ピザやグラタンなど、チーズをたっぷり使った料理はどれも絶品。チーズケーキのようにスイーツの材料としても親しまれています。
その一方で、「チーズを食べすぎたら太ってしまうかも…」とカロリーが気になっている人もいるかもしれません。
しかし、そもそもチーズは本当にカロリーが高い食品なのでしょうか。この記事で種類や栄養、カロリーなどを改めて確認し、チーズをおいしく楽しみましょう。
低カロリーなチーズランキング
まずは本当に「チーズ=高カロリー」が正しいのかをチェック。文部科学省の「食品成分データベース」をもとに、代表的なチーズのエネルギー量を比較しました。カロリーが低い順に並べてみましょう。
(参考:文部科学省│食品成分データベース)
1位のカッテージチーズは100gあたり99キロカロリー。これは生のささみ100g(約98キロカロリー)とほぼ同じエネルギー量です。
2位以降はカロリーが高くなるものの、7位のクリームチーズやプロセスチーズでも100gあたり313キロカロリーと、ウインナーソーセージ100g(約319キロカロリー)よりもカロリーが少ないです。
このようにチーズはすべてが高カロリーなわけではなく、種類ごとにエネルギー量が大きく異なっています。
また、チーズは少量で使うことも多いため、一度に100gを摂取する場面は滅多にありません。実際のエネルギー量は上記の表よりも少なくなることが多いでしょう。
チーズのカロリー・栄養成分を比較
カロリーが低い種類がたくさんあるにも関わらず、なぜチーズは「太りやすい」と思われがちなのでしょうか。その理由は、脂質が多く含まれているからだと考えられます。チーズの栄養成分基本5項目を確認してみましょう。
(参考:文部科学省│食品成分データベース)
上の表を見ると、マスカルポーネチーズやチェダーチーズなど、脂質が多いチーズほどカロリーが高くなっていることがわかります。
ちなみに他の食品100gあたりに含まれる脂質は、普通牛乳3.8g、ゆでささみ1.0g、脂身付きの豚ロース(生)22.7gとなっています。これらの食品に比べれば、マスカルポーネチーズの約30gの脂質は多く感じるかもしれません。
しかし、人間が太る理由は脂質だけではありません。炭水化物など、ほかの栄養素も過剰摂取すれば肥満のもとになる可能性があります。むしろチーズは炭水化物の含有量が少ないため、糖質制限ダイエットなどをしている人や血糖値が高い人に推奨される場面もあります。
適度な量を守ってさえいれば、チーズを食べたからといってすぐに太るわけではないと言えるでしょう。
【種類別】チーズのカロリー・栄養成分を解説
チーズは大きく分けるとナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類に分類されます。各カテゴリーはさらに細分化されており、ナチュラルチーズは1,000種類以上も存在するといわれています。
製造工程や使用する材料などによって、カロリーや栄養成分も千差万別。ここからはチーズの種類ごとに特徴やカロリーなどを解説します。
ナチュラルチーズ
乳酸菌、白カビ、青カビなど、菌の力で作るチーズがナチュラルチーズです。熟成させる期間によって味や見た目も異なります。
熟成させずに完成させたものはフレッシュチーズと呼ばれており、カッテージチーズやクリームチーズなどクセの少ない種類が多いです。
各種類のカロリーや栄養成分は後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。
プロセスチーズ
プロセスチーズは20世紀に誕生した新しいチーズ。ナチュラルチーズを加工して作ります。
加熱殺菌を施しているため、長期間安定した味を保つことが可能で、ほかのチーズと組み合わせたり、ハーブなどの食材を入れたりできるため、味の幅が広がりました。
材料によって違いはあるものの、プロセスチーズのエネルギー量は100gあたり313キロカロリー。フレッシュチーズに比べるとカロリーが高い場合が多いです。
クリームチーズ
フレッシュチーズのひとつで、乳酸菌を使って作ります。100gあたりのエネルギー量は313キロカロリーで、プロセスチーズと同程度です。
