近年、会社員でも副業をする人が増えています。特にフリマアプリの普及などで身近になった「せどり」は、空き時間を活用して副収入を得たいと考えている人にオススメの副業です。
この記事では、せどりとは何かという解説から始まり、せどりのメリットやデメリット、せどりに必要なものや始め方、そしてオススメの仕入先や出品先、商品のジャンルなどをまとめてご紹介。さらに、副業を始めるにあたって気になる確定申告についても解説しますので、これから副業でせどりをしようと考えている人は必読です。
せどりとは?
はじめに、「せどり」という言葉の意味を確認しておきましょう。
せどりとは、商品を仕入れ額よりも高い価格で販売し、その差額で利益を得るビジネスを指します。せどりという言葉の由来には諸説ありますが、従来は古本の転売を指して使われていました。しかし現在では、古本に限らずあらゆる商品を転売して利益を得ることをせどりと呼びます。
(参考:ebay│せどり初心者は何を扱ってどこで仕入れる?)
せどりと転売の違いとは?
「せどり」と「転売」は、元々はほぼ同じ意味を持つ言葉です。
ただし最近は、限定品や入手困難な商品を転売目的で大量に購入し、高額で転売する事例が増えており、それに伴って「転売」という言葉がこうした悪質な行為を指して使われるようになっています。せどりも転売も、本来は何ら問題のない商売ですが、「転売」がこのようなネガティブな意味合いで使われていることを受けて、それと区別する意味で、正当なビジネスとしての転売を「せどり」と呼ぶ場合があるようです。
せどりは違法?
せどりそのものは真っ当なビジネスであり、違法性はありません。しかし、ビジネスである以上、関連する法律に従って行う必要があります。
例えば、過去にはコンサートのチケットなどを法外な価格で転売して摘発された事例も存在します。このようなトラブルを受けて、2019年6月から「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」が施行されました。この法律では、元の価格を超える金額でチケットを販売することが禁じられました。
その他、せどりが違法になってしまうケースの代表例として、必要な免許や許可を得ずに商品を販売した場合が挙げられます。例えば、販売目的で中古品を仕入れて販売する場合は、「古物営業法」に従って、都道府県の公安委員会から「古物商許可証」を発行してもらう必要があります。ただし、自分で使おうとして購入したものなど、もともと自分の持ち物であったものを販売する場合は、この許可は不要です。
他にも、例えば偽のブランド品を本物と偽って販売した場合は、商標法違反となります。どんな商品を扱う場合でも、その商品の販売に関する法律をきちんと把握して、違反しないよう気をつける必要があります。
(参考:警視庁│古物商許可申請)
せどりの種類
せどりと一口に言っても、実際の商売の仕方は様々です。せどりは主に、扱う商品が新品か中古品か、そして仕入れを実店舗で行うかインターネット上で行うか、という2つの観点から次のように分類されます。
新品せどり
新品せどりとは、小売店などから新品の商品を仕入れて販売することです。中古品を扱わないため古物商許可は不要となり、簡単に始めることができます。
中古せどり
中古せどりは、オークションやフリマサイト、リサイクルショップなどで中古品を仕入れて販売するものです。既に解説したとおり、「古物商許可証」を取得してから行う必要があります。
店舗せどり
店舗せどりとは、自分で実店舗に足を運んで商品を仕入れるタイプのせどりです。経費として、店舗に行くための交通費がかかります。
電脳せどり
電脳せどりは、インターネット上で商品の仕入れを行うタイプのせどりを指します。店舗せどりと違い、通信環境さえあれば、いつでもどこでも仕入れを行うことができます。
せどりは稼げる?
