世界で最も飲まれている飲料のひとつであるコーヒー。朝食のあとや午後の休憩など、コーヒーを飲むことが日々の習慣になっているという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、コーヒーを飲むことで期待できる効能やメリット・デメリットを詳しく解説します。さらに、コーヒーの種類やその特徴についても紹介していますので、お気に入りのコーヒーを見つけてみましょう。
コーヒーにはどのような効能がある?
まずはコーヒーに含まれている栄養素と、コーヒーを飲むことで期待できる効果について紹介します。
コーヒーの栄養成分
コーヒーの成分は約99%が水分であり、栄養成分は全体の2%前後。中でも、特に多く含まれているのがカフェインやポリフェノールといった薬理作用のある成分です。
コーヒーがもたらす効果
以前は、コーヒーは身体に悪いという見解もありましたが、現在では、コーヒーは摂取量を守れば高い健康効果が期待できる飲料であるということが分かっています。
コーヒーの香りや豊富に含まれているカフェイン、ポリフェノール成分には抗疲労作用やリラックス効果期待できるとされているため、忙しい仕事や家事の合間にコーヒーブレイクを挟めば心身をリフレッシュさせることができるでしょう。
さらに詳しいコーヒーの効果については「コーヒーのメリット・デメリット」の項目で紹介します。
コーヒーの摂取量
コーヒーに含まれるカフェインを過剰に摂取すると、震えや不眠症、下痢、吐き気など、様々な健康被害をもたらすことがあるため、世界保健機関(WHO)はコーヒーの量を1日にマグカップ3~4杯までにするように呼びかけています。
ただし、カフェインを一生涯摂取し続けたとしても、健康に悪影響が生じないと推定される一日当たりの摂取許容量については、年齢や身体の状態、カフェインに対する耐性によって異なるため、国際的に明確な規定は定められていません。
現在では、ノンカフェインのコーヒーも販売されていますので、そういった商品をうまく活用しながらカフェインの過剰摂取を防ぎましょう。
(参考:厚生労働省│食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~)
コーヒー・紅茶・緑茶の効能を比較
コーヒーと同様に、幅広く親しまれている飲料として紅茶や緑茶を思い浮かべる人は多いでしょう。コーヒーに多く含まれているカフェインは、これらの飲料にも含まれています。そのほかにも、紅茶には茶カテキンやポリフェノールといった脳卒中予防や血圧上昇を抑えるのに効果が期待できる成分が豊富に含まれているほか、緑茶にはビタミンCやカルシウム、鉄分、ビタミンEといった日常生活の中で不足しがちな栄養成分が豊富に含まれているのです。コーヒーの摂取量を制限したい場合は、求める効能や成分に合わせて紅茶や緑茶を上手に活用してみましょう。
コーヒーのメリット・デメリット
ここでは、コーヒーを飲むことによるメリットとデメリットを紹介します。
メリット
ダイエット効果が期待できる
コーヒーに含まれているカフェインには、脂肪を分解・燃焼する働きがあります。また、コーヒーに含まれている「クロロゲン酸」というポリフェノールにも、食後の血糖値の上昇を抑える働きや体内のミトコンドリアを活性化して脂肪燃焼を促す働きがあるため、コーヒーはダイエットに効果的な飲み物とされているのです。
より脂肪燃焼効果を高めたい場合は、運動の30分~1時間前や入浴する前にブラックコーヒーを飲むのがおすすめ。目的に合わせてコーヒーの効果を上手に活用しましょう。
(参考:Holly’s Café│【コーヒーダイエット】飲み方やタイミングで、痩せれるって本当?!)
二日酔い解消
カフェインには頭痛を緩和する作用があるため、二日酔いで頭痛があるときは、コーヒーを飲むことで症状を抑えられる可能性があります。さらに、カフェインには利尿作用があり、二日酔いで頭痛を引き起こす原因物質である「アセトアルデヒド」を効率的に体外へ排出することができるでしょう。
一方で、カフェインの作用は体格や健康状態によって大きな個人差があります。コーヒーを飲んだからといって、必ず二日酔いが治るわけではないため注意してください。
(参考:全日本コーヒー協会│Q.9 コーヒーは二日酔いに効くの?)
心臓病・脳卒中・呼吸器疾患の死亡リスク低下
国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート研究「JPHC研究」によって、コーヒーを日常的に飲む人は心臓病や脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクが低下するということが明らかになりました。
これは、炎症予防に効果が期待できるカフェインと、酸化予防に効果が期待できるポリフェノールの相乗効果によるものと考えられています。
(参考:健康長寿ネット│コーヒーの健康効果とは)
集中力を上げる
コーヒーに含まれているカフェインには、脳の中枢神経を刺激する作用と眠りを誘う働きがあるアデノシン受容体働きを抑える作用があるため、コーヒーを飲むことで頭をすっきりとさせ、集中力を高めることができます。
デメリット
ニオイの変化
カフェインを過剰に摂取すると、交感神経が優位になり男性ホルモンの分泌が活発になりますす。この男性ホルモンには皮脂を増やす作用があるため、コーヒーを飲むことで体臭を引き起こしてしまう場合があると考えられているのです。
さらに、コーヒーを飲んでコーヒー豆の微粒子が舌や歯に付着したまま放置しておくと、唾液による口内の浄化作用が妨げられ、口臭を引き起こしてしまう場合があります。
睡眠を阻害する
コーヒーのメリットとして眠気を払い、集中力を高めてくれる働きがあると紹介しましたが、一方で、睡眠の妨げとなってしまうこともあります。
睡眠の直前にコーヒーを飲み過ぎると、カフェインの覚醒作用によって寝付きが悪くなってしまうだけでなく、どうにか深い眠りに入っても利尿作用によって尿意を感じて目が覚めやすくなってしまうのです。
カフェイン過剰摂取
カフェインを過剰摂取すると、動悸や吐き気などの症状を引き起こす場合があります。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの成分は、鉄分や亜鉛などの吸収を阻害する働きがあるため、一日中コーヒーを飲んでいると、体内の鉄分が不足して貧血になってしまう可能性もあるのです。
さらに、摂取状況によってはカフェイン依存症のような状態になってしまう可能性があるため、コーヒーの飲み過ぎには十分注意しましょう。
(参考:ドクターサーチみやぎ│「カフェイン中毒」にご用心!)
