注意しましょう。
(参考:FANCL ONLINE│今すぐ始める 代謝UP新習慣)
ストレッチ
ストレッチを行うことで、身体の柔軟性が高まり、各部位の可動域が広がります。これによって日常的に運動量が増すため、血流が良くなって基礎代謝を向上する効果が期待できるのです。朝起きた際や就寝前などの隙間時間を利用してストレッチに取り組みましょう。
更年期で代謝を上げる方法はある?
女性は更年期を迎えると、代謝が低下しホルモンバランスが乱れることから、太りやすい身体になるとされています。
更年期太りを防いで代謝を向上させるためには、適度な運動やバランスのとれた食生活のほか、漢方薬を取り入れるのも改善策のひとつ。ただ、漢方薬は服用すれば痩せることができるというものではなく、個々の身体の状態や生活習慣に合わせて補助的に取り入れるものです。更年期太りと正しく向き合い、健康的な生活を送りましょう。
代謝を向上させることは、太りにくい健康的な身体作りに役立ちます。十分に睡眠時間を確保することや湯船につかるといった簡単なことでも改善が期待できるため、無理のない範囲で、できることから始めてみましょう。