100gあたりに含まれるたんぱく質は8.2gと、チーズの中では比較的低たんぱくです。
モッツァレラチーズ
フレッシュチーズのひとつ。100gあたりのエネルギー量は269キロカロリー、たんぱく質は18.4g、脂質は19.9gです。
丸くて白い形が特徴的で、弾力があるモッツァレラチーズは、加熱するとよく伸びるため、ピザなどと相性がいいです。
ラクレットチーズ
ナチュラルチーズの中でも、1年以上熟成させて作るハードタイプに分類されます。水分量が38%以下と少なく、持ち上げるとずっしりとした重さがあるチーズです。
ラクレットチーズはスイス料理の「ラクレット」に代表されるように、溶かした断面を削ぎ落して味わいます。
『ル・ルスティック ラクレット スライス』(※)の場合、100gあたりのエネルギー量は328キロカロリー、脂質は26g、たんぱく質は23gと、フレッシュチーズより栄養成分量が全体的に高くなっています。
(※参考:Le Rustique│ル・ルスティック ラクレット スライス)
リコッタチーズ
フレッシュチーズ製造時に出る水分である「ホエイ」から作られるチーズです。ホエイを加熱して固め、口当たりよく仕上げます。
リコッタチーズは他のチーズに比べ低脂肪で、100gあたりの脂質は11.5g、エネルギー量は159キロカロリーです。
パルミジャーノ・レッジャーノ
北イタリアの一部都市でしか生産できない、ハードタイプのナチュラルチーズです。厳しい審査に合格したチーズだけが「パルミジャーノ・レッジャーノ」と名乗ることを許されます。
世界チーズ商会株式会社によると、パルミジャーノ・レッジャーノ100gあたりのエネルギー量は374キロカロリー、たんぱく質は35.8g、脂質は25.7gと、チーズの中では比較的高カロリーです。
(参考:世界チーズ商会株式会社│チーズと健康)
ゴーダチーズ
ナチュラルチーズの中でも水分量38~46%のセミハードタイプに属するゴーダチーズは、癖の少ないマイルドな風味で、プロセスチーズの原料としても利用されています。
100gあたりのエネルギー量は356キロカロリー、たんぱく質は25.8g、脂質は29.0gと、フレッシュチーズに比べるとカロリーなどが高くなっています。
ブッラータ
フレッシュチーズのひとつ。モッツァレラの皮に、カットしたモッツァレラと生クリームを入れ、巾着状に包んで作ります。
カルディで販売されている『冷凍ブッラータ』(※)の場合、100gあたりのエネルギー量は233キロカロリー、たんぱく質は11.1g、脂質は20.0gでした。文部科学省「食品成分データベース」に記載されているモッツァレラは100gあたり269キロカロリーなので、それほど大差はないといえるでしょう。
(※参考:カルディ│冷凍ブッラータ)
マスカルポーネチーズ
フレッシュタイプのチーズで、生クリームを加熱して作ります。ティラミスなどお菓子の材料にもよく使われており、クリームのようななめらかさが特徴的です。
100gあたりのエネルギー量は273キロカロリー、たんぱく質は4.4g、脂質は28.2gと、タンパク質量は少ないものの、脂肪分が比較的高いためコクが豊かです。
エメンタールチーズ
穴の開いた見た目が特徴的な、ハードタイプのチーズです。エメンタールは熟成中に炭酸ガスが発生するため、完成後はガスがたまっていた部分が穴のようになります。
100gあたりのエネルギー量は398キロカロリーと高めです。たんぱく質は27.3g、脂質は33.6gとどちらもチーズの中では高いものの、食塩相当量は1.3gで控えめ。プロセスチーズ100gあたりの食塩相当量(2.8g)に比べると約半分です。
ポン・レヴェック
表面を塩水や酒でこまめに洗って熟成させる、ウォッシュタイプのナチュラルチーズ。もともと付着している菌の匂いが強いため、定期的に洗い流す必要があります。
ポン・レヴェックはウォッシュタイプの中では比較的クセが少なく食べやすいチーズで、日本でも輸入販売されている『ポンレベック AOP』(※)の場合、100gあたりのエネルギー量は305キロカロリーです。
(※参考:Rakuten│ポンレベックAOP)
コンテチーズ
フランス原産の、ハードタイプのナチュラルチーズです。熟成期間は2年以上におよぶ場合もあり、表面がだんだん茶色に変化していきます。