副業としてせどりをするか考えている人は、実際にどのくらい稼げるのかが気になるでしょう。しかし、残念ながらせどりで儲けられるかを一概に語ることはできません。
そもそも、せどりでは仕入れ値と売り値の差額が稼ぎになります。したがって、商品が売れないことには稼ぎはゼロです。もし売れたとしても、どのくらいの差額を得られるかは、何をいくらで仕入れていくらで売るかに依存します。このように、せどりの稼ぎは完全にその人次第ということになります。
(参考:物販総合研究所│せどりの収入ってどれくらい?せどりで稼げる人と稼げない人の違いとは)
せどりを副業にするメリット
このように、確実に稼げるとは言えないせどりですが、副業としてはオススメです。その理由として、せどりには次のようなメリットがあります。
手軽に始められる
せどり最大の魅力は、すきま時間を使って手軽に始められることです。インターネット環境さえあれば、空いた時間にスマートフォンで商品の相場を調べたり実際に仕入れたりが可能です。
働く時間を自由に決められる
せどりなら働く時間を自由に決めることができるため、忙しい会社員でも夜の時間や週末を利用してストレスなく始めることができるでしょう。買い手とのやり取りを除けば、仕入れも販売も自分一人で完結できるので、誰かに時間を合わせる必要もありません。
利益が出るまでが早い
せどりでは、仕入れた商品が売れればすぐに売上が入るため、利益が出るまでが早い点も大きなメリットです。始めたばかりの初心者であっても、需要のある商品を安く仕入れることができれば、比較的すぐに利益が得られます。
赤字のリスクを抑えられる
何をどのくらい仕入れるかは全て自分で決めることができるため、リスクを回避しやすいのも特徴です。例えば低価格で売れ筋の商品を少量ずつ仕入れるなど、堅実な始め方をすれば、大きな赤字を出すリスクを抑えることができます。
せどりのデメリット
メリットの多いせどりですが、次のようなデメリットもあります。こうしたデメリットを踏まえて、きちんと準備をしてから始めることが重要です。
仕入れの初期費用が必要
仕入れ前に販売する「無在庫販売」はたいてい禁止されているため、せどりを始めるにはまず仕入れを行わなければなりません。したがって、そのための初期費用が必要になります。
商品を保管するスペースが必要
商品を仕入れたら、売れるまでの間に在庫商品を保管しておくスペースも必要です。大型の商品や保管環境に注意を要する商品を扱う場合には、特に気にする必要があります。
梱包や発送手続きの手間がかかる
商品が売れたら、自分で梱包をして買い手の住所に発送するという作業が発生します。梱包材も準備しておく必要がある上、買い手の満足度にも影響するため、意外に手間がかかってしまう部分です。
せどりに必要なもの・あるとよいもの
続いては、せどりを始めるにあたって必要なものや、あるとよいものを挙げていきます。既に持っているものもあるかもしれませんが、取得に時間のかかるものもあるため、ここで1つ1つチェックしてみましょう。
古物商許可証
既に解説したとおり、中古品を扱う場合や、フリマサイトやオークションサイトなどで個人から仕入れを行う場合には、必ず古物商許可証が必要です。古物商許可証は自分が住んでいる自治体の警察署で申請しますが、申請には19,000円の手数料がかかる他、申請に必要な各種書類の取得にも、それぞれ数百円の手数料がかかります。
スマートフォン
リアルタイムの商品の相場や売れ行きを調べるためには、手が空いた時にすぐにインターネットにアクセスできるスマートフォンが欠かせません。特に電脳せどりの場合は、仕入れや販売を行うためにもスマートフォンは必須です。
クレジットカード
せどりをしていると、絶えずお金の出入りが発生します。経費の管理を簡単にするために、仕入れや梱包資材の購入時に使う専用のクレジットカードを作るとよいでしょう。
銀行口座
クレジットカードと同じように、せどりの売上や資金を入れる専用の銀行口座もあると便利です。クレジットカードや口座の入出金記録を自動的に記帳してくれる会計ソフトも併用すれば、収支管理の手間が大きく省けます。
プリンター
商品を発送する時の宛名ラベルや送り状、領収書などは手書きで用意すると手間がかかります。プリンターを用意して、テンプレートに沿ってすぐに印刷できるようにすると楽になるのでオススメです。
段ボール
商品を発送する際には段ボールが必須です。商品の大きさに合わせて、適切なサイズの段ボールをストックしておきましょう。
緩衝材