その他コーヒーの効能について
コーヒーは、原料や製法によって様々な種類があります。最後にぞれぞれのコーヒーの特徴や効能について詳しく見ていきましょう。
インスタントコーヒー
インスタントコーヒーとは
焙煎したコーヒー豆を挽いてできるレギュラーコーヒーを抽出し、その抽出液を乾燥させて粉末状にしたものがインスタントコーヒーです。
フリーズドライ製法とスプレードライ製法の2種類の製造方法があり、フリーズドライ製法は風味や香りに優れ、スプレードライ製法は冷たい水や牛乳にも溶けやすいというメリットがあります。購入する際はパッケージの表記を確認し、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
(参考:日本インスタントコーヒー協会│インスタントコーヒーとは?)
カフェインレスコーヒー
カフェインレスコーヒーとは
カフェインレスコーヒーとは、カフェイン含有量が0.1%以下のコーヒーのことです。
製造方法は、コーヒーの生豆を水に浸し、溶け出たカフェインを特殊フィルターなどで取り除く水抽出法や、コーヒーの生豆を高圧の二酸化炭素で抽出して、カフェインを取り除く二酸化炭素抽出法などがあります。
カフェインレスコーヒーと似たコーヒーに「ノンカフェインコーヒー」がありますが、こちらは全くカフェインを含んでいません。
シナモンコーヒー
シナモンコーヒーとは
シナモンコーヒーは、コーヒーにシナモンを加えたアレンジコーヒーです。家で手軽に作れることに加えて、普段のコーヒーにスパイシーな風味と香りをプラスして楽しむことができるのが特徴。シナモンはパウダータイプのものやスティックタイプのもの、シュガータイプのものなど様々な製品が販売されているため、使いやすいものを選びましょう。
シナモンにはフラボノイドという高い抗酸化成分が含まれており、シミや皺の予防といったアンチエイジングや生活習慣病の予防に効果が期待できます。また、シナモンには毛細血管の血流を促進させる働きがあるため冷え性の改善や健康維持に役立つでしょう。
一方で、シナモンを過剰に摂取すると、「クマリン」という成分によって肝臓に負担がかかってしまう場合があるため1日0.6g~3gを目安に摂取するようにしてください。
カルダモンコーヒー
カルダモンコーヒーとは
スパイスの女王と呼ばれているハーブ「カルダモン」を加えた爽やかでスパイシーなコーヒーがカルダモンコーヒーです。普段のコーヒーとは一風変わった香り高いフレーバーを楽しむことができるのはもちろん、カルダモンは甘味との相性がいいため、お好みでミルクや砂糖、生クリームなどを加えるのも良いでしょう。
効能
カルダモンはスパイシーさと甘さを併せ持つほか、生姜のような清涼感も感じるハーブです。この刺激のある風味には、消化器官の働きを促し、唾液や胃液の分泌をサポートしてくれる作用があるため、食後にぴったりのコーヒーと言えます。
たんぽぽコーヒー
たんぽぽコーヒーとは
たんぽぽコーヒーは名前の通り、たんぽぽの根を原材料にしたノンカフェインの飲み物です。
たんぽぽ茶とも呼ばれており、色味や香りはコーヒーに近いものの、風味は濃い麦茶やほうじ茶によく似ています。
効能
たんぽぽコーヒーに多く含まれるカリウムには利尿作用があるため、デトックス効果が期待できるでしょう。さらに、イヌリンという食物繊維が豊富に含まれており、便通を促す働きや血糖の上昇を抑制する効果が期待できるほか、美肌に欠かせないビタミンCも同時に摂ることができます。
健康に嬉しい様々な効果があるたんぽぽコーヒーですが、たんぽぽはキク科の植物のため、アレルギーを持っている方は十分注意してください。
(参考:はるなクリニック│たんぽぽコーヒー)
チコリコーヒー
チコリコーヒーとは
チコリコーヒーは「チコリー」という植物の根を乾燥させ焙煎して炒った飲み物のことです。 味も香りもコーヒーに似ていますが原材料にコーヒー豆は含まれておらず、厳密に言うとハーブティに分類されます。
そのため、カフェインを制限したい方におすすめですが、チコリーもたんぽぽ同様にキク科の植物であるためアレルギーがある方は注意しましょう。
効能
チコリには体内の余分な水分や老廃物を排出する働きを促進させる作用があるほか、食物繊維を豊富に含んでいるため、むくみの解消や便通の改善に役立つでしょう。また、消炎作用があることでも知られており、気管支の炎症などに効果が期待できるとされています。
コーヒーには体に嬉しい様々なメリットがあるほか、製造方法やアレンジ方法によって様々な種類があるため、長きにわたって多くの人に親しまれています。
一方で、コーヒーを飲み過ぎると身体にさまざまな悪影響が出る可能性もあるため、自身の年齢や身体の状態を考慮し、適切な量を守りながらおいしくコーヒーを味わいましょう。