世界チーズ商会株式会社によると、コンテチーズ100gあたりのエネルギー量は399キロカロリー、たんぱく質は29.2g、脂質は31.3g。長く厳しい冬を生き延びる目的で作られたチーズだけあり、栄養成分もたっぷり含まれています。
ゴルゴンゾーラチーズ
青カビを使ったナチュラルチーズの代表格。強い匂いと、刺激的な味が特徴です。
ゴルゴンゾーラチーズPDO 保護協会によると100gあたりのエネルギー量は314キロカロリー、たんぱく質は18g、脂質は27gと、カロリーと脂質の量はプロセスチーズに近いです(100gあたり313キロカロリー、脂質26g)。
(参考:ゴルゴンゾーラチーズPDO 保護協会)
ミモレットチーズ
鮮やかなオレンジ色のハードタイプチーズ。熟成が進むにつれ水分量が減り、だんだんと硬くなっていきます。
株式会社フードファッションによると、ミモレットチーズ100gあたりのエネルギー量は384キロカロリー、たんぱく質は31.4g、脂質は26.5g。お酒のおつまみとして食べるほか、サラダのトッピングにすることも多いです。
ロックフォール
ゴルゴンゾーラと同じく世界三大ブルーチーズのひとつです。羊のミルクから作られているためコクがあり、強めの塩分とともに独特な風味を醸し出しています。
株式会社フードファッションによるとロックフォール100gあたりのエネルギー量は360キロカロリー、たんぱく質は21g、脂質は32gと、脂質が多めで、たんぱく質はチーズの中では控えめです。
エダムチーズ
ハードタイプのナチュラルチーズで、表面が赤いワックスでコーティングされている点が特徴的です。粉チーズに加工されることも多く、マイルドで後味がさっぱりとしています。
100gあたりのエネルギー量は321キロカロリー、たんぱく質は28.9g、脂質は25gと、比較的脂肪が少ないため、無印良品の『糖質10g以下のお菓子』シリーズにも使われています。
(参考:無印良品│糖質10g以下 焼き菓子)
市販のチーズのカロリー・栄養成分を解説
市販のチーズを選ぶとき、味や値段以外にもカロリーを気にする方も多いかと思います。栄養成分とともに確認してみましょう。
Kiri(キリ)チーズ
家庭で手軽にクリームチーズを楽しめるKiriの商品です。お菓子作りなどに使われることの多い『キリ クリームチーズ ブロックタイプ』の場合、エネルギー量は100gあたり334キロカロリー、たんぱく質は8.7g、脂質は31.4g含まれています。
(参考:伊藤ハム│キリシリーズ)
おつまみチーズ
お酒のお供として親しまれている、なとりの『おつまみチーズ熟成チェダー』。100gあたりのエネルギー量は約363キロカロリー、たんぱく質は約18.9g、脂質は約25.3gです。
1袋62g入りなので、実際に食べるときのカロリーは上記より控えめですが、食べすぎには注意しましょう。
(参考:なとり│おつまみチーズ熟成チェダー)
ボーノ切り出し生チーズ
『明治北海道十勝ボーノ切り出し生チーズ』は、スティック状のモッツァレラチーズが2本入った商品です。実際は20g入りですが、100gあたりに換算すると、エネルギー量は315キロカロリー、たんぱく質は26g、脂質は約22.5gと、通常のモッツァレラチーズに比べると栄養成分が多く含まれているため、おやつや軽食などにも役立ちます。
(参考:明治│ボーノ切り出し生チーズ)
6P(ロッピー)チーズ
カットしたプロセスチーズが6個入った『QBB 6Pチーズ』。1個あたりの重量は約15gです。
栄養成分を100gあたりに換算すると、エネルギー量は約327キロカロリー、たんぱく質は20g、脂質は約27.3gでした。ほかにもブルーチーズ入りやカマンベール入りなど、味にバリエーションがあります。
(参考:QBB│QBB 6Pチーズ )
ベビーチーズ
お弁当のおかずなどでも定番のベビーチーズ。日本国内でも多くの会社が販売しています。
『QBB ベビーチーズ』に含まれる栄養成分を100gあたりに換算すると、エネルギー量は約333キロカロリー、たんぱく質は20g、脂質は約26.7gでした。これは同じプロセスチーズの『QBB 6Pチーズ』に比べ、わずかにカロリーが高くなっています。
(参考:QBB│QBB ベビーチーズ )
さけるチーズ
縦に割いて味わうことのできる『雪印北海道100 さけるチーズ』シリーズ。プレーン味の栄養成分を100gあたりに換算すると、エネルギー量は320キロカロリー、たんぱく質は27.2g、脂質は約22.8gです。1本から販売しており、フレーバーも豊富な商品です。
(参考:雪印メグミルク│雪印北海道100 さけるチーズ プレーン )
クラフト 切れてるチーズ
薄くスライスされたナチュラルチーズが18枚入っている『クラフト 切れてるチーズ』は、チーズを乗せたクラッカーやカプレーゼを手間なく作るなど、様々な料理に活用できます。
栄養成分を100gあたりに換算すると、エネルギー量は約329キロカロリー、たんぱく質は約20.7g、脂質は約26.8gです。
(参考:森永乳業│クラフト 切れてるチーズ )
チーズ料理のカロリーを解説
チーズは単体でもおいしいですが、料理に加えるとさらに味のバリエーションが広がります。最後は代表的なチーズ料理のカロリーを見てみましょう。
チーズケーキ
ベイクドチーズケーキの場合、100gあたりのエネルギー量は299キロカロリー、たんぱく質は8.5g、脂質は21.2g。レアチーズケーキの場合は100gあたり348キロカロリー、たんぱく質5.8g、脂質27.5gで、ベイクドチーズケーキより高カロリーです。
近年では糖質をカットしてカロリーを抑えたチーズケーキも販売されています。
チーズナン
インドカレー店などでよく目にするチーズ入りのナン。家庭でもナンを作ることのできるナンミックスが販売されており、中にチーズを入れたアレンジをする人も多く見られます。
ハウス食品株式会社が紹介しているチーズナンのレシピによると、1枚当たりのエネルギー量は256キロカロリーと、食事としても食べ応えがあります。
(参考:ハウス食品│チーズナン)
チーズハットグ
韓国発祥の屋台フード、チーズハットグ。フランクフルトを、アメリカンドッグのような生地とたっぷりのチーズでコーティングして揚げます。
専門店で楽しむことができるほか、冷凍食品としても販売されています。ニッポンハム『ちっちゃなチーズハットグ』の栄養成分を100gあたりに換算すると、エネルギー量は290キロカロリーです。
(参考:日本ハム│ちっちゃなチーズハットグ)
チーズリゾット
お米料理のリゾットとも相性がいいチーズ。手軽に食べることのできる冷凍食品も多数販売されています。
『明治カマンベールリゾット』の場合、100gあたりのエネルギー量は約160キロカロリー。1個260g入りなので、主食として十分な満足感があります。
(参考:明治│明治カマンベールリゾット)
チーズオムレツ
オムレツの具としてもチーズは親しまれています。エスビー食品が紹介する『とろ~り☆チーズオムレツ』のレシピを参照すると、エネルギー量は1食あたり249キロカロリーです。
(参考:エスビー食品│とろ~り☆チーズオムレツ)
チーズハンバーグ
熱々のハンバーグと、とろとろチーズの味わいが人気のチーズハンバーグ。ファミレスメニューの定番でもあります。
7種類のチーズを使用したココスの「チーズインハンバーグ」の場合、1食あたりのエネルギー量は493キロカロリーです。
(参考:COCO’S│チーズインハンバーグ&コロッケ ランチ)
チーズ春巻き
春巻きの皮でチーズを巻いて揚げたメニューで、お酒のおつまみとしても人気です。
冷凍食品も販売されており、ニッスイ『ほしいぶんだけ モッツァレラのチーズ揚げ』の場合、100gあたりのエネルギー量は約350キロカロリーです。
(参考:ニッスイ│ほしいぶんだけ モッツァレラのチーズ揚げ)
チーズティー
台湾発のドリンク、チーズティー。台湾茶などの上にチーズクリームをたっぷり乗せて作ります。
森永乳業が紹介している『ふわふわクリームの塩チーズティー』の場合、1人分あたりのエネルギー量は211キロカロリー。クリームチーズと生クリームを使っています。
低カロリーのフレッシュタイプから、栄養成分を豊富に含んだハードタイプまでチーズの種類はさまざま。味や香りのバリエーションも豊富なので、お気に入りのチーズを見つけてみてはいかがでしょうか。