商品が破損するとトラブルになるため、商品を発送する時は緩衝材を使って丁寧に梱包する必要があります。段ボールだけでなく十分な緩衝材を買っておくことを忘れずに。
せどりの始め方
これからせどりを始める人のために、せどりのおおまかな流れをまとめました。この流れを念頭に置いて、最初のステップから1歩ずつ始めていきましょう。
扱う商品を決める
せどりを始めるにあたって、まずは自分がどんな商品を扱うかを決める必要があります。自分がもともと詳しいジャンルの商品なら、知識の点で有利かもしれません。その他にトレンドや手持ちの資金、保管スペースなども考慮して、自分が利益を出せそうな商品を絞り込みましょう。
商品を仕入れる
何を扱うかを決めたら、さっそく仕入れです。最安値で買える店を探して、できるだけ安く仕入れるのが利益を増やすためのポイントです。
出品先を決める
仕入れた商品が手元に届いたら、どこで販売するかを決めましょう。せどりで使えるオンラインのプラットフォームはたくさんありますが、それぞれ利用者の層に違いがあります。利益を最大化するためには、商品に合った出品先を選ぶ必要があります。
出品価格を決める
出品先を決めたら、相場を参考に出品価格を決めます。商品の写真撮影や商品説明の記入も行って出品が完了すれば、後は売れるのを待つばかりです。
商品を梱包して発送する
無事に商品が売れたら、梱包して発送します。できるだけ迅速に、丁寧に対応すると買い手の満足度も上がるでしょう。受け取りの確認やプラットフォーム上での評価が済めば、取引は完了です。
せどりにオススメの仕入れ先
新品せどりの場合は、量販店やドラッグストアの特価品を狙うと、商品を安く仕入れやすいでしょう。中古せどりなら、フリマアプリやネットオークションをこまめにチェックするのがオススメ。早く処分したい、あるいは商品についてよく知らないなどの理由で格安で出品されているケースもあるため、思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれません。
また、店舗せどりをするつもりの人は、近所にあるお店のセール情報のチェックを欠かさないことや、リサイクルショップをこまめに覗くことなどで、低価格での仕入れが実現しやすくなるでしょう。より手軽な電脳せどりなら、ネットショップでいつでも仕入れができますが、通常以上のポイント還元が行われている期間に仕入れるなどの工夫で、実質的な仕入れ値を抑えることができます。
せどりにオススメの商品・ジャンル
せどりは、扱う商品やジャンルを決めるところから始まります。ここでは、扱いやすさを重視して、初心者にオススメのジャンルをいくつかピックアップしました。
本
本には、単価が安いこと、サイズが小さく保管しやすいこと、季節を問わず需要があること、特別な知識がなくても商品の状態がわかりやすいことなど、たくさんの利点があります。特に、特典付きの限定コミックやサイン入りの本などは高額で売れる可能性があります。
家電
ある程度の知識が必要になりますが、保管しやすい小型の家電や季節家電も、せどりにはオススメの商品です。単価がそれなりに高いため、安値で仕入れることができればまとまった利益を得やすくなります。
ゲーム
ゲームはかさばらず保管しやすい上、梱包も簡単です。ある程度の知識が必要にはなりますが、既に販売が終了しているゲームなどはプレミア化している場合があり、そうしたものを仕入れることができれば大きな利益が見込めます。
おもちゃ
子ども用のおもちゃはブームがわかりやすいので、流行っているタイミングを逃さなければ利益を上げやすいジャンルです。さらに、夏休みやクリスマス、年末年始などには需要が増すため、安く仕入れておいたものをこうした時期に売れば、大きな利益につながるでしょう。
せどりにオススメの出品先
副業でせどりをする人のほとんどは、インターネット上のプラットフォームで商品を販売しています。ここでは、特にオススメの出品先を3つご紹介します。
Amazon
多くの人がせどりの出品先に使っているのが、知名度が高く集客力抜群のAmazonです。個人で商品を販売できる「Amazonマーケットプレイス」では、「FBA(フルフィルメント by Amazon)」という有料サービスを利用することができます。これを使えば商品の梱包と発送をAmazon側に任せることができるので、かなり手間が省けます。
Amazonに商品を出品するには「出品用アカウント」が必要で、作成の時にはメールアドレスと電話番号、クレジットカード、銀行口座などが必要です。
(参考:Make shop by GMO│Amazon出店(出品)方法や費用から楽天・Yahoo!との比較まで徹底解説!)
楽天
楽天市場はAmazonと同等の集客力を誇るプラットフォームです。個々の商品を出品するというよりは自分のオンラインショップを出店するという形になるため、せどりを本格的に始めたい人にとっては良い選択肢になるでしょう。初期費用や月々の固定費は高めですが、出店審査が厳しいこともあり、楽天で店舗を構えることができれば買い手の信頼を得やすいというメリットがあります。
楽天に出店するには、「出展申し込み」を行って審査を受ける必要があります。さらに、審査に通った後に「店舗運営のルール検定試験」に合格しなければ出店できません。
(参考:Marketer itsumo.│【楽天出店の教科書!】楽天市場の出店の基本と成功事例)
メルカリ
せどり初心者にとって最も手軽な出品先は、フリマアプリのメルカリではないでしょうか。メルカリは利用者が多く、出品した商品が早く売れると言われています。システムがシンプルで使いやすい点も、副業で手軽にせどりを始めたい人には魅力です。その他、メルカリ独自の配送方法が用意されている点や、匿名配送ができてプライバシーを保護できる点もメルカリの特徴です。
メルカリでは通常のアカウントでも出品ができます。また、審査を通過する必要がありますが、「メルカリShops」で出店すれば、在庫機能などが使えるようになります。
(参考:メルカリ│メルカリShopsとは)
せどりの確定申告
せどりで儲けを出すことができたら、副収入が入って万々歳。その一方で、確定申告が必要になる場合がありますので、最後にせどりの確定申告について確認しておきましょう。
確定申告が必要になる条件
会社員などが副業でせどりを行う場合、副業での所得が20万円を超える場合に確定申告が必須となります。所得とは収入から必要経費を引いた金額です。つまり、せどりの場合は、売上から仕入れ代などの経費を引いた額が20万円を超えたら確定申告を行わなければなりません。
ただし、開業届を出して事業としてせどりを行う場合は、青色申告を選択することで所得控除を受けることができます。青色申告の所得控除は最大65万円とメリットが大きく、他にも複数の優遇が受けられるため、取引規模が大きくなったら開業と青色申告の届出をすることも視野に入れておくとよいでしょう。
(参考:Money forward│せどり(転売)で利益が出たら確定申告は必要?副業の場合のやり方は?)
経費にできる支出
せどりで経費にできる支出は、仕入れた商品の購入代金、梱包資材費、送料、出品先に支払う販売手数料、スマホ代などの通信料金、店舗仕入れにかかった交通費、さらにはせどりに関する書籍やセミナーの料金などです。経費にするためにはレシートや領収書を残しておく必要があるので、きちんと保管して記帳しましょう。
仕訳の方法
せどりの仕訳は小売業と同じようになります。開業して青色申告にする場合は複式簿記かつ発生主義で記帳を行う義務がありますので、初めからこの方式で仕訳をしておくのがオススメです。
例えば現金での仕入れなら、借方が「仕入高」、貸方が「現金」となります。仕入れの際にポイントを使用した場合はいくつか仕訳の方法がありますが、常に同じ処理をすればどれでもOK。以下に、1万円の商品を現金8,000円とポイント2,000円分を使って仕入れた場合の例を1つ示します。
確定申告の必要書類
副業としてせどりを行う場合、初年度は雑所得として確定申告をする場合が多いでしょう。その場合、確定申告書はスマホで入力して送信することができます。国税庁がエクセルで配布している「副業に係る雑所得の⾦額の計算表」を使って、あらかじめ収入と経費をまとめておいてください。他に、本業の源泉徴収票の情報を入力する必要があるため、源泉徴収票を手元に用意しておきましょう。年末調整に反映されていない控除の適用がある場合は、その資料も必要です。
(参考:国税庁│副収入などがある方の確定申告)
まとめ
副業として始めやすいせどりですが、場合によっては許可が必要であったり、出品のために審査を受ける必要があったり、さらには不慣れな確定申告をしなければならなかったりと、手間と時間がかかる可能性もあります。さらに、知らず知らずのうちに違法な転売を行っていたということのないよう、取るべき手続きやルールをしっかりと確認することも欠かせません。
せどりに興味のある人は、まずはしっかりと準備をしたうえで、この記事でオススメした仕入先や出品先、そして商品ジャンルなどを参考に、せどりの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。