今日から実践できる『質の高い睡眠』をとる方法。

著者名CANARY 編集部
今日から実践できる『質の高い睡眠』をとる方法。

栄養バランスの整った食事や定期的な運動習慣と合わせて、健康的な生活を送る上で欠かせないのが、「質の高い睡眠」をとることです。毎日しっかり寝ているはずなのに元気が出ないと感じる方は、「質の高い睡眠」がとれていないことが原因かもしれません。

そこで、この記事では睡眠の質を上げるための方法やおすすめグッズについて詳しく紹介していきます。

質の高い睡眠とは

質の高い睡眠とは、具体的にどのような状態を示すのか確認しておきましょう。

質の高い睡眠とはどういう意味か

睡眠によって得られる効果を十分に得られていないと、十分な睡眠時間を取っているはずなのに、「すっきり起きられない」「疲れが残っている」と感じることが多くなります。

この後の項目でも詳しく説明していきますが、睡眠には人間の脳や身体にもたらす影響や役割が多くあります。つまり、質の高い睡眠とは、睡眠のもつ効果を十分に得られる睡眠と言えるでしょう。

(参考:つくるパジャマ│質の高い睡眠とは?取るための方法を総まとめ

厚生労働省の定義

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、睡眠について以下のように記載されています。

健やかな睡眠があってこそ十分な休養をとることができます。 現代生活はシフトワークや長時間通勤・受験勉強・インターネットやゲームをしての夜型生活など、睡眠不足や睡眠障害の危険で一杯です。睡眠不足による産業事故、慢性不眠によるうつ病や生活習慣病の悪化など、睡眠問題を放置すると日中の心身の調子にも支障をもたらします。私たちは人生の3分の1を眠って過ごします。最も身近な生活習慣である睡眠にもっと目を向けてみませんか。出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット│健やかな眠りの意義

心身ともに健康的な生活を過ごすために、睡眠は欠かせない生活習慣であると言えます。

睡眠の質が高いメリットとは

睡眠には、身体と心を休ませ、回復させる役割があります。そのため、質の良い睡眠をとることにより、体内のリズムがコントロールされ、ホルモンバランスが正常に保たれやすくなるのです。

ホルモンバランスが正常に保たれると、肥満や高血圧、耐糖能障害、循環器疾患、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防が期待できるとされています。

(参考:健康長寿ネット│質の良い睡眠と効果

睡眠のメカニズムをおさらい

睡眠の質を高める具体的な方法について知る前に、睡眠のメカニズムについて確認しておきましょう。

睡眠にはリズムがある

毎日同じ時間帯に眠り、同じ時間帯に目が覚めるという人も多いのではないでしょうか。これには、日々の疲労によって生じる「睡眠欲求」と体内時計ホルモンが作用した際の「覚醒力」で成り立つ睡眠のリズムが関係しています。

寝ている間も、体内では自律神経やホルモンなどさまざまな生体機能が働き、睡眠のリズムを一定に保ってくれているのです。

 

リズムが崩れるとどうなるのか

人間の体内時計は、毎日同じ時間帯に起床し日光を浴びることによって周期がリセットされ、リズムを一定に保っています。一方、日光を浴びないで過ごしていると体内時計のリズムは1日に約1時間ずつ後退していき、そのリズムが崩れてしまうと考えられているのです。

体内時計のリズムが崩れると、体温やホルモン分泌、心拍数などのリズムも乱れるため、日常の生体バランスに大きな影響を与える可能性があります。

ノンレム睡眠とレム睡眠について

人間が眠っている間、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」というふたつの睡眠状態が約90分周期で変動しています。ここでは、それぞれの睡眠の違いについて詳しく見てみましょう。

 

ノンレム睡眠

ノンレム睡眠は、深い眠りの状態とされており、脳の休息や成長ホルモンの分泌による体内組織の修復、免疫機能の向上などに必要だとされています。睡眠中はふたつの睡眠状態が変動していると紹介しましたが、入眠直後にあらわれるのがこのノンレム睡眠です。

さらに、ノンレム睡眠は眠りの深さによって4段階に分けられており、ステージによって大脳の休止状態が異なっています。また、大脳の活動が全体的に低下している一方で、寝返りをうつなど、全身の筋活動はある程度行われているという特徴があります。

 

レム睡眠

レム睡眠は、浅い眠りの状態とされており、目がピクピク動く「急速眼球運動」(Rapid Eye Movement)が見られることから、その頭文字をとってレム(REM)睡眠と呼ばれています。レム睡眠からノンレム睡眠への移行は約90分の周期で行われており、起床までにこの周期が3~5回繰り返されるのです。

また、大脳は部分的に活発に活動している一方で、全身の筋肉が緩んで、身体がほとんど動かない状態になることもレム睡眠の特徴のひとつ。身体が眠っている状態であるため、レム睡眠時には思考の整理や記憶の定着が効率よく行われるとされています。

睡眠の質を高める方法

ここからは、実際に睡眠の質を高めるために有効的な方法について見ていきましょう。

 睡眠時間

睡眠においてまず重要なのは、睡眠時間をきちんと確保することです。日中眠くなることが多い人や、休日の昼過ぎまで寝てしまうことが多いという人は、毎日の睡眠時間が足りていない可能性が高いでしょう。

個人差はあるものの、成人の理想的な睡眠時間は、6~7時間前後とされています。なるべく毎日、適切な睡眠時間を確保して、身体と生活のリズムを整えることを第一に考えてみてください。

(参考:大塚製薬 睡眠リズムラボ│最適な睡眠時間って何時間?

運動

人間の身体の深部体温(体の内部の温度)は、昼間に高くなり、夜間になると徐々に下がっていきますが、この深部体温の下がり方が大きくなることで眠りに入りやすくなるとされています。

運動を行うと、体温が上昇した後、身体が汗や熱を放散しようとするため自然に体温が低下していきます。これによって深部体温の低下量も大きくなり、運動をしていないときと比べて、より深い眠りに入りやすくなる効果が期待できるのです。

とは言え、息が上がるほどの激しい運動を行うと、身体が興奮状態になるため、かえって睡眠を妨げてしまう場合があります。寝る前に取り組む場合は、ヨガやストレッチなどのように、心拍数を上げずにリラックスして行える運動に取り組むようにしましょう。

入浴

副交感神経を優位にし、身体をリラックスさせることができる入浴も、質のいい睡眠をとるために有効な方法のひとつ。ただし、42℃以上の熱いお湯につかると交感神経が優位となり目が冴えてしまう場合があるため、38~40℃程度の少しぬるめのお湯に浸かるのがおすすめです。

(参考:大正製薬 商品情報サイト│お風呂は寝る”直前”に!疲労回復におすすめの入浴法!

太陽光を浴びる

体内では、睡眠を促す「メラトニン」というホルモンが分泌されており、このメラトニンは、強い光を浴びることで分泌量が減少し、暗い場所では分泌量が増加するという特徴があります。ここれによって、私たちは朝になると目覚め、夜になると眠くなるのです。

朝に太陽光を浴び、目に光を取り入れることで、メラトニンが規則正しく分泌されるようになるため、朝に起床したら部屋のカーテンを開けて、太陽光を取り込む習慣をつけましょう。

(参考:NIDEK│Vol.18 目に入る光と睡眠の質

食べ物・飲み物

牛乳やヨーグルトなどの乳製品や、豆乳やみそ汁といった大豆製品には「トリプトファン」というアミノ酸が含まれていますが、このアミノ酸は先ほど紹介した睡眠ホルモン「メラトニン」の原材料となります。そのため、乳製品や大豆製品を意識的に日々の食事に取り入れることで、睡眠の質を高める効果が期待できるでしょう。

さらに、最近ではストレス緩和や疲労回復に効果が期待できると考えられている、GABAやグリシン、オルニチンなどが配合されたドリンクが販売されています。コンビニやスーパーなどで、手軽に購入できるため、そういった飲料を活用してみるのもいいでしょう。

夕食のタイミング

食事後は、食べ物を消化・吸収するために胃や腸が活発に活動しています。この状態で眠ってしまうと、深い眠りに入ることが難しくなり、結果として睡眠全体の質が低下してしまう場合があるのです。

そのため、夕食は最低でも布団に入る2時間前までには済ませておくのがおすすめです。どうしても夕食が遅くなってしまうという時は、軽めの食事で済ませるなど、消化器官への負担をかけない工夫をしましょう。

寝具

毎日使用するベッドや布団などの寝具は、睡眠の質を左右する重要なアイテムです。そのため、自分の身体に合った寝具を選び、身体への負担を減らすことを心がけてみてください。

体温の変動や発汗など、睡眠中の身体には様々な変化が起きています。そのため、寝具を選ぶ際は、温度を保つ「保温性」、湿度を保つ「吸透湿性」、身体から出た湿気を大気中に発散させる「放湿性」に注目してみましょう。

音楽

心身ともにリラックスした状態をつくることは質の良い睡眠を得るうえで大切なポイントです。

人間の脳は、リラックスしている状態のときに「α波」という脳波を出すことが知られていますが、音楽を聴くことでも脳をこのリラックス状態に導く効果が期待できるとされています。

特にリラックス効果が高いとされているのは、川のせせらぎや波音といった自然音が含まれたヒーリング音楽や、4000ヘルツ以上の高周波音を含む単調でゆったりとした音楽などです。気持ちを落ち着かせてくれるお気に入りの音楽を見つけ、就寝前にのんびり聴いてみましょう。

ツボ

ツボにはそれぞれ対応している内臓や器官があり、ツボを押すことによってそれに対応した身体箇所を刺激することができるとされています。

安眠効果を期待したい場合は、失眠穴(しつみんけつ)と呼ばれる、足のかかとの中央の凹んだ位置にあるツボを握りこぶしで20回ほど優しく押してみましょう。このツボを刺激することで、たかぶった神経を落ち着かせ、眠気を感じさせる効果が期待できます。

アロマ

音楽やツボの刺激に加えて、香りを嗅ぐことも身体をリラックスさせるのに有効的な方法のひとつです。アロマの香りを嗅ぐことによって自律神経が整い、副交感神経が優位になるため、身体の緊張がほぐれ気持ちが落ち着かせる効果が期待できるでしょう。

アロマには様々な種類があり、種類によって鎮静やリラックス、バランス調整など期待できる効果が異なるため、自分にあったものを選ぶようにしてください。

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睡眠の質を下げてしまう行為

ここでは、寝る前に控えておくべき事柄をピックアップしました。いずれも睡眠の質を下げてしまう恐れがあるため、注意しましょう。

アルコール・カフェイン

カフェインに覚醒作用があることは多くの人に知られていますが、実はアルコールにも覚醒作用があることをご存知でしょうか。アルコールには、鎮静作用の覚醒作用の両方を持つとされており、寝る前に飲酒をしてアルコールの血中濃度が上昇すると鎮静作用が優位に働いて一時的に眠気を感じますが、時間が経ってアルコールが分解されると、覚醒作用が優位に働いて目覚めやすくなってしまうのです。

そして、アルコールとカフェインに共通しているのが、尿量を増やす働きです。睡眠中に尿量が増えると、尿意を感じて目が覚めやすくなり、結果として睡眠の質が悪くなってしまいます。

質の良い睡眠を求める場合、寝る直前の飲酒やカフェインを多く含むコーヒーや緑茶の摂取は控えた方が良いでしょう。

スマホ・パソコン

夜間にスマホやパソコンなどの画面を見ていると、それらから発せられた光によって脳が「今は昼間である」と錯覚し、睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制されてしまう恐れがあるのです。

メラトニンがきちんと分泌されないと、脳が覚醒してなかなか寝付けなくなってしまうため、布団に入る1~2時間前にはスマホやパソコンなどを操作しない習慣をつけましょう。

起床・就寝時間がバラバラ

起床時間や睡眠時間が日によって定まらず生活のリズムが乱れていると、睡眠の質が下がるばかりか、仕事や勉強に集中できなかったり、食欲が湧かなかったり、寝たい時間に眠れなかったりと、様々な問題を引き起こしてしまう恐れがあります。

体内時計を正常にリセットするためにも、なるべく睡眠と起床リズムを一定に整えるようにしてください。

睡眠の質を高めるおすすめグッズ

寝具やアロマのほかにも、睡眠の質も高めるアイテムは幅広く存在しますが、代表的なものがアイマスクです。最近では、ヒーリングサウンドが流れるものや、目の周りを温めることができるものなど幅広い機能を持つアイマスクも販売されているため、睡眠の悩みを抱えている方は試してみましょう。

そのほかにも、心地の良い寝姿勢をサポートする抱き枕や防音性や遮光性に優れたカーテンなど、様々な便利グッズが販売されています。寝室の環境を見直して、自分に合ったグッズを取り入れてみましょう。

 

質の良い睡眠には、時間の長さだけでなく熟睡の度合いが大切。バスタイムの工夫や食事に気を付けるなど、ささいなことを意識するだけで睡眠の質は大きく変えることができます。今回紹介した内容をできる範囲で取り入れて、気持ちの良い睡眠生活を送りましょう